編集者のメモ

不況を乗り越える

Howard Dierking

今月の編集者のメモでは、Web を優れたアプリケーション開発プラットフォームとして活用するためのこれまでの努力と成果について話す予定でした。当然ながら、Internet Explorer 8 を使用した開発から Silverlight 2 や SharePoint のベスト プラクティスまで、この件に関連する今月号のすばらしい記事について言及していたはずです。そして、Web ベースのアプリケーションの相対的なメリットと潜在的な副作用についても、述べていたでしょう。また、Perl を使用して Web アプリケーションを記述していた古き良き日々の気楽な話を付け加えていたかもしれません。

しかしながら現在、私たちはある動乱の時期に直面しています。このような時期に、立ち止まって現状を認識せず、さらには、このような動乱の時期にどうすれば優れた人材として存在できるかを考えないのは、すべてが "平常どおり" であるかのように振る舞うのと同じで、皆さんには何の役にも立ちません。今月は、現在の経済状況下での開発者の仕事に関する私の見解を述べさせていただきます。

株式市場では皆が売っているときこそ買いどきである、という話をよく耳にします。この理論を現在の状況に当てはめてみましょう。経済の悪化に対して、開発組織の多くは自分たちの役割の重要性を説き、いかなる変更もビジネスに悪影響を与えるものだと主張するでしょう。これではよくても孤立させているようにしか見えず、極端に言えば、どの程度まで悪化が進むと開発組織の役割が失われるかを常に評価基準にしているように見えます。自分たちがどういったメリットをもたらし、どのように進歩発展していくかではないようです。

こうした守りの姿勢をとる代わりに、自分たちの役割を見直して、もっと野心的にビジネスの戦略的パートナーとなることを提案します。必要不可欠な存在として評価を得るためではなく、ビジネスの成功に貢献するためです。皆さんは、似たような助言を数え切れないほど聞いているかもしれませんか。おそらく、そうした言葉の後には、"よりよく" 要求を把握するための創造的な新しい戦略が語られたでしょう。私から別の方法論を紹介する代わりに、もっと単純に自分の中のビジネス性を見つけることをお勧めします (2008 年 12 月号の「編集者のメモ: 自分の中のビジネス性」を参照してください)。

これは実際的に何を意味するでしょうか。今日の開発組織の多くが抱える問題の一部は、利害関係者の要求に応えることを目指していることに起因すると思います。もちろん、開発者がビジネス要件を正しく理解しているかを確認する意味で、利害関係者からの評価は欠かせません。しかし、そちらにばかり目を向けていると開発の本来の目的を見失うおそれがあり、IT とビジネスを対立させるような言動を生むことになります。私は、利害関係者ではなくビジネスの要求に基づいてソフトウェアを作成するべきだと考えます。これを優先事項と捉えた場合、開発者は、ビジネスの最終目的を達成するために重要な個別の目標に対して、自分たちの開発プロジェクトの各要件がどのように役立つかを説明する必要があります。ビジネスを成功に導く要因 (方法だけではなく) を理解すると、ビジネスをうまくサポートできるようになるだけでなく、ビジネスを牽引する開発組織の進化を後押しできるようにもなります。

それでは、"MSDN Magazine" に何ができるでしょうか。まず、私たちは発信するコンテンツのレベルをますます引き上げていきます。テクノロジがどのように動作するかという疑問だけでなく、そのテクノロジが最も役立つコンテキストとその理由についても深く掘り下げます。Web や Windows Azure のトピックについても例外ではありません。この不景気においても、絶好の機会はあるのです。問題は、その機会を手にするために、今の快適な場所から離れることができるかどうかです。

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**今月号の記事の執筆に携わったマイクロソフトの技術部門の次の専門家に感謝します。**Adrian Bateman、Sam Bent、Laurent Bugnion、Matt Ellis、Mike Fourie、Steve Fox、Don Funk、Alex Gorev、Aaron Hallberg、Luke Hoban、Robert Horvick、John Hrvatin、Bret Humphrey、Katy King、Brian Kretzler、Bertrand LeRoy、Dan Moseley、Stephen Powell、および Delian Tchoparinov。