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Windows 10 のスタート メニューについて

こんにちは。

Windows プラットフォーム サポートの神田です。

今回は Windows 10 のスタート メニューについて、サポート窓口でお受けするお問い合わせと、ご案内する対策方法について、この場を借りて記載したいと思います。新しいスタート メニューに興味がある方や、メニューが出てこないなどでお悩みの方は、ご一読いただけますと幸いです。

  • Windows 10 のスタート メニューについて

Windows 8.1、Windows Server 2012 R2 ではタイル形式でスタート スクリーンを表示していましたが、Windows 10 では従来のスタート メニューのようにタスクバーからメニューとして展開して表示する形式に変更されました。

動作的には Windows 7 以前の操作感に戻った印象がありますが、Windows 10 は UWP アプリ (Universal Windows Platform いわゆるストア アプリ) をサポートするので、スタート メニューにそれらのアプリを表示させる必要があり、内部的にはスタート メニューは UWP のプロセスとして、エクスプローラーのプロセス Explorer.exe とは別のプロセスで起動されます。

起動されるプロセスは Shellexeperiencehost.exe というもので、他のストア アプリと同様にログオンする各ユーザー毎にインストールされます。

 

  • スタート メニューのタイル表示を構成するサービスについて

スタート メニュー内に表示されるタイルは、専用のデータベース ファイルで構成され、表示されます。このデータベースは、サービス tiledatamodelsvc (表示名 : Tile Data model server) によって管理されます。
Windows 8.1 や Windows Server 2012 R2 では、タイル表示は同じくデータベースで管理されていましたが、管理プロセスが Explorer.exe のみだったためリモート デスクトップ サービスで同じユーザーが別セッションでログオンした場合に、データベース ファイルの共有違反が発生する問題がありました。
Windows 10 では、この問題を解消する意味もあり、データベースの管理を、Explorer.exe とは異なるサービスで行うようになっています。

  参考資料
  Windows Server 2012 および Windows Server 2012 R2 環境で発生する Explorer.exe のクラッシュについて
  https://blogs.technet.microsoft.com/askcorejp/2016/03/07/windows-server-2012-windows-server-2012-r2-explorer-exe-1238/

  • スタート メニューのトラブルについて

スタート メニューが起動しない、というお問い合わせがサポート窓口に入ることが多く、特にドメインに参加してから問題が発生した、という報告を良くいただきます。その場合、ドメインに参加したタイミングで適用されたグループ ポリシーの影響である可能性が高いです。
弊社に寄せられた事例では、下記のポリシーが設定されていることが原因だったものがございました。

  • レジストリやフォルダーのアクセス権を変更している
  • プログラムの実行をポリシー (ソフトウェア制限のポリシー、Applocker など) で制限している
  • Firewall サービスを無効にしている

上記ポリシーによる問題については、以前の OS を対象に展開していたもの (Windows 10 での動作を確認していないもの) があるか、ご確認いただくことをお勧めします。
ポリシー以外の問題では、以下のような問題でスタート メニューが表示されない問題が発生する事があります。

  • Shellexperiencehost.exe のライセンス認証情報が破損している
  • Shellexperiencehost.exe のプログラム展開情報が破損している
  • スタート メニューのタイル データベースが破損している

弊社から提供している更新プログラム、Powershell のコマンドレット、Windows のコマンドで修復を行うことで改善する可能性があります。
以下、方法をご紹介いたしますので、トラブルに遭遇しましたら一度お試しいただければと思います。

  • ロールアップ プログラムをインストールする

最新の更新されたロールアップ プログラムをインストールして事象が改善するかお試しください。
上述したスタート メニューのプロセス Shellexperiencehost.exe や  tiledatamodelsvc サービスは累積された更新のロールアップ プログラムで度々更新されており、不具合改善やパフォーマンス向上が期待できます。
Windows 10 は初期バージョンから、 1511、1607、1703、1709、1803 とバージョン アップが行われており、それぞれのバージョン向けにロールアップ プログラムを提供しております。最新のロールアップ プログラムを適用すれば、それまでに修正された問題も改善します。

Windows 10 の更新履歴 - Windows 10 (2015 年 7 月にリリースされた初期バージョン) 向けの更新プログラム。 https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4000823
Windows 10 の更新履歴 - Windows 10 Version 1511 向けの更新プログラム。
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4000824
Windows 10 および Windows Server 2016 の更新履歴 - Windows 10 バージョン 1607 および Windows Server 2016 の更新プログラム。
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4000825
Windows 10 の更新履歴 -  Windows 10 Version 1703 向けの更新プログラム。
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4018124
Windows 10 および Windows Server の更新履歴
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4043454
Windows 10 バージョン 1803 の更新プログラム
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4099479

  • スタート メニュー アプリを再インストールする

スタート メニュー アプリは UWP アプリであり、Powershell のコマンドレットで再インストールを行うことができます。アプリケーション マニフェストが破損していたり、展開情報が破損している場合は、問題が発生しているユーザーで再インストールするコマンドレットを実行することで、問題が改善する場合があります。

  1. 事象が発生するユーザーでログオンし、下記フォルダーを開きます。
         C:\Windows\System32\WindowsPowerShell\v1.0
  2. PowerShell.exe をダブル クリックで起動します。管理者で起動する必要はありません。
  3. 下記コマンドレットを実行しスタート メニュー アプリを現在のログオン ユーザー向けに再インストールします。
    Get-AppXPackage |Where-Object {$_.InstallLocation -like "*shellexperience*"} | Foreach {Add-AppxPackage -DisableDevelopmentMode -Register "$($_.InstallLocation)\AppXManifest.xml"}
  4. PowerShell にて再インストールのインジケーター (緑色のプロンプト画面が上部に表示され 〇 (丸) が表示されます) が右端まで進みエラーなく完了することを確認します。
  5. スタートメニューが正しく表示されるか確認します。
  • タイル データベースを再構築する

Windows 10 バージョン 1511 から 1709 には、タイル データベースが破損した場合に、構成をリセットするコマンドが用意されています(1803 ではコマンドは削除されました)。このコマンドを実行することで、カスタマイズしたスタートメニューは初期化されますが、タイル データベースが破損している場合は、初期化のコマンドを実行することでスタートメニューが表示されない問題が改善する場合があります。

  1. [Windows] キーと [X] キーを同時に押し表示されたメニューからコマンド プロンプトをクリックして起動します。管理者で起動する必要はありません。
  2. コマンド プロンプトで下記のコマンドを実行します。tdlrecover.exe -reregister -resetlayout -resetcache
  3. コマンドの実行完了を待ちます。実行完了には20 秒程度かかる場合があり、また成功した場合でもメッセージは表示されません。
  4. コマンド プロンプトが入力可能な状態に戻ったら、 tdlrecover.exe コマンドの実行が完了していますので、スタート メニューが正しく表示されるか確認します。

最新のロールアップ プログラムを適用したり、タイル データベースを初期化することで、多くのお客様の問題は改善することが多いです。これらの操作を実施しても問題が改善しない場合や、実施内容について確認したいことがある場合には、サポートまでお問い合わせいただければ、解決に向けて協力をさせていただきます。

Windows Platform 担当 : 神田