IT 業界私的英雄列伝 - 横山 哲也 氏による「Active Directory の正しいとらえ方」講義を聴かずに AD は提案してはいけない

どの業界にも有名人ってのはいるもので、IT 業界も例外ではありません。

会社員でありながら広くメディアに露出し”その筋” の関係者から知られていたり、Twitter や Facebook などでやたらフォロワーが多かったりと、その形態はさまざまです。

IT 関係だと、日経 ITPRO や ITMEDIA などのオンラインメディアで技術解説している人なんてのも、そういう有名人候補の一人です。が、IT 系コラムや IT 業界ウォッチャーに有名人はいても、案外「技術解説」の執筆者は埋もれてしまいがちなんですよね。それも当然で、「技術解説」には色が出しずらいので、読者が執筆者を意識することがあまり無いんですよね。

昔 Nifty Serve というパソコン通信メディアがありました。私も夜11時テレホタイムに突入すると、モデムを起動して電話回線につなぎっぱなしにしたもんです。当然電話回線を占有しますから、家族からはひんしゅくを買うわけです。のちに INS64 が出てきたときは「これがデジタル世界か!」と感動したものですが。

家族からのひんしゅくを買いながらも、なぜにパソ通につなぎたかったか。

それは「情報」が欲しかったからです。情報に飢えていたんです。

当時 IT 系の情報は雑誌や書籍しかありませんでした。「コミュニティ」とか「オフライン」という勉強会みたいな会合に参加すれば、それこそ業界の有名人から直接手ほどきを受けることもできたのだと思いますが、人見知りの私はそんな怖いところに飛び込もうなんて思ったこともありません。

一方、手に入れることができる、”当時の”マイクロソフトのドキュメントは、はっきり言って浅すぎました。ネットサーフィンなんてまだありえませんでしたから、マイクロソフトのサイトからホワイトペーパーを手軽にダウンロードなんてできない時代です。

「やってみたけどわからない。調べたけど情報がない。何とかして知りたい!」という欲求を満たすには「知っている人」に聞くしかなく、知っている人がどこにいるかといえば Nifty Serve の Windows フォーラム 、略して FWIN でした。

ある日のこと、FWIN を巡回していると、なんかやたらキレている人がいるんです。

お会いしたことのない人だけど、とにかくキレまくっていることが容易に察せる文章でした。

その方のハンドルネームは cano さん。このフォーラムでたびたび見かけるお名前です。

彼の投稿は、かならず「cano です」から始まります。

当時、私はそれを「カノ」と読むものばかり思っていましたが、のちに「キャノ」だと知りました。

cano さんの知識の広さと深さはとてつもないものでした。

何をやっている人かは全く知りませんでしたが、とにかく途方もない人材であることは間違いありませんでした。

確か、「名前解決」か何かに関する質問を投稿したことがあるのですが、それに対し適切で詳細な回答をしていただいたことを今でも覚えています。どうやってそんな情報を得るんだろう?とても不思議でしたが、のちにトレーナーの方だということが分かり、すごくあこがれたものです。

回答のお礼に、「CANO さん、ありがとうございます!」と書いたところ、

「CANO ではありません、cano です」と訂正されたときには、ビビりすぎて死ぬかとおもいました。

あ、そうそう、cano さんが何にキレていたかというと、当時 MCP 試験の受付窓口だった”当時の”シルバンプロメトリック社の対応がひどすぎる!というものでした。これは確かにその通りで、当時 SIer に在籍していた私もまったく同感でした。まぁ、ひどいなんてもんじゃなかったです。電話対応は雑だしミスも多かったのです。

おそらく、今の時代ならば録音されてさらされて、軽く炎上するくらいひどかったのは間違いないです。

そんなひどい対応に腹を立てた cano さんは、Microsoft に対して「あんな会社やとうな!MCP 人口が増えないぞ!」と、フォーラムに投稿していたのです。

同感ですが、怖かったです。

あまり関わり合いにならないようにしようと、心に決めたものです。

そんな cano さんですが、いまではすっかりやさしくて素敵なおじさまになりました。

cano さんが誰か?

そんなもん、グローバルナレッジネットワーク株式会社(GKN)の横山 哲也さんに決まってます。

他にいらっしゃるはずないです。

彼がトレーナー、執筆者、フォーラム投稿者として育てたエンジニアは、はたして何万人になるんでしょう?いまでは、彼が育てたエンジニアたちが、下を育成する立場になっています。

そんな、いまはやさしくなった横山さんが「IT 基盤における Active Directory の位置づけ」について詳しく、かつかみ砕いて解説してくださるビデオです。

本当に面白いですし癒されますので、是非お時間のある時にでもお聴きください。