PRO のしきい値について

システムセンター サポート チームの宮崎です。

今回は、前回の記事で予告した PRO (Performance and Resource Optimization) のしきい値について説明したいと思います。

 

既定で用意されている PRO のモニタは、ターゲットの違いを考慮しなければ、以下の 2 種類があります。

 

  1. PRO CPU 使用率
  2. PRO メモリ使用率

 

これらのモニタのしきい値については、以下のサイトに情報が公開されています。

 

“PRO のカスタマイズ”

https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc956018.aspx

 

バーチャル マシンをターゲットにしているモニタについては、使用している SCVMM のバージョンに関わらず、いずれもしきい値が 90% の固定値となっております。このしきい値は、他のモニタと同じく上書きで変更することが出来ます。

これに対しホストをターゲットとしているモニタについては、使用している SCVMM が 2008 の場合と 2008 R2 の場合で異なります。SCVMM 2008 の場合には、バーチャル マシンをターゲットとするモニタと同じく固定値となっており、通常通りしきい値を上書きで変更することが出来ます。しかし SCVMM 2008 R2 を利用している場合には、SCVMM 側で設定している “ホスト予約値” に基づいて動的にしきい値が設定されるため、しきい値を変更するためには、SCVMM 側で設定を変更する必要があります。

以下では、SCVMM 2008 R2 を利用している場合におけるこの辺りの動作について、スクリーンショットを交えて説明します。

 

  1. 現在のしきい値の確認方法

各モニタのしきい値は以下の方法で確認することが出来ます。

 

  1. [監視] タブの [検出された一覧] を開きます。
  2. [アクション] ペインの [ターゲット タイプの変更] を選択します。
  3. [ターゲット項目の選択] ウインドウで、[検索対象] に “PRO Hyper-V ホスト ターゲット” と入力します。(“PRO Virtual Server ホスト ターゲット” や、“PRO VMWare ホスト ターゲット” の場合も同様です。)

この結果として、中央ペインには以下のような内容が表示されます。”CPU しきい値” 列と “メモリしきい値” 列に表示されている値が、“PRO Hyper-V ホスト ターゲット” をターゲットとする ”PRO CPU 使用率” モニタと ”PRO メモリ使用率” モニタの現在のしきい値になります。

 

 

  1. しきい値の変更方法

モニタのしきい値は、先に紹介した technet の記事にある通り、以下のルールで決定されています。

 

  1. PRO CPU 使用率 : 100 パーセントから、ホスト上の CPU のホスト予約値を引いた数値
  2. PRO メモリ使用率 : ホスト上の物理メモリから、ホスト上のメモリのホスト予約値を引いた数値

(※ b. については、正確にはこの数値をホスト上の物理メモリサイズで割って 100 をかけた値となります。)

 

それでは実際に SCVMM 側でホスト予約値を変更し、それを受けてしきい値が変更される様子を見てみましょう。

まず、SCVMM コンソールの [ホスト] タブを開き、ホストのプロパティにある[予備] タブを開きます。その上で ”CPU の割合” の値を 70 、”メモリ” の値を 1024 に変更して [OK] をクリックします。

 

 

ホスト予約値が以下の通り変更になったため、これに応じてしきい値は再計算されます。

 

CPU : 20% -> 70%

メモリ : 512MB -> 1024MB

 

変更前のしきい値

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  1. PRO CPU 使用率 : 80%
  2. PRO メモリ使用率 : 93%

 

変更後のしきい値

==============

  1. PRO CPU 使用率 : 30% (100 -70 = 30)
  2. PRO メモリ使用率 : 87% (8192 – 1024 = 7168, 7168/8192 = 87)

(* 対象 Hyper-V ホストの物理メモリは 8GB です。)

 

実際、SCOM コンソールからしきい値を再度確認すると、以下の通り想定どおりのしきい値になっていることが確認できるかと思います。

 

 

-       補足:SCVMM の “ホスト予約値” について

SCVMM のホスト予約値は、一見するとHyper-V のリソース使用量を制限するための設定のようにも読めますが、あくまでも VM をマイグレーションする際の評価基準として利用する設定となります。この設定に基づいてリソース利用量が制限されることはありません。従って、Hyper-V ホストの利用できるリソースが、予約値として設定された値を下回る状況が発生する可能性もあります。

 

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