返品原価価格と返品のロット ID について
適用: Microsoft Dynamics AX 2012 R3, Microsoft Dynamics AX 2012 R2, Microsoft Dynamics AX 2012 Feature Pack, Microsoft Dynamics AX 2012
Microsoft Dynamics Axで、在庫に戻される製品の原価は、製品の現在の原価を使用して計算されます。ただし、顧客に製品を販売したときは、返品の原価を製品の原価と等しくする場合があります。[販売注文] フォームで、[明細行の詳細] FastTab の [返品のロット ID] フィールドを使用して、これを行うことができます。
たとえば、次のシナリオを考えてみます。顧客に請求書を送付します。その後、顧客に出荷された製品が返品されます。その製品を在庫に返します。この場合、その顧客の返品された製品を貸方に記入するとき、その製品の原価は製品の現在の原価を使用して計算されます。ただし、 [返品のロット ID] フィールドを使用する場合は、返品された製品の原価は、顧客に対する元の販売請求書の原価を使用して計算されます。
顧客からの返品の現在の原価以外の原価を使用するには、次の方法の 1 つを使用します。
方法 1: 返品原価価格を手動で入力
品目を返品注文に追加する場合、既定では、その品目は現在の原価価格で在庫に戻されます。別の返品原価価格を指定するには、次の手順に従います。
販売とマーケティング >共通 >返品注文 >すべての返品注文 をクリックします。
[アクション ウィンドウ] の[新規] グループで、[返品注文] をクリックします。
[返品注文の作成] フォームで顧客 ID を選択し、[OK} をクリックします。
[返品注文 - RMA 番号: %1、%2] フォームで、品目を選択し、[数量] フィールドに負の数量を入力します。
[明細行の詳細] FastTab をクリックします。
[一般] タブの [返品原価価格] フィールドに値を入力します。この値は、商品が在庫に戻されたときに使用されます。値を入力しなかった場合、商品が在庫に戻されたとき、現在の原価価格が使用されます。
方法 2: 顧客請求明細行に基づいて、原価価格を自動的に生成
これは、返品明細行の作成に使用する推奨される方法です。顧客に製品を販売した時点の製品の原価を使用するには、返品注文を作成し、返品する販売明細行を指定します。
販売とマーケティング >共通 >返品注文 >すべての返品注文 をクリックします。
[アクション ウィンドウ] の[新規] グループで、[返品注文] をクリックします。
[返品注文の作成] フォームで顧客 ID を選択し、[OK} をクリックします。
[返品注文 - RMA 番号: %1、%2] フォームの [アクション ウィンドウ] で、[販売注文の検索] をクリックします。
[販売注文の検索] フォームで、返品する請求明細行を選択し、 [OK] をクリックします。
[明細行の詳細] FastTab で、[一般] タブの [返品のロット ID] フィールドに、元の販売明細行の値を表示します。また、 [返品原価価格] フィールドには、元の販売注文明細行から原価価値が表示されます。
原価計算の例
返品注文明細行の [返品のロット ID] フィールドを使用して返品原価価格を指定するとき、返品注文明細行の原価が使用されます。在庫決算または再計算機能を実行する場合、原価が元の販売注文明細行に対して調整されます。返品注文明細行の原価は、区分ごとに同じ原価を反映するように自動的に調整されます。
テストという製品を作成し、リリースします。[リリース済製品の詳細] フォームで、次の情報を指定します。
[原価の管理] FastTab の [品目グループ] フィールドで、[部品] グループを選択します。
[一般] FastTab の [品目モデル グループ] フィールドで、[DEF] を選択します。
[購買] FastTab の [価格] フィールドに、品目の原価価格として 10.00 を入力します。
[アクション ウィンドウ] で [分析コード グループ] をクリックします。[保管分析コード グループ] フィールドで、[サイトと倉庫のみ] を選択します。[追跡用分析コード グループ] フィールドで、[有効な追跡用分析コードなし] を選択します。
1 個 6.00 のテスト品目の 10 個の発注書を作成し、発注書の請求書を転記します。
1 個 8.00 のテスト品目 10 個のもう 1 つの発注書を作成し、発注書の請求書を転記します。
テスト品目 5 個を販売する販売注文の請求書を転記します。
この場合、販売注文明細行が 35.00 (5 個 * 7.00 平均原価/1 個) で原価計算されます。
顧客に対する返品注文を作成します[販売注文の検索] フォームで、請求明細行を選択し、 [OK] をクリックします。
[返品注文 - RMA 番号: %1、%2] フォームで、テスト品目を返品すつための返品注文が生成されることを確認します。返品注文の数量が -5.00 に設定されます。
[返品のロット ID] フィールドにロット ID が表示されます。このロット ID は、顧客に販売された品目の元の販売注文から取得されます。[返品原価価格] フィールドに、元の販売注文明細行から原価価値が表示されます。
返品品目の受入を登録します。
返品品目の梱包明細を転記します。
返品注文の請求書を転記します。[すべての販売注文] リスト ページで、注文タイプが [返品済注文] の販売注文を選択します。
"在庫トランザクション" フォームを開きます。返品の原価は、[返品原価価格] フィールドの値を使用して 1 個 7.00 であり、[原価金額] フィールドから合計 35.00 であることを確認します。"在庫トランザクション" フォームは、"返品注文 - RMA 番号: %1、%2" フォームから開くことができます。[明細行] グリッドで、[在庫]、[トランザクション] を順にクリックします。
在庫および倉庫管理で、[決算と調整] フォームを使用して、[3. 決算] 手順を実行します。
このアクションでは、-35.00 (5 個 * 7.00) と原価計算された元の販売明細行の原価が、-30.00 (5 個 * 6.00) に調整されます。これは、在庫モデル グループが先入れ先出し (FIFO) を使用し、1 個 6.00 は最初の発注書の FIFO 原価であるからです。また、このアクションでは、元の販売注文明細行の 1 個あたりの原価に合わせて、返品販売明細行の原価が調整されます。したがって、返品明細行の原価は 35.00 から 30.00 に調整されます。