Microsoft Visual Studio:企業アプリケーション開発スイート
Microsoft Corporation
1998年5月
はじめに
今日の情報技術は、企業組織がコストを劇的に軽減したり、業務手順を合理化したり、製品やサービスの提供をインターネットを使ってビジネス パートナーやカスタマに直接展開したりできるようにします。競争の中でこのように優位に立つための技術を利用している企業には、Digital Nervous System(デジタル神経系)があります。Digital Nervous Systemは、ネットワークで相互に接続されているPCと統合ソフトウェアを使って、情報がすばやく正確に流れるようにします。Digital Nervous Systemは従業員がよりすばやく行動を開始し、より多くの情報をもとに決定を下せるようにします。企業が、予期しないできごとにも対応できるようにします。企業、顧客、ビジネス パートナーとの間の隔たりを縮めます。Digital Nervous Systemを使えば、組織は技術ではなく、ビジネスに焦点を合わせることができるのです。真のDigital Nervous Systemを構築するには、推進する意志、時間、そして想像力が必要です。
図1:Digital Nervous Systemにはたくさんの要素が含まれています。組織がこれら主要な要素の1つである統合化されたビジネス アプリケーションを構築できるようにするためには、開発ツールが大きな役割を果たします。
開発ツールは、情報技術を有効利用してDigital Nervous Systemを構築する上で基本的な役割を果たします。開発ツールは、組織が企業アプリケーションを作成、カスタマイズ、統合できるようにします。企業アプリケーションは、情報技術を市場における戦略的な強みに変えます。Microsoftは1975年の創業以来、先端的な開発ツールを提供し続けてきました。そして1997年3月には、数々の賞を受賞しているMicrosoftビジュアル開発ツールの完全なスイートであるVisual Studio 97開発システムの提供を開始しました。Visual StudioのProfessional Editionを使えば、開発者はMicrosoft(r) Windows(r)オペレーティング システムとWeb開発の利点をフル活用できます。Visual StudioのEnterprise Editionは、データ中心の企業ソリューションを短期間で構築するための完全なスイートです。Visual StudioのEnterprise Editionでは、企業データベース開発および設計ツール、チーム開発のサポート、アプリケーション設計と性能解析ツール、Microsoft BackOffice(r)ファミリのアプリケーション サーバーの開発用バージョンを提供します。
発表以来、何千もの企業がVisual Studio 97を短期間のうちに採用してきました。事実、Microsoft Visual Studioツールを使用してアプリケーションを作成している開発者の数は、ほかのどのソフトウェア ベンダのツールを使用している開発者よりも多いのです(下記のメモを参照してください)。何千ものミッション クリティカルなアプリケーションがMicrosoft Visual Studioを使用して構築されてきました。これには業界のトップを走る、例えばUnited Airlines、NASDAQ、Dell Computer、Solomon Smith Barney、Charles Schwab、Boeing Corporation、Merrill Lynch、その他によって構築された大規模なアプリケーションも含まれています。Microsoft Visual Studioを使って構築されたソリューションの詳細については、https://msdn.microsoft.com/vstudio/ のWebページをご覧ください。
- メモ
Market Decisions Corporationが1998年4月に実施した調査によれば、アメリカ合衆国のプロ開発者全体において、Microsoftのビジュアル開発ツールの実使用率は46%でした。Borlandのツールは13%、Oracleのツールが4%、Sybase/PowerSoftのツールも4%、IBM/Lotusのツールは8%でした。
Visual Studio 6.0は次世代のMicrosoft企業向け開発ツール スイートであり、刺激的な新しい企業向け開発機能を提供すると同時に、ツール同士の統合化もさらに高度になっています。その結果、一連のツール、統合機能、要求される開発生産性を提供する最先端の開発スイートが、Digital Nervous Systemの構築を目指す企業のニーズに応えます。
Windows DNA
多層企業アプリケーション
統合された企業アプリケーションはDigital Nervous Systemの主要な要素です。こういったアプリケーションを構築するには、事前の設計過程での十分な検討と、モジュール型でオープンなアプリケーション アーキテクチャが必要です。情報技術の使われかたが新しいビジネス ニーズに応じて変化するに従い、「企業アプリケーション」の定義そのものもまた、絶えず変化していきます。企業のインフラストラクチャとアプリケーションは、企業ごとに大きく異なりますが、現在の企業アプリケーションは、次のような共通の特性を持っています。
- 柔軟性とスケーラビリティの実現のためにコンポーネントをベースにしている
- 設計、開発、管理、解析を含むライフサイクル サポートが必要
- より高度なデータベース アーキテクチャが必要
- チームによって開発される
- 分散型であり、異種のバックエンド システムと統合される
これらの要求に応じるために、企業アプリケーション アーキテクチャには、アプリケーションの高度な分割、モジュール型の再利用可能なコンポーネントの使用、スケーラビリティ、クロスプラットフォームでのクライアントのサポート、カスタムやパッケージ アプリケーションとのオープンな相互運用性が求められます。Microsoftは最近、Windows Distributed interNet Applications(DNA)アーキテクチャを発表しました。企業開発者はDNAアーキテクチャを使用して、スケーラブルな多層ビジネス アプリケーションを構築できます。このアプリケーションは、あらゆるネットワーク上で配信可能で、各種のプラットホーム上の多様なデータソースに対するオープンなアクセスを提供でき、任意のクライアント コンピューティング プラットホームから自由にアクセスすることができます。特に重要なのは、Windows DNAによって、企業は既存の技術基盤を活用しながら、新技術(インターネットやWorld Wide Webなど)を採用して新しいニーズに応えることもできるという点です。Microsoft Visual Studioを使用する開発者は、Windows Distributed interNet Application(DNA)アーキテクチャに基づくアプリケーションを構築することができます。
図2:Visual StudioはWindows DNAフレームワーク向けに企業アプリケーションを構築するための完全な開発ツール スイートです。企業はWindows DNAにより、Windows NT、UNIX、SNAベースのシステムを含むあらゆるサーバー環境上のデータ ソースにアクセスできるクロスプラットフォーム アプリケーションを開発できます。
Windows DNAアーキテクチャは、いくつかの基本的な利点を提供します。
- 多層分割。
開発者は、アプリケーションをユーザー インターフェイス、中間層ビジネス ロジック、データ アクセスというそれぞれ独立の層にきれいに分割することができます。これにより柔軟性とモジュール性が得られ、アプリケーションは要求の変化にも簡単に対応できます。 - クロスプラットフォーム アプリケーションの開発。
開発者は、任意のプラットフォームの任意のブラウザに配信できる軽量ライアント アプリケーションを構築することができます。また、Windowsデスクトップ オペレーティング システムを最大限に活用するデスクトップ利用アプリケーションを構築することもできます。 - Universal Data Access。
アプリケーションは、単純化された一貫性のあるプログラミング モデルを使用して、任意のプラットホーム上で実行している、すべての主要なデータベース システムにアクセスできます。 - 再利用可能なコンポーネント。
ビジネス ロジックはすべて、再利用可能なComponent Object Model(COM)コンポーネントとしてカプセル化できます。COMコンポーネントは、DCOMを使ってネットワークの中間層サーバーを通じて透過的に分散させることができます。 - プログラミング言語の選択。
中間層とクライアント ベースのCOMコンポーネントは、任意のプログラミング言語を使って作成することができます。つまり、開発者は自分の持っている技術と、対象となるコンポーネントで必要となる技術的な要求に応じた言語を選べるのです。ある言語で作成されたCOMコンポーネントは、別の言語でも簡単に再利用することができます。 - 無数の商用アプリケーションとの統合。
COMベースなら、カスタム ビジネス アプリケーションは多種多様なデスクトップ アプリケーション(例えばMicrosoft Office、Visioなど)のほか、バックエンド システム(例えばMicrosoft Back Office(r)ファミリ、Lotus Notes、SAP、Baanなど多数)とも簡単に統合できます。 - スケーラビリティ。
中間層ビジネス コンポーネントはMicrosoft Transaction Server(MTS)の中で実行されます。MTSはXA標準に基づいて分散型データベース トランザクションをシームレスにサポートし、何千もの同時実行ユーザーにサービスを提供するためにスレッドとリソースのプーリングを提供します。MTSがこれらの機能を自動的に提供するので、開発者はXAトランザクションやスレッド/リソースのプーリングのためにベースとなるプログラミングを行う必要性から解放されます。 - フォールト トレランス。
DNAアプリケーションは、互いに独立のプロセスとして実行することができます。そのため、サーバー上のアプリケーションが1つ故障しても、ほかのアプリケーションは影響を受けません。アプリケーション内の個々のCOMコンポーネントは、フォールト トレランスをさらに強化するために専用のプロセスで実行させることもできます。 - 標準規格のサポート。
DNAアーキテクチャは、HTTP、HTML、Dynamic HTMLなど、Worldwide Web Consortium(W3C)による規格と、ECMAScript(JavaScript)のようなECMA規格に基づいています。さらに、SSL、SQL、ODBC、LDAP/X.500、TCP/IP、SNA、Win32(r) API、ActiveX(r)/COM、SMTPを含め、広く採用されている実際の標準規格と事実上の標準規格もほとんどサポートされています。
Component Object Model(COM)
COMは世界で最も広く使われているコンポーネント ソフトウェア モデルです。COMは、最も機能豊かな統合サービス、最も広い使いやすいツールの選択肢、最も数多くのアプリケーションを提供します。さらにCOMは、再利用可能で、すぐに入手できるクライアントとサーバー コンポーネントのための唯一の活気ある市場を提供します。
Microsoftの環境におけるComponent Object Model(COM)の重要性は言い尽くせません。COMは、Microsoft自身か他社かを問わず、WindowsとWindows NT(r)オペレーティング システム向けに開発されている大半の新しいコードの基礎をなします。現在のCOMに関する事実を、一部紹介します。
- COMは世界の1億5000万台を大きく上回るシステム上で使用されています。
- COMは、厳密に定義され、成熟しており、安定している、無償で入手が可能な仕様と、広くテストされ、世界中で事実上の標準として採用されている参照実装で構成されています。
- COMは、アプリケーションが今日利用できる既存の最も機能豊かなサービスを提供するほか、各種のベンダーから最も数多くの開発ツールを提供します。
- COMは、現在唯一活気のあるコンポーネント市場をサポートします。COMに基づくサードパーティ コンポーネントの市場は、1998には6億7000万米ドル規模となり、年間65パーセントの成長率で2001年までには、ほぼ30億米ドルまで成長すると見込まれています(出典:Giga Information Group)。
- COMは、現在最も生産量の高いアプリケーションすべてを含む、入手可能な無数のアプリケーションをサポートします。Microsoftは現在、UNIXに対応したCOMも提供、サポートしています。また、Hewlett Packard、Digital Equipment Corporation、Siemens-Nixdorf、Silicon Graphics、SAP、Baanなど主要なシステム ベンダーが、COMアプリケーションとサービスを提供しており、さらに多くのベンダーが加わる約束をしています。
COM技術が広く採用されている理由は簡単です。COMは、きわめて広範な課題に対して、より優れたソフトウェアの作成を可能にするからです。
Microsoft Visual Studio 6.0
Visual Studio 6.0は、Windows DNAアプリケーション開発のあらゆる側面に対応しています。これには、多層アプリケーションの設計、ユーザー インターフェイス開発、中間層コンポーネントの開発と組み立て、データベース プログラミングと設計、パフォーマンス解析、そしてチーム開発に対応した統合化ツールが含まれます。Visual Studio 6.0の機能セットは、大規模な顧客調査と開発者に対する継続的なコミットメントに基づいています。機能は、以下の中心的な設計テーマに重点が置かれています。
- コンポーネント ベースの開発に向けた完全なツール スイート
- ライフ サイクル生産性の強化
- 企業データベース ツール
- チーム向けのサポートの強化
- 中間層アプリケーション サービスとの統合
- 開発者コミュニティとサポート
コンポーネント ベース アプリケーション開発に向けた完全なツール スイート
Visual Studio 6.0は、コンポーネントに基づいて多層アプリケーションを開発するための完全なツール スイートです。
- Microsoft Visual Basic(r) 6.0開発システム。 クライアント/サーバー アプリケーションと中間層ビジネス コンポーネントのの短期開発のためのシステムです。
- Visual C++(r) 6.0開発システム。 最も高いパフォーマンスのアプリケーションとコンポーネントを構築するための業界トップのC++ツールです。
- Java用のVisual J++(tm) 6.0開発システム。 Microsoftの新しいビジュアル開発ツール。Java言語を使用してアプレット、アプリケーション、コンポーネントなどを構築できます。
- Visual InterDev(tm) 6.0 Web開発システム。 チーム ベースの統合開発ツール。HTML、スクリプト、任意の言語で書かれたコンポーネントに基づくWebアプリケーションを構築できます。
- Visual FoxPro(r) 6.0データベース開発システム。 ワークグループ データベース アプリケーションを構築し、XBASE言語を使用してコンポーネント開発が行えます。
どのツールでも、COMコンポーネントを作成、使用できます。例えば、任意のVisual Studioツールで作成したCOMコンポーネントを、スイートの他の任意のツールで再利用できます。これにより、企業や開発者は自身が保有する技術と、対象となるコンポーネントで必要となる技術的な要求に応じた言語を選べるのです。どの言語を使ったとしても、企業はどのコンポーネントも、ほかの任意の言語で再利用することができます。
Visual Studio Enterprise Editionにも、企業ツールのセットが含まれます。これらのツールは、開発ライフサイクルにおける広範な要求に応えます。これらのツールはスイートのすべての言語にまたがって統合化されており、以下のものが含まれています。
- 企業データベース ツール。 Microsoft SQL Server(r)、Oracle、Sybase、DB/2、その他のほとんどの主要なRDBMSシステムに接続するためのUniversal Data Accessのほか、SQL ServerとOracleデータベース上で表、リレーション、ストアド プロシージャ、関数などを設計するための新しいグラフィッカルなスキーマ設計ツールも含まれています。
- アプリケーション設計とパフォーマンス解析ツール。 多層アプリケーションを設計するためのUMLベース モデリング ツールであるVisual Modeler 2.0と、分散アプリケーションを解析してパフォーマンスの潜在的なボトルネックをすばやく突き止められるVisual Studio Analyzerも含まれます。
- チーム ベース開発機能。 Visual SourceSafe (tm)6.0バージョン管理システム、Microsoft Repository、Visual Component Managerが含まれます。これらによってチームベース開発プロジェクトのすべての側面を管理できます。
- 統合アプリケーション サービス。 BackOffice 4.5アプリケーション サーバーの開発用バージョンが含まれます。データベース、メッセージング、トランザクション、メッセージ キュー、分散処理、Webアプリケーション サービス、セキュリティ、SNA接続サービスなどのアプリケーション サービスが組み込まれています。
ライフ サイクル生産性の強化
Visual Studio 6.0は、開発ライフ サイクルの広い範囲をサポートします。
- 設計:
- 開発:
- アプリケーション解析:
- 管理:
- 配置:
図3:Visual Studio 6.0は、アプリケーション開発ライフサイクルを広範囲に渡ってサポートします
企業データベース ツール
Universal Data Access
Universal Data Accessは、デスクトップから企業全体に至るすべてのタイプの情報(リレーショナル データ、非リレーショナル データを含む)への高性能アクセスを提供するためのMicrosoftの戦略です。Universal Data Accessにより、どのVisual Studioツールも、あらゆるプラットホーム上のあらゆるデータ ソースにアクセスできます。Universal Data Accessは、OLE DB、ActiveX Data Objects(ADO)、Open Database Connectivity(ODBC)という3つの中核技術で構成されています。
OLE DBは、多様なデータ ソースをサポートする、Microsoftのシステム レベルのプログラミング インターフェイスです。OLE DBはMicrosoft Component Object Model(COM)インターフェイスのセットを定義し、さまざまなデータベース管理システム サービスをカプセル化、つまり隠蔽します。OLE DBは、異種プラットホーム上のリレーショナルおよび非リレーショナルの情報ソースを扱えるように設計されています。これらには、電子メールとファイル システム格納領域、テキスト、グラフィックス、地理的データ、それにカスタムのビジネス オブジェクトなども含まれます。
ODBCは依然同様、市場の大半のリレーショナル データベース システムに対する標準的なアクセス手段を提供しています。
ADOは、Microsoftの戦略的な、高水準データ インターフェイスです。ADOは開発者を完全に、下位のOLE DBとODBC技術から分離します。ADOはオープンなアプリケーション レベルのデータ アクセス オブジェクト モデルを提供します。これにより、企業のプログラマはあらゆる言語を使用して、OLE DBデータを使用したデータベース アプリケーションを作成することができます。Visual StudioのツールはすべてADOを使ってデータにアクセスできます。ADOを使うことで、開発者はこれまでよりも多くのタイプのデータにアクセスすることができ、複雑なクライアント/サーバー コードを作成するための時間を大幅に短縮することができます。
図4:Universal Data Accessアーキテクチャは、複数の従来型データ ソースや新しいデータ ソースの相互運用を可能にするために統一されたレイヤを提供します。これらのデータ ソースは、Windows NT、UNIX、SNAベースのホスト環境など、任意のプラットホームに置くことができます。
Visual Database Tools
Microsoft Visual Database Tools(Visual Studioスイートのすべての要素と統合されています)は、データ中心のアプリケーションを短期間で構築するための強力なサポートを提供します。Microsoft Visual Database Toolsには、以下のものが含まれます。
- Data View。 任意のODBCまたはOLE DBデータベースに接続して、内容を調査できます。
- Query Designer。 複雑なSQLクエリーを設計、実行、保存します。
- Database Designer。 Microsoft SQL ServerとOracleデータベース スキーマを作成、変更します。個々の表、リレーション、インデックス/キーのほか、データベース スキーマ全体を対象にできます。
- Stored Procedure Editor。 Microsoft SQL Serverストアド プロシージャと、Oracleのサブプログラムと関数を、T-SQL(SQL Server)とPL/SQL(Oracle)向けの、色分け表示機能付きエディタを使って作成、編集できます。
- Stored Procedure Debugging。 Microsoft SQL Server 6.5のデータベース上のストアド プロシージャをネットワークを介してデバッグできます。
- Database Projects。 ソース管理機能との直接的な統合を含め、データベース スクリプトを集中管理できます。
チーム向けのサポートの強化
チーム開発は、企業開発ツール スイートにとっては重要な要件です。このようなツールセットは、ネットワーク化された環境向けの基本的なチーム機能だけではなく、そのようなチームを補うために多様な役割をこなさなければなりません。例えば、イントラネットやインターネット アプリケーションのほとんどは、プログラマとそうでない人を含むチームによって開発されます。Visual Studio 6.0を使えば、高度なチームベースのプロジェクト モデルがサポートされます。開発者と設計者を対象としたVisual Studioの各種ツールと、コンテンツ作成者や編集者がプロジェクトの一員として作業ができるWebサイト作成、管理ツールであるMicrosoft FrontPage(r)などにより、真のチーム開発が実現できます。
ソース コード管理機能も、Visual Studioスイート全体にわたって統合されているまた別のチーム対応機能です。Visual SourceSafe 6.0は、この製品に含まれており、開発者はこれを使って、開発の過程でソース コードを保護し、リビジョン管理を行い、(ファイルをロックすることによって)編集による矛盾の発生を回避できます。Visual J++、Visual Basic、Visual C++、Visual FoxProなどで開発されたコンポーネントを対象とするソース コード管理機能のほかに、Visual SourceSafeはまた、Visual InterDevのWebプロジェクトと密接に統合して、ダイナミックWebアプリケーションのすべての要素を保護し、管理します。Visual SourceSafeのプロジェクト指向の機能は、アプリケーションやWebサイトのチームベースの開発にかかわる日常的な作業を管理する効率を高めます。
Microsoft Repositoryは、コンポーネント情報を複数のチーム メンバーだけでなく、複数のツールからも共有できるようにします。ソフトウェア コンポーネントとそれに関する情報(メソッド、データ型、他のコンポーネントとの関係など)を格納するためのオープンで拡張性のあるフレームワークを提供することで、Microsoft Repositoryはアプリケーション ライフサイクルの全体に渡ってツールの相互運用を可能にします。さらに効果的なコンポーネント管理と、さらに高い水準のオートメーションを含め、コンポーネント ベース開発の利点をさらに実現することができます。Visual Studio 6.0は、スイートのあらゆるツールに組み込まれているVisual Component Managerを通じて、リポジトリ コンポーネントへのアクセスを提供します。Visual Component Manager(VCM)は開発者のチームがさまざまなタイプのコンポーネントを共有して、開発チーム内だけでなく企業全体にわたってコンポーネントとコードを効果的に再利用できるようにします。開発者はVCMを使って、ActiveXコントロール、COMコンポーネント、Javaアプレット、HTMLとASPページ、UMLモデル、仕様書、ソース コードなどのコンポーネントを簡単に公開、検索、カタログ化できます。
Visual Component Managerの標準の格納手段はMicrosoft Repository 2.0で、SQL ServerデータベースまたはMicrosoft Accessデータベースのどちらにもコンポーネントを格納することができます。VCMでは同時に複数のリポジトリ データベースを開けるので、開発者は一連のコンポーネント リポジトリを維持することができます。例えば、個人のコンポーネント リポジトリをAccess上に、プロジェクト チームのコンポーネント リポジトリをSQL Server上に、組織に全体のリポジトリをSQL Server上に置くことなどが可能になります。VCMとRepositoryはSDKを使った拡張が可能なため、サードパーティやエンドユーザーは固有のコンポーネント タイプを管理するためにリポジトリ アプリケーションやVCMハンドラを構築することができます。
アプリケーション サービスとの統合
企業向けの開発ツールセットでは、中間層コンポーネントを、多様なアプリケーション シナリオをサポートするために要求されるアプリケーション サービスの充実したセットと簡単に統合できるようすることが大変重要です。Microsoft Visual Studioは統合化された一連のアプリケーション サービスを提供します。開発者はこれらを使えば、データ アクセス、分散処理、トランザクション、メッセージ キュー、メッセージング/ワークグループ サービス、セキュリティ、Webアプリケーション サービス、SNA接続など、重要なアプリケーション サービスをこれまでに比べはるかに簡単に利用できるようになります。これらのサービスは、開発環境に組み込まれたプログラム可能なCOMオブジェクトとして提供されます。さらに、Visual StudioにはMicrosoft BackOfficeアプリケーション サーバー スイートの開発用バージョンが含まれており、任意の開発ワークステーションから、これらのサービスを簡単にフル活用することができます。COMを使えば、SAPやBaanなどのようなERP(Enterprise Resource Planning)パッケージなど、多種多様なサードパーティ アプリケーション サービスを簡単に統合することができます。
開発者コミュニティとサポート
投資すべきアプリケーション開発ツールを決めなくてはならないIT管理者にとって、最も重要な基準の1つが開発要員の確保のしやすさとトレーニングやサポートが利用できるかということです。企業にとっては、すぐに確保できる優秀な人材がそろっていて、最先端の開発者サポート、多種多様な公認のソリューション プロバイダ、いつでも利用できるトレーニングなどが提供されるツールを選ぶことが重要なのです。
Microsoft Developer Network(MSDN)
Microsoft Developer Networkは、開発者のためにMicrosoftが提供する最高のプログラムであり、世界最大の開発者コミュニティです。MSDN(R) には、無償でアクセスできるWeb上の最も人気の高い開発者サイト(www.microsoft.com/msdn/)が含まれています。この開発者の巨大なコミュニティにより、組織は、Microsoftだけでなく、開発者コミュニティそのものが提供する共有の知識ベースを利用できます。MSDNは、Web上で最良の開発者向けリソースであるだけではありません。膨大な量の記事、トレーニング、文書、業界イベントも提供しています。
デベロッパー サポート
Microsoftでは、数レベルのサポートを提供しています。専属のTechnical Account Managerによる常時サポートが受けられるPremierアカウント サポートも含まれます。電話でのサポートやWebによる最先端のサポートも利用できます。詳細については https://support.microsoft.com/directory/ を参照してください。
公認のソリューション プロバイダ
Microsoft Certified Solution Provider Program(MCSP)には、世界中の13,000を超える組織が含まれています。MCSPプログラムは、業界屈指のチャネル プログラムと認められています。MCSPプログラムの詳細については https://www.microsoft.com/mcsp/ をご覧ください。世界中のすべてのMCSP組織が登録されているディレクトリに瞬時にアクセスできます。このディレクトリには、世界最大のシステム インテグレータ(Andersen Consulting、EDS、Earnst and Youngなど)から地方のソリューション プロバイダも含まれています。
トレーニング
Microsoftの開発ツールを支援するAuthorized Training and Education Center(ATEC)のネットワークが全世界をカバーしています。数千におよぶATECセンターの情報については https://www.microsoft.com/train_cert/ を参照してください。ATECセンタでは、Microsoft公認の開発者向けのトレーニングを受けることができます。Microsoft Mastering Seriesは一連のComputer-Based Training(CBT)タイトルであり、あらゆるソフトウェア ディーラから簡単に入手できます。Masteringタイトルは、すべてのVisual Studioツールについて、詳細で段階的なトレーニングを提供します。最後に、開発者はMicrosoft Pressだけでなく、ほかの主要なソフトウェア関連書籍出版社から出版されている何百もの書籍からMicrosoft開発ツールとテクノロジの範囲を徹底的にカバーしている文献を選ぶことができます。
まとめ
組織は、競争の中で優位に立つために情報技術を取り込む力を必要としています。企業コンピューティングに対するMicrosoftの展望は、Digital Nervous Systemを取り込んで、情報が自由に流れるようにして、企業が絶えず変わり続けるビジネスのニーズにすばやく対応し、より多くの情報に基づいて判断を下し、顧客やビジネス パートナーとの距離を縮め、技術ではなくビジネスに集中できるようにするというものです。開発ツールは、企業がDigital Nervous Systemを実現する過程で重要な役割を果たします。Microsoftの企業向け開発戦略は、Visual Studio開発ツール スイートと、Windows Distributed interNet Application(DNA)フレームワークを中心に展開します。Visual StudioとWindows DNAの組み合わせにより、組織は短期間で、優れた設計のソリューションを構築して、市場で優位に立つことができます。
この文書の中の情報は、発行日の時点で話題になっている事柄に関する、Microsoft Corporationの現在の視点を示したものです。Microsoftは変化の激しい市場の状況に対処しなければならないため、この情報は、Microsoft側の公約として解釈されるべきものではありません。また、Microsoftは、発行日後に提示された情報の正確性を保証することはできません。
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