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Azure Media Services の Premium Encoder のご紹介

このポストは、3 月 5 日に投稿された Introducing Premium Encoding in Azure Media Services の翻訳です。

ビデオのエンコードは複雑で手間のかかる作業です。お客様からは、放送スタジオや映画業界で主に使用されている形式をトランスコードしたいというご要望がよく寄せられます。これらの形式には、ビデオを処理するための複雑な「レシピ」、つまりどのエンコード手順を利用するのかを判断するカスタムのロジックが必要になります。

今回は経験豊富なお客様を対象として、このようなワークフローに関する問題を解決する新しいテクノロジが Microsoft Azure Media Services に導入されました。これは Premium Encoder というもので、放送業界やプロフェッショナルなメディア トランスコードに適した優れた品質と柔軟性を実現することができます。このエンコーダーには、MXF などのさまざまな入出力ファイル形式、DNxHD などの追加の入出力コーデック、高出力解像度 (AVC 規格で最大 4K)、クローズド キャプションなどをサポートする自動意思決定ロジックが含まれています。

このブログ記事では、新機能である Premium Encoder の概要についてご説明します。料金の詳細については、こちらのページをご確認ください。また、このエンコーダーの使用方法の詳細については、ドキュメント センター (英語) をご覧ください。

Premium Encoder の機能

ここからは、新しい Premium Encoder の主な機能をご紹介します。

自動意思決定ロジック

「Azure Media Encoder」は、デスクトップ エンコーダー (Expression Encoder 4) を基盤としています。このアプリケーションでは、各メディア ファイルを手動で選択してインポートし、ファイルの検証後にエンコード設定を選択する必要がありました。それ自体には問題はありませんが、最初に入力ビデオ ファイルのプロパティ (1080p/720p/SD、5.1 オーディオ/ステレオ オーディオなど) を判断する時間を割く必要があります。これまで多くのお客様から、あらゆるソース (1080p/720p/SD) に対応する単一のエンコード プリセットを定義して、出力 (のサイズおよびビデオ解像度) が入力よりも大きくならないようにできないかというお問い合わせをいただいていました。つまり、そのプリセットを使用して SD のソースをエンコーダーに送信すれば、出力されるアダプティブ ストリームが最大で SD 画質までになり、あるいは同じプリセットで 720p のソースを送信すれば、出力ストリームが最大で 720p になる (HD レイヤーではビットレートがさらに高くなります) というものです。

Premium Encoder では、このような意思決定ロジックを使用するように指定できます。以下の図は、単一のエンコード プリセット (ワークフローとも呼ばれます) を示しています。

Azure Media Encoder では、既定の構成 (エンコード設定) が提供されていました。同様に、この新しいエンコーダーでは、最も一般的に使用されているシナリオに対応するエンコーダー構成が提供されます。Premium Encoder のエンコード設定はワークフローと呼ばれます。一般的に使用されているシナリオに対応する既定のワークフローが提供されていますが、ワークフロー デザイナー ツールを使用してカスタムのワークフローを作成することもできます (後で詳述)。

追加の形式とコーデックのサポート

Premium Encoder では、テレビ放送業界で広く使用されている追加の形式とコーデックがサポートされています。そのため、MXF ファイルをインポート/エクスポートし、DNxHD、DVCPro/DVCProHD、JPEG2000 など各種コーデックを使用することができます。詳細については、ドキュメント センター (英語) をご覧ください。

クローズド キャプションのサポート

今回の初期リリースでは、ソースまたは入力メディア ファイルに埋め込まれているクローズド キャプションをサポートしています。基本的に、MXF/GXF ファイルにユーザー データ (H.264 基本ストリームの SEI メッセージ、ATSC/53、SCTE20) や補助データとして埋め込まれている CEA-608/CEA-708 がサポートされます。このエンコーダーでは、キャプション データを出力ビデオ ファイルにパス スルーするか、データをサイドカー ファイルに保存することができます。

オーディオおよびビデオ処理機能

Premium Encoder には非常に多くの機能が組み込まれているため、すべてを詳細に説明することはできませんが、ここではお勧めの機能の一部をご紹介します。

  • 逆テレシネによる放送用品質のインターレース解除。たとえば、入力のケイデンス検出 (2:2、3:2、2:3:3:2、2:2:2:4、3:2:3:2:2、5:5、6:4、8:7 など) を行うことができます。
  • Dialogue Intelligence™ による Dolby® プロフェッショナル ラウドネス補正。詳細については、こちらのドキュメント (英語) をご覧ください。
  • 黒枠 (ピラーボックス/レターボックス) の検出および削除機能。アクティブな画像領域のみをトランスコードすることができます。また、必要に応じて黒枠を挿入することもできます。
  • ビデオへのグラフィックスやタイム コードを含むオーバーレイの追加機能。
  • 複数言語のオーディオ トラックを含むソースのサポート。

Premium Encoder が適しているケース

以下のフロー チャートに当てはめると、トランスコードに Premium Encoder を使用すべきか、標準の Azure Media Encoder を使用すべきかを判断できます。詳細な説明は省き、ここでは標準エンコーダーの機能については取り上げません。サポートされているファイル形式とオーディオ/ビデオ コーデックの詳細については、こちらのページ (英語) をご覧ください。

使用するエンコーダーを判断するためのデシジョン ツリー

ワークフロー デザイナー

さきほどの「自動意思決定ロジック」セクションでは、新しいエンコーダーはきわめて強力であり、非常に複雑なワークフローを実行するように構成できることをご説明しました。このような構成には、「ワークフロー デザイナー」というデスクトップ アプリケーションを使用します。以下は、サンプルのワークフローのスクリーンショットです。

Premium Encoder のサンプル ワークフロー

このエンコーダーのプレビュー リリース後間もなく、このスタンドアロン デスクトップ ツールが利用可能になります。このツールを使用して、既定のワークフローを修正したり、独自のワークフローを作成することができます。ワークフロー デザイナー ツールを入手するには、mepd@microsoft.com までお問い合わせください。