予約済み IP アドレス (クラシック デプロイ)

Azure での IP アドレスは、動的と予約済みという 2 つのカテゴリに分類されます。 Azure で管理されるパブリック IP アドレスは、既定では動的です。 これは、リソースがシャットダウンまたは停止 (割り当て解除) されたときに、特定のクラウド サービスに使用される IP アドレス (VIP)、または VM やロール インスタンスへの直接アクセスに使用される IP アドレス (ILPIP) が変更される場合があるということです。

IP アドレスが変更されないようにするには、IP アドレスを予約します。 予約済み IP は VIP としてのみ使用できるので、リソースがシャットダウンまたは停止 (割り当て解除) された場合でも、クラウド サービスの IP アドレスが変更されることはありません。 さらに、VIP として使用されている既存の動的 IP を、予約済み IP アドレスに変換できます。

重要

Azure には、リソースの作成と操作に関して、2 種類のデプロイ モデルがあります。Resource Manager とクラシックです。 この記事では、クラシック デプロイ モデルの使用方法について説明します。 最新のデプロイメントでは、リソース マネージャー モデルを使用することをお勧めします。 Resource Manager デプロイ モデルを使用して静的パブリック IP アドレスを予約する方法について説明します。

Azure における IP アドレスの詳細については、IP アドレスに関する記事をご覧ください。

予約済み IP が必要になる場合

  • IP アドレスをサブスクリプションで確実に予約したい場合。 どのような状況でもサブスクリプションから解放されない IP アドレスを予約する場合は、予約済みパブリック IP を使用します。
  • クラウド サービスまたは VM が停止したり割り当て解除された場合でも、IP アドレスを保持したい場合。 クラウド サービスの VM がシャットダウンまたは停止 (割り当て解除) された場合でも、変更されない IP アドレスを使用してサービスにアクセスする場合です。
  • Azure の出力トラフィックに予測可能な IP アドレスを使用したい場合。 オンプレミスのファイアウォールが、特定の IP アドレスからのトラフィックのみを許可するよう構成することができます。 IP を予約すると、送信元 IP アドレスがわかるので、IP の変更に合わせてファイアウォール規則を更新する必要はありません。

FAQ

  • 予約済み IP はすべての Azure サービスに使用できますか。 いいえ。 予約済み IP は、VIP を使用して公開される VM およびクラウド サービスのインスタンス ロールに対してのみ使用できます。
  • 予約済み IP は、いくつ使用できますか。 詳細については、Azure の制限に関する記事をご覧ください。
  • 予約済み IP に料金はかかりますか。 場合によります。 料金の詳細については、予約済み IP アドレスの料金の詳細に関するページをご覧ください。
  • どうやって IP アドレスを予約するのですか。 PowerShell、Azure Management REST API、または Azure Portal を使用して、Azure リージョンの IP アドレスを予約できます。 予約済み IP アドレスは、サブスクリプションに関連付けられます。
  • アフィニティ グループ ベースの VNet で予約済み IP を使用できますか。 いいえ。 予約済み IP はリージョン VNet に対してのみサポートされます。 予約済み IP は、アフィニティ グループに関連付けられている VNet ではサポートされていません。 リージョンまたはアフィニティ グループとの VNet の関連付けの詳細については、リージョン VNet とアフィニティ グループに関する記事をご覧ください。

予約済み VIP を管理する

Azure PowerShell (クラシック) の使用

予約済み IP アドレスは、使用する前にサブスクリプションに追加する必要があります。 次のようにして、"米国中部" で使用できるパブリック IP アドレスのプールから予約済み IP を作成します。

Note

クラシック デプロイ モデルの場合は、Service Management 版の Azure PowerShell をインストールする必要があります。 詳しくは、Azure PowerShell Service Management モジュールのインストールに関するページをご覧ください。

  New-AzureReservedIP –ReservedIPName MyReservedIP –Location "Central US"

ただし、予約する IP を指定できないのでご注意ください。 サブスクリプションで予約された IP アドレスを表示するには、次の PowerShell コマンドを実行し、ReservedIPNameAddress の値を確認します。

Get-AzureReservedIP

予想される出力:

ReservedIPName       : MyReservedIP
Address              : 23.101.114.211
Id                   : d73be9dd-db12-4b5e-98c8-bc62e7c42041
Label                :
Location             : Central US
State                : Created
InUse                : False
ServiceName          :
DeploymentName       :
OperationDescription : Get-AzureReservedIP
OperationId          : 55e4f245-82e4-9c66-9bd8-273e815ce30a
OperationStatus      : Succeeded

注意

PowerShell を使用して予約済み IP アドレスを作成する場合、予約済み IP を作成するリソース グループを指定することはできません。 Azure では、予約済み IP は Default-Networking という名前のリソース グループに自動的に配置されます。 Azure Portal を使用して予約済み IP を作成する場合は、任意のリソース グループを指定できます。 ただし、Default-Networking 以外のリソース グループに予約済み IP を作成した場合、Get-AzureReservedIPRemove-AzureReservedIP などのコマンドでその予約済み IP を参照するときに、Group resource-group-name reserved-ip-name という名前を参照する必要があります。 たとえば、myResourceGroup という名前のリソース グループに myReservedIP という予約済み IP を作成した場合、予約済み IP の名前を Group myResourceGroup myReservedIP として参照する必要があります。  

IP アドレスが予約されると、サブスクリプションとの関連付けは、サブスクリプションが削除されるまで維持されます。 予約済み IP アドレスを削除するには次のようにします。

Remove-AzureReservedIP -ReservedIPName "MyReservedIP"

Azure CLI (クラシック) の使用

次のように Azure クラシック CLI を使用して、"米国中部" で使用できるパブリック IP アドレスのプールから予約済み IP を作成します。

Note

クラシック デプロイの場合は、Azure クラシック CLI を使用する必要があります。 Azure クラシック CLI のインストール方法については、「Azure クラシック CLI のインストール」をご覧ください

コマンド:

azure network reserved-ip create <name> <location>

例:

azure network reserved-ip create MyReservedIP centralus

次の Azure CLI を使用して、サブスクリプションで予約されている IP アドレスを表示できます。

コマンド:

azure network reserved-ip list

IP アドレスが予約されると、サブスクリプションとの関連付けは、サブスクリプションが削除されるまで維持されます。 予約済み IP アドレスを削除するには次のようにします。

コマンド:

azure network reserved-ip delete <name>

例:

azure network reserved-ip delete MyReservedIP

既存のクラウド サービスの IP アドレスを予約する

-ServiceName パラメーターを追加することで、既存のクラウド サービスの IP アドレスを予約できます。 次のようにして、"米国中部" の TestService クラウド サービスの IP アドレスを予約します。

  • Azure PowerShell (クラシック) の使用:

    New-AzureReservedIP –ReservedIPName MyReservedIP –Location "Central US" -ServiceName TestService
    
  • Azure CLI (クラシック) の使用:

    コマンド:

     azure network reserved-ip create <name> <location> -r <service-name> -d <deployment-name>
    

    例:

      azure network reserved-ip create MyReservedIP centralus -r TestService -d asmtest8942
    

予約済み IP を新しいクラウド サービスに関連付ける

次のスクリプトでは、新しい予約済み IP を作成し、TestService という名前の新しいクラウド サービスに関連付けます。

Azure PowerShell (クラシック) の使用

New-AzureReservedIP –ReservedIPName MyReservedIP –Location "Central US"

$image = Get-AzureVMImage|?{$_.ImageName -like "*RightImage-Windows-2012R2-x64*"}

New-AzureVMConfig -Name TestVM -InstanceSize Small -ImageName $image.ImageName `
| Add-AzureProvisioningConfig -Windows -AdminUsername adminuser -Password MyP@ssw0rd!! `
| New-AzureVM -ServiceName TestService -ReservedIPName MyReservedIP -Location "Central US"

Note

クラウド サービスで使用する予約済み IP を作成する場合でも、受信通信に VIP:<ポート> 番号を使用して VM を参照します。 IP を予約しても、VM に直接接続できないためです。 予約済み IP は、VM がデプロイされたクラウド サービスに割り当てられます。 IP を使用して VM に直接接続するには、インスタンスレベル パブリック IP を構成する必要があります。 インスタンスレベル パブリック IP とは、VM に直接割り当てられている (ILPIP と呼ばれる) パブリック IP の一種です。 この IP は予約できません。 詳細については、インスタンスレベル パブリック IP (ILPIP) に関する記事をご覧ください。

予約済み IP を実行中のデプロイから削除する

新しいクラウド サービスに追加された予約済み IP アドレスを削除するには次のようにします。

Azure PowerShell (クラシック) の使用

Remove-AzureReservedIPAssociation -ReservedIPName MyReservedIP -ServiceName TestService

Azure CLI (クラシック) の使用

コマンド:

azure network reserved-ip disassociate <name> <service-name> <deployment-name>

例:

azure network reserved-ip disassociate MyReservedIP TestService asmtest8942

Note

実行中のデプロイから予約済み IP を削除しても、サブスクリプションから予約は削除されません。 単に IP が、サブスクリプション内の他のリソースで使用できるように解放されるだけだからです。

サブスクリプションから予約済み IP アドレスを完全に削除するには、次のコマンドを実行します。

コマンド:

azure network reserved-ip delete <name>

例:

azure network reserved-ip delete MyReservedIP

予約済み IP を実行中のデプロイに関連付ける

Azure PowerShell (クラシック) の使用

次のコマンドでは、TestVM2 という名前の新しい VM で TestService2 という名前のクラウド サービスを作成します。 その後、MyReservedIP という既存の予約済み IP をクラウド サービスに関連付けます。

$image = Get-AzureVMImage|?{$_.ImageName -like "*RightImage-Windows-2012R2-x64*"}

New-AzureVMConfig -Name TestVM2 -InstanceSize Small -ImageName $image.ImageName `
| Add-AzureProvisioningConfig -Windows -AdminUsername adminuser -Password MyP@ssw0rd!! `
| New-AzureVM -ServiceName TestService2 -Location "Central US"

Set-AzureReservedIPAssociation -ReservedIPName MyReservedIP -ServiceName TestService2

Azure CLI (クラシック) の使用

次の Azure CLI を使用して、実行中のクラウド サービス デプロイに新しい予約済み IP アドレスを関連付けることができます。

コマンド:

azure network reserved-ip associate <name> <service-name> <deployment-name>

例:

azure network reserved-ip associate MyReservedIP TestService asmtest8942

サービス構成ファイルを使用してクラウド サービスに予約済み IP アドレスを関連付ける

サービスの構成 (CSCFG) ファイルを使用すると、クラウド サービスに予約済み IP を関連付けることもできます。 次の xml サンプルは、MyReservedIP という予約済み VIP を使用するようにクラウド サービスを構成する方法を示しています。

   <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
    <ServiceConfiguration serviceName="ReservedIPSample" xmlns="https://schemas.microsoft.com/ServiceHosting/2008/10/ServiceConfiguration" osFamily="4" osVersion="*" schemaVersion="2014-01.2.3">
      <Role name="WebRole1">
        <Instances count="1" />
        <ConfigurationSettings>
          <Setting name="Microsoft.WindowsAzure.Plugins.Diagnostics.ConnectionString" value="UseDevelopmentStorage=true" />
        </ConfigurationSettings>
      </Role>
      <NetworkConfiguration>
        <AddressAssignments>
          <ReservedIPs>
           <ReservedIP name="MyReservedIP"/>
          </ReservedIPs>
        </AddressAssignments>
      </NetworkConfiguration>
    </ServiceConfiguration>

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