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使いたい言語を使う

Windows 2000 以降、Windows には多言語ユーザー インターフェイス (MUI) が導入され、ユーザーは Windows PC に表示言語を追加インストールして切り替えることができるようになっています。ところが大部分のユーザーは、Windows PC を最初に起動したときに表示された言語をそのまま使い続けています。Windows 8 では、表示言語のエクスペリエンスを刷新し、Windows ユーザーならだれでも追加の表示言語を利用できるようにするべく取り組んでいます。ユーザーは、追加言語を簡単に見つけてインストールし、自由に切り替えて使えるようになります。このブログ記事では、これを実現するために Windows に加えられた変更点についてお話しします。

2 月 21 日はユネスコの国際母語デーです。今年のテーマは "母語教授と包括的教育" です。私たちは、皆さんがご希望の言語で Windows を使えるようにすることが、この目的に貢献する 1 つの方法だと考えています。国際母語デーの詳細については、ユネスコのサイト (英語) を参照してください。

この投稿を執筆した Ian Hamilton は、Windows インターナショナル チームに所属するプログラム マネージャーです。
--Steven


Windows 8 では、言語に関する私たちの認識を改め、"ローカル市場向けの機能" から "だれでもどこでも利用できる機能" として考え、どの Windows 8 PC からでも任意の言語で作業できるようにすることを重視して開発を進めています。Windows に表示されたテキストをユーザーが読めなければ、Windows の能力を最大限に活用してもらうことはできません。Windows 8 では、強力で使いやすい言語機能を今までよりも多くのユーザーにお届けできると確信しています。

一部の国では、さまざまな言語がプレインストールされた PC を購入することができます。Windows 8 では、このようなプレインストールされた言語に加えて、追加の表示言語をユーザーがインストールできるようになります。つまり、購入する PC のモデルを決定するにあたって、PC の言語が大きな問題になることはなくなります。気に入った PC に必要な言語がプレインストールされていなくても、自分でインストールできるのです。

家庭によっては、追加の表示言語をインストールできるだけでなく、複数の言語を切り替えて使いたい場合もあります。わかりやすく説明するために、米国の例を見てみましょう (私たちはこれまで、米国については世界の他の地域ほど言語の問題に注意を払ってきませんでした)。2009 年度の国勢調査データ (英語) によれば、アメリカ人の 80% が自宅で英語を話しています。つまり、他の 20% は英語以外の言語を話しているということです。そのうち、35,468,501 人 (全体の 12.41%) は自宅でスペイン語を話しています。これは驚くほどのことではありません。米国で販売されている PC の一部には、英語とスペイン語がプレインストールされています。これらの PC では、ユーザーはどちらか一方の言語を選ぶことになり、選択されなかった言語は初回の起動後にハード ドライブから削除されます。フィードバックによると、ユーザーはスペイン語の PC を歓迎していますが、本当に必要とされていたのは、スペイン語と英語の両方を切り替えて使用できる機能だということがわかりました。この結果は、その後実施された外部企業による調査からも確認されました。多くの場合、おとなは自宅でスペイン語を話し、子供は英語を話すということでした。おとな用にはスペイン語のユーザー アカウントを、子供用には英語のユーザー アカウントを作成できたら、このようなユーザーに喜んでもらえるに違いありません。せめて、1 つのアカウントの表示言語を英語とスペイン語の間で切り替えられるだけでも役に立つでしょう。

新しく簡単になった言語の入手方法

Windows 8 では、Windows のすべての表示言語を 1 か所で参照できる場所として、コントロール パネルに [言語] の設定セクションが新たに追加されます。今までの Windows では、一部の言語は Windows Update で提供され、他の言語は Microsoft ダウンロード センターで提供されていました。

言語がそのように 2 つのグループに分けられていたり、それぞれの配布方法が違っていたりする理由は、ユーザーにとっては理解しがたいものでした。もちろん、ユーザーが悪いわけではありません。このように言語を分類することは、私たち内部チームにしか意味を成さないものだったのです。このわかりにくさを解消したいという気持ちが、コントロール パネルの [言語] の設定を刷新する大きな動機となりました。今後、これらの違いについてユーザーに理解を求めることはありません。エンド ツー エンドのエクスペリエンスを考慮して、新しい言語の導入方法全体を新しく作り直すことになりました。Windows 8 での画面は次のようになります。

ダイアログの見出し: [言語の設定の変更] / リンク: [言語の追加] / 言語の一覧には "英語 (米国)" だけが表示されている

コントロール パネルの [言語] の設定

[言語] の設定のメイン ビューには、システムで利用できる言語が表示されます。上のシステムでは、"英語 (米国)" の表示言語がインストールされ、有効になっています。キーボード レイアウトも US です。[言語] の設定では、表示言語、入力言語、その他の機能の追加や変更をすべて 1 か所で行うことができます。これについては、今後のブログ記事でもっと詳しくお話しします。

Windows に別の言語を追加するには、タイルの上にある [言語の追加] リンクをクリックします。すると、次のような一覧が表示されます。

 

[言語の追加] / [検索ボックスを使用して、他の言語を探すことができます。]スクロールできる一覧に多数の言語が表示され、ユーザーはそこから選択できる。

Windows に追加できる言語の一覧

一覧から目的の言語を選択します。このスクリーンショットではヒンディー語を選択しています。この一覧は長いのですが、すばやく検索できるように、フィルターを適用できます。探している言語名の最初の数文字を検索ボックスに入力すると、一覧を絞り込むことができます。この検索フィルターは、タイルに表示されているようなネイティブの名前にも、言語のローカライズ名にも対応しています。

[言語] の設定ページに英語とヒンディー語の 2 つの言語が表示され、それぞれに [オプション] コマンドがある。

ヒンディー語が追加

選択した言語は言語の一覧に追加されますが、表示言語のダウンロードとインストールは、ユーザーの指示があるまで行われません。表示言語として追加するには、[オプション] をクリックします。

[ヒンディー語] / [Windows の表示言語] / [ヒンディー語の言語パックをダウンロードできます] / リンク: [言語パックをダウンロードしてインストールします] / [入力方式] / [ヒンディー語 トラディショナル] / コマンド: [プレビュー] または [削除] / [入力方式の追加]

言語の [オプション] ページには言語パックの状態が表示される

言語パックを利用できる場合は、[言語パックをダウンロードしてインストールします] というリンクが表示されます。

ポップアップ ダイアログに、進行状況バーと [更新プログラムのダウンロードとインストールを実行中です。] というテキストが表示される。

ダウンロードとインストールの実行中は進行状況を確認できる

新しくインストールされた表示言語に切り替えるには、その言語を第一言語にする必要があります。この設定を行うには、次のスクリーンショットにある [この言語を第一言語にします] をクリックします。

ヒンディー語で利用できるコマンド: [この言語を第一言語にします] / [表示言語のアンインストール]

新しい言語をこの PC の第一言語にする

英語とヒンディー語の 2 つの言語が表示され、ヒンディー語が第一言語として選択されている

ヒンディー語をこの PC の第一言語に設定

これで完了しました。とても簡単です。目的の言語を Web サイトで探し回る必要はもうありません。すぐそこに用意されているのです。Windows Vista や Windows 7 Ultimate を現在お使いの方は、Windows Update の UI を見ていただくと、34 ~ 35 個の言語がオプションの更新プログラムとして表示されると思います。Windows 8 ではこれらが表示されなくなり、代わりに、コントロール パネルの [言語] の設定にすべての言語がまとめられます。[言語] の設定は、進化し続ける Windows の表示言語を、わかりやすく統一的に制御できる場所となります。

より多くの言語に対応

Microsoft は、言語サポートにおいても市場をリードし続けます。Windows 8 では 14 の新しい表示言語が追加され、合計で 109 の言語に対応する予定です (参考までに、Windows 7 には 95 の言語が用意されています)。これらの追加言語により、45 億人を超えるユーザーが自分たちのネイティブ言語で Windows を使用できるようになります。

ここで、Windows に表示言語を追加することは、非常に大がかりな作業であるという点を強調しておきます。フォント、ローカライズされたテキスト、そして入力方式をサポートして、200 万語もの語彙を含むユーザー エクスペリエンスを支えなければなりません。200 万という数は、ハリー・ポッター シリーズ全巻に含まれる単語数の約 2 倍に当たります。

また、喜ばしいニュースとして、Windows の表示言語の一覧に英国英語が追加されます。これはもっと以前に対応するべきだったと認めざるを得ません。これまで英国の Windows ユーザーには、米国英語版の Windows で我慢してもらうしかありませんでした。私たちアメリカ人はそれが歓迎されていないことを承知していましたが、それは何の理由にもなりません。このバージョンの Windows は、インド、オーストラリア、南アフリカ、ニュージーランド、アイルランド共和国など、さまざまな地域で広く利用されることと予想しています。

英国英語はスタンドアロン言語としてリリースされます。スタンドアロン言語には、Windows を単独で実行するために必要なユーザー インターフェイス コンポーネントがすべて含まれています。スタンドアロン言語は、OEM で PC のイメージを作成するために使用したり、パッケージ ソフトウェアとして購入したりできます。

英国英語のリリースは、私たちにとって試験的なものでもあります。既存の第一言語コードである ISO 3166-2 EN の下に第二言語を追加することには、いくつかの技術的な難題が伴います (これほど時間がかかったのはそのためです)。たとえば、言語のフォールバック チェーンに注意する必要があります。通常、ローカライズされたリソースが存在しない場合は第二言語にフォールバックし、その後で英語にフォールバックします。ここで英語といえば、今までは米国英語でした。しかし、今後は英国英語もあります。どちらにフォールバックすればよいのでしょうか。今のところは、このようなシナリオへの対応は順調に進んでいます。

さらに私たちは、言語サポートを拡大し、新しい 13 の言語インターフェイス パック (LIP) を追加する予定です。言語インターフェイス パックは、スタンドアロンの Windows の表示言語にかぶせる形でインストールされます。これらのパックは軽量で、最もよく使われる Windows 機能に対応するローカライズされたユーザー インターフェイス要素を含んでいます。提供される新しい言語は、パンジャブ語 (パキスタン)、シンド語 (パキスタン)、中央クルド語 (イラク)、ウイグル語 (中華人民共和国)、ベラルーシ語 (ベラルーシ)、キニヤルワンダ語 (ルワンダ)、ティグリニア語 (エチオピア)、タジク語 (タジキスタン)、ウォロフ語 (セネガル)、キチェ語 (グアテマラ)、スコットランド ゲール語 (英国)、チェロキー語 (米国)、バレンシア語 (スペイン) です。

この言語セットでは、PC の普及が著しく進む新興成長市場で求められているパンジャブ語 (パキスタン)、シンド語 (パキスタン)、中央クルド語 (イラク)、ウイグル語 (中華人民共和国)、ベラルーシ語 (ベラルーシ)、キニヤルワンダ語 (ルワンダ)、ティグリニア語 (エチオピア)、タジク語 (タジキスタン)、ウォロフ語 (セネガル)、キチェ語 (グアテマラ) と、発展途上市場のユーザーの需要が多いチェロキー語 (米国)、スコットランド ゲール語 (英国)、バレンシア語 (スペイン) をカバーしています。

これらのパッケージのインストール方法は完全に同じではありませんが、ユーザーがその違いを理解する必要はありません。コントロール パネルの [言語] 設定を開けば、Windows の新しい表示言語を入手でき、ダウンロードからインストールまでシームレスに完了します。

表示言語は最初の一歩

この投稿の大部分では、Windows の表示言語、つまりコンピューターに表示される Windows ユーザー インターフェイスの言語についてお話ししてきました。私たちは、Windows 8 における言語関連の取り組みとして次の点に力を入れています。

  • Windows PC への追加言語のインストールと切り替えを、これまでよりも多くのユーザーが実行できるようにする。
  • コントロール パネルの [言語] の設定セクションを構築し、すべての表示言語を 1 か所で簡単に管理できるようにする。
  • 1 つのスタンドアロン言語と 13 の言語インターフェイス パック (LIP) を追加して、サポートされる言語リストを大幅に拡大する。

私たちは、これらの改良点が Windows に取り入れられることをたいへん喜ばしく思い、精力的に取り組んでいます。皆さんにも気に入っていただけることを願っています。

表示言語は、Windows 8 における言語関連の取り組み全体のごく一部に過ぎません。今後のブログ記事では、テキスト入力、ロケールのサポート、その他 Windows 8 における重要な取り組みについてご紹介するつもりです。言語関連のトピックで他に詳しくお知りになりたいことがあれば、ぜひお知らせください。

これからもよろしくお願いいたします。

Ian Hamilton

Comments

  • Anonymous
    February 21, 2012
    ユーザーごとに言語を変えられるのは大きなメリットでしょうね。少しでも多くの言語に対応して下さい。あといくつか翻訳の記事が3つほど飛んでいるような気がします。順番はいいのでこちらもよろしくです。8のConsumerPreview版まであと1週間ほどになりましたね。正式版が楽しみになります。
  • Anonymous
    February 23, 2012
    そういう機能あることは知っていましたが、UltimateかEnterprise版でないと表示言語の切り替えができないので、使いたくても使えませんでした20%のユーザーしか使っていないこと嘆くのであれば、すべてのエディションで切り替えられるようにしてほしいです
  • Anonymous
    October 09, 2012
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  • Anonymous
    October 15, 2012
    ボリビアで西語のsystem 7を使っています。今度、帰国して日本語のsustem8を買う予定です。そこで、今度はすべて日本語環境で使いたく思います。すでにインスト-ルしてある日本語のソフトなどは消えないで使えますか。スペイン語のシステムから日本語だけのシステムに変更できますか?よろしく教えて下さい。 oscarpotosi1@gmail.com
  • Anonymous
    October 30, 2012
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