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ツールボックス

クラウドでの管理、UX デザイン パターン、Anders Hejlsberg の『The C# Programming Language』、その他

Scott Mitchell

すべての価格は発表時のもので、変動する可能性があります。このコラムに記載されている見解は、執筆者の個人的な見解であり、必ずしもマイクロソフトの見解を反映するものではありません。

目次

クラウドでのプロジェクト管理
ユーザー エクスペリエンスのデザイン パターンを調べる
推薦図書

クラウドでのプロジェクト管理

ソフトウェア プロジェクトが成功するか失敗するかは、プロジェクトの管理に使用する手法とツールに大きく左右されます。管理に成功したソフトウェア プロジェクトでは、ソース コード管理、問題追跡データベース、チーム メンバと関係者の間のドキュメント共有と共同作業などのツールが使用されています。もちろん、成功するか失敗するかは、ソフトウェアの市場があるかどうかや、プロジェクトで働く開発者のスキルにも依存しますが、経験豊富な開発者が作成する革新的な製品であっても、プロジェクトの管理方法に重大な欠陥がある場合は、市場での成功は容易ではありません。

残念ながら、プロジェクト管理ツールを選択し、インストールし、構成し、保護し、管理するプロセスは、時間のかかる継続的なプロセスです。大規模な企業ならこれらの作業に専属のリソースを割り当てることもできますが、小規模な会社ではそうもいきません。そのような会社では、ProjectLocker などのアプリケーション サービス プロバイダに作業を委託する方が適している場合もあります。ProjectLocker は、ソース コード管理ソフトウェアや問題追跡データベースなどのプロジェクト管理ツールを安全にホストし、これらのツールにアクセスして管理するための Web ベースのインターフェイスを提供します。ProjectLocker はクローズド ソース プロジェクトをホストするように設計されており、指定されたユーザーのみがソース コード リポジトリおよびプロジェクト管理ツールにアクセスできます。オープン ソース アプリケーションを開発している場合は、Microsoft の CodePlex などのホスティング プロバイダの使用を検討してください。

作成するプロジェクトごとに、専用のソース コード管理リポジトリがあります。ProjectLocker は、Subversion と Git という 2 種類のソース管理製品をサポートしています。ソース管理システムを利用するには、適切なクライアント アプリケーションをダウンロードする必要があります。TortoiseSVN はオープン ソースの Subversion クライアントであり、Windows シェルと統合し、アイコン オーバーレイを使用して個別のファイルのステータスを示します (チェックイン済み、チェックアウト済み、変更済み、など)。もう 1 つの選択肢は VisualSVN であり、これは Subversion と TortoiseSVN を Visual Studio に統合するサードパーティのプラグインです (Subversion および TortoiseSVN については 2007 年 4 月のツールボックス記事「WiX のインストール、PowerPoint デッキの作成など」で、また VisualSVN については Visual Studio の 2008 年 Launch のツールボックス記事「SQL コード補完機能、Subversion ツール、アジャイル開発など」でそれぞれ解説しました)。

各 ProjectLocker プロジェクトにも、Trac、Wiki、および問題追跡システムが含まれます。Wiki は仮想ホワイトボードとしての役割を果たし、チーム メンバがアイデアを話し合ったり、プロジェクト管理者が仕様やマイルストーンを投稿したりするために利用できます。問題追跡システムは、機能要求やバグについての情報の保持に役立ちます。プロジェクトの Web サイトや電子メールからチケットを送信でき、管理者は各チケット項目に関連付けられたフィールドをカスタマイズできます。また、Trac はソース管理システムとシームレスに統合するので、開発者はプロジェクトの Web サイトからリポジトリ内のファイルを参照したり、変更の履歴を表示したりできます。さらに、Trac にはオンライン フォーラムや時間追跡サービスなどの複数のプラグインが含まれ、チェック ボックスをオンにすることで有効にできます。

ほとんどのアプリケーション サービス プロバイダと同様に、ProjectLocker を利用するには月々の使用料が必要です。ProjectLocker には無料アカウント オプションが用意されていますが、2 ユーザー アカウントと 300 MB のディスク容量という制限があります。料金プランは約 5 ドル/月からあります。月額料金に加算できる追加のエンタープライズ機能があります。内容は、ソース コード管理分析、ドキュメント管理、継続的な統合を実行するためのホスト型ビルド サーバーである BuildLocker などです。

価格: 機能ごとに異なり、無料アカウント オプションもあります。

projectlocker.com

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ProjectLocker

注目のブログ

開発者のブログとリソース サイトという大量の情報の中から興味に合った関係のあるコンテンツを見つけることは、干し草の山から針を見つけるようなものです。多くのユーザーは、ネットでの宝探しに時間を費やす代わりに、1 つか 2 つの信頼できるリソース サイトを参照し、わずかな数のブログを購読しています。そのようなユーザーのために、最新で "最善の" 技術的コンテンツを探すことを目的としたブログがあります。

そのような情報集約ブログの 1 つが、Chris Alcock の「The Morning Brew (朝の一杯)」です。平日の毎日、Chris は最新で最高の技術コンテンツをブログにまとめています。「The Morning Brew」の各記事では、5 ~ 15 個の .NET 開発者に関係のあるお勧めのブログ エントリ、記事、チュートリアル、その他の情報が紹介されています。Chris は各リンクをソフトウェア、情報、コミュニティなどのカテゴリに分類し、お勧めの記事の要約も記載しています。

Alvin Ashcraft のブログ「Morning Dew (朝露)」もチェックしてみてください。「Dew Drop (露の滴)」というタイトルでお勧めの記事のコレクションが毎日提供されています。記事のところどころには、Visual Studio、ソフトウェア設計、Web 開発、コミュニティ、データベース開発など、.NET 開発者が関心を持ちそうな広範な技術とディスカッションへのリンクが含まれています。さらに、「Dew Drop」のほとんどの記事では、その日のお勧め本が紹介されています。

たいてい、Alvin の記事には、より広範なソースからの多くのリンクが含まれています。「The Morning Brew」の方が記事ごとのリンクの数は少ないですが、リンクごとに簡単な要約が記載されています。「Morning Dew」の「Dew Drop」の記事は、リンクとタイトルだけです。どちらのブログも、Web 上の興味深い技術コンテンツを集めて 1 か所にまとめてあるので重宝します。

The Morning Brew (朝の一杯):blog.cwa.me.uk

Morning Dew (朝露):alvinashcraft.com

ユーザー エクスペリエンスのデザイン パターンを調べる

ユーザー エクスペリエンス (UX) のデザインと実装は、ほぼ間違いなくソフトウェア設計の中で最も重要な部分です。アプリケーションがどれほど効率的でも、またはうまく設計されていても、ユーザーが効果的にアプリケーションを使用できないのでは意味がありません。残念なことに、ほとんどのソフトウェア開発者はユーザー エクスペリエンスのデザインに苦労しており、その理由の 1 つは、UX のデザインが多分に感覚的であるのに対し、プログラミングはより論理的で整然としているためのようです。ソフトウェア開発者がより優れたユーザー エクスペリエンスを作成するのを支援するため、Infragistics UX チームは UX デザイン パターンのオンライン コレクションである Quince をリリースしました。

デザイン パターンは、常に発生するソフトウェア設計の問題に対する汎用的で高レベルなソリューションです。パターンの実装手順を詳しく規定するのではなく、問題を記述します。パターンによる問題解決の方法と理由を説明し、パターンの実装に関するガイダンスを示します。また、実際に動作する例を示し、関連するパターンを参照します。デザイン パターンはオブジェクト指向プログラミング言語などの分野で最もよく使用され、コード サンプルを使用して動作するパターンが示されています。ただし、Quince でも示されているように、デザイン パターンは UX デザインでの一般的な問題に対するソリューションの共有にも使用できます。

Quince の各 UX パターンには、問題の簡単な説明、想定される解決策、問題のコンテキスト、ソリューションの背後にある原理の説明、パターンの実装手順の説明などが含まれます。また、各パターンには、さまざまなデスクトップ アプリケーションや Web アプリケーションでの実際の例のスクリーン ショットと説明も含まれます。

たとえば、Alphanumeric Filter Links パターンは、「1 画面で無理なく理解するには項目の数が多すぎる」という問題の説明で始まります。続いて、一般的な解決策が提示されています。つまり、アルファベット順のリンクの一覧を表示し、ユーザーが結果をフィルタ処理できるようにします。その後、項目の長い一覧のフィルタ処理の背後にある原理が説明され、そのような一覧の実装に関するヒントとガイドラインが示されます。たとえば、フィルタ対象の一覧にアルファベット以外の文字で始まるエントリが含まれる場合は、リンクのリストに適切なフィルタ ("0-9" など) を含める必要があります。また、複数のアプリケーションや Web サイトで正常に使用できる英数字フィルタ一覧を示す 5 つのスクリーン ショットがあり、それぞれに簡単な分析が示されています。

Quince には、収録されている多数の UX デザイン パターンを参照するための複数の方法が用意されています。すべてのパターンを参照することも、カテゴリやキーワードで絞り込むこともできます。あるいは、検索、ドリルダウン、データ入力、数値入力、複雑なデータの表示などといったユーザー タスクごとにパターンをグループ化して表示することもできます。また、ワイヤーフレーム表示も用意されており、標準的なアプリケーション ユーザー インターフェイスと、UI で一般に表示される画面上の場所にあるさまざまなデザイン パターンへのリンクが示されます。

デザイン パターンは、ソフトウェア エンジニアがオブジェクト指向プログラムを作成するときに不可欠のツールであることがわかっています。また、よくある UX デザインの問題を克服するため、効果が実証済みの解決策が提供されています。Quince は最も関連のある UX デザイン パターンを検索して学習するための優れたリソースであり、アプリケーションのユーザー エクスペリエンスの作業を行うときは参考にする必要があります。

quince.infragistics.com

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Quince

推薦図書

この分野でわくわくする (そして恐ろしい) ことの 1 つは、新しいプログラミング言語、新しいテクノロジ、新しいツール、新しいフレームワークなど、学ぶ必要のある新しい何かが常にあることです。何年もの間、私は 1 週間のうちの何時間かを、最新のことについて学習するための読書や Web サイト閲覧に充てています。しかし最近、その時間を、毎日使用している技術に関する知識の補強に充てることにしました。C#、SQL、Microsoft .NET Framework の基本クラス ライブラリ (BCL) などの技術です。そこで、Anders Hejlsberg 他の『The C# Programming Language, 3rd Edition』(Addison-Wesley Professional、2008 年) を手に取りました (Anders Hejlsberg は Microsoft Technical Fellow であり C# 言語のチーフ デザイナです)。

754 ページから成る『The C# Programming Language』は、C# 3.0 の構文とセマンティクスについての、密度の濃い技術的で詳細な解説書です。最初の 3 つの章では、型と変数、クラスとオブジェクト、配列、インターフェイス、イベントなど、言語の重要な機能の概要が解説されています。C# 文法の概要もあります。これらの導入部の章で説明されている概念は、それぞれの専用の章でさらに詳しく説明されています。たとえば、型、変数、変換、式のそれぞれに 1 つの章が割り当てられています。

『The C# Programming Language』の書き方は堅苦しくて無味乾燥です。図やスクリーンショットはなく、示されているコード サンプルは簡潔です。読んでみると技術仕様書のような感じです。しかし、本の随所に、著者や、Microsoft 社内および広範な開発者コミュニティの著名な C# ソフトウェア エンジニアによる注記があります。一部の注記では、記述内容を補足する現実の例が提供されています。それ以外に、知恵袋のようなヒントや、特定の機能を使用するときに陥りがちな落とし穴についての指摘もあります。このような注釈は、本文よりも口語的な文体で書かれており、資料の状況説明に役立っています。

『The C# Programming Language』は万人向けの本ではありません。入門的な章もありますが、私は言語の実務知識を持つ開発者だけにこの本をお勧めします。この本は、C# の核心部分の詳細について知り、言語の構文とセマンティクスを深く理解したいと思っている、中級から上級の開発者に最適です。

価格: 44.99 ドル、754 ページ

informit.com/store/product.aspx?isbn=0321562992

Scott Mitchell は、多数の著書を出版し、4GuysFromRolla.com の創設者でもあります。また、1998 年からは Microsoft MVP としてマイクロソフトの Web テクノロジに携わっています。現在は、フリーのコンサルタント、トレーナー、およびライターとして活躍しています。Scott の連絡先は、Mitchell@4guysfromrolla.com です。また、ScottOnWriting.NET にブログを公開しています。