Share via


「U-22プログラミング・コンテスト2014」から感じたこと

皆さん、こんにちわ。日本マイクロソフトのエバンジェリストの渡辺です。

 

10/5に、「U-22プログラミング・コンテスト2014」の最終審査会が行われ、今年度の受賞者が決定しました。昨年までは、経済産業省の主催で、「U-20プログラミング・コンテスト」として行われていた大会です。35年の歴史を誇る伝統ある大会で、学生向けのプログラミング・コンテストとしては、おそらく、日本で一番歴史のある大会ではないでしょうか?( 高専プロコン が今年で25回、弊社が主催する Imagine Cup が12年目です)。今年から、主催が経産省から「U-22プログラミング・コンテスト実行委員会」へ変更となり、対象年齢も、U-20(20歳以下)から、U-22(22歳以下)に拡大となりました。最終審査会を受けたコンテストの最終結果については、以下の記事などを参照ください。

「小学生から大学生までが入選作を披露 - U-22プロコン最終審査会」

「小5女子も入賞!! - U-22プログラミング・コンテスト結果発表」

「U-22プログラミング・コンテストの受賞者が決定」

数年前から、日本マイクロソフトは、クラウド開発環境(Microsoft Azure)の提供で、大会に協力させていただきましたが、今年度は、ゴールド・スポンサーとして、樋口社長が実行委員になるなど、より強力にサポートさせていただくことができました。私も審査員として、一次から最終審査まで、40作品ほど応募作品をチェックさせていただきました。日頃から、アカデミック向けのエバンジェリストとして活動を行っていますので、学生開発者の皆さんに接する機会は多いと思いますが、短時間に、まとまった作品を見させていただいて、改めて、いろいろな発見がありましたので、ここで、いくつか感じたことを書いてみたいと思います。

まずは、良かった点、ポジティブにとらえたい点です。

1.応募作品総数が前年の倍以上の200作品以上に増えたこと。応募年齢を広げたこと、実行委員会の告知活動が、より積極的に行われたことにより、認知度が上がったことがあるのでしょうが、応募作品が増加するのは、良いことです。(審査は大変ですが・・・)

2.最終選考20作品は、下は小学5年生(しかも、女子学生)から、中学生、高校生、高専生、専門学校生、大学生から選ばれています。小学生、中学生などの低年齢の学生さんの活躍が非常に印象に残りました。作品の質も決して劣っていなかったと思います。

小学5年生の菅野楓さんの発表の様子。堂々としたプレゼンテーションが印象にのこりました。

3.テーマが自由であるので、いわゆるアプリ作品だけでなく、言語や暗号ツール、ゲーム、様々なユーティリティソフトまで、応募作品がバラエティに富んでいて面白かったです。言語やユーティリティは、一見すると地味で、こうした大会では、プレゼン映えしないので、評価されにくい傾向がありますが、審査員に、まつもとゆきひろさんも入っていますし、こういうソフトウエアのベースとなる作品がきちんと評価されるのは良いことだと思います。

次に、ネガティブとまではいかないですが、今大会の応募作品の特徴と思えた点です。

1.クラウドを利用した作品は、まだまだ少ない。数年前からクラウド開発環境提供で協力を行っていますが、利用者は、まだまだ少ないと思います。ただし、少しずつ浸透はしているのでしょう。最終選考会で、Microsoft Azure を利用してくれた学生さんが「Azure 最高です!」と言ってくれたのは、とても嬉しかったです。

2.IoT的な発想の作品、デバイス連携を強調した作品が少ない印象があります。クラウド利用の少なさとも関連しますが、IoT(Internet of Things)的な発想の作品がもう少し出てくるかなと思っていましたが、それほど多くはなかったです。最終選考には、KinectやOculus Riftを活用した作品もありましたが、主流ではなかったと思います。

3.もっともっとダイバーシティと国際性を!最終選考に残った学生さんの年齢は、小学生から大学生までと幅広かったですが、そのほとんどが男子学生。これは、審査員も含めての反省点になると思います。コンピューター(ソフトウエア)は、我々の生活全般に関わっていて、老若男女すべての人々が利用するものです。女性(女子学生)も、この分野に、どんどん進出してきてほしいです。そして、日本国内のコンテストですが、世界に向かって、その作品の是非を問う学生さんに、ぜひ出てきてほしい。まつもとゆきひろさんの開発したRuby言語は、世界中で利用されています。この世界に国境はありません。優れたソフトウエアは、世界中で評価されると思います。

今回、受賞された学生さんは、日本で評価されました。次は、ぜひ、世界の舞台を目指してください。マイクロソフトが主催している Imagine Cup は、世界中の学生開発者が応募してきます。皆さんのチャレンジをお待ちしています。