Azure Synapse Analytics の専用 SQL プール内の一時テーブル
この記事では、セッション レベルの一時テーブルの原則を中心に、一時テーブルの基本的な利用方法について説明します。
この記事の情報に従うと、コードをモジュール化できるため、再利用性が向上し、保守が容易になります。
一時テーブルとは
特に、中間結果が一時的なものである変換中にデータを処理する場合に、一時テーブルが役立ちます。 専用 SQL プールでは、一時テーブルはセッション レベルで存在します。
一時テーブルは、作成されたセッションのみで参照でき、セッションが終了すると自動的に削除されます。
一時テーブルは、リモート ストレージではなくローカル ストレージに結果が書き込まれるため、パフォーマンス上の利点があります。
専用 SQL プール内の一時テーブル
専用 SQL プール リソースでは、一時テーブルの結果がリモート ストレージではなくローカル ストレージに書き込まれるため、パフォーマンス上の利点があります。
一時テーブルを作成する
一時テーブルは、テーブル名にプレフィックス #
を付けることで作成できます。 次に例を示します。
CREATE TABLE #stats_ddl
(
[schema_name] NVARCHAR(128) NOT NULL
, [table_name] NVARCHAR(128) NOT NULL
, [stats_name] NVARCHAR(128) NOT NULL
, [stats_is_filtered] BIT NOT NULL
, [seq_nmbr] BIGINT NOT NULL
, [two_part_name] NVARCHAR(260) NOT NULL
, [three_part_name] NVARCHAR(400) NOT NULL
)
WITH
(
DISTRIBUTION = HASH([seq_nmbr])
, HEAP
)
一時テーブルは、次のようにまったく同じ手法で CTAS
を利用して作成することもできます。
CREATE TABLE #stats_ddl
WITH
(
DISTRIBUTION = HASH([seq_nmbr])
, HEAP
)
AS
(
SELECT
sm.[name] AS [schema_name]
, tb.[name] AS [table_name]
, st.[name] AS [stats_name]
, st.[has_filter] AS [stats_is_filtered]
, ROW_NUMBER()
OVER(ORDER BY (SELECT NULL)) AS [seq_nmbr]
, QUOTENAME(sm.[name])+'.'+QUOTENAME(tb.[name]) AS [two_part_name]
, QUOTENAME(DB_NAME())+'.'+QUOTENAME(sm.[name])+'.'+QUOTENAME(tb.[name]) AS [three_part_name]
FROM sys.objects AS ob
JOIN sys.stats AS st ON ob.[object_id] = st.[object_id]
JOIN sys.stats_columns AS sc ON st.[stats_id] = sc.[stats_id]
AND st.[object_id] = sc.[object_id]
JOIN sys.columns AS co ON sc.[column_id] = co.[column_id]
AND sc.[object_id] = co.[object_id]
JOIN sys.tables AS tb ON co.[object_id] = tb.[object_id]
JOIN sys.schemas AS sm ON tb.[schema_id] = sm.[schema_id]
WHERE 1=1
AND st.[user_created] = 1
GROUP BY
sm.[name]
, tb.[name]
, st.[name]
, st.[filter_definition]
, st.[has_filter]
)
;
Note
CTAS
は強力なコマンドであり、トランザクション ログ領域を効率的に利用するという長所があります。
一時テーブルを削除する
新しいセッションが作成されたとき、一時テーブルは存在しません。
同じストアド プロシージャを呼び出している場合、同じ名前で一時テーブルが作成されるため、CREATE TABLE
ステートメントを正常に実行するには、次の例のように DROP
を使用した簡単な既存チェックを使用できます。
IF OBJECT_ID('tempdb..#stats_ddl') IS NOT NULL
BEGIN
DROP TABLE #stats_ddl
END
コードの一貫性のために、テーブルと一時テーブルの両方にこのパターンを利用することが推奨されます。 また、コードで一時テーブルの利用を終えたら、 DROP TABLE
を使用してそれを削除することもお勧めします。
ストアド プロシージャの開発では、一般的に、オブジェクトが消去されるように、プロシージャの終わりに削除コマンドがバンドルされています。
DROP TABLE #stats_ddl
コードをモジュール化する
一時テーブルはユーザー セッションのどこでも表示できるため、この機能を利用して、アプリケーション コードをモジュール化できます。
たとえば、次のストアド プロシージャは、統計の名前でデータベース内のすべての統計を更新する DDL を生成します。
CREATE PROCEDURE [dbo].[prc_sqldw_update_stats]
( @update_type tinyint -- 1 default 2 fullscan 3 sample 4 resample
,@sample_pct tinyint
)
AS
IF @update_type NOT IN (1,2,3,4)
BEGIN;
THROW 151000,'Invalid value for @update_type parameter. Valid range 1 (default), 2 (fullscan), 3 (sample) or 4 (resample).',1;
END;
IF @sample_pct IS NULL
BEGIN;
SET @sample_pct = 20;
END;
IF OBJECT_ID('tempdb..#stats_ddl') IS NOT NULL
BEGIN
DROP TABLE #stats_ddl
END
CREATE TABLE #stats_ddl
WITH
(
DISTRIBUTION = HASH([seq_nmbr])
)
AS
(
SELECT
sm.[name] AS [schema_name]
, tb.[name] AS [table_name]
, st.[name] AS [stats_name]
, st.[has_filter] AS [stats_is_filtered]
, ROW_NUMBER()
OVER(ORDER BY (SELECT NULL)) AS [seq_nmbr]
, QUOTENAME(sm.[name])+'.'+QUOTENAME(tb.[name]) AS [two_part_name]
, QUOTENAME(DB_NAME())+'.'+QUOTENAME(sm.[name])+'.'+QUOTENAME(tb.[name]) AS [three_part_name]
FROM sys.objects AS ob
JOIN sys.stats AS st ON ob.[object_id] = st.[object_id]
JOIN sys.stats_columns AS sc ON st.[stats_id] = sc.[stats_id]
AND st.[object_id] = sc.[object_id]
JOIN sys.columns AS co ON sc.[column_id] = co.[column_id]
AND sc.[object_id] = co.[object_id]
JOIN sys.tables AS tb ON co.[object_id] = tb.[object_id]
JOIN sys.schemas AS sm ON tb.[schema_id] = sm.[schema_id]
WHERE 1=1
AND st.[user_created] = 1
GROUP BY
sm.[name]
, tb.[name]
, st.[name]
, st.[filter_definition]
, st.[has_filter]
)
SELECT
CASE @update_type
WHEN 1
THEN 'UPDATE STATISTICS '+[two_part_name]+'('+[stats_name]+');'
WHEN 2
THEN 'UPDATE STATISTICS '+[two_part_name]+'('+[stats_name]+') WITH FULLSCAN;'
WHEN 3
THEN 'UPDATE STATISTICS '+[two_part_name]+'('+[stats_name]+') WITH SAMPLE '+CAST(@sample_pct AS VARCHAR(20))+' PERCENT;'
WHEN 4
THEN 'UPDATE STATISTICS '+[two_part_name]+'('+[stats_name]+') WITH RESAMPLE;'
END AS [update_stats_ddl]
, [seq_nmbr]
FROM #stats_ddl
;
GO
この段階で、発生した唯一のアクションが、DDL ステートメントで一時テーブル #stats_ddl
を生成するストアド プロシージャの作成です。
セッション内で複数回実行された場合に失敗しないように、このストアド プロシージャでは既存の #stats_ddl
を削除しています。
ただし、ストアド プロシージャの最後に DROP TABLE
がないため、ストアド プロシージャが実行されると、ストアド プロシージャの外から読み取れるように、作成されたテーブルはそのままになります。
専用 SQL プールでは、他の SQL Server データベースと異なり、一時テーブルを作成したプロシージャの外部でその一時テーブルを使用できます。 専用 SQL プールの一時テーブルはセッション内の どこでも使用できます。 この機能により、次の例のように、コードのモジュール性が高まり、コードを管理しやすくなります。
EXEC [dbo].[prc_sqldw_update_stats] @update_type = 1, @sample_pct = NULL;
DECLARE @i INT = 1
, @t INT = (SELECT COUNT(*) FROM #stats_ddl)
, @s NVARCHAR(4000) = N''
WHILE @i <= @t
BEGIN
SET @s=(SELECT update_stats_ddl FROM #stats_ddl WHERE seq_nmbr = @i);
PRINT @s
EXEC sp_executesql @s
SET @i+=1;
END
DROP TABLE #stats_ddl;
一時テーブルの制限事項
専用 SQL プールでは、一時テーブルを実装するときに制限事項がいくつかあります。 現時点では、セッションを範囲とした一時テーブルのみがサポートされています。 グローバル一時テーブルはサポートされていません。
さらに、一時テーブルでビューを作成することはできません。 一時テーブルは、ハッシュまたはラウンド ロビン ディストリビューションでのみ作成できます。 レプリケートされた一時テーブルのディストリビューションはサポートされていません。
次のステップ
テーブルの開発の詳細については、専用 SQL プールを使用したテーブルの設計に関する記事を参照してください。