「構成ウィザード」の実行時間について

こんにちは。はじめまして、初投稿ですが緊急対応でおなじみかもしれません。SharePoint サポートチームのましのです。

最近緊急対応がよく当たり、宝くじでも当たるんではないかと期待しています。

年末ともなるとメンテナンスが発生する場合もあり、SharePoint サーバーに対して Service Pack や修正プログラム (CU) を適用して、アップグレードしようとお考えのユーザーもいるのではないでしょうか。

今回は、SharePoint のアップグレードやサーバーをファームに追加する時には必ずつき物となる「構成ウィザード」の実行時間が長くなる場合についてお伝えします。すべての環境で当てはまる現象ではないかもしれませんが、構成ウィザードがなかなか終わらないなぁと不安に思ったときに、心の支えとなればと思っています。文章のみとなりますが、どうぞお付き合いください。

シナリオ

構成ウィザードの完了までに長時間を要する場合があります。過去に構成ウィザードが数分で完了していたのに、今回は大幅に時間がかかるという場合、うまく動いているのだろうか? うまく更新プログラムが適用されているのだろうか?ファーム環境内の一台のみで時間がかかるのは何故だろう?など、稀にしか実行しない構成ウィザードがいつもと様子が違うように思われて、不安に思われる場合があるかもしれません。そのため、はじめに、通常の動作の流れと、構成ウィザードに時間がかかる要素、時間がかかる場合のログの確認方法についてお伝えします。

一般的な更新プログラム適用後の構成ウィザード実施の流れ

通常の複数の SharePoint サーバーが存在するファーム環境での流れとなります。

動作 1:

ファーム内で 1 番最初に構成ウィザードを実行した SharePoint サーバー (全体管理がホストされたサーバー)での流れ。

  1-1. サーバーのローカルにあるコンポーネントの更新を行います。

  1-2. SQL サーバー上の各データベースに更新を行います。

動作 2:

ファーム内で 2 番目以降に構成ウィザードを実行した SharePoint サーバー (Index サーバーや WFE サーバー)での流れ。

  2-1. サーバーのローカルにあるコンポーネントの更新を行います。

  2-2. SQL サーバー上の各データベースの更新は、1-2. で既に実行されており必要ないため行いません。

構成ウィザードの完了までに時間がかかる要素

要素1:

上述のように、ファーム内で 1 番最初に構成ウィザードを実行した SharePoint サーバーでは、SQL データベースの更新が行われるため、構成ウィザードの実行に時間がかかる傾向があります。

要素2:

一般的にメジャーアップデートとなる Service Pack は更新範囲が広く、広範囲なデータベースのコンポーネントの更新が行われるため、通常の修正プログラム (CU) 適用時の構成ウィザードの実行よりも、時間がかかる傾向があります。

要素3:

上述の要素 1, 2 に加え、SQL データベースのサイズが肥大化していると、データベースの更新に時間がかかり、構成ウィザードの実行に時間がかかる傾向があります。

<例> 300 GB などの巨大な検索データベースが存在する場合、構成ウィザードの完了まで広範囲かつ多くの更新が発生するため、数時間を要することが報告されています。

なお、適用する更新プログラム (CU) の種類、サーバーの CPU、HDD の読み書き速度、ネットワークの帯域、などは環境によって様々なため、構成ウィザードにかかる時間を予測することは、とても難しいです。もし、ご利用の SharePoint サーバーの データベースのサイズが非常に大きい場合や、一気に最新の修正プログラムにアップグレードしようと思っている場合は、予め本番環境のデータベースを検証環境などにコピーして、構成ウィザードが正常に完了することや、実際にかかる時間を確認しておくことを推奨しています。

構成ウィザード実行時のログの確認方法

構成ウィザードの処理に時間がかかって不安な場合は、構成ウィザードを実行時のログを出力している Upgrade.log をご確認ください。

定期的にログが記録され続けている場合は、正常に動作中と判断することができます。

場合によっては以下のメッセージが Upgrade.log に定期的に記録されることがありますが、これは処理に時間がかかってることを明示的に出力しているだけなので、問題ではありません。

処理に時間を要する場合に出力されるメッセージ:

[yyyy/mm/dd hh:mm:ss]: SyncUpgradeTimerJob: sleeping for 10 seconds

下記公開情報に構成ウィザード完了時に処理が成功したかを判断可能な方法や、Upgrade.log 情報やアップグレードを強制的に実行するコマンドが記載されています。必要に応じて参照ください。

Title: アップグレードを検証する (Windows SharePoint Services)

URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc424954.aspx

Title: アップグレードを確認する (Office SharePoint Server)

URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc424972.aspx