ACR タスクで Azure マネージド ID を使用する
ACR タスクで Azure リソースのマネージド ID を有効にします。これにより、タスクで他の Azure リソースにアクセスできます。このとき、資格情報を指定または管理する必要はありません。 たとえば、マネージド ID を使用して、コンテナー イメージを別のレジストリからプルまたは別のレジストリにプッシュするためのタスク ステップを有効にします。
この記事では、Azure CLI を使用して、ACR タスクでユーザー割り当てまたはシステム割り当てのマネージド ID を有効にする方法について説明します。 Azure Cloud Shell または Azure CLI のローカル インストールを使用できます。 それをローカルで使う場合は、バージョン 2.0.68 以降が必要です。 バージョンを確認するには、az --version
を実行します。 インストールまたはアップグレードする必要がある場合は、Azure CLI のインストールに関するページを参照してください。
説明のために、この記事のコマンドの例では az acr task create を使用して、マネージド ID を有効にする基本的なイメージ ビルド タスクを作成します。 マネージド ID を使用して ACR タスクからセキュリティで保護されたリソースにアクセスするサンプル シナリオについては、以下を参照してください。
マネージド ID を使用する理由
Azure リソース用マネージド ID は、Microsoft Entra ID で自動的に管理される ID を Azure サービスに提供します。 マネージド ID を所有する ACR タスクを構成できます。これにより、そのタスクで、タスク ステップで資格情報を渡すことなく、セキュリティで保護された Azure リソースにアクセスできます。
マネージド ID には、次の 2 種類があります。
ユーザー割り当て ID: この ID は複数のリソースに割り当てることができ、任意の有効期間を設定できます。 ユーザー割り当て ID は、現在プレビューの段階です。
システム割り当て ID: この ID は ACR タスクなど特定のリソースに固有であり、有効期間はそのリソースの有効期間と同じです。
ACR タスクでは、一方または両方の種類の ID を有効にできます。 セキュリティ プリンシパルと同様に、他のリソースへのアクセス許可を ID に付与します。 タスクが実行されると、アクセスが必要なタスク ステップで、ID を使用してリソースへのアクセスが行われます。
マネージド ID を使用する手順
次の大まかな手順に従って、ACR タスクでマネージド ID を使用します。
1. (省略可能) ユーザー割り当て ID を作成する
ユーザー割り当て ID の使用を予定している場合は、既存の ID を使用するか、Azure CLI またはその他の Azure ツールを使用して ID を作成します。 たとえば、az identity create コマンドを使用します。
システム割り当て ID のみ使用する場合は、この手順はスキップしてください。 システム割り当て ID は ACR タスクを作成するときに作成します。
2. ACR タスクで ID を有効にする
ACR タスクを作成するときに、ユーザー割り当て ID、システム割り当て ID、またはこれらの両方を必要に応じて有効にします。 たとえば、Azure CLI で az acr task create コマンドを実行するときに --assign-identity
パラメーターを渡します。
システム割り当て ID を有効にするには、値なしで --assign-identity
を渡すか、assign-identity [system]
を渡します。 次のコマンドの例は、hello-world
イメージをビルドしてからシステム割り当てマネージド ID を有効にする Linux タスクをパブリック GitHub リポジトリから作成します。
az acr task create \
--image hello-world:{{.Run.ID}} \
--name hello-world --registry MyRegistry \
--context https://github.com/Azure-Samples/acr-build-helloworld-node.git#main \
--file Dockerfile \
--commit-trigger-enabled false \
--assign-identity
ユーザー割り当て ID を有効にするには、ID のリソース ID の値を指定して --assign-identity
を渡します。 次のコマンドの例は、hello-world
イメージをビルドしてからユーザー割り当てマネージド ID を有効にする Linux タスクをパブリック GitHub リポジトリから作成します。
az acr task create \
--image hello-world:{{.Run.ID}} \
--name hello-world --registry MyRegistry \
--context https://github.com/Azure-Samples/acr-build-helloworld-node.git#main \
--file Dockerfile \
--commit-trigger-enabled false
--assign-identity <resourceID>
az identity show コマンドを実行することで ID のリソース ID を取得できます。 リソース グループ myResourceGroup の ID myUserAssignedIdentity のリソース ID は次の形式です。
"/subscriptions/xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx/resourcegroups/myResourceGroup/providers/Microsoft.ManagedIdentity/userAssignedIdentities/myUserAssignedIdentity"
3. 他の Azure リソースにアクセスするためのアクセス許可を ID に付与する
タスクの要件に応じて、他の Azure リソースにアクセスするためのアクセス許可を ID に付与します。 たとえば、次のようになります。
- マネージド ID に、Azure 内のターゲット コンテナー レジストリに対するプル、プッシュとプル、またはその他のアクセス許可を持つロールを割り当てます。 レジストリ ロールの全一覧については、「Azure Container Registry のロールとアクセス許可」を参照してください。
- Azure Key Vault でシークレットを読み取るためのロールをマネージド ID に割り当てます。
Azure CLI またはその他の Azure ツールを使用して、リソースへのロールベースのアクセスを管理します。 たとえば、az role assignment create コマンドを実行して、リソースへのロールを ID に割り当てます。
次の例では、コンテナー レジストリからプルできるアクセス許可をマネージド ID に割り当てています。 このコマンドでは、タスク ID のプリンシパル ID とターゲット レジストリのリソース ID を指定しています。
az role assignment create \
--assignee <principalID> \
--scope <registryID> \
--role acrpull
4.(省略可能) タスクに資格情報を追加する
別のカスタム レジストリにイメージをプルまたはプッシュしたり、他のリソースにアクセスしたりするためにタスクで資格情報が必要な場合は、そのタスクに資格情報を追加します。 az acr task credential add コマンドを実行して資格情報を追加し、ID が資格情報にアクセスできることを示すために --use-identity
パラメーターを渡します。
たとえば、システム割り当て ID の資格情報を追加して、Azure コンテナー レジストリ targetregistry で認証を行うには、use-identity [system]
を渡します。
az acr task credential add \
--name helloworld \
--registry myregistry \
--login-server targetregistry.azurecr.io \
--use-identity [system]
ユーザー割り当て ID の資格情報を追加して、レジストリ targetregistry で認証を行うには、ID のクライアント ID の値を指定して use-identity
を渡します。 次に例を示します。
az acr task credential add \
--name helloworld \
--registry myregistry \
--login-server targetregistry.azurecr.io \
--use-identity <clientID>
az identity show コマンドを実行することで ID のクライアント ID を取得できます。 クライアント ID は、形式 xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
の GUID です。
レジストリでパブリック ネットワーク アクセスが無効になっていて、特定の信頼されたサービスのみを使用して ACR タスクが実行される場合、--use-identity
パラメーターは省略できません。 信頼されたサービスとしての ACR タスクの例を参照してください。
5.タスクを実行する
マネージド ID でタスクを構成したら、タスクを実行します。 たとえば、この記事で作成したタスクのいずれかをテストするには、az acr task run コマンドを使用して手動でそれをトリガーします。 追加の自動タスク トリガーを構成した場合は、自動的にトリガーされたときにタスクは実行されます。
次のステップ
この記事では、ACR タスクでユーザー割り当てまたはシステム割り当てのマネージド ID を有効にし、使用する方法について説明しました。 マネージド ID を使用して ACR タスクからセキュリティで保護されたリソースにアクセスするシナリオについては、以下を参照してください。