構造ナビゲーション、CQWP によるパフォーマンス劣化について
以下の公開情報でご案内しておりますように、SharePoint Online で構造ナビゲーション、コンテンツ クエリ Web パーツ (以下、CQWP と略します) を利用するとデータベースに負荷が生じ、サイト アクセス時にパフォーマンス劣化が生じる場合がございます。
タイトル : SharePoint Online のパフォーマンス チューニングについて
アドレス : https://blogs.technet.microsoft.com/sharepoint_support/2018/06/25/spo-performance-tuning/
構造ナビゲーション、CQWP を以前からご利用されており、特に設定変更や運用の変更などを実施していないにも関わらず、突然パフォーマンスが劣化することについての疑問を頻繁にお問い合わせいただくため、以下に考えられる要因をご紹介いたします。
なお、上述の公開情報に記載のとおり、構造ナビゲーション、CQWP を利用することによってパフォーマンスが劣化する場合、データセンター側でのサーバーのリソース増強などによる対応は効果的ではありません。
よりパフォーマンスに優れる代替機能への置き換えや、パフォーマンスのチューニングが有効な対処となりますので、構造ナビゲーション、CQWP をご利用されている場合は上述の公開情報を参考にお早めに対処をご検討ください。
パフォーマンス劣化が生じる要因について
構造ナビゲーション、CQWP は負荷の大きなクエリがデータベースに対して実行されるため、データベースのリソースを消費し、データベースからの応答が遅延することでパフォーマンスが劣化します。
SharePoint Online は単一のデータベースに複数のサイト コレクションの情報や、テナントの規模によっては OneDrive for Business の情報も保持されるため、当該機能によるパフォーマンス劣化の影響範囲としては、最大でテナント全体となります。
SharePoint Online はデータセンター側で継続して動作が追加/更新されており、また SaaS 型の共有サービスのため、他のテナントとサーバーやデータベースも共有しております。
突然発生したパフォーマンスの劣化は、主にこの様な要因が影響しており、以下に考えられる具体的なシナリオをご案内いたします。
1. フロントエンドサーバーの増加、キャッシュの廃止
SharePoint Online は利用者が継続して増加しており、現在多くのフロントエンドサーバーが稼働している状況となります。
構造ナビゲーションや CQWP は従来よりデータベースへの負荷が大きな機能となるため、フロントエンド サーバーのキャッシュを利用することでパフォーマンスを維持しておりました。
しかしながら、利用者の増加に伴いフロントエンド サーバーの数が増えることにより、キャッシュ ヒット率が極めて小さくなりました。
キャッシュにヒットしない場合はデータベースへ接続する動作となるため、SharePoint Online の利用者の増加と共にデータベースへの負荷がより生じやすい状況 (パフォーマンス劣化が生じやすい) となりました。
フロントエンドサーバーのキャッシュは非効率にメモリを消費するだけとなり、現時点においては構造ナビゲーションや CQWP でのキャッシュ利用は廃止されております。
2. データベースが保持する情報の増加
運用を継続すると共に、データベースが保持する情報は増加することが想定されます。
また、上述の通りデータベースは複数のテナントで共有されているため、自社テナント以外が要因でデータが増えることも想定されます。
データベースが保持する情報が増えると、同じクエリでもクエリ対象のデータが増加し、一般的に負荷は増加します。
データベースが保持する情報の増加による負荷の増加は、その他の機能においては通常は影響が生じない程度となりますが、データベースへの負荷が大きい構造ナビゲーションや CQWP はより影響を受け、パフォーマンス劣化が生じる可能性があります。
3. バックエンドの処理の変更
SharePoint Online はバックエンドで様々な処理やメンテナンス タスクが動作しており、これらも継続して機能が追加、更新されています。
バックエンドの処理もテナントが利用するデータベースにアクセスするため、これらの追加、更新によって以前よりもデータベースのリソース消費量が以前より相対的に大きくなる場合があります。
一般的なご利用においては影響が生じないようにバックエンドの処理も設計されておりますが、データベースへの負荷が大きい構造ナビゲーションや CQWP はより影響を受ける可能性があります。
今回の投稿は以上です。
本情報の内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。