ビジネス データ Web パーツを計画する

この記事の内容 :

  • ビジネス データ Web パーツについて

  • コア ビジネス データ Web パーツを計画する

  • 専用ビジネス データ Web パーツを計画する

  • KPI Web パーツを計画する

  • Excel Web Access Web パーツを計画する

  • SQL Server 2005 Analysis Services Web パーツを計画する

  • ビジネス データ Web パーツに接続したフィルタ Web パーツを計画する

  • Web パーツの展開を計画する

  • ワークシート

Microsoft Office SharePoint Server 2007 では、レポート、レポートが有効なページ (レポート センター サイトなど)、および個人用設定サイトを含むその他の SharePoint サイトでビジネス データ Web パーツを使用して、ビジネス データの Web ベースのビューを表示することにより、組織内で知識を構築するために、それらのデータの分析、レポート、および処理を促します。

Office SharePoint Server 2007 の初期展開の計画の一部として、多様なビジネス データ Web パーツについて理解し、ビジネス データを表示してビジネス インテリジェンスを促進するためにそれらをどのように使用するかを理解し、各サイトに展開する特定の Web パーツを計画する必要があります。

ビジネス データ Web パーツについて

ビジネス データは、組織で使用される各サイト コレクション内のページおよびサイトの SharePoint リストおよび Web パーツ内に表示することができます。このデータのソースには、Microsoft SQL Server 2005 およびその関連アプリケーション (SQL Server 2005 Reporting Services など) や、ビジネス データ カタログに登録されている基幹業務アプリケーションが含まれます。

ビジネス データは、ビジネス データ リスト Web パーツを使用すると、リスト内に直接表示することができます。個人用設定機能のために設計されている専用の Web パーツを使用して表示することもできます。Web パーツをどこで使用するかに応じて、その操作感はまったく異なります。単なるシンプルなリストの場合は、データがデータ ソースに接続していて、自動的に更新されるという点を除けば、他の SharePoint リストを使用するのによく似ています。レポート内の単一の Web パーツの場合は、ページの所有者によって対話機能が制御されるので、単にそのデータが表示されるだけということがあります。複数レポートの概要ページ上にある場合は、そのページ上の他のビジネス データ Web パーツと同様にフィルタ処理することができます。個人用設定サイトまたは個人用サイト上にある場合は、Web パーツ内の情報は対象ユーザーが限られており、その対象ユーザーに関連する情報のみが表示されます。SAP などの一般的な基幹業務アプリケーション用の、専用の Web パーツもあります。

SharePoint サイトでビジネス データを表示するのに使用される Web パーツには、以下の種類があります。

  • コア ビジネス データ Web パーツ

  • 専用ビジネス データ Web パーツ

  • 主要業績評価指標 (KPI) Web パーツ

  • Excel Web Access Web パーツ

  • SQL Server 2005 Analysis Services Web パーツ

  • ビジネス データ Web パーツに接続したフィルタ Web パーツ (個人用設定サイトで使用される現在のユーザーによるフィルタ Web パーツおよびプロパティ プロファイル フィルタ Web パーツ、ビジネス データ カタログ フィルタ Web パーツなど)

これらの Web パーツは、レポート センター サイト、レポートまたはビジネス データを含むその他の SharePoint サイト (複数レポートの概要ページではダッシュボードとも呼ばれます)、および個人用設定サイトからリンクしたレポート内に表示できるビジネス インテリジェンスを作成するのに使用されます。

データ接続ライブラリでは、Office データ接続 (.odc) ファイルおよびユニバーサル データ接続 (.udcx) ファイルが表示されます。

コア ビジネス データ Web パーツを計画する

コア ビジネス データ Web パーツには、以下が含まれます。

  • ビジネス データ リスト Web パーツ

  • ビジネス データ詳細 Web パーツ

  • ビジネス データ関連付け Web パーツ

  • ビジネス データ アクション Web パーツ

  • ビジネス データ カタログ フィルタ Web パーツ

最初の 4 つのビジネス データ Web パーツは、SQL Server によって保存されて SQL Server 2005 Reporting Services によって報告されるデータと、ビジネス データ カタログに登録されている基幹業務アプリケーションのプロパティに基づいて、情報を表示するのに使用されます。これらの Web パーツのうち最初の 3 つは、レポート センター サイト内のレポートや、レポートまたはビジネス データを表示するその他のページに追加できます。

ビジネス データ リスト Web パーツでは、ビジネス データが、ビジネス データ カタログ内のビジネス データの 1 つの種類からの複数のアイテムを含む、シンプルなリスト形式で表示されます。その例として、顧客サービス データベースからの顧客リストが挙げられます。そのリストをフィルタ Web パーツに接続して、現在のユーザーまたは関連するビジネス アプリケーションのプロパティの特定の値に基づいて情報を表示することができます。ビジネス データ リスト Web パーツの表示プロパティを、他のリストのビューを編集するのと同様に編集して、プロパティを基準にフィルタ処理したり、Web パーツに表示するアイテムの数を制限することもできます。Web パーツの対象ユーザーを限定して、一部のユーザーだけがその Web パーツを表示できるようにすることもできます。

ビジネス データ詳細 Web パーツでは、顧客データベース内の単一の顧客など、単一のアイテムの詳細が表示されます。

ビジネス データ関連付け Web パーツでは、別のビジネス データの種類のアイテムに関連するアイテムのリストを表示する関連リストが表示されます。その例として、特定の販売部門で働く顧客のリストが挙げられます。関連リストを複数のソース ビジネス データの種類に関連付けて、リストの焦点を絞ることができます。その例として、特定の販売部門の顧客による販売注文のリストが挙げられます。ソース ビジネス データの種類は顧客および販売部門で、リスト内のアイテムは販売注文です。ビジネス データ リスト Web パーツのビューと同様に、ビジネス データ関連付け Web パーツのビューでは、特定の数のリスト アイテムにフィルタまたは制限したり、フィルタ Web パーツに接続したり、特定の対象ユーザーに限定することができます。

ビジネス データ アクション Web パーツでは、リンク内で指定されたアクションに関連付けられているページにシンプルな URL が追加されます。これは、ユーザーが Web ブラウザから直接、ビジネス アプリケーションからの共通のアクションを実行できるようにするために使用します。通常、ビジネス データ アクション Web パーツは、関連するビジネス データ Web パーツと同じページにあるので、ユーザーは情報を表示して、即座にアクションを実行することができます。たとえば、"顧客プロファイルの表示" アクションのビジネス データ アクション Web パーツは、顧客に対する販売を表示する Excel Web Access Web パーツおよび顧客満足度を表示する KPI Web パーツが含まれているダッシュボードにあります。アナリストは、顧客満足度の KPI が低いと判断した場合、その情報を最近の営業レポートに関連付け、ビジネス データ アクションのリンクをクリックして顧客に関する詳細を調べ、顧客満足度を向上させるように連絡することができます。

ビジネス データ カタログ フィルタ Web パーツでは、SQL Server 2005 Reporting Services またはビジネス データ カタログで検出された値に基づいて、ページ上のその他の Web パーツがフィルタ処理されます。通常は、ビューのフィルタ処理を行うためにビジネス データ Web パーツと組み合わせて使用し、このフィルタでは認識された任意のプロパティを使用できます。データのフィルタ処理の詳細については、「ダッシュボードとフィルタを計画する」を参照してください。

専用ビジネス データ Web パーツを計画する

専用ビジネス データ Web パーツには、以下が含まれます。

  • IView Web パーツ (SAP)

  • WSRP (Web Services for Remote Portlets) 消費者 Web Part

IView および WSRP 消費者 Web パーツでは、SAP および WSRP ポートレットからのデータの表示がそれぞれサポートされています。組織で SAP またはリモート ポートレットを使用している場合は、これらの Web パーツを使用すると、これらの Web パーツを Web パーツ ページに統合して、サイトごとに異なる Web ベース ビューでビジネス データを表示する代わりに、すべてのビジネス データを単一のビューに表示できます。

IView Web パーツを使用するには、以下の手順を実行する必要があります。

  1. サイトで SAP を構成します。

  2. Web パーツの SAP サーバーおよび IView を選択します。

  3. SAP サーバーと IView の両方が、サイト上で信頼されていることを確認します。

WSRP 消費者 Web パーツを使用するには、以下の手順を実行する必要があります。

  1. サイトで WSRP 作成者を構成します。

  2. Web パーツのポートレット サーバーおよびポートレットを選択します。

  3. ポートレット サーバーとポートレットの両方が、サイト上で信頼されていることを確認します。

KPI Web パーツを計画する

KPI Web パーツでは、ビジネス データが、主要ビジネス プロセスの現在のステータスを示すグラフィカル インジケータと共に表示されます。たとえば、KPI は信号機のアイコンを使用して、顧客満足度が目標値を上回っているのか、一致しているのか、または下回っているのかを示すことができます。組織全体における満足度のプラス評価の割合を計算して、顧客満足度があらかじめ設定されている目標を上回っている場合、顧客満足度の KPI は緑色の信号機のアイコンで表示されます。顧客満足度が最低目標を下回っている場合、顧客満足度の KPI は赤色の信号機のアイコンで表示されます。それ以外の場合は、黄色の信号機のアイコンで表示されます。

KPI リスト Web パーツ内の各 KPI および各 KPI 詳細 Web パーツ内の単一の KPI は、データ ソースからの単一の値に基づいて (単一のプロパティから、または選択したデータ全体で平均または合計を計算して) 評価されます。データがリスト形式で表示される代わりに、データの範囲全体で計算されるので、グループまたはプロジェクト全体におけるパフォーマンスを計測する場合により便利です。一方、特定のユーザーに関するデータの範囲を計算すると (一従業員に関する売り上げのリストなど)、KPI で個人のパフォーマンスを評価することもできます。

2 つの KPI Web パーツに、個別に計算された KPI のリスト、または単一の KPI に関する詳細が表示されます。KPI Web パーツを接続して Web パーツをフィルタ処理して、特定のプロパティまたはユーザーを基準にして各 KPI をフィルタ処理することができます。KPI リストのデータ ソースには以下が含まれます。

  • SharePoint リスト   データは、ビジネス データ カタログまたは SQL Server 2005 からのビジネス データが含まれている SharePoint リストから取り込まれます。

  • Excel ワークブック   データは Excel ワークブックから取り込まれます。

  • SQL Server 2005 Analysis Services   データは、データベース ストア (キューブとも呼ばれます) から、データ接続ライブラリ内の接続のために取り込まれます。

  • 手動で入力された情報   データは、元になるデータ ソースに基づく代わりに、静的なリストから取り込まれます。これは、展開前のテストに使用したり、通常のデータ ソースは使用できないがパフォーマンス インジケータを表示したいという場合に使用するもので、通常はあまり使用されません。

KPI リスト Web パーツをページに追加する場合は、KPI を含む KPI リストへのリンクを指定する必要があります。KPI リスト Web パーツには、各 KPI の詳細へのリンクを含めることができます。KPI のリンクをクリックすると、追加情報が含まれた、カスタマイズ可能な詳細 Web ページが表示されます。SharePoint リストに基づく KPI リスト Web パーツのビューは、他のリストのビューと同様に、制限したり、フィルタ処理することができます。

KPI 詳細 Web パーツでは、KPI リスト内の単一のアイテムについて、パフォーマンス インジケータが表示されます。

KPI Web パーツの計画の詳細については、「主要業績評価指標を計画する」を参照してください。

Excel Web Access Web パーツを計画する

Excel Web Access Web パーツは、個人用サイトおよび個人用設定サイトで使用できます。Excel Web Access Web パーツは、Excel Calculation Services を使用して、Web パーツ内で直接特定のワークシートから情報を提供するために使用されます。また、元になるワークシートまたはデータ ソースに影響を与えずに、Web ブラウザで分析することができます。適切なアクセス許可を持つユーザーは、この Web パーツから直接 Microsoft Office Excel 2007 ウィンドウを起動して、ワークシートを編集することができます。Excel Web Access Web パーツは、SQL Server 2005 Analysis Services からのデータの分析を行う場合にも使用できます。

SQL Server 2005 Analysis Services Web パーツを計画する

SQL Server 2005 Analysis Services Web パーツは、個人用サイトおよび個人用設定サイトで使用できます。SQL Server 2005 Analysis Services Web パーツには、SQL Server 2005 Analysis Services から直接データが表示されます。このパーツは、レポートまたは複数レポートの概要ページで使用したり、ビジネス データを使用するその他のサイト (個人用設定サイトなど) で使用することができます。

ビジネス データ Web パーツに接続したフィルタ Web パーツを計画する

ビジネス データ Web パーツの機能の 1 つに、1 つ以上のフィルタ Web パーツを使用して、各 Web パーツ上に表示されたデータをフィルタ処理する機能があります。フィルタは、単一の Web パーツまたはページ上のすべての Web パーツに接続することができます。複数のビジネス データ Web パーツが単一のフィルタに接続している場合、すべてのビジネス データ Web パーツ内のデータを、同じプロパティおよび値を基準にしてフィルタ処理することができます。たとえば、ページ上のすべてのビジネス データ Web パーツのデータを、先月または特定のユーザーでフィルタ処理することができます。そのような複数レポートの概要ページ (ダッシュボードとも呼ばれます) は、組織内のビジネス データを一貫したビューで表示する場合に非常に便利です。

Web パーツの展開を計画する

これらの Web パーツはそれぞれ、サイトに追加して、元になるデータ ソースに接続する必要があります。その接続を確立し、Web パーツにビジネス データを表示したら、Web パーツの周囲のページ (レポートと呼ばれます) を作成するのに使用できます。複数のビジネス データ Web パーツを表示する、複数レポートの概要ページでも使用できます。レポートは、レポート センター サイトまたはその他のレポート サイト内に表示できます。ビジネス データ Web パーツは、個人用設定サイトなどのその他のサイトで使用できます。

サイトの計画により、ビジネス データを使用する、作成する Web パーツを特定することができます。各 Web パーツには特定のプロパティが必要です。サイト上で各 Web パーツを表示するユーザーに最も関連したプロパティを決定します。

一般的にビジネス データ Web パーツを使用するサイトおよびページには、以下が含まれます。

  • レポート センター サイト

  • レポートを使用するその他のサイト

  • サイト コレクションの既定のダッシュボード

  • 個人用設定サイト

初期展開では、これらの各サイトで使用する Web パーツを検討します。ビジネス データ Web パーツは任意のサイトで使用できますが、操作中に作成されるサイトの Web パーツを計画する必要はありません。Web パーツごとに、以下を行います。

  • Web パーツを実装する必要があるアプリケーションおよびビジネス データの種類をリストします。

  • Web パーツを実装する必要があるプロパティをリストして、それらのプロパティを、適切なビジネス アプリケーションおよびビジネス データの種類のビジネス データ プロファイルに含めることができるようにします。

  • 各アプリケーションの各プロパティおよびビジネス データの種類の情報が、インポートして使用できるものであることを確認します。

  • ビジネス データ Web パーツの元になるリストの作成を計画します。

  • 各リストのセキュリティに関する考慮事項を検討し、各リストおよび対応する Web パーツへのアクセス権を付与する SharePoint グループをメモします。

  • Web パーツのビューを制限するか、フィルタ処理するかを決定します。詳細については、「ビジネス データ リストを計画する」を参照してください。

  • Web パーツをフィルタ Web パーツに接続するかどうかを決定します。詳細については、「ダッシュボードとフィルタを計画する」を参照してください。

  • Web パーツを使用するサイトごとに、Web パーツの対象を特定の対象ユーザーに限定するかどうかを決定します。詳細については、「個人用設定 Web パーツを計画する」を参照してください。

  • 機能の不必要な重複を最小限に抑えるために、この Web パーツの目的が、別の Web パーツまたはサイトによって既に達成されているかどうかを検討します。詳細については、「サイトおよびサブサイトを決定する」を参照してください。

Web パーツの計画には時間がかかりますが、実際に展開する前に Web パーツの展開の範囲を把握できるので、初期展開で何が最も重要なのか優先度を付け、優先度の低いサイトおよび Web サイトは後から展開するようにスケジュールすることができます。また、ビジネス データ Web パーツが依存するデータ ソースおよびリストを特定することにより、展開にかかる時間を短縮することができます。

ワークシートでの作業

Microsoft® Office SharePoint® Server 2007 ビジネス データ ワークシート (https://office.microsoft.com/search/redir.aspx?AssetID=AM101583641041) を使用して、ビジネス データとビジネス インテリジェンス Web パーツを記録します。接続した Web パーツ、データ ソース、および Web パーツで使用される SharePoint リストを同じ表に記録します。

サイト作成ワークシート (https://office.microsoft.com/search/redir.aspx?AssetID=AM101591991041) を使用して、サイト コレクション階層で計画された各サイトで使用される Web パーツを記録します。

ワークシート

次のワークシートを使用して、ビジネス データ Web パーツを計画します。

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入手できるすべてのブックの一覧については、「Office SharePoint Server 2007 のダウンロード可能なブック」を参照してください。