MFC に静的にリンクされた標準 MFC DLL
MFC に静的にリンクされた標準 MFC DLL は、MFC を内部で使用する DLL であり、その DLL 内のエクスポートされた関数は、MFC または非 MFC 実行可能ファイルから呼び出すことができます。 名前が示すように、この種類の DLL は、MFC の静的リンク ライブラリ バージョンを使用してビルドされます。 通常、関数は標準の C インターフェイスを使用して標準 MFC DLL からエクスポートされます。 標準 MFC DLL を記述、ビルド、使用する方法の例については、サンプルの DLLScreenCap を参照してください。
USRDLL という用語は、Visual C++ ドキュメントでは使用されなくなったので注意してください。 MFC に静的にリンクされた標準 MFC DLL は、旧 USRDLL と特性が同じです。
MFC に静的にリンクされた標準 MFC DLL には、次の特徴があります。
クライアント実行可能ファイルは、DLL (C、C++、Pascal、Visual Basic など) の使用をサポートする任意の言語で記述できます。MFC アプリケーションである必要はありません。
DLL は、アプリケーションで使用されるのと同じ MFC 静的リンク ライブラリにリンクできます。 DLL 用の独立したバージョンの静的リンク ライブラリはなくなりました。
MFC のバージョン 4.0 より前は、USRDLL により、MFC に静的にリンクされた標準 MFC DLL と同じ種類の機能が提供されていました。 Visual C++ バージョン 4.0 で、USRDLL という用語は廃止されました。
MFC に静的にリンクされた標準 MFC DLL には、次の要件があります。
この種類の DLL は、
CWinAppから派生したクラスをインスタンス化する必要があります。この種類の DLL では、MFC から提供される
DllMainを使用します。 通常の MFC アプリケーションと同様、すべての DLL 固有の初期化コードをInitInstanceメンバー関数内に配置し、終了コードをExitInstance内に配置します。USRDLL という用語は廃止されましたが、コンパイラのコマンド ラインで "_USRDLL" を定義する必要があります。 この定義で、MFC ヘッダー ファイルからどの宣言を取り込むかを決定します。
標準 MFC DLL には、MFC アプリケーションと同様に、CWinApp 派生クラスと、そのアプリケーション クラスの 1 つのオブジェクトが必要です。 ただし、DLL の CWinApp オブジェクトは、アプリケーションの CWinApp オブジェクトとは異なり、メイン メッセージ ポンプはありません。
アプリケーションにはメイン メッセージ ポンプがあるため、CWinApp::Run メカニズムは DLL に適用されないことに注意してください。 DLL がモードレス ダイアログを開く場合、または独自のメイン フレーム ウィンドウがある場合、アプリケーションのメイン メッセージ ポンプは、DLL によってエクスポートされたルーチンを呼び出し、次に DLL のアプリケーション オブジェクトの CWinApp::PreTranslateMessage メンバー関数を呼び出す必要があります。
この関数の例については、DLLScreenCap サンプルを参照してください。
通常、シンボルは、標準の C インターフェイスを使用して標準 MFC DLL からエクスポートされます。 標準 MFC DLL からエクスポートされた関数の宣言は、次のようになります。
extern "C" __declspec(dllexport) MyExportedFunction( );
標準 MFC DLL 内のメモリ割り当てはすべて、その DLL 内に存在する必要があります。DLL は、呼び出し実行可能ファイルに次のいずれかを渡しても、受け取ってもいけません。
MFC オブジェクトへのポインター
MFC によって割り当てられたメモリへのポインター
上記のいずれかを実行する必要がある場合、または呼び出し実行可能ファイルと DLL との間で MFC 派生オブジェクトを受け渡す必要がある場合は、MFC 拡張 DLL をビルドする必要があります。
データのコピーを作成する場合のみ、アプリケーションと DLL の間で C ランタイム ライブラリによって割り当てられたメモリへのポインターを渡しても安全です。 これらのポインターは、削除またはサイズ変更しないでください。メモリのコピーを作成せずに使用することもしないでください。
MFC に静的にリンクされている DLL は、共有 MFC DLL に動的にリンクすることもできません。 MFC に静的にリンクされた DLL は、他の DLL と同様に、アプリケーションに動的にバインドされます。アプリケーションは、他の DLL と同様に、その DLL にリンクします。
標準 MFC 静的リンク ライブラリには、MFC DLL の名前付け規則に説明されている規則に従って名前が付けられます。 ただし、MFC バージョン 3.0 以降では、リンク先の MFC ライブラリのバージョンをリンカーに手動で指定する必要がなくなりました。 代わりに、MFC ヘッダー ファイルにより、プリプロセッサの定義 (_DEBUG や _UNICODE など) に基づいて、リンク先の MFC ライブラリの正しいバージョンが自動的に決定されます。 MFC ヘッダー ファイにより、MFC ライブラリの特定のバージョンでリンクするようにリンカーに指示する /DEFAULTLIB ディレクティブが追加されます。