チュートリアル: MFC によるリボン アプリケーションの作成
このチュートリアルでは、MFC アプリケーション ウィザードを使用して、既定でリボンを備えたアプリケーションを作成する方法を説明します。 これにより、[お気に入り] リボン パネルを備えた [カスタム] リボン カテゴリを追加し、頻繁に使用するいくつかのコマンドをそのパネルに追加して、リボンを拡張できます。
前提条件
このチュートリアルは、[全般的な開発設定] を使用するように Visual Studio を設定していることが前提となります。 別の設定を使用している場合は、次の手順に示されているユーザー インターフェイス (UI) 要素のいくつかが既定では表示されないことがあります。
リボンを備えた MFC アプリケーションを作成するには
MFC アプリケーション ウィザードを使用して、リボンを備えた MFC アプリケーションを作成します。 お使いのバージョンの Visual Studio のウィザードを開く方法については、「チュートリアル: 新しい MFC シェル コントロールの使用」を参照してください。
MFC アプリケーションウィザードで、次のオプションを設定します。
[アプリケーションの種類] セクションの [Visual style and colors]\(表示スタイルと色\) で、[Office 2007 (青のテーマ)] を選択します。
[複合ドキュメント サポート] セクションで、[なし] が選択されていることを確認します。
[ドキュメント テンプレート プロパティ] セクションの [ファイル拡張子] ボックスに、このアプリケーションが作成するドキュメントのファイル名拡張子 (例: mfcrbnapp) を入力します。
[データベース サポート] セクション (Visual Studio 2015 のみ) で、[なし] が選択されていることを確認します。
[ユーザー インターフェイス機能] セクションで、[Use a ribbon]\(リボンを使用する\) が選択されていることを確認します。
MFC アプリケーション ウィザードでは、既定で複数のドッキング ペインのサポートが追加されます。 ただし、このチュートリアルで説明するのはリボンについてのみであるため、アプリケーションからこれらのオプションを削除します。 [高度な機能] セクションで、オプションをすべてオフにします。
[完了] をクリックして、MFC アプリケーションを作成します。
アプリケーションが正常に作成されたことを確認するために、アプリケーションをビルドして実行します。 アプリケーションをビルドするには、[ビルド] メニューの [ソリューションのビルド] をクリックします。 アプリケーションが正常にビルドされたら、[デバッグ] メニューの [デバッグの開始] をクリックして実行します。
ウィザードによって、[ホーム] という名前のリボン カテゴリを 1 つ備えたリボンが自動的に作成されます。 このリボンには、[クリップボード]、[ビュー]、および [ウィンドウ] という名前の 3 つのリボン パネルが含まれています。
カテゴリとパネルをリボンに追加するには
ウィザードで作成したリボン リソースを開くには、[表示] メニューで [その他のウィンドウ] をポイントし、[リソース ビュー] をクリックします。 [リソース ビュー] で、[リボン] をクリックし、[IDR_RIBBON] をダブルクリックします。
最初に [ツールボックス] 内の [カテゴリ] をダブルクリックし、カスタム カテゴリをリボンに追加します。
[Category1] というキャプションのカテゴリが作成されます。 既定では、カテゴリにはパネルが 1 つあります。
[Category1] を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。 [プロパティ] ウィンドウで、[キャプション] を「カスタム」に変更します。
[Large Images]\(大きいイメージ\) プロパティと [Small Images]\(小さいイメージ\) プロパティでは、このカテゴリのリボン要素のアイコンとして使用するビットマップを指定します。 カスタムのビットマップの作成はこのチュートリアルの対象外であるため、ウィザードで作成されたビットマップをそのまま使用します。 小さいビットマップは 16 × 16 ピクセルです。 小さいイメージには、
IDB_FILESMALL
というリソース ID でアクセスされるビットマップを使用します。 大きいビットマップは 32 × 32 ピクセルです。 大さいイメージには、IDB_FILELARGE
というリソース ID でアクセスされるビットマップを使用します。Note
高解像度 (HDPI: High Dots per Inch) 表示では、HDPI 版のイメージが自動的に使用されます。
次は、パネルをカスタマイズします。 パネルは、互いに論理的に関連する項目をグループ化するために使用されます。 たとえば、このアプリケーションの [ホーム] タブの [切り取り]、[コピー]、および [貼り付け] の各コマンドをすべて [クリップボード] パネルに配置します。 パネルをカスタマイズするには、[Panel1] を右クリックしてから [プロパティ] をクリックします。 [プロパティ] ウィンドウで、[キャプション] を「お気に入り」に変更します。
パネルの [Image Index]\(イメージ インデックス\) を指定できます。 この番号により、リボン パネルをクイック アクセス ツール バーに追加した場合に表示されるアイコンが指定されます。 このアイコンは、リボン パネルそのものには表示されません。
リボンのカテゴリとパネルが正しく作成されたことを確認するために、リボン コントロールをプレビューします。 Ribbon エディター ツール バーの [Ribbon のテスト] ボタンをクリックします。 [カスタム] タブと [お気に入り] パネルがリボンに表示されます。
リボン パネルに要素を追加するには
前の手順で作成したパネルに要素を追加するには、[ツールボックス] の [リボン エディター] セクションからデザイン ビュー内のパネルにコントロールをドラッグします。
まず、[印刷] ボタンを追加します。 [印刷] ボタンには、既定のプリンターを使用して印刷する [クイック印刷] コマンドを含むサブメニューを指定します。 このアプリケーションに対して、両方のコマンドが既に定義されています。 これらはアプリケーションのメニュー内にあります。
[印刷] ボタンを作成するために、Button ツールをパネルにドラッグします。
[プロパティ] ウィンドウで、[ID] プロパティを定義済みの [ID_FILE_PRINT] に変更します。 [キャプション] を「印刷」に変更します。 [Image Index]\(イメージ インデックス\) を「4」に変更します。
[クイック印刷] ボタンを作成するには、[メニュー項目] の横にあるプロパティ値列をクリックし、省力記号 ([...]) をクリックします。項目エディターで、ラベルのない [追加] ボタンをクリックして、メニュー項目を作成します。 [プロパティ] ウィンドウで、[キャプション]、[ID]、[イメージ] を、それぞれ「クイック印刷」、「ID_FILE_PRINT_DIRECT」、「5」に変更します。 イメージのプロパティによって、
IDB_FILESMALL
ビットマップ リソースの中にある [クイック印刷] アイコンが指定されます。ボタンがリボン パネルに追加されたことを確認するには、アプリケーションをビルドして実行します。 アプリケーションをビルドするには、[ビルド] メニューの [ソリューションのビルド] をクリックします。 アプリケーションが正常にビルドされたら、[デバッグ] メニューの [デバッグの開始] をクリックして、アプリケーションを実行します。 リボンの [カスタム] タブの [お気に入り] パネルに [印刷] ボタンとコンボ ボックスが表示されます。
次のステップ
エンド ツー エンドのサンプルについては、サンプル (MFC Feature Pack) に関するページを参照してください。