[Power BI] ワークスペースの仕様変更
執筆者: Microsoft Japan Business Intelligence Tech Sales Team 伊藤
2018 年 8 月 7 日付で Power BI サービスのワークスペースに対する仕様変更がお知らせされました。
https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/blog/enable-your-team-with-new-workspaces-experiences-preview/
この変更により、Office 365 管理者の方にとってもPower BI ユーザーの方にとっても、管理しやすくかつ使いやすくなると思います。
それではまずワークスペースとはどのようなものなのかこれまでの仕組みを説明し、次にそれがどう変わるのかを紹介します。
ワークスペースはその名の通り、作業スペースです。フォルダーと異なり、フラットな構造となっています。この中に Power BI Desktop で作ったレポートを発行したり、ダッシュボードを作ったりします。ワークスペースの中にはデータセット、レポート、ダッシュボードなどが格納されます。ワークスペースには 個人用の「マイ ワークスペース」と、他のユーザーと共同作業するための「アプリ ワークスペース」の2種類あります。Office 365 をお使いの方向けに言うと、マイ ワークスペースは OneDrive, アプリ ワークスペースは SharePoint のような位置づけです。
現在「アプリ ワークスペース」は Office 365 グループと連動しており、アプリ ワークスペースを作成すると Office 365 グループが自動で作成されます。
Office 365 グループについてはこちらのブログ記事をご覧ください。
これまでの Office 365 グループと Power BI を含む Office 365 の各サービスとの関係は下図のようになります。
Power BI だけを利用している方は気にする必要ないのですが、上記の Office 365 サービスを利用していると、思いがけない影響を受ける場合があります。以下に例を挙げます。
- Office 365 グループの作成を禁止されていて、アプリ ワークスペースが作成できない
- Teams でチームを作成すると、Power BI サービスに同じ名前のアプリ ワークスペースができている。たくさんのチームに所属していると、アプリワークスペースが大量発生してしまう
- アプリ ワークスペースにアクセスすると Power BI Pro の試用やアップグレードを促される
このため「Power BI のアプリ ワークスペースと Office 365 グループを分離してほしい」というフィードバックを多くいただいており、今回のアプリ ワークスペースの仕様変更 (ワークスペース v2) となりました。
今回の仕様変更により、次のように変わります。
現行の アプリ ワークスペース | ワークスペース v2 | |
アプリ ワークスペースの作成 | 連動して Office 365 グループを自動作成 | Power BI でだけ有効なオブジェクトとして作成 |
ワークスペースを作成できるユーザーの制御 | Office 365 グループの作成可否に従う (既定では誰でも作成可能) | Power BI サービス管理者が制御可能 |
メンバー | 個人を指定(Office 365 グループが個人しか指定できないため) | 個人、セキュリティ グループ、メールが有効なセキュリティ グループ、配布グループ、Office 365 グループのいずれでも指定可能 |
メンバーの役割(アクセス許可の種類) | 管理者、メンバーのいずれか。メンバーにコンテンツの編集を許可するかはワークスペースごとに設定 | 管理者、共同作成者、メンバー、参照者のいずれか |
ワークスペースの管理方法 | Power BI サービスの GUI のみ | Power BI REST API での管理も可能 |
コンテンツの発行手段 | 「組織のコンテンツ パック」または「アプリ」 | 「アプリ」のみ |
ダッシュボード/レポートの共有先 | 個人、セキュリティ グループ、メールが有効なセキュリティ グループ、配布グループ | 個人、セキュリティ グループ、メールが有効なセキュリティ グループ、配布グループ、Office 365 グループ |
アクセス許可の種類について、少し詳しくお伝えします。現行のアプリ ワークスペースへのアクセス権を持つユーザーは、 Office 365 グループと同じく「管理者」と「メンバー」のいずれかに分類されます。アプリ ワークスペースの「管理者」は、「メンバー」にそのワークスペース内のコンテンツの編集を許可するかどうかを決定します。よって、アプリ ワークスペースによって同じ「メンバー」でも権限が異なることになります。またレポートやダッシュボードの共有や、アプリを発行するのではなく、アプリ ワークスペースのメンバーに編集権限を付与しないことで、閲覧のみの共有を実現している方もいらっしゃるかもしれません。
ワークスペース v2 では、メンバーのアクセス許可の種類が、管理者・メンバー・共同作成者・参照者の4つのロール (役割) となります。(「参照者」は一般提供開始時に利用可能になる予定です。)
各ロールで実行可能な操作は以下の通りです。
当該ワークスペースに対する操作 | 管理者 (Admins) | メンバー (Members) | 共同作成者 (Contributors) | 参照者 (Viewers) |
ワークスペースの変更と削除 | ○ | × | × | × |
他の管理者を含むユーザーの追加と削除 | ○ | × | × | × |
「メンバー」以下の権限でのユーザーの追加 | ○ | ○ | × | × |
アプリの発行と更新 | ○ | ○ | × | × |
コンテンツの共有、アプリの共有 | ○ | ○ | × | × |
コンテンツの再共有を許可 | ○ | ○ | × | × |
コンテンツを追加、編集、削除 | ○ | ○ | ○ | × |
Power BI Desktop からレポートをワークスペースに発行 | ○ | ○ | ○ | × |
ワークスペース内のコンテンツの閲覧 | ○ | ○ | ○ | ○ |
特にワークスペースに対する「閲覧のみ」の共有方法の変更にご注意ください。
こちらのドキュメントで詳細をご確認いただき、移行方法やスケジュールに注意して、管理方法の変更をお願いします。