Windows 搭載の POS 端末は、最近増えてきたセルフ POS を展示しました。POS 端末の操作をわかりやすくするために人型ロボットがアシストしてくれます。このロボットは、マイクロソフトのクラウドである Microsoft Azure につながっており、その中の Cognitive Services が提供する Face API を活用して顧客の情報 (性別、年代、新規/リピーター) を自動的に入手しています。この情報は、リアルタイムに Power BI という可視化ツールでグラフ化させるので、本部など離れた場所でも顧客の状況が把握できます。
Cognitive Services については、受付横にマイクロソフト ブースにどんなお客様が来ていただいたかをリアルタイムに分析するアロバ様協力のデモも展示していました。こちらは、顔認証だけでなく感情までも分析していたので、お客様の表情までわかるものになっていました。このようにマイクロソフトはデバイスの OS からデータを保存、分析するクラウド、そしてそれを見やすく表示する可視化ツールまで End to End のプラットフォームを提供しています。
その 3「Mixed Reality (複合現実) の世界 HoloLens」
マイクロソフトといえば、次世代のテクノロジ ベースを期待してブースにお越しいただく方も多いのではないでしょうか。そういう方が一番、注目していたのは Microsoft HoloLens です。ブース内セッションでは、ドイツのエレベーター メーカーがエレベーターのメンテナンスをするのに HoloLens を使うことで、熟練者と初心者の作業員が変わらない技量でメンテナンスができる事例 を紹介していました。
その 4「デバイス メーカー必見の Azure Certified for IoT」
もうご存知ない DevWire の読者の方はいらっしゃらないと思いますが、Azure Certified for IoT プログラムは、Microsoft Azure に接続されることを認証するプログラムです。無料で認定デバイスの紹介をマイクロソフトのウェブサイトでの掲載、イベントでの露出などで行いますので、認定しておかない手はありません。認定までのプロセスもとにかく簡単。まだ、ご存知ない方は、こちらを今すぐ Check it out!
その 5「Windows 10 の Creators Update の注目新機能 MA-USB」
MA (Media Agnostic)-USB は、簡単に言えばワイヤレスの USB です。Windows 10 の最新版、Creators Update では、この MA-USB をサポートするようになりました。そこで、MA-USB ソリューションを提供するサイレックス・テクノロジー様にご協力いただき、MA-USB でワイヤレス接続したタッチ パネル ディスプレイと Windows 10 Creators Update PC が遅延なく連携するようすをデモしていました。MA-USB の周辺機器をお考えの方は、サイレックス・テクノロジー様 に問い合わせをしてみてください。
前提にさらに普及してゆくと考えていますので、Windows Storage Server NAS は、注目の製品であることに間違いありません。Windows Storage Server 2016 搭載 NAS の新製品は以下のとおりです。
5 月は Microsoft Build 2017 も開催!
Japan IT Week 春と同日にシアトルでは、開発者向けカンファレンス Microsoft Build 2017 が開催されました。Windows や Azure、Visual Studio などについての最先端のテクノロジや情報が発表されました。Windows 10 の次期アップデート「Fall Creators Update」の正式リリースを予定していることも発表されました。
キーノートの内容は、「Channel 9」で視聴することが出来ます。日本語字幕を付ける事も出来ます。字幕は動画内の CC をクリックすると表示されます。日本語の精度は・・・温かい目でご覧ください。 動画をみる時間のない方はこちらまで
Cognitive Service内容紹介の前に今回の WinHEC のメイン テーマとも言うべき、Cognitive Service について簡単に紹介します。Cognitive Service とは Microsoft Azure でサービスされる画像、映像、会話、言葉、知識、検索といった、人間の自然な行動をサポートしたり、あるいは効率化したりするための Azure 上で動作する Web サービス群です。その多くは現在まだ試験運用中であり、構成する 20 種以上の個別サービスの多くが無償で利用できます。たとえば今回のハンズオンで試用した「Visio API」は、2015 年に「Project Oxford」と呼ばれて試験的に公開されていた画像認識サービスの進化形です。Cognitive Service の一部として API を充実させるとともに、ちょうど開催日の 4 月 19 日に正式リリースされました。Cognitive Service に似た用語として Microsoft Cognitive Toolkit (旧名 CNTK) があります。こちらの Cognitive Toolkit は AI 技術を応用して Deep Learning を実装するためのオープンソースの開発キットです。これはスタンドアロンの PC と Microsoft Azure のどちらでも動作するライブラリとサンプル アプリケーションで構成される、高性能な CPU や GPU を使用して AI アプリケーションを高速処理するためのフレームワークです。Cognitive Service 群の実装の裏方的な役割として使われる場合がありますが、現時点では直接関係がないので注意しましょう。Keynote Session最初にマイクロソフト コーポレーション OEM テクニカル セールス IoT ジェネラル マネージャーのカーソル・コーケン氏が「The Evolution of IoT」と題して、IoT 関連技術の進化と普及について説明しました。マイクロソフトが提供する IoT 技術は次の 4 本の柱を中心に実用化を進めています。●デバイス (Devices)センサー、ゲートウェイ、OS、モバイル端末など●データ転送 (Data Transfer)通信媒体とプロトコル、ネットワーク●クラウド (Cloud Infra.)Microsoft Azure●サービス (Services)クラウドと共に動作するソフトウェア、ツール、アルゴリズムまた特筆すべき点は、今回開催のメイン テーマとも言える Cognitive Service が、すでに東京サマーランドにおいてマーケティング活動のツールとして利用され、成果を上げているという紹介です。システム構成や具体的成果などの詳細は資料に載っているので参照してください。次にマイクロソフト コーポレーション アーキテクトの中原大介氏が「Windows 10 IoT Creators Update 最新情報」と題して、Creators Update (Codename Redstone 2、以降 RS2) の説明がありました。PC 用 Windows 10 RS2 に関する情報は結構出回っていますが、Windows 10 IoT Core は、PC 版とほぼ同じタイミングで Release 版や Insider Preview が公開されているのにもかかわらず、PC 版と比べて機能や仕様が違う面があるため、このセッションは有用です。 詳細は前述の資料に載っていますが、まず Windows 10 RS2 全般で導入された IoT 関連コネクティビティとしては、OCF/Alljoyn 統合により、IoTivity 1.2 と互換性がある UWP の IoTivity SDK のサポートが挙げられます。そのほか Windows 10 IoT Core 関連では次の点が新しいトピックです。●Azure Devices ManagementGateway SDK や Client Library がサポートして Azure IoT Hub と接続して Azure の各種デバイス管理機能が利用できるようになります。特に Azure Device Management client library は GitHub で公開されていて、OS とは独立して組み込むことが可能です。●セキュリティ (Device Guard for IoT)未知の署名や未証明のコードに対して、ホワイトリスト方式のセキュリティ管理機能を導入します。●Cortana現在、英語、フランス語、スペイン語、中国語の 4 言語 7 ロケールだけをサポートしていますが、今後拡張して行きます。日本語は 2017 年末か 2018 年の早々のサポート予定です。●起動管理Windows Update の制御とアプリケーションから指定したリセット機能が利用可能になります。そのほか Windows 10 IoT Enterprise RS2 に関しては、POS デバイスのサポート、Windows Hello の強化、ワイヤレス ディスプレイ サポートの Windows Miracast、バッテリ管理機能強化と GATT サーバーのサポートと非ペアリング型接続といった BLE 関連の機能向上が導入されます。新機能の実装により約 4000 種類の API が追加されました。次に日本マイクロソフト株式会社クラウド ソリューション アーキテクトの後藤仁氏から Azure Cognitive Service を構成する各サービスについてデモを交えながら解説がありました。これらのサービスはいずれも各種の入力データから容易に AI 技術を活用したアクション、または処理結果を得る事ができるものです。サービスは視覚 (画像、映像)、音声 (会話)、言語 (言葉)、知識、検索の 5 つのカテゴリに分けられます。各カテゴリには次のサービスが含まれます。●視覚Computer Vision APIEmotion API (プレビュー)Video Indexer (プレビュー)Face API (プレビュー)Video API (プレビュー)Content ModeratorCustom Vision Service (プレビュー)●会話Custom Speech Service (プレビュー)Bing Speech APISpeaker Recognition API (プレビュー)Translator Speech API●言葉Language Understanding Intelligent Service (プレビュー)Bing Spell Check APIWeb Language Model API (プレビュー)Text Analytics API (プレビュー)Translator Text APILinguistic Analysis API (プレビュー)●知識Recommendations API プレビューAcademic Knowledge APIKnowledge Exploration Service プレビューQnA Maker API プレビューEntity Linking Intelligence Service API プレビューCustom Decision Service プレビュー●検索Bing Autosuggest APIBing Video Search APIBing Image Search APIBing Web Search APIBing News Search APIBing Custom Search各サービスの詳細と API については Cognitive Service のページで確認することができます。これらのすべてのサービスはすべて同様に https の REST API で提供されています。したがって OS やハードウェアには制約がなく、https の Web API を送受信できるデバイスはすべてこれらの Cognitive Service を利用できるわけです。また現在、一部サービスについては Azure からも利用できます。また後藤氏は 2 日目の午前中に、会話の中の意味を読み解く LUIS API を中心とした Cognitive Service 新技術の解説をしました。LUIS は Language Understanding Intelligent Service の略で、Cognitive Service の中でも注目される技術の 1 つです。LUIS は専用のポータル サイトを持ち、そこで API が公開されていて用例集を入力することでプログラムしなくてもカスタマイズすることが可能です。当然ながらこの技術は Cortana で使われている技術を切り出してカスタマイズ可能にしたもので、KIOSK 端末や Robotics などさまざまな分野への応用が考えられます。ホームページには記述されていませんが、日本語にも対応しています。Hands-on Seminar1 日目の午後からは、Cognitive Service を使用したアプリケーションの開発実習を行いました。詳細手順は資料にあります。実習環境は Windows 10 IoT Enterprise で行いましたが、Windows 10 でも動作します。Hands-on で使用するサンプル アプリは講師の中原大介氏が作成した C# ベースの Universal Windows Application です。Hands-on を試すには、最初にサブスクリプション キーを取得する必要があります。現在はマイクロソフト アカウント、または GitHub/LinkedIn アカウントでサインインすることで無償利用できます。資料の 18 ページから利用するための準備手順が詳細に書いてあるので参考にしてください。今回は講師の中原氏のご厚意により、この Hands-on Seminar で使用した UWP サンプル アプリケーションも、前述のセッション資料とともに公開しています。テキストに従って Vision API、Emotion API、Bing Web Search API の各コードを入力することで、利用する機能をアプリケーションに追加できます。このアプリケーションを試す場合には、実行する Windows 10 環境で動作する Web カメラが必要なので注意してください。今後機会があればこの Cognitive Service を使用したアプリケーション開発の注意点なども示したいと思います。まとめ以上で 2 日間の内容を取りまとめて紹介しました。前述のとおり Cognitive Service は Web API で構成されているので、Web アプリケーションの開発経験があれば、比較的容易に試すことができると思います。ぜひ皆さんも試してみてください。
ほっとひと息
「農業でもデジタル トランスフォーメーション」DevWire 編集部 加藤 大輔
今月は、私が気になったニュースを取り上げます。日本マイクロソフトは、慶應義塾大学を代表に産官学が連携して構築する情報連携プラットフォーム「農業データ連携基盤」において、Microsoft Azure を活用した基盤構築を中心に協力すると発表しました。日本の農業人口は、減少し続けています。1965 年頃は約 1150 万人でしたが、2015 年には約 200 万人になったといわれています。また新しく農家を始めた約 70% が生計をたてられないそうです。もっと生産性を上げる必要があるんですね。すでにデータを活用して生産性を上げる取り組みは始まっていますが、そのデータの連携ができていなかったり、いろいろなデータが散在していたり、せっかく集めたデータをうまく活用できていないことが問題になっているそうです。今回の取組みで、公的機関や研究機関が保有するさまざまなデータを集約して、一定のルールで農家個々人のデータの共有が可能になります。ベテランの経験と勘に頼るのではなく、データを活用した生産性向上、気象データなどを活用した作物の安定供給、さらにはベテラン農家の技術継承やこの技術とデータを融合した高品質生産などにより、おいしく安全な作物を収穫でき、もうかる農業を目指すというものです。高齢化や人手不足は、農業に限ったことではないですよね・・・。身近な問題に転換して考えてみると、いろいろと思うところがありますね。改めて、マイクロソフトの企業ミッションを噛みしめる今日この頃です。「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」