Exchange 管理シェルを使用したパブリック フォルダの管理
トピックの最終更新日: 2008-07-24
Andrea Fowler 著
ここでは、パブリック フォルダについて説明します。
パブリック フォルダについては、「Exchange Server 2007 SP1 でパブリック フォルダが得た新しい場所」などの以前の記事でも触れています。この記事では、Exchange 管理シェル (別名 "シェル") だけを使用してパブリック フォルダを管理する方法について説明します。ただし、この情報はすべて、Exchange 2007 のパブリック フォルダに関するドキュメントで既に詳しく記載されています。ですが、改めてここでも取り上げることにしましょう。
ここでは、シェルによるパブリック フォルダの日常的な管理のためのすべてのヒントを紹介します。それでは、早速始めましょう。
この記事の内容
Getting started
Modifying public folder settings
Creating and configuring mail-enabled public folders
Viewing public folder information
Modifying client permissions
お使いになる前に
パブリック フォルダが必要かどうか検討してください。パブリック フォルダをまだ使用していない場合は、現時点ではパブリック フォルダを必要としないため、組織には実装しない可能性があります。パブリック フォルダを今後使用するかどうかわからない場合は、Exchange チーム ブログの記事「Updated Exchange Public Folder Guidance」(このサイトは英語の場合があります) を参照してください。
![]() |
---|
UNRESOLVED_TOKEN_VAL(exBlog) |
パブリック フォルダを使用する場合は、次の 3 つの基本手順に従って開始する必要があります。
Create the public folder database
Modify public folder database settings
Create public folders
手順 1. パブリック フォルダ データベースの作成
パブリック フォルダ インフラストラクチャがなければ、新しいパブリック フォルダを作成することはできません。つまり、パブリック フォルダ データベースを準備して、マウントしておく必要があります。New-PublicFolderDatabase コマンドレットを使用してパブリック フォルダ データベースを作成する場合は、基本的に新しいデータベースの名前とストレージ グループのみを設定します。
パブリック フォルダ データベースの作成に加えて、このデータベースを別のストレージ グループに作成するように指定できます。ストレージ グループを作成する方法の詳細については、「新しいストレージ グループを作成する方法」を参照してください。
パブリック フォルダ データベースの作成とマウント
次のコマンドは、First Storage Group 上に PFDatabase という名前のパブリック フォルダを作成します。
New-PublicFolderDatabase -Name "PFDatabase" -StorageGroup "First Storage Group"
新しいパブリック フォルダ データベースは、マウントが解除された状態で作成されます。次のコマンドは、前の手順で作成されたデータベースをマウントします。
Mount-Database -Identity "PFDatabase"
手順 2. パブリック フォルダ データベースの設定の変更
パブリック フォルダ データベースを作成してマウントした後、Set-PublicFolderDatabase コマンドレットを使用して、パブリック フォルダ設定のいくつかを変更する必要がある場合があります。パブリック フォルダ データベース設定の変更は、毎日実行するタスクではありません。通常は 1 回だけ実行します。変更可能な設定の例をいくつか示します。
パブリック フォルダ データベースの情報の変更
次のコマンドは、SERVER01 上に存在する PFDatabase という名前のパブリック フォルダ データベースの保存期間を設定します。
Set-PublicFolderDatabase -Identity "Server01\PFDatabase" -DeletedItemRetention 07.00:00:00 -RetainDeletedItemsUntilBackup $true -EventHistoryRetentionPeriod 14.00:00:00 -ItemRetentionPeriod unlimited
次のコマンドは、PFDatabase という名前のパブリック フォルダ データベースにあるすべてのパブリック フォルダの格納域の制限を設定します。
Set-PublicFolderDatabase -Identity PFDatabase -IssueWarningQuota 2000MB -QuotaNotificationSchedule "Sun.3:00 AM-Sun.3:15 AM, Tue.3:00 AM-Tue.3:15 AM, Thu.3:00 AM-Thu.3:15 AM"
このコマンドを使用すると、パブリック フォルダが格納域の制限に達した場合、パブリック フォルダの所有者は通知を受け取ります。詳細については、「パブリック フォルダ データベースの設定を表示または変更する方法」を参照してください。
次のコマンドは、パブリック フォルダの参照設定を設定します。
Set-PublicFolderDatabase -Identity "Server1\PublicFolderDatabase01" -UseCustomReferralServerList $true -CustomReferralServerList "MBXSERVER01:1","MBXSERVER02:50"
注 :
CustomReferralServerList パラメータでは、"サーバー ID:コスト" という形式の配列を使用できます。複数のサーバーはコンマで区切ります。詳細については、「パブリック フォルダの参照を構成する方法」を参照してください。
手順 3. パブリック フォルダの作成
ここで、パブリック フォルダを作成します。パブリック フォルダ データベースと同様に、パブリック フォルダの作成時に設定できるオプションがいくつかあります。今度は、New-PublicFolder コマンドレットを使用します。パブリック フォルダの作成の詳細については、「パブリック フォルダを作成する方法」を参照してください。
新しいパブリック フォルダの作成
次のコマンドは、パブリック フォルダ データベースが格納されている最も近いメールボックス サーバーのパブリック フォルダ ツリーのルートに新しいパブリック フォルダを作成します。これは、コマンドでサーバーまたはパスを指定していないためです。
New-PublicFolder -Name "Legal"
注 :
サーバーを指定しない場合は、コマンドレットによって、ローカル サーバーがパブリック フォルダ データベースを格納している Exchange 2007 メールボックス サーバーであるかどうかが確認されます。該当するメールボックス サーバーである場合、パブリック フォルダはローカルで作成されます。該当するメールボックス サーバーではない場合は、Exchange によって、(サイト コストに基づいて) パブリック フォルダ データベースが格納されている最も近い Exchange 2007 メールボックス サーバーが検出され、そのサーバーにパブリック フォルダが作成されます。 次のコマンドは、My Server という名前のメールボックス サーバーの Legal という名前の既存のパブリック フォルダに Pending という名前の新しいパブリック フォルダを作成します。
New-PublicFolder -Name "Pending" -Path \Legal -Server "Server01"
簡単に言うと、これがパブリック フォルダの開始方法です。次に、シェルを使用してパブリック フォルダのタスクを毎日実行する方法について説明します。
パブリック フォルダの設定の変更
パブリック フォルダの設定とメールが有効なパブリック フォルダの設定はまったく異なります。パブリック フォルダのメールが有効な場合は、Set-MailPublicFolder コマンドレットを使用します。パブリック フォルダのメールが有効ではない場合は、Set-PublicFolder コマンドレットを使用します。
ここでは、メールが有効ではないパブリック フォルダの設定を変更する方法について説明します。パブリック フォルダの設定の構成方法を含め、パブリック フォルダのメールを有効にする方法については、「Creating and Configuring Mail-Enabled Public Folders」を参照してください。
New-PublicFolder コマンドレットを使用してパブリック フォルダを作成する時点では、指定できる設定の数は制限されています。このため、パブリック フォルダを作成した後で、Set-PublicFolder コマンドレットを使用してフォルダをカスタマイズする必要があります。
パブリック フォルダの設定の構成
次のコマンドは、パブリック フォルダで、パブリック フォルダ データベースに設定されている値以外の格納域のサイズ制限を使用できるように指定します。
Set-PublicFolder -Identity "\Legal" -UseDatabaseQuotaDefaults: $False
注 :
Identity パラメータの値には、パスを含める必要があります。たとえば、Business という名前の親フォルダの下に Marketing という名前のパブリック フォルダがある場合は、"\Business\Marketing" という値を指定します。 次のコマンドは、パブリック フォルダのサイズが 10 MB を超えた場合にストレージ クォータ超過の警告を送信するように指定します。
Set-PublicFolder -Identity "\Legal\Pending" -StorageQuota 10MB
注 :
-
UseDatabaseQuotaDefaults パラメータが True に設定されているときは、-StorageQuota パラメータを使用できません。
メールが有効なパブリック フォルダの作成および構成
パブリック フォルダのメールを有効にすると、追加レベルの機能がユーザーに提供されます。ユーザーは、パブリック フォルダにメッセージを投稿できるだけでなく、パブリック フォルダに電子メール メッセージを送信し、場合によってはパブリック フォルダから電子メール メッセージを受信できます。メールが有効なパブリック フォルダには、通常のパブリック フォルダとは異なる設定があります。パブリック フォルダは、通常の電子メール アカウントと同様の電子メール アドレスを持ちます。
Enable-MailPublicFolder コマンドレットの使用時には、指定できる設定の数が制限されています。より複雑な設定を行うには、Set-MailPublicFolder コマンドレットを使用する必要があります。
パブリック フォルダのメールの有効化
次のコマンドは、Legal という名前のルート パブリック フォルダのメールを有効にします。
Enable-MailPublicFolder -Identity "\Legal"
次のコマンドは、Server01 という名前のサーバーの Marketing という名前のルート パブリック フォルダのメールを有効にします。
Enable-MailPublicFolder -Identity "\Marketing" -Server "Server01"
次のコマンドは、Pending という名前のパブリック フォルダ (Legal パブリック フォルダのサブフォルダ) のメールを有効にし、アドレス一覧でパブリック フォルダを非表示にします。
Enable-MailPublicFolder -Identity "\Legal\Pending" -HiddenFromAddressListsEnabled $True
これで、パブリック フォルダのメールが有効になりました。この後で、設定を変更できます。変更できる設定をいくつか示します。
メールが有効なパブリック フォルダの設定の構成
次のコマンドは、Legal という名前のパブリック フォルダのプライマリ SMTP アドレスを LegalPF@contoso.com に変更します。
Set-MailPublicFolder -Identity "\Legal" -PrimarySmtpAddress LegalPF@contoso.com
注 :
EmailAddressEnabled パラメータが True に設定されている場合、プライマリ SMTP 電子メール アドレスは変更できません。EmailAddressEnabled パラメータが True に設定されている場合、パブリック フォルダは定義済みの電子メール アドレス ポリシーを使用します。詳細については、「電子メール アドレス ポリシーの管理」を参照してください。 次のコマンドは、Pending という名前のメールが有効なパブリック フォルダの電子メール アドレス ポリシーを無効にします。
Set-MailPublicFolder -Identity "\Legal\Pending" -EmailAddressEnabled $False
次のコマンドは、値 (文字列) を Sales という名前のメールが有効なパブリック フォルダの最初のカスタム属性に割り当てます。
Set-MailPublicFolder -Identity "\Legal" -CustomAttribute1 "Legal Information"
次のコマンドは、200 MB のサイズ制限を Legal という名前のメールが有効なパブリック フォルダに設定します。このサイズ制限を超えると、フォルダは電子メール メッセージを送信できなくなります。
Set-MailPublicFolder -Identity "\Legal" -SendStorageQuota 200MB
パブリック フォルダ情報の表示
パブリック フォルダのハンドルを保持するには、パブリック フォルダ情報を定期的に表示するようにします。パブリック フォルダ情報を表示するには、次のコマンドを使用できます。
Get-PublicFolder このコマンドレットは、すべてのパブリック フォルダの属性を表示します。このコマンドレットを使用すると、メールが有効なパブリック フォルダと通常のパブリック フォルダの両方に関する情報を表示できます。
Get-MailPublicFolder このコマンドレットは、メールが有効なパブリック フォルダのメール関連の情報を表示します。
Get-PublicFolderStatistics このコマンドレットは、フォルダ サイズ、最終ログオン時間など、パブリック フォルダに関する統計情報を表示します。
パブリック フォルダに関する情報の表示
次のコマンドは、ルート パブリック フォルダに関する情報を表示します。
Get-PublicFolder
- または -
Get-PublicFolder -Identity "\"
次のコマンドは、ルート パブリック フォルダおよび階層内でその下にあるすべてのパブリック フォルダの名前を表示します。
Get-PublicFolder -Recurse | Format-List Name
既定では、システム フォルダは表示されません。たとえば、
Get-PublicFolder -Recurse | Format-List Name
コマンドの実行時にシステム フォルダは表示されません。次のコマンドは、すべてのシステム フォルダの名前を表示します (既定では表示されません)。
Get-PublicFolder -Identity \NON_IPM_SUBTREE -Recurse | Format-List Name
次のコマンドは、Server01 という名前のサーバーのルート パブリック フォルダにある、Legal という名前のパブリック フォルダに関する情報を表示します。
Get-PublicFolder -Identity "\Legal" -Server "Server01"
次のコマンドは、Legal という名前のパブリック フォルダに含まれる Pending という名前のパブリック フォルダに関する情報を表示します。
Get-PublicFolder -Identity "\Legal\Pending"
次のコマンドは、Legal という名前のパブリック フォルダおよびこのフォルダに含まれるすべてのパブリック フォルダに関する情報を表示します。
Get-PublicFolder -Identity "\Legal" -Recurse
次のコマンドは、Legal という名前のパブリック フォルダに含まれるパブリック フォルダ (親フォルダである Legal や、サブフォルダのサブフォルダは除く) に関する情報のみを表示します。
Get-PublicFolder -Identity "\Legal" -GetChildren
次のコマンドは、Get-PublicFolder コマンドレットの出力を Format-List コマンドにパイプ処理し、すべてのパブリック フォルダの名前のみを表示します。
Get-PublicFolder -Recurse | Format-List Name
次のコマンドは、Legal という名前のフォルダにあるすべてのパブリック フォルダを表示しますが、返される結果数は 100 に制限されます。
Get-PublicFolder -Identity "Legal" -Recurse -ResultSize 100 | Format-List Name
注 :
ResultSize パラメータは、Recurse パラメータまたは GetChildren パラメータとの組み合わせでのみ使用できます。 次のコマンドは、Legal という名前のフォルダにあるすべてのパブリック フォルダを表示しますが、返される結果数に制限はありません。
Get-PublicFolder -Identity "Legal" -Recurse -ResultSize Unlimited | Format-List Name
メール関連の情報の表示
Get-PublicFolder コマンドレットを使用してメールが有効なパブリック フォルダに関する情報を表示できますが、メールが有効なパブリック フォルダのメール関連の情報を表示するには、Get-MailPublicFolder コマンドレットを使用する必要があります。表示できる情報の種類の一覧を示します。
メールが有効なパブリック フォルダに関するメール関連の情報の表示
次のコマンドは、メールが有効なすべてのパブリック フォルダの名前を表示します。
Get-PublicFolder "\" -Recurse -ResultSize Unlimited | Get-MailPublicFolder -ErrorAction SilentlyContinue | Format-List Name
注 :
ErrorAction パラメータを SilentlyContinue に設定すると、このコマンドがメールが有効ではないフォルダを検出したときにエラーの表示が停止されます。 次のコマンドは、メールが有効な特定のパブリック フォルダに関する情報を表形式で表示します。
Get-MailPublicFolder -Identity "\Legal" | Format-Table
次のコマンドは、Legal という名前のフォルダに含まれる Pending という名前のメールが有効なパブリック フォルダに関する、メール関連の情報を表示します。
Get-MailPublicFolder -Identity "\Legal\Pending"
次のコマンドは、メールが有効なパブリック フォルダに関するメール関連の情報を表示し、Contoso01-DC という名前のドメイン コントローラに接続します。
Get-MailPublicFolder -Identity "\" -DomainController "Contoso01-DC"
パブリック フォルダの統計情報の表示
パブリック フォルダの統計情報を表示すると、表示名、作成日時、最終更新日時、アイテム サイズなどの情報を確認できます。
パブリック フォルダの統計情報の表示
次のコマンドは、Legal という名前のフォルダに含まれる Pending という名前のパブリック フォルダに関する統計情報を、パイプ コマンドを使用して書式設定し、表示します。
Get-PublicFolderStatistics -Identity "\Legal\Pending" | fl
次のコマンドは、Server01 上にあるすべてのパブリック フォルダの名前とアイテム サイズを表示します。
Get-PublicFolderStatitics -Server "Server01" | Format-List Name,ItemSize
クライアントのアクセス許可の変更
パブリック フォルダを作成した後で、パブリック フォルダを所有、編集、および表示するユーザーを指定できます。アクセス許可を設定する前に、「パブリック フォルダ アクセス許可の構成」を参照してください。
Add-PublicFolderClientPermission コマンドレットを使用してアクセス許可を追加したり、スクリプトを使用してパブリック フォルダに対するクライアントのアクセス許可を追加できます。以下の例に示すいずれかのスクリプトを使用する前に、「Exchange 管理シェルでパブリック フォルダを管理するためのスクリプト」を参照してください。
パブリック フォルダに対するクライアントのアクセス権限の追加
次のコマンドは、ユーザー Kim が West Coast というパブリック フォルダにアクセスするための発行編集者アクセス許可を追加します。
Add-PublicFolderClientPermission -Identity "\Marketing\West Coast" -AccessRights PublishingEditor -User Kim
次のコマンドは、ユーザー David が Sales という最上位のパブリック フォルダおよび Sales ツリー内に格納されているすべてのパブリック フォルダにアクセスするための参照者アクセス許可を追加します。
AddUsersToPFRecursive.ps1 -TopPublicFolder "\Sales" -User "David" -Permission Reviewer
パブリック フォルダに対するユーザーのアクセス許可を削除する必要がある場合があります。削除する場合の例を以下にいくつか示します。アクセス許可を削除するには、Remove-PublicFolderClientPermission コマンドレットまたはスクリプトを使用できます。
パブリック フォルダにアクセスするためのクライアント ユーザーのアクセス許可の削除
次のコマンドは、ユーザー David について、Oregon というパブリック フォルダ内にアイテムを作成するためのアクセス許可を削除します。
Remove-PublicFolderClientPermission -Identity "Sales\West Coast\Oregon" -User David -AccessRights CreateItems
次のスクリプトは、ユーザー David を削除してユーザー Kim に置き換え、パブリック フォルダ Sales およびその下のすべてのフォルダのアイテムにアクセスできるようにします。
ReplaceUserWithUserOnPFRecursive.ps1 -TopPublicFolder "\Sales" -UserOld "David" -UserNew "Kim"
追加情報
これまで説明した内容は、シェルでパブリック フォルダを管理するために実行できることのほんの一部にすぎません。もちろん、シェルを使用してパブリック フォルダを管理する方法は他にも数多くありますが、ほとんどは日常的なタスクではないため、この記事では取り上げませんでした。Exchange 管理シェルの機能を活用してパブリック フォルダを管理する方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。
Andrea Fowler 著 - Microsoft Exchange Server、テクニカル ライター (このサイトは英語の場合があります)