UsmtUtils の構文

ここでは、コマンド ライン インターフェイスで使用できる ユーザー状態移行ツール (USMT) 5.0 のユーティリティの構文について説明します。このユーティリティには次の機能があります。

  • 移行の暗号化オプションを決める際に役立ちます。

  • 共有のロックが原因で削除できなくなるハードリンク ストアを削除するために利用できます。

  • 圧縮移行ストア内のカタログ ファイルなどのファイルが破損しているかどうかを調べることができます。

  • 移行先コンピューターにファイルと設定を移行する際に、圧縮移行ストアからファイルを抽出できます。

このトピックの内容

Usmtutils.exe

検証オプション

抽出オプション

Usmtutils.exe

次の表に、USMTutils.exe のコマンド ライン オプションを示します。この表の後には、/verify オプションと /extract オプションに関するコマンド ライン オプションについて詳しく説明します。

UsmtUtils.exe の構文:

usmtutils [/ec | /rd <ストア ディレクトリ> | /verify <ファイル パス> [オプション] | /extract <ファイル パス><移行先パス> [オプション]]

コマンド ライン オプション 説明

/ec

現在のシステムでサポートされる暗号化アルゴリズム (アルゴリズム ID) の一覧を返します。これを移行先コンピューターで使うことで、/encrypt コマンドに組み合わせるアルゴリズムを決めてから、移行元コンピューターで ScanState ツールを実行することができます。

/rd <ストア ディレクトリ>

<ストア ディレクトリ> 引数で指定されたコンピューター上のディレクトリ パスを削除します。このコマンドを使って、共有のロックが原因でコマンド プロンプトを使って削除できないハードリンク移行ストアを削除できます。移行ストアが特定のドライブ上の複数のボリュームにまたがっている場合、すべてのボリュームから削除されます。

例:

usmtutils /rd D:\MyHardLinkStore

/y

/rd オプションと組み合わせると、削除の承認を求めるメッセージが表示されなくなります。/y オプションと /rd オプションを組み合わせて使用すると、USMT によってディレクトリが削除される前に、削除の承認を求めるメッセージが表示されなくなります。

/verify

圧縮移行ストアに損傷がないかどうか、また圧縮移行ストアに破損したファイルやカタログが含まれているかどうかに関する情報が返されます。

/verify と組み合わせて使用する構文とオプションについては、「検証オプション」をご覧ください。

/extract

圧縮された USMT 移行ストアからファイルを復元します。

/extract と組み合わせて使用する構文とオプションについては、「抽出オプション」をご覧ください。

検証オプション

圧縮移行ストアに損傷がないかどうかや、破損したファイルまたはカタログが含まれているかどうかを調べる場合には、/verify オプションを使用します。/verify オプションの使用方法について詳しくは、「圧縮移行ストアの状態を検証する」をご覧ください。

/verify の構文:

usmtutils /verify[:<レポートの種類>] <ファイル パス> [/l:<ログ ファイル>] [/v:VerbosityLevel] [/decrypt [:<アルゴリズム ID>] {/key:<キー文字列> | /keyfile:<ファイル名>}]

コマンド ライン オプション 説明

<レポートの種類>

レポートの対象をすべてのファイル、破損しているファイルのみ、カタログの状態のどれにするかを指定します。

  • Summary: 移行ストア内で正常なファイルの数と壊れているファイルの数を返します。アルゴリズムが指定されていない場合、要約レポートは既定で表示されます。

  • all: 圧縮移行ストア内のすべてのファイルの名前と各ファイルの状態を示す、タブ区切りの一覧を返します。各行に、ファイル名の後にタブ スペースを挟んで、ファイルの状態に応じて "CORRUPTED" または "OK" と記載されます。最後のエントリには、ストアの "CATALOG" が壊れているかどうかが記載されます。カタログ ファイルには、移行ストア内のすべてのファイルのメタデータが含まれます。LoadState ツールで移行ストアを開くには、有効なカタログ ファイルが必要です。カタログ ファイルが破損しておらず、LoadState で移行ストアを開くことができる場合は "OK" を返します。移行ストアが壊れている場合は "CORRUPTED" を返します。

  • failureonly: 圧縮移行ストア内にある壊れているファイルのみの数をタブ区切りの一覧として返します。

  • Catalog: カタログ ファイルの状態のみを返します。

/l: <ログ ファイル パス>

ログ ファイルの場所と名前を指定します。

/v: <詳細レベル>

(Verbosity)

UsmtUtils ログ ファイルで詳細な出力を有効にします。既定値は 0 です。

詳細レベルは次のいずれかのレベルに設定できます。

 

レベル 説明

0

既定のエラーと警告のみが有効になります。

1

詳しい出力を有効にします。

4

エラーと状態の出力を有効にします。

5

詳しい出力と状態の出力を有効にします。

8

デバッガーへのエラー出力を有効にします。

9

デバッガーへの詳しい出力を有効にします。

12

デバッガーへのエラーと状態の出力を有効にします。

13

詳しい出力、状態の出力、デバッガー出力を有効にします。

/decrypt: <アルゴリズム ID> /key:<キー文字列>

または

/decrypt: <アルゴリズム ID> /key:<"キー文字列">

または

/decrypt: <アルゴリズム ID> /keyfile:<ファイル名>

ScanState ツールで移行ストアを作成する際に /encrypt オプションが使用されたことを指定します。移行ストアの暗号化を解除するには、次のようにして /key オプションまたは /keyfile オプションを指定します。

  • <アルゴリズム ID> には、ScanState コマンド ラインで移行ストアを作成する際に使われた暗号化アルゴリズムを指定します。暗号化アルゴリズムが指定されていない場合、ScanState と UsmtUtils では既定で 3DES 暗号化アルゴリズムが使用されます。

    <アルゴリズム ID> の有効な値は、AES_128、AES_192、AES_256、3DES、3DES_112 です。

  • /key: <キー文字列> には、暗号化キーを指定します。<キー文字列> にスペースが含まれる場合は、引数を引用符で囲む必要があります。

  • /keyfile: <ファイル名> には、暗号化キーを格納したテキスト ファイル (.txt) の場所と名前を指定します。

サポートされる暗号化アルゴリズムについて詳しくは、「移行ストアの暗号化」をご覧ください。

次に、/verify コマンドの例を示します。

  • usmtutils /verify D:\MyMigrationStore\store.mig

  • usmtutils /verify:catalog D:\MyMigrationStore\store.mig

  • usmtutils /verify:all D:\MyMigrationStore\store.mig /decrypt /l:D:\UsmtUtilsLog.txt

  • usmtutils /verify:failureonly D:\MyMigrationStore\store.mig /decrypt:AES_192 /keyfile:D:\encryptionKey.txt

抽出オプション

圧縮 USMT 移行ストアのファイルが LoadState を使用しても正常に復元されない場合、/extract オプションを使ってファイルを復元します。/extract オプションの使用方法について詳しくは、「圧縮された USMT 移行ストアからのファイルの抽出」をご覧ください。

/extract の構文:

/extract <ファイル パス><移行先パス> [/i:<対象に含めるパターン>] [/e: <対象から除外するパターン>] [/l: <ログ ファイル>] [/v: <詳細レベル>] [/decrypt[:<アルゴリズム ID>] {key: <キー文字列> | /keyfile: <ファイル名>}] [/o]

コマンド ライン オプション 説明

<ファイル パス>

USMT 移行ストアへのパスです。

例:

D:\MyMigrationStore\USMT\store.mig

<移行先パス>

個々のファイルが置かれるフォルダーへのパスです。

/i:<対象に含めるパターン>

抽出対象に含めるファイルのパターンを指定します。複数のパターンを指定できます。複数のパターンを指定する場合は、コンマまたはセミコロンで区切ります。1 つのコマンドの中で、/i: <対象に含めるパターン> オプションと /e: <対象から除外するパターン> オプションを同時に使うことができます。対象に含めるパターンと対象から除外するパターンの両方をコマンド ラインで指定した場合、対象に含めるパターンが、除外するパターンよりも優先されます。

/e:<対象から除外するパターン>

抽出対象から除外するファイルのパターンを指定します。複数のパターンを指定できます。複数のパターンを指定する場合は、コンマまたはセミコロンで区切ります。1 つのコマンドの中で、/i: <対象に含めるパターン> オプションと /e: <対象から除外するパターン> オプションを同時に使うことができます。対象に含めるパターンと対象から除外するパターンの両方をコマンド ラインで指定した場合、対象に含めるパターンが、除外するパターンよりも優先されます。

/l:<ログ ファイル パス>

ログ ファイルの場所と名前を指定します。

/v: <詳細レベル>

(Verbosity)

UsmtUtils ログ ファイルで詳細な出力を有効にします。既定値は 0 です。

詳細レベルは次のいずれかのレベルに設定できます。

 

レベル 説明

0

既定のエラーと警告のみが有効になります。

1

詳しい出力を有効にします。

4

エラーと状態の出力を有効にします。

5

詳しい出力と状態の出力を有効にします。

8

デバッガーへのエラー出力を有効にします。

9

デバッガーへの詳しい出力を有効にします。

12

デバッガーへのエラーと状態の出力を有効にします。

13

詳しい出力、状態の出力、デバッガー出力を有効にします。

/decrypt: <アルゴリズム ID> /key:<キー文字列>

または

/decrypt: <アルゴリズム ID> /key:<"キー文字列">

または

/decrypt: <アルゴリズム ID> /keyfile:<ファイル名>

ScanState ツールで移行ストアを作成する際に /encrypt オプションが使用されたことを指定します。移行ストアの暗号化を解除するには、次のように、/key オプションまたは /keyfile オプションも指定します。

  • <アルゴリズム ID> には、ScanState コマンド ラインで移行ストアを作成する際に使われた暗号化アルゴリズムを指定します。暗号化アルゴリズムが指定されていない場合、ScanState と UsmtUtils では既定で 3DES 暗号化アルゴリズムが使用されます。

    <アルゴリズム ID> の有効な値は、AES_128、AES_192、AES_256、3DES、3DES_112 です。

  • /key: <キー文字列> には、暗号化キーを指定します。<キー文字列> にスペースが含まれる場合は、引数を引用符で囲む必要があります。

  • /keyfile:<ファイル名> では、暗号化キーを含むテキスト (.txt) ファイルを指定します。

サポートされる暗号化アルゴリズムについて詳しくは、「移行ストアの暗号化」をご覧ください。

/o

既にある出力ファイルを上書きします。

次に、/extract コマンドの例を示します。

  • usmtutils /extract D:\MyMigrationStore\USMT\store.mig C:\ExtractedStore

  • usmtutils /extract D:\MyMigrationStore\USMT\store.mig /i:"*.txt, *.pdf" C:\ExtractedStore /decrypt /keyfile:D:\encryptionKey.txt

  • usmtutils /extract D:\MyMigrationStore\USMT\store.mig /e:*.exe C:\ExtractedStore /decrypt:AES_128 /key:password /l:C:\usmtlog.txt

  • usmtutils /extract D:\MyMigrationStore\USMT\store.mig /i:myProject.* /e:*.exe C:\ExtractedStore /o

関連項目

他のリソース

ユーザー状態移行ツール (User State Migration Tool) のコマンド ライン構文
リターン コード