Windows 10 Hyper-V 上の仮想マシンにおいて、動的メモリを無効にしているにも関わらず、動的メモリのサポート OS のバージョン不一致のエラーが記録される
こんにちは。Windows プラットフォーム サポートの野村です。
今回は、Windows 10 Hyper-V 上の仮想マシンの設定で [動的メモリを有効にする] にチェックを入れていないにも関わらず、Windows 10 上の仮想マシンにて、起動時に以下のイベントが記録される事象についてご紹介いたします。
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ソース:dmvsc
ID:2
レベル:エラー
説明:動的メモリドライバーでエラーが発生しました。このバージョンの windows では、この機能はサポートされていません。
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上述のソース dmvsc、ID: 2 のイベントは、動的メモリをサポートしていないバージョンのゲスト OS 上にて、動的メモリを実装しているドライバーの dmvsc.sys の読み込みに失敗した場合のみに記録されます。その他のタイミングでは記録されません。
※ 予期せぬエラーで失敗した場合にはソース dmvsc、ID: 1 が記録されます。
Windows Server 2012 R2 以前のバージョンの Hyper-V ホスト OS 上では、動的メモリを無効にしていれば、ゲスト OS において本イベントは記録されません。
Windows 10 上の仮想マシンにおいて本イベントが記録される原因は、Windows 10 Hyper-V の新機能 (runtime memory resize) にあります。この機能により、Windows 10 Hyper-V 上では RAM を仮想マシンが起動中においても変更できるようになりました。
この機能 (runtime memory resize) は、仮想マシンの動的メモリと同様に、動的メモリを実装しているドライバーである dmvsc.sys を使用します。この機能は、動的メモリを無効にしても動作いたします。そのため、Windows 10 上の仮想マシンでは、動的メモリを無効にしても本ドライバーが読み込まれます。従いまして、仮想マシンの起動時に、動的メモリをサポートしていないゲスト OS 上にて dmvsc.sys の読み込みに失敗するため、ソース : dmvsc、ID: 2 のイベントが記録されます。
本イベントが動的メモリをサポートしていない仮想マシン上で記録されることは、想定された動作であり、不具合ではございません。なお、これは無視可能なイベントですので、管理上無視するか、監視対象から外す等の対応を検討していただきますようお願いいたします。
なお、動的メモリをサポートしているゲスト OS 一覧は以下のようになります。
- サーバー OS
・Windows Server 2012 R2
・Windows Server 2012
・Windows Server 2008 R2 (※) : Standard, Web, Enterprise および Datacenter
・Windows Server 2008 SP2 : Standard, Web, Enterprise および Datacenter
・Windows Server 2003 R2 SP2 以降 : Standard, Web, Enterprise および Datacenter
・Windows Server 2003 SP2 以降 : Standard, Web, Enterprise および Datacenter
(※) Standard、Web Edition については Windows Server 2008 R2 SP1 以上
- クライアント OS
・Windows 10
・Windows 8.1
・Windows 8
・Windows 7 : Enterprise および Ultimate
・Windows Vista SP1 : Enterprise および Ultimate
<参考情報>
- Hyper-V の動的メモリ構成ガイド
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff817651(v=ws.10).aspx
- When to use Hyper-V Dynamic Memory versus Runtime Memory Resize
- Hot Memory Resize with Windows 10
https://blogs.msdn.com/b/virtual_pc_guy/archive/2015/02/04/hot-memory-resize-with-windows-10.aspx