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64 bit OS を選択する場合に検討すべきこと

澤田 賢也 (Microsoft MVP for Small Business Server)

公開日: 2011 年 3 月 23 日

Windows 7 が登場し、クライアント OS も 64 ビットであるという時代が当たり前になりました。
インターネットを検索すれば、Windows 7 の 64 ビットに関する情報を多く得られますが、ここでは、仕事で 64 ビットの Windows 7 を使った場合にどのようになるかについて整理いたします。

普段みなさんは、Office などの業務アプリケーションを使って仕事をしていると思います。64 ビットの Windows 7 は、32 ビットの業務アプリケーションも 64 ビットの業務アプリケーションも動きます。業務アプリケーションとの組み合わせは以下の通りになります。ただし、ドライバやサービス等はこの限りではありません。

  アプリケーション (32 ビット) アプリケーション (64 ビット)
Windows 7 (32 ビット) ×
Windows 7 (64 ビット)

表 1: Windows 7 と 業務アプリケーションの組み合わせ

すなわち OS を 64 ビットにするということは、動かすことができるアプリケーション バリエーションが増えるということにほかなりません。これはどのようなことを意味しているのでしょうか。

<業務アプリケーションのインストール先>

通常 32 ビットの業務アプリケーションと 64 ビットの業務アプリケーションは、Windows 7 の中で別の場所に (インストール) 保存されます。もちろん、通常のインストールでは、この違いについて意識することなく適切なフォルダー選択され、業務アプリケーションがインストールされます。

Windows 7 (32 ビット) インストール先フォルダー
アプリケーション (32 ビット) C:\Program Files (x86)

表 2: 32 ビット の Windows 7 の場合

Windows 7 (64 ビット) インストール先フォルダー
アプリケーション (32 ビット) C:\Program Files (x86)
アプリケーション (64 ビット) C:\Program Files

表 3: 64 ビット の Windows 7 の場合

表を比較すると、同じ 32 ビットの業務アプリケーションにもかかわらず、OS を 64 ビットにするとインストール先が変わることになります。
業務アプリケーションのインストール先が今まで異なるという点で注意があります。業務アプリケーションの中に絶対パスを利用したプログラムやマクロがある場合には、その指定された絶対パスが存在しているか確認をする必要があります。

詳しいことはほかの記事にまかせるとして、インストール先が異なることのメリットに、32 ビットと 64 ビットで同じ名前のプログラムを実行すること可能になります。すなわち、ユーザーは、32 ビットと 64 ビットを意識せずに今まで通りアプリケーションを利用することができるわけです。ただし、32 ビットと 64 ビットで同じ動作を保証するものではありません。詳しくは、「64 ビット版の Office 2010」を参照してください。

例えば、「Internet Explorer」には、32 ビットと 64 ビットがあります。これらを同時に起動することができます。
タスクマネージャーで確認すると、32 ビットの Internet Explorer はイメージ名が「iexplore.exe*32」として、64 ビットの Internet Explorer はイメージ名が「iexplore.exe」と表示されています。

図 1: 32 ビット (赤枠) と 64 ビット (青枠) のアプリケーションが稼働しているときのタスクマネージャー

<既定のプログラム>

64 ビット、32 ビット同じ名前のプログラムを同時に実行させることができることはわかりました。それでは、ここでちょっと実験をしてみましょう。
「プログラムとファイルの検索」に「cmd.exe」を入力して ENTER キーを押します。コマンド プロンプトが起動します。
64 ビット、32 ビットどちらのプログラムが起動したのでしょうか。タスク マネージャーで確認してみましょう。

図 2: コマンド プロンプト (赤枠) を起動したときのタスク マネージャー

64 ビットのコマンド プロンプトが起動しました。64 ビットの Windows 7 には 32 ビットのコマンド プロンプトはないのでしょうか。そんなことありません。表 4 のとおり 32 ビットのコマンド プロンプトもあります。

Windows 7 (64 ビット) パス名
Cmd.exe (64 ビット) %windir%\System32\cmd.exe
Cmd.exe (32 ビット) %windir%\SysWOW64\cmd.exe

表 4: 2 つの Cmd.exe

それでは、パスを指定して、32 ビットのコマンド プロンプトを起動してみましょう。
タスク マネージャーで確認すると確かに 32 ビットで動いていることが確認できます。

図 3: 32 ビット版コマンド プロンプト (赤枠) を起動したときのタスクマネージャー

64 ビット、32 ビット同じ名前のプログラムがある場合は、どちらのプログラムが既定で起動するのか (コマンド プロンプトの場合 64 ビット) 確認しておく必要もあります。

<「System32」と「SysWOW64」>

みなさんは、業務アプリケーションではデータベースをよく使います。そして、データベースに接続するときに ODBC ドライバを利用している場合があると思います。
ODBC ドライバは、通常「コントロール パネル」の「管理ツール」内にある「データソース (ODBC)」から確認することができます。

それでは、ODBC ドライバのプロパティを表示してみましょう。
リンク先が「%windir%\system32\odbcad32.exe」になっていると思います。

図 4: コントロール パネルにあるデータ ソース (ODBC) のプロパティ

ということは、32 ビット版 ODBC ドライバも「%windir%\SysWOW64\odbcad32.exe」ちゃんとあります。

Windows 7 (64 ビット) パス名
ODBC (64 ビット) %windir%\system32\odbcad32.exe
ODBC (32 ビット) %windir%\SysWOW64\odbcad32.exe

表 5: 2 つの ODBC

通常 ODBC ドライバは、Office アプリケーションと一緒にインストールされます。
先に説明した通り、アプリケーションのインストール先は、32 ビットと 64 ビットで異なります。同じように ODBC ドライバのインストール先が異なります。
64 ビットの Windows 7 で 32 ビットの Office アプリケーションをインストールした場合、「コントロール パネル」の「管理ツール」内の「データソース (ODBC)」にはドライバは登録されません。

データベースに接続する構成ができずにデータベースに接続できないといったことが起こります。しかし、32 ビットと 64 ビットの特性を正しく理解できれば、「%windir%\SysWOW64\odbcad32.exe」へアクセスすることで今まで通り ODBC ドライバを扱うことができます。

ここで紹介したものはごく一部です。64 ビットの Windows 7 を利用する場合は、32 ビットと 64 ビットの特性を活かして Windows 7 を利用してください。

参考:筆者ブログ
Small Business server 2008 の ODBC について


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