Share via


Azure Analysis Services と Power BI on SSRS の発表

Microsoft Japan Data Platform Tech Sales Team 伊藤

10 月末に行われた PASS Summit 2016 で Microsoft の BI に関する 2 つの大きな発表がありました。

Azure 上で PaaS として提供される分析用データベースである「Azure Analysis Services プレビュー」 と 「SQL Server Reporting Services 内での Power BI レポート のテクニカル プレビュー」です。今回はこの 2 つの発表についてご紹介します。

ちなみに PASS というのは Microsoft のデータプラットフォームを使用する世界中のデータの専門家をサポートする独立した非営利団体で、PASS Summit は 4000 人以上が技術の習得やネットワーキングなど、キャリアアップのために参加する年次イベントです。マイクロソフト主催のイベントを差し置いて SQL Server 関連の大きな発表がここで行われたりします。

 

Azure Analysis Services プレビュー

10 月 25 日 (日本では日付変わって 10 月 26 日) に待ちに待った Azure Analysis Services のパブリック プレビューが発表されました!これは SQL Server Analysis Services (SSAS) 表形式モード相当を Azure (PaaS) で提供するものです。

Analysis Services は、データソースを隠蔽してユーザーがビジネス用語でデータを扱えるようにし、管理者が適切なアクセス制御を設定して、パフォーマンス良く非定型分析を行うための BI 基盤です。この機能 (ドキュメントなどでは「BI セマンティック モデル」と書かれています) が PaaS で提供されるようになり、エンタープライズ BI 導入のハードルを下げるとともに、Power BI によるセルフサービス BI からの発展がしやすくなりそうです。

※ SQL Server Analysis Services (SSAS) についてはこちらをご覧ください。

 

Azure Analysis Services のポイント

  • PaaS であり、環境構築・スケールアップ / スケールダウン・管理が容易
    (スケールアップ / スケールダウンについては今後できるようになる予定)
  • データソースはオンプレミス / クラウドのいずれにも対応
  • Excel や Power BI をはじめ、主要なデータ可視化ツールをサポート

基本的には SQL Server 2016 Analysis Services 表形式モード (互換性レベル:1200) と同等であり、モデル開発・配置は SQL Server Data Tools, モデル管理は SQL Server Management Studio, インスタンス監視・トレース キャプチャ&再生は SQL Server Profiler というように、SSAS と同じツールを使用します。つまり、今までの SSAS テクノロジーの延長線上にあり、既に行った投資を生かすことができるというわけです。

Azure Analysis Services は Azure Portal からすぐにお試しいただけます。現時点では利用できる場所 (データセンター) は米国中南部と西ヨーロッパだけですが、順次展開されていく、と思われます。

image

 

SQL Server Reporting Services 内での Power BI レポートのテクニカルプレビュー

こちらも同日に発表されました。 Power BI Desktop で作成したレポートを SQL Server Reporting Services で閲覧できるようにする機能であり、「Power BI 良いんだけど、オンプレで使いたいんだよねぇ…」というご要望を実現するであろうものです。Power BI Desktop でレポートを作成して Report Server に保存することで Web ポータル (2016 で「レポート マネージャー」から名前が変わっています) からレポートにアクセスし、そのままブラウザで参照することも、Power BI Desktop で開くこともできるというものです。Power BI Desktop がレポートビルダーと同じような位置づけになるということです。

「テクニカルプレビュー」というのはプレビューよりも軟らかい状態で、仕様は未確定ですし制限事項も多くなっています。まずはテクニカルプレビュー専用のバーチャルマシンが Azure 上で提供されます。この中に必要な製品・機能一式が入っていて、逆に言うとこのバーチャルマシン内にインストールされている Power BI Desktop と SQL Server Reporting Services, データソースは SQL Server Analysis Services (表形式でも多次元でも OK) への直接接続という組み合わせでしか使用できません。また、この Virtual Machine は 2017 年 4 月に失効するという期限付きとなっています。

このバーチャルマシンは Azure Portal で「Power BI」と検索するとヒットする「SQL Server Reporting Services Technical Preview」という名前のものです。こちらもすぐにお試しいただけます。

image

 

このように Microsoft の BI は、サーバーも、クライアントツールも、クラウドも、様々な組み合わせを自由に選択いただけるよう開発されているのが大きな特長です。これからも進化と発展にご注目ください!