Azure Support における Premier Field Engineer (PFE) のご紹介
初めまして!PFE の乃村です。まず初めに次の動画を見てみてください。
https://www.facebook.com/microsoftjp/videos/270115743118250/
いきなり某海外ドラマのパロディの様な動画でしたが、こちらは PFE の紹介動画でした。
ということで、今回はサポートチームのブログをお借りして、 Azure を使っている・これから使っていきたいんだけどどういうサポートがあるの?、Microsoft のプロアクティブサポートってどういうことをしているの?というのを知りたい方のために、Premier Field Engineer(PFE) の紹介をさせて頂きます。
※ちなみに、この動画の様に緊急オンサイトによる問題解決を支援することもありますが、後述するプロアクティブサポート支援の実施に伴い、その割合はかなり減ってきています。
プロアクティブサポートとは?
運用やサポートの一般的な概念として、リアクティブとプロアクティブ というキーワードがあります。
恐らく、皆さんが "サポート" と言われるとまず思い浮かべるのは リアクティブサポートではないでしょうか。IT 分野以外でも、テレビが壊れた!スマホを落としてしまった!という時に、購入店のサポートを使って修理をしてもらう、という経験をされたことがあると思います。このように、何か問題が発生した、という状態を正しい状態に直す対応を リアクティブサポートと言います。
一方で、プロアクティブサポートは、先手を打っておく対応です。家電であれば、週に一度お手入れをしたり、フィルターを交換したり、定期的なメンテナンスを行うと思います。また最近では、スマートフォンの使い方を教えてくれるキャリアもありますね。そういった "導入の支援をする・未然に問題を防ぐ" サポートのことをプロアクティブサポートと言います。
ちなみに、一般的にどういうことをしてくれるとプロアクティブなのか、というのを少し調べてみましたが、これはその企業や組織で位置付けが異なるため、一般的にこれをしているからプロアクティブサポートだ、ということがあまり明確になっていないのが現状の様です。
数年前に Google さんが Customer Reliability Engineering(CRE) というロールを提唱し話題になりましたが、CRE もプロアクティブサポートの一種 (もしくは派生形) と考えられます。
その後日本の特に自社サービスを展開している Web 系の企業で CRE というロールを新たに設けられるケースを見かけますが、プリセールスやアプリケーション改善のためのツール開発、ドキュメントの作成も CRE の担当範囲と定義している組織もありました。
Azure(Microsoft) のプロアクティブサポート
では、Azure のプロアクティブサポートではどのようなサポートをしてくれるのでしょうか。
その前に、Azure のサポートにどのようなものがあるのか見てみたいと思います。
Azure のサポート プランの比較 | Microsoft Azure
https://azure.microsoft.com/ja-jp/support/plans/
こちらは、Azure のサポートプランのページです。サポートの対応時間や重要度に応じでいくつかのプランがあります。
この中で、最上位のサポートである、Premier サポートというプランの中で プロアクティブサポートが提供されます。もちろん、リアクティブサポートも Premier サポートの一つのサービスとして提供されます。
Microsoft のプロアクティブサポートとリアクティブサポート の関係の図
Premier サポート の説明はこちらにあります。
Azure サポート—Premier | Microsoft Azure
https://azure.microsoft.com/ja-jp/support/plans/premier/
上記のページにあるように、Premier サポートでは、以下のようなシナリオに対して、プロアクティブサポート を活用することができます。
- 移行
- デプロイ
- 開発
- 最適化
- 設計と実装
- パフォーマンスチューニング
では例えば、オンプレミスから Azure IaaS へのサーバー移行では具体的にどのようなプロアクティブサポートがあるのでしょうか?
一口に移行と言っても様々な作業があるためケースバイケースですが、以下のようなことを行うことがあります。
- トレーニング
お客様が Azure の基本や、使いたい Azure サービスのことをよくご存知でなければ、トレーニングを開催します。 - アセスメント
どの様なサーバーがあって何台あるのかがわからない場合は現環境のアセスメントを受けて頂いて環境の把握を行います。 - 移行作業支援
お客様が作成された手順のレビューやアーキテクチャレビューを行います。 - 運用支援
導入後に出てくる課題の整理や問題解決を行います。
このように、設計から運用までプロアクティブサポートの範囲は多岐にわたり、それを対応する専門のエンジニアが Premier Field Engineer (PFE) です。
PFE の支援方法
先ほどの移行プロジェクトの様な支援は、多くの場合、一人のエンジニアを専任でアサインする Designated Support Engineering (DSE) という体制で行います。
このような DSE を含め、PFE はおもに次の様な方法で支援を行います。
- ワンショットでのご支援
例えば、Azure の仮想ネットワークの構成をレビューしてほしい、監視の仕組みについてディスカッションしたい、と言ったスポットでの対応を行います。ワークショップもこの位置づけで行います。 - 年間やプロジェクトを通したご支援(DSE)
お客様の運用環境の改善やサービスの活用をサポートの立場からご支援します。前の章で紹介したような移行プロジェクトの様なある程度の規模の場合はこちらを選択されることがあります。
規模によっては、複数のエンジニアで対応することがあります。 - 緊急時における対応
お客様や製品担当サポートエンジニアからの要請により、オンサイトをした方が調査が加速すると判断された場合にスポットで対応することがあります。
PFE の支援方法の図
このように、お客様のプロジェクトの規模や、期限、緊急度に応じて柔軟に対応ができるのも PFE による支援のメリットです。
PFE に関する FAQ
Q1. Azure のプラットフォーム以外のことも支援してくれるの?
A1. Azure 上の Microsoft 製品に関してはもちろん、オンプレミス環境への対応も可能です。
クラウド利用においては、クラウドプラットフォームのことだけではなく、そのクラウドの上でどの様な OS を動かすのか、どのようなアプリケーションを動かすのか、が重要になってきます。
Microsoft の場合は Windows OS を含めた、アプリケーションの実行環境やデータベースも提供しているため、Azure から各製品まで、ワンストップでの支援が可能です。
また、特にエンタープライズでは、オンプレミス環境とのハイブリッド構成を行うことがよくありますが、オンプレミスにある仮想基盤や認証基盤との連携等、複雑な構成になりがちです。そういった環境でも Premier サポートではクラウド・オンプレミス関係なく支援が可能です。
※対象製品が複数に渡る場合、それぞれを担当する複数のエンジニアで対応することがあります。
Q2. Linux OS 等 Microsoft 製品以外の支援はしてくれるの?
A2. 可能な限りのことは行います。
Azure は Windows OS や Microsoft の製品だけが提供されているわけではなく、サードパーティー製品を含めると様々な製品を利用することができます。どこまでの範囲をどの程度というのはケースバイケースですが、Microsoft 製品を使っていないから一切関与しない、といったスタンスではありません。
※基本的にサードパーティー製品のサポートは、サードパーティーベンダーへお問い合わせ頂ける体制を取っていただく必要はあります。
Q3. PFE が設計書を書いたりお客様の環境構築を代わりにやることはあるの?
A3. 基本的にありません。
PFE はあくまでもサポートの立場からご支援を行うエンジニアです。従って、お客様に代わって設計書を書いたり、環境構築をしたりすることはありません。ただし、設計書・手順のレビューやサンプルコードの提供、実環境のアセスメントの結果から実装のご支援をすることがあります。
Q4. サポート対応を PFE 一人で全部できるの?
A4. TAM や製品担当サポートエンジニア、時には営業担当と連携して、チームで対応します。
技術的な対応についてはもちろん PFE が担当しますが、お客様との調整や契約ごとについては、Technical Account Manager(TAM)が担当します。また、リアクティブな対応や実装レベルの動作確認については、製品担当サポートエンジニアと連携し、問題解決の交通整理や情報採取のヘルプを行います。PFE 一人で全ての対応をするわけではなく、協力して進めていきます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
"クラウドサポート" と聞くと、何かトラブルがあったときに解決をしてくれる "製品担当サポートエンジニア" が思い浮かんでくるかと思いますが、これまでご紹介した様な活動をするサポート エンジニアがいるということを少しでも知っていただけましたら幸いです。また機会がありましたら是非ご活用ください。
最後までお読み頂きありがとうございました。