OneNote Class Notebook による指導方法の変革

(この記事は 2015 年 5 月 3 日に Office Blogs に投稿された記事 OneNote Class Notebooks have redefined the instruction at my school の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)

今回は、マンテカ統一学区の教員である Christina Hansen 氏と Kristen Messer 氏の寄稿記事をご紹介します。

10 年以上の間、[OneNote に送る] は印刷用のオプションであり、自分にはまったく関係のない機能だと思っていました。しかしそれは、1 年前に教育委員会がマンテカ統一学区 (MUSD) の「Going Digital 構想」の予算案を承認するまでの話です。この構想は 1 年間かけて学区に 1:1 コンピューティングを導入する取り組みです。MUSD では 1:1 コンピューティングを導入して全生徒にデバイスを貸与するだけにとどまらず、21 世紀において成功するために不可欠なスキルを指導し、大学進学や社会人になるための準備をすることを目標としました。そのためには、教育と学習の関係を変 える必要があります。Going Digital 構想を計画するにあたっては、計画の初期段階から、1:1 コンピューティング導入前の教員の連携、教室での教員と生徒のコミュニケーションに至るまで、OneNote が常に重要な役割を果たしました。

マンテカ統一学区では、生徒に Windows 8.1 デバイスを配付する前の学期に、教員に Surface Pro 2 を配付しました。外見は異なりますが中身は一緒で、どちらも Office 365 ソフトウェア スイートを備えた Windows 8.1 タブレットです。生徒を指導できるようになるには、まず教員がデバイスに慣れる必要があると判断したのです。幼稚園から 12 年生までを担当する 1,200 名の教員の不安を解消し、デジタル環境に効果的に移行できるように、MUSD は技術推進役とデジタル サポート担当者を設けました。MUSD の 30 校から 100 人を超える教員とサポート スタッフを集めて月例ミーティングを行い、それぞれの学校で教員のニーズを満たすために最善の方法を検討しました。その後、このスタッフ メンバーは、各校で推進役および調整役としての役割を果たしました。学区の運営委員会では、このグループ用の OneNote ノートブックを作成し、ミーティング中に議題などを確認できるようにしました。次回のミーティングまでは間が空くため、その間に質問したり、情報を共有し たり、ノートブックのリンクから Excel のアンケートに回答したり、互いの意欲を促進するために使用しています。

間もなく、学区の運営委員会がミーティングで OneNote Staff Notebook を使い始めるようになると、この動きは各校にも広がり、校長が教員ミーティングの議題やメモを共有したり、教員が写真や Web サイト、授業計画を投稿したりするようになりました。

MUSD の教員が OneNote ノートブックを活用し始めるまでに時間はかかりませんでした。科目ごとにセクションを作成して、補足資料、動画、画像のリンクを追加するようになりまし た。かつては、教室の一角に置かれたファイル キャビネットにプリントがびっしりと詰まっていて、新しいプリントをしまうのにも一苦労でしたが、今ではプリントをスキャンして OneNote のデジタル形式に変換し、OneNote ノートブックで手軽に管理することができ、各セクションにページを追加するのも簡単です。

教員による OneNote の活用以外では、OneNote Class Notebook (英語) が OneNote プログラムに大きな革新をもたらしました。

MUSD のグレート バレー小学校に通う 8 年生の 1 日は OneNote Class Notebook を中心に回ります。毎回授業の始めに、生徒がデジタル インクでその週の計画表に記入します。さまざまな色や太さのインクを使用することで、見やすさが向上します。学年全体で色分けのルールが決められていて、 授業で行う作業には青、宿題には赤のインクを使用します。赤で記入した宿題を完了したら、緑色でマークします。これにより、保護者はどの宿題が終わってい てどの宿題がまだ済んでいないかを確認できます。

授業、科目、教員ごとに OneNote Class Notebook が用意され、教員が整理機能やコンテンツをカスタマイズしています。生徒は整理された OneNote システムから、毎日出席する 6 つの授業のノート、PowerPoint プレゼンテーション、参考資料、宿題、評価にアクセスできます。プリントを多用していた時代にはプリントの紛失が多発していましたが、この問題も解消され ます。デジタルのドキュメントは、机に置き忘れたり、かばんの奥に丸めて詰め込んだり、部数が足りなくなったりすることはなく、いつでもワンクリックでア クセスできます。かばんがはちきれそうになることもありません。8 年生の Juanita K. は OneNote Class Notebook に移行したメリットについて「毎日、授業ごとにたくさんの教科書を持ち運ばなくても、デバイスに全部入っているからすごく楽になった」と述べています。欠 席したときは、自宅で個人の Wi-Fi を利用してアクセスし、作業の続きを行うことができます。生徒の提出物には必ず記名されているので、プリントの持ち主がわからないという問題もなくなりま した。

教員にとって、これは非常に大きな変化です。大量のプリントを家に持ち帰る代わりに、Surface Pro 2 を起動するだけでどの授業のノートブックにもアクセスできます。検索バーに名前を入力するだけで、特定の生徒を簡単に見つけることができます。作文を書い ている生徒にフィードバックを返すこともできます。フィードバックは、作文を書き終えた後よりも、書いている途中に行う方がはるかに効果的です。授業での ブレーンストーミングも共同作業用スペースを使用してリアルタイムで記録できます。授業後も議論を続けることができ、その日の欠席者も含めた生徒全員がア クセスできます。

OneNote Class Notebook によって本校の指導方法は一変しました。OneNote プログラム全体を通じて整理スキルを身に付けさせることができます。8 年生のすべての授業では、OneNote を使用してコンテンツを配布したり、知識を示したりしているため、コンテンツ領域と課題の間で期待する事項や手順をシームレスに共有できます。生徒はコン テンツを自動的に表示して作成でき、保護者はリアルタイムの計画表を利用して生徒の学習内容を把握できます。教員は学習プロセス全体を通じて簡単に生徒の 取り組みに関与することが可能になりました。OneNote Class Notebook だけで教育と成長のサイクルが実現されたのです。

メリットは私の受け持つ学年や学校だけにとどまらず、MUSD 全体で教員と生徒が OneNote Class Notebook を活用 (英語) するようになっています。多くの教員が保護者面談に OneNote を利用するようになりました。1 年間の生徒の作品をまとめ、生徒の長所を示すと共に、具体例を基に改善可能な点を指摘できます。高校の化学教員は電子、陽子、中性子の動きを紹介し、生物 の授業では実験レポートに OneNote を使用して生徒が実験中に撮影した写真を挿入したり、デジタル インクで表やグラフを完成させたりできます。歴史の授業では南北戦争の再現映像を視聴し、4 年生の授業ではクラス全体で形容詞のブレーンストーミングを行います。2 年生の授業では、分数の理解度をチェックするために、円の 1/2 や 2/3 を塗りつぶすように指示します。特別支援学級では OneNote を通じて生徒を目立たない形で支援します。また、生徒は OneNote の空白ページとデジタル インクをホワイトボードとして使用して、自分の理解度をすばやくチェックしています。ホワイトボード用のマーカーがかすれたり、指や服にインクが付着した り、ボードを消すための布を選んだりするのはもう過去のことです。教員は、作業を順調に進めている生徒とサポートが必要な生徒をすぐに判別できます。

今後数か月間、Going Digital 構想が軌道に乗ったら、共同作業や創造力の発揮を促す方法、生徒が勉強に積極的かつ有意義に取り組めるような方法、教員が常に整理された状態を保ちつつ意 欲的に指導していけるような方法をさらに模索していく予定です。そうすれば、MUSD の教員や生徒は OneNote にもっと夢中になるだろうという予感がしています。今度 [印刷] をクリックするときは、ぜひ [OneNote に送る] を選択して、教員や生徒の前にどのような可能性が広がるかをご自分の目で確かめてみることをお勧めします。