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Dev Proxy を使用してシャドウ API を検出する

Azure API Center を使用すると、組織内で使用される API をカタログ化できます。 これで、どの API が使用されているか、その API がライフサイクル内のどの時点にあるか、および問題がある場合に誰に問い合わせるかがわかるようになります。 つまり、API の最新のカタログを維持することは、ガバナンス、コンプライアンス、セキュリティ態勢の向上に役立ちます。

アプリをビルドするときに、特に新しいシナリオを統合する場合は、使用している API が Azure API Center に登録されていないこともあります。 このような API をシャドウ API といいます。 シャドウ API とは、組織に登録されていない API です。 その API がまだ登録されていないだけのこともあれば、組織での使用を意図したものではない API のこともあります。

シャドウ API の有無を確認する方法の 1 つは、Dev Proxy を使用することです。 Dev Proxy は API シミュレーターであり、アプリケーションからの API 要求をインターセプトして分析します。 Dev Proxy の機能の 1 つに、インターセプトされた API 要求が属している API が API Center に登録されているかどうかの確認があります。

記録された API 要求が Azure API Center に登録されているかどうかを Dev Proxy で確認していることを示すコマンド プロンプトのスクリーンショット。

開始する前に

シャドウ API を検出するには、組織内で使用される API に関する情報を保持している Azure API Center インスタンスが必要です。 まだ作成していない場合は、「クイック スタート: API センターを作成する」を参照してください。 加えて、Dev Proxy をインストールする必要があります。

API Center の情報をコピーする

Azure API Center インスタンスの [概要] ページから、その API Center インスタンスの名前リソース グループの名前、サブスクリプション ID をコピーします。 この情報は、Azure API Center インスタンスに接続できるように Dev Proxy ApiCenterOnboardingPlugin を構成するために必要です。

さまざまなプロパティがハイライトされている Azure API Center 概要ページのスクリーンショット。

Dev Proxy を構成する

自分のアプリでシャドウ API が使用されているかどうかを確認するには、Dev Proxy 構成ファイル内で ApiCenterOnboardingPlugin を有効にする必要があります。 アプリで使用されている API のレポートを作成するには、レポーターを追加します。

ApiCenterOnboardingPlugin を有効にする

devproxyrc.json ファイル内に、次の構成を追加します。

{
  "$schema": "https://raw.githubusercontent.com/microsoft/dev-proxy/main/schemas/v0.19.0/rc.schema.json",
  "plugins": [
    {
      "name": "ApiCenterOnboardingPlugin",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll",
      "configSection": "apiCenterOnboardingPlugin"
    }
  ],
  "urlsToWatch": [
    "https://jsonplaceholder.typicode.com/*"
  ],
  "apiCenterOnboardingPlugin": {
    "subscriptionId": "aaaa0a0a-bb1b-cc2c-dd3d-eeeeee4e4e4e",
    "resourceGroupName": "demo",
    "serviceName": "contoso-api-center",
    "workspaceName": "default",
    "createApicEntryForNewApis": false
  }
}

プロパティ subscriptionIdresourceGroupNameserviceName で Azure API Center インスタンスに関する情報を指定します。

urlsToWatch プロパティで、アプリで使用される URL を指定します。

ヒント

Dev Proxy Toolkit という Visual Studio Code 拡張機能を使用すると、Dev Proxy の構成を簡単に管理できます。

レポーターを追加する

アプリで使用されている API のレポートは ApiCenterOnboardingPlugin によって生成されます。 このレポートを見るには、Dev Proxy 構成ファイルにレポーターを追加します。 Dev Proxy には、さまざまなレポーターがあります。 この例では、プレーンテキスト レポーターを使用します。

プレーンテキスト レポーターへの参照を指定して devproxyrc.json ファイルを更新します。

{
  "$schema": "https://raw.githubusercontent.com/microsoft/dev-proxy/main/schemas/v0.19.0/rc.schema.json",
  "plugins": [
    {
      "name": "ApiCenterOnboardingPlugin",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll",
      "configSection": "apiCenterOnboardingPlugin"
    },
    {
      "name": "PlainTextReporter",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll"
    }
  ],
  "urlsToWatch": [
    "https://jsonplaceholder.typicode.com/*"
  ],
  "apiCenterOnboardingPlugin": {
    "subscriptionId": "aaaa0a0a-bb1b-cc2c-dd3d-eeeeee4e4e4e",
    "resourceGroupName": "demo",
    "serviceName": "contoso-api-center",
    "workspaceName": "default",
    "createApicEntryForNewApis": false
  }
}

アプリでシャドウ API が使用されているかどうかを確認する

自分のアプリでシャドウ API が使用されているかどうかを確認するには、Azure サブスクリプションに接続し、Dev Proxy を実行してアプリからの API 要求をインターセプトします。 Dev Proxy によって、この API 要求に関する情報と Azure API Center からの情報が比較され、API Center に登録されていない API がある場合はレポートが生成されます。

Azure サブスクリプションへの接続

Dev Proxy は、アプリがシャドウ API を使用しているかどうかを Azure API Center からの情報を使用して判断します。 この情報を得るには、Azure サブスクリプションへの接続が必要です。 Azure サブスクリプションに接続するには、さまざまな方法があります。

Dev Proxy を実行する

Azure サブスクリプションに接続した後に、Dev Proxy を起動します。 devproxyrc.json ファイルが存在するフォルダーから Dev Proxy を起動する場合は、構成が自動的に読み込まれます。 それ以外の場合は、--config-file オプションを使用して構成ファイルへのパスを指定します。

Dev Proxy は起動時に、Azure サブスクリプションに接続できることを確認します。 接続に成功すると、次のようなメッセージが表示されます。

 info    Plugin ApiCenterOnboardingPlugin connecting to Azure...
 info    Listening on 127.0.0.1:8000...

Hotkeys: issue (w)eb request, (r)ecord, (s)top recording, (c)lear screen
Press CTRL+C to stop Dev Proxy

r キーを押してアプリからの API 要求の記録を開始します。

アプリを使用する

アプリを通常どおりに使用してください。 Dev Proxy によって API 要求がインターセプトされ、その要求に関する情報がメモリに格納されます。 Dev Proxy を実行しているコマンド ラインに、アプリからの API 要求に関する情報が表示されます。

 info    Plugin ApiCenterOnboardingPlugin connecting to Azure...
 info    Listening on 127.0.0.1:8000...

Hotkeys: issue (w)eb request, (r)ecord, (s)top recording, (c)lear screen
Press CTRL+C to stop Dev Proxy

◉ Recording... 

 req   ╭ GET https://jsonplaceholder.typicode.com/posts
 api   ╰ Passed through

 req   ╭ DELETE https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1
 api   ╰ Passed through

シャドウ API を確認する

s キーを押して記録を停止します。 Dev Proxy が API Center インスタンスに接続して、要求に関する情報を API Center からの情報と比較します。

 info    Plugin ApiCenterOnboardingPlugin connecting to Azure...
 info    Listening on 127.0.0.1:8000...

Hotkeys: issue (w)eb request, (r)ecord, (s)top recording, (c)lear screen
Press CTRL+C to stop Dev Proxy

◉ Recording... 

 req   ╭ GET https://jsonplaceholder.typicode.com/posts
 api   ╰ Passed through

 req   ╭ DELETE https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1
 api   ╰ Passed through
○ Stopped recording
 info    Checking if recorded API requests belong to APIs in API Center...
 info    Loading APIs from API Center...
 info    Loading API definitions from API Center...

Dev Proxy による分析が完了すると、次の内容のレポートが ApiCenterOnboardingPlugin_PlainTextReporter.txt という名前のファイルに作成されます。

New APIs that aren't registered in Azure API Center:

https://jsonplaceholder.typicode.com:
  DELETE https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1

APIs that are already registered in Azure API Center:

GET https://jsonplaceholder.typicode.com/posts

シャドウ API を自動的にオンボードする

ApiCenterOnboardingPlugin はシャドウ API を検出するだけでなく、自動的に API Center にオンボードすることもできます。 シャドウ API を自動的にオンボードするには、Dev Proxy 構成ファイル内の createApicEntryForNewApistrue に更新します。

{
  "$schema": "https://raw.githubusercontent.com/microsoft/dev-proxy/main/schemas/v0.19.0/rc.schema.json",
  "plugins": [
    {
      "name": "ApiCenterOnboardingPlugin",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll",
      "configSection": "apiCenterOnboardingPlugin"
    },
    {
      "name": "PlainTextReporter",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll"
    }
  ],
  "urlsToWatch": [
    "https://jsonplaceholder.typicode.com/*"
  ],
  "apiCenterOnboardingPlugin": {
    "subscriptionId": "aaaa0a0a-bb1b-cc2c-dd3d-eeeeee4e4e4e",
    "resourceGroupName": "demo",
    "serviceName": "contoso-api-center",
    "workspaceName": "default",
    "createApicEntryForNewApis": true
  }
}

createApicEntryForNewApistrue に設定して Dev Proxy を実行すると、検出されたシャドウ API に対応する新しい API エントリが Azure API Center 内に自動的に作成されます。

新しくオンボードされた API を示す API Center のスクリーンショット。

シャドウ API を OpenAPI 仕様とともに自動的にオンボードする

シャドウ API を自動的に API Center にオンボードする場合に、Dev Proxy にその API の OpenAPI 仕様を生成させることができます。 OpenAPI 仕様とともに API をオンボードすると、不足しているエンドポイントのオンボードがスピードアップするとともに、API に関する必要な情報が提供されます。 Dev Proxy によって新しい OpenAPI 仕様が作成されたことが ApiCenterOnboardingPlugin によって検出されると、API Center 内の対応するオンボード済み API にその仕様が関連付けられます。

オンボードされる API の OpenAPI 仕様を自動的に生成するには、OpenApiSpecGeneratorPlugin が含まれるように Dev Proxy 構成ファイルを更新します。

{
  "$schema": "https://raw.githubusercontent.com/microsoft/dev-proxy/main/schemas/v0.19.0/rc.schema.json",
  "plugins": [
    {
      "name": "OpenApiSpecGeneratorPlugin",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll"
    },
    {
      "name": "ApiCenterOnboardingPlugin",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll",
      "configSection": "apiCenterOnboardingPlugin"
    },
    {
      "name": "PlainTextReporter",
      "enabled": true,
      "pluginPath": "~appFolder/plugins/dev-proxy-plugins.dll"
    }
  ],
  "urlsToWatch": [
    "https://jsonplaceholder.typicode.com/*"
  ],
  "apiCenterOnboardingPlugin": {
    "subscriptionId": "aaaa0a0a-bb1b-cc2c-dd3d-eeeeee4e4e4e",
    "resourceGroupName": "demo",
    "serviceName": "contoso-api-center",
    "workspaceName": "default",
    "createApicEntryForNewApis": true
  }
}

重要

Dev Proxy は、構成内で登録されている順にプラグインを実行します。 ApiCenterOnboardingPlugin による新しい API のオンボードの前に OpenAPI 仕様が作成されるようにするために、OpenApiSpecGeneratorPlugin を最初に登録する必要があります。

この構成を使用して Dev Proxy を実行すると、検出されたシャドウ API に対応する新しい API エントリが Azure API Center 内に自動的に作成されます。 新しい API のそれぞれについて、Dev Proxy によって OpenAPI 仕様が作成され、API Center 内の対応するオンボード済み API にその仕様が関連付けられます。

 info    Plugin ApiCenterOnboardingPlugin connecting to Azure...
 info    Listening on 127.0.0.1:8000...

Hotkeys: issue (w)eb request, (r)ecord, (s)top recording, (c)lear screen
Press CTRL+C to stop Dev Proxy

◉ Recording... 

 req   ╭ GET https://jsonplaceholder.typicode.com/posts
 api   ╰ Passed through

 req   ╭ DELETE https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1
 api   ╰ Passed through
○ Stopped recording
 info    Creating OpenAPI spec from recorded requests...
 info    Created OpenAPI spec file jsonplaceholder.typicode.com-20240614104931.json
 info    Checking if recorded API requests belong to APIs in API Center...
 info    Loading APIs from API Center...
 info    Loading API definitions from API Center...
 info    New APIs that aren't registered in Azure API Center:

https://jsonplaceholder.typicode.com:
  DELETE https://jsonplaceholder.typicode.com/posts/1
 info    Creating new API entries in API Center...
 info      Creating API new-jsonplaceholder-typicode-com-1718354977 for https://jsonplaceholder.typicode.com...
 info    DONE

新しくオンボードされた API と OpenAPI 仕様を示す Azure API Center のスクリーンショット。

まとめ

Dev Proxy とその ApiCenterOnboardingPluginを使用すると、自分のアプリがシャドウ API を使用しているかどうかを確認できます。 このプラグインがアプリからの API 要求を分析し、Azure API Center に登録されていない API の要求がある場合はそれについてのレポートを作成します。 このプラグインを使用すると、未登録の API を簡単に API Center にオンボードできます。 ApiCenterOnboardingPlugin プラグインに OpenApiSpecGeneratorPlugin を組み合わせると、新しくオンボードされた API の OpenAPI 仕様を自動的に生成できます。 この確認は手動で実行することも、CI/CD パイプラインと統合することもでき、これで登録済み API が使用されていることを確認してからアプリを本番にリリースできるようになります。

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