Microsoft Teams の通話フロー

ヒント

Teams でのユーザーのネットワークの活用方法と最適なネットワーク接続を計画する方法については、次のセッションをご覧ください: Teams のネットワーク計画

概要

この記事では、Teams で Microsoft 365 または Office 365 の通話フローがさまざまなトポロジで使用される方法について説明します。 また、ピアツーピアのメディア 通信で使用される固有の Teams のフローについても説明します。 この記事では、これらのフロー、その目的、ネットワーク上でのフローの始端と終端について説明します。 この記事では次のことを想定しています:

  • Flow X は、オンプレミスのクライアントがクラウドの Microsoft 365 または Office 365 サービスと通信するために使用されます。 これは、顧客ネットワークが始端となり、Microsoft 365または Office 365 がエンドポイントとして終端します。

  • フロー Y は、Microsoft 365 または Office 365 が依存しているインターネット上のサービスと通信するためにオンプレミスのクライアントによって使用されます。 これは、顧客ネットワークが始端となり、インターネット上のエンドポイントとして終端します。

この記事には、次の情報が記載されています:

  • 背景。 フローが通過する可能性があるネットワーク、トラフィックの種類、顧客のネットワークから Microsoft 365 またはOffice 365 のサービス エンドポイントへの接続に関するガイダンス、サードパーティ製のコンポーネントとの相互運用性、Teams がメディア フローの選択に使用する原則などの背景情報を提供します。

  • さまざまなトポロジにおける通話フロー。 さまざまなトポロジでの通話フローの使用を示します。 このセクションでは、各トポロジについて、サポートされるすべてのフローを列挙し、これらのフローの使用方法をいくつかのユース ケースを使って示します。 各ユース ケースについて、フローの順序と選択をフロー図を用いて示します。

  • Teams と Express Route 最適化。 Express Route が最適化のために使用される場合の、これらのフローの使用方法について、単純なトポロジを使用して分かりやすく説明します。

背景

ネットワーク セグメント

顧客ネットワーク。 これは、ユーザーが制御および管理するネットワーク セグメントです。 これには、顧客のオフィス内の有線または無線によるすべての接続、オフィスビル間の接続、オンプレミス データセンターへの接続、インターネット プロバイダーへの接続、Express Route、またはプライベート ピアリングへの接続が含まれます。

通常、顧客ネットワークには、ファイアウォールおよび/またはプロキシ サーバーを使用して組織のセキュリティ ポリシーを適用するネットワーク境界が複数あり、設定と構成を行った特定のネットワーク トラフィックのみが許可されるようになっています。 このネットワークの管理を行うのはユーザーであるため、ユーザーはネットワークのパフォーマンスを直接管理できます。ネットワーク上のサイトとネットワークから Microsoft 365 または Office 365 のネットワークの接続の両方のパフォーマンスについて、ネットワーク評価を行うことを強くお勧めします。

インターネット。 これはネットワーク全体の一部で、顧客ネットワークの外部からMicrosoft 365 または Office 365 に接続するユーザーによって使用されるネットワークのセグメントです。 また、顧客ネットワークから Microsoft 365 または Office 365 へのトラフィックの一部にも使用されます。

アクセスした、またはゲストのプライベート ネットワーク。 このネットワーク セグメントは顧客のネットワークには属しませんが、パブリック インターネットではアクセスできません。でもユーザーとそのゲストはアクセスする可能性があります。(たとえば、ホーム プライベート ネットワークやエンタープライズ プライベート ネットワークなどで、Teams を使用しない場合でも、Teams サービスを操作するユーザーまたは顧客が存在する可能性があります)。

注意

Microsoft 365 または Office 365 への接続は、これらのネットワークにも適用されます。

Microsoft 365 または Office 365。 これは、Microsoft 365 または Office 365 のサービスをサポートするネットワーク セグメントです。 これは世界中に分散しているネットワークで、ほとんどの場所で顧客ネットワークに近接するエッジを使用しています。 機能には、トランスポート リレー、会議サーバー、およびメディア プロセッサが含まれます。

Express Route (オプション)。 これはネットワーク全体の一部で、Microsoft 365 または Office 365 ネットワークへの専用のプライベート接続を提供するネットワーク セグメントです。

トラフィックの種類

リアルタイムのメディア。 オーディオ、ビデオ、および画面共有のワークロードをサポートする RTP (リアルタイム転送プロトコル) 内にカプセル化されたデータ。 一般的に、メディア トラッフィックは遅延に対して非常に敏感なため、このトラフィックはできるだけ直接的な経路を使用し、トランスポート層プロトコルとして TCP ではなく、品質の点で対話的なリアルタイム メディアには最良のトランスポートである UDP を使用します。 (注: 最後の手段として、メディアには TCP/IP を使用し、HTTP プロトコル内でトンネリングすることができますが、品質に悪影響を与える可能性があるため、お勧めできません)。RTP フローは SRTP を使用して保護され、ペイロードのみが暗号化されます。

シグナリング。 クライアントとサーバーまたはその他のクライアントとの間の通信リンクで、アクティビティの制御 (たとえば、通話が開始された場合など) とインスタント メッセージの配信に使用されます。 ほとんどのシグナリング トラフィックは HTTPS ベースの REST インターフェイスを使用しますが、一部の シナリオ (Microsoft 365 または Office 365 とセッション ボーダー コントローラーの間の接続など) では、SIP プロトコルを使用します。 このトラフィックは遅延に対してあまり敏感ではありませんが、エンドポイント間に数秒を超える遅延があった場合、サービス停止や通話のタイムアウトが発生する可能性がある点にご注意ください。

Microsoft 365 または Office 365 への接続

Teams を使用するには、インターネットへの接続が必要です。 Teams のエンドポイントの URL と IP アドレスの範囲は、「Office 365 の URL と IP アドレスの範囲」に記載されています。 TCP ポート 80 と 443、UDP ポート 3478 (STUN)、3479 (オーディオ)、3480 (ビデオ)、3481 (共有/VBSS) へのオープン接続が必要であることに注意してください。

Teams のメディア フロー接続は、標準の IETF ICE (Interactive Connectivity Establishment) の手順に従って実装されます。

相互運用性の制限

サードパーティ製メディア リレー。 Teams のメディア フロー (つまり、いずれかのメディア エンドポイントが Teams である場合) は、Teams または Skype for Business のネイティブ メディア リレーのみを通過できます。 サードパーティ製メディア リレーとの相互運用性は、サポートされていません。 (注: PSTN との境界にあるサードパーティの SBC は、RTP/RTCP ストリーム を終了し、SRTP を介して保護されている必要があり、次のホップにリレーさせることはできません)。

サードパーティの SIP プロキシ サーバー。 サードパーティの SBC および/またはゲートウェイを使用する Teams のシグナリング SIP ダイアログは、 Teams または Skype for Business のネイティブ SIP プロキシを通過する可能性があります。 サードパーティ製 SIP プロキシとの相互運用性は、サポートされていません。

サードパーティ製 B2BUA (または SBC)。 PSTN との間の Teams メディア フローは、サードパーティ製 SBC で終了します。 ただし、Teams ネットワーク内のサードパーティー製 SBC との相互運用性 (つまり、サードパーティ製 SBC が Teams と Skype for Business の 2 つのエンドポイントの間を仲介しています) はサポートされていません。

VPN ネットワーク。 メディア トラフィック (またはフロー 2') にはお勧めできません。 「Lync メディアが VPN トンネルをバイパス可能にする」で指定されているように、VPN クライアントはスプリット トンネルを使用し、外部の非 VPN ユーザーなどの Teams メディア トラフィックをルーティングする必要があります。

注意

タイトルは Lync となっていますが、Teams にも適用できます。

パケット シェーパー。 あらゆる種類のパケット スニッパー、パケット検査、またはパケット シェーパー デバイスは、Teams メディア トラフィックには推奨されず、品質が大幅に低下する可能性があります。

原則

Microsoft Teams の通話フローを理解するのに役立つ、4つの一般的な原則があります。

  • Microsoft Teams の会議は、最初の参加者が参加したのと同じ地域の Microsoft 365 または Office 365 によってホストされます。 (注: トポロジによってこのルールの例外が発生する場合については、この記事で説明します。適切な通話フローも示されます。)

  • Microsoft 365 または Office 365 の Teams メディア エンドポイントは、通話の種類に基づいてではなく、メディア処理のニーズに基づいて使用されます。 (たとえば、ポイントツーポイントの通話では、トランスクリプションおよび/または録音のためのメディア処理に、クラウド内のメディア エンドポイントを使用する場合がありますが、参加者が 2 人の会議ではクラウド内のメディア エンドポイントを使用しない場合があります。) ただし、ほとんどの会議では、ミキシングおよびルーティングのために、会議がホストされる場所に割り当てられているメディア エンドポイントが使用されます。 クライアントからメディア エンドポイントに送信されるメディア トラフィックは、直接ルーティングされる場合と、顧客ネットワークのファイアウォール制限のために必要な場合は、Microsoft 365 または Office 365 でトランスポート リレーを使用する場合とがあります。

  • ピアツーピア通話のメディア トラフィックは、通話でクラウド内のメディア エンドポイントが要求されていない限り (上の原則を参照)、使用できる最も直接的なルートを使用します。 リモート ピア (クライアント) への直接のルートが優先されますが、このルートが利用できない場合は、1 つまたは複数のトランスポート リレーがトラフィックを中継します。 メディアの品質に影響を与えるため、メディア トラフィックがパケット シェーパーや VPN サーバーなどのサーバーを通過しないことが推奨されます。

  • シグナリング トラフィックは、常にユーザーに最も近いサーバーに送信されます。

選択されているメディア経路の詳細については、「Microsoft Teams のメディアフローを理解する-BRK4016」を参照してください。

さまざまなトポロジにおける通話フロー

Teams のトポロジ

このトポロジは、Skype for Business Server や電話システムのダイレクト ルーティングなどのオンプレミスの展開がない状態でクラウドから Teams のサービスを利用するお客様に使用されます。 また、Microsoft 365 または Office 365 のインターフェイスは、Azure Express Route を使用せずにインターネット経由で実行されます。

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 01。

図 1 - Teams のトポロジ

次の点に注意してください。

  • 上の図の矢印の方向は、エンタープライズ境界での接続に影響を与える、通信の開始方向を反映します。 メディアの UDP については、最初のパケットは逆方向に流れる場合がありますが、これらのパケットは、別の方向へのパケットが流れるまでブロックされる場合があります。
  • Teams は、Skype for Business Online と並行して展開されます。そのため、クライアントは "Teams/SFB ユーザー" として表示されています。

次のオプションのトポロジの詳細については、この記事の後の方で説明します。

  • Skype for Business のオンプレミスの展開については、「Teams ハイブリッド トポロジ」を参照してください。
  • 電話システムのダイレクト ルーティング (PSTN 接続用) については、「ダイレクト ルーティングを使用する Teams」を参照してください。
  • Express Route については、「Express Route による Teams の最適化」を参照してください。

フローの説明

  • フロー 2 – ユーザーが、Teams の操作の一部として顧客ネットワーク上で開始するインターネットへのフローを表します。 この種類のフローの例は、DNS とピアツーピア メディアです。
  • フロー 2' – Teams のリモート モバイル ユーザーが VPN を使用して開始する顧客ネットワークへのフローを表します。
  • フロー 3 – Teams のリモート モバイル ユーザーが開始する Microsoft 365 または Office 365/Teams のエンドポイントへのフローを表します。
  • フロー 4 – 顧客ネットワーク上のユーザーが開始する Microsoft 365 または Office 365/Teams のエンドポイントへのフローを表します。
  • フロー 5 – Teams ユーザーと別の Teams ユーザーまたは顧客ネットワーク内の Skype for Business ユーザーの間のピアツーピア メディア フローを表します。
  • フロー 6 – Teams のリモート モバイル ユーザーと別の Teams のリモート モバイル ユーザーまたは Skype for Business ユーザーの間の、インターネットを介したピアツーピア メディア フローを表します。

ユース ケース: 一対一

一対一の通話では共通のモデルが使用され、発信者は、ローカル、リレー、および再帰 (リレーから見える、クライアントのパブリック IP アドレス) の候補を含む、IP アドレス/ポートから成る候補のセットを取得します。 発信者は、これらの候補を通話相手に送信します。通話を受けた相手は、同様の候補のセットを取得し、それを発信者に送信します。 STUN 接続確認メッセージは、発信者/受信者のメディア パスはどれが機能しているかを判断し、機能しているパスの中から最適のものを選択します。 その後、選択された候補のペアを使用してメディア (つまり、SRTP を介して保護された RTP/RTCP パケット) が送信されます。 トランスポート リレーは、Microsoft 365 および Office 365 の一部として展開されます。

ローカル IP アドレス/ポートの候補または再帰候補に接続がある場合、クライアント間のダイレクト パス (または NAT 経由) がメディア用に選択されます。 クライアントが両方とも顧客ネットワーク上にいる場合は、ダイレクト パスが選択されるはずです。 これには、顧客ネットワーク内での UDP への直接接続が必要です。 クライアントが両方とも Nomadic Crowd のユーザーである場合、NAT/ファイアウォールによっては、メディアは直接接続を使用する可能性があります。

一方のクライアントが顧客ネットワーク内にいて、もう一方のクライアントが外部にいる (モバイル クラウド ユーザーなど) 場合、ローカル候補と再帰候補の間の直接接続は正常に機能しない可能性が高いです。 この場合、どちらかのクライアントが、トランスポート リレー候補のいずれかを使用するというオプションがあります (たとえば、内部のクライアントが Microsoft 365 または Office 365 のトランスポート リレーからリレー候補を取得した場合は、外部のクライアントは STUN/RTP/RTCP パケットをトランスポート リレーに送信できる必要があります)。 別のオプションとして、内部のクライアントが、モバイル クラウド クライアントが取得したリレー候補に送信するというものです。 メディアの場合は UDP 接続を強く推奨しますが、TCP もサポートされています。

大まかな手順:

  1. Teams ユーザー A が、フロー 2 経由で URL ドメイン名 (DNS) を解決します。
  2. Teams ユーザー A が、フロー 4 経由で Teams トランスポート リレーでメディア リレー ポートを割り当てます。
  3. Teams ユーザー A は、フロー 4 経由で Microsoft 365ま たは Office 365 へ「招待」を ICE 候補と共に送信します。
  4. Microsoft 365 または Office 365 は、フロー 4 経由で Teams ユーザー B に通知を送信します。
  5. Teams ユーザー B が、フロー 4 経由で Teams トランスポート リレーでメディア リレー ポートを割り当てます。
  6. Teams ユーザー B が、フロー 4 経由で「回答」 を ICE 候補と共に送信し、これはフロー 4 経由で Teams ユーザー A に戻されます。
  7. Teams ユーザー A および Teams ユーザー B が ICE 接続テストを実行し、最適なメディア パスが選択されます (下の図でさまざまなユース ケースをご覧ください)。
  8. Teams ユーザーが、フロー 4 経由でテレメトリを Microsoft 365 または Office 365 に送信します。

顧客ネットワーク内:

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 02。

図 2 - 顧客ネットワーク内

手順 7 では、ピアツーピア メディア フロー 5 が選択されています。

メディアは双方向です。 フロー 5 の方向は、この記事のすべてのフローの場合と同様、一方が通信を開始したことを接続の観点から示します。 このケースでは両方のエンドポイントが顧客ネットワーク内にあるため、使用されている方向を考慮する必要がありません。

顧客ネットワークから外部ユーザーへ (メディアは Teams トランスポート リレーが中継):

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 03。

図 3 - 顧客ネットワークから外部ユーザーへ (メディアは Teams トランスポート リレーが中継):

手順 7 では、フロー 4 (顧客ネットワークからMicrosoft 365 または Office 365) とフロー 3 (Teams リモート モバイル ユーザーからMicrosoft 365 または Office 365) が選択されています。 これらのフローは、Microsoft 365 または Office 365 内の Teams トランスポート リレーにより中継されます。

メディアは双方向で、どちら側が通信を開始したかを接続の観点から方向で示します。 この場合、これらのフローは、異なるトランスポート プロトコルとアドレスを使用して、シグナリングとメディアに使用されます。

顧客ネットワークから外部ユーザーへ (ダイレクト メディア):

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 04。

図 4 - 顧客ネットワークから外部ユーザーへ (ダイレクト メディア)

手順 7 では、顧客ネットワークから インターネット (クライアントのピア) のフロー 2 が選択されています。

  • リモート モバイル ユーザー (Microsoft 365 または Office 365 経由では中継されていません) とのダイレクト メディアは省略可能です。 Microsoft 365 または Office 365 のトランスポート リレー経由のメディア パスを強制するために、顧客はこのパスをブロックできることを意味します。

  • メディアは双方向です。 モバイル ユーザーへのフロー 2 の方向は、一方が通信を開始したことを接続の観点から示します。

VPN から内部ユーザーへ (メディアは Teams トランスポート リレーが中継)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 05。

図 5 - VPN ユーザーから内部ユーザーへ (メディアは Teams トランスポート リレーが中継)

VPN と顧客ネットワークとの間のシグナリングは、フロー 2' を使用しています。 顧客ネットワークと Microsoft 365 または Office 365 の間のシグナリングはフロー 4 を使用します。 ただし、メディアは VPN をバイパスし、Microsoft 365 または Office 365 の Teams メディア リレーを介してフロー 3 とフロー 4 経由でルーティングされます。

VPN ユーザーから内部ユーザーへ (ダイレクトメディア)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 06。

図 6 - VPN ユーザーから内部ユーザーへ (ダイレクトメディア)

VPN と顧客ネットワークとの間のシグナリングは、フロー 2' を使用しています。 顧客ネットワークと Microsoft 365 または Office 365 の間のシグナリングはフロー 4 を使用します。 ただし、メディアは VPN をバイパスし、フロー 2 (顧客ネットワークからインターネット) 経由でルーティングされます。

メディアは双方向です。 モバイル ユーザーへのフロー 2 の方向は、一方が通信を開始したことを接続の観点から示します。

VPN ユーザーから外部ユーザーへ (ダイレクトメディア)

Microsoft Teams 通話フローの図 07。

図 7 - VPN ユーザーから外部ユーザーへ (ダイレクトメディア)

VPN ユーザーと顧客ネットワーク間のシグナリングにはフロー 2 ' を使用して、フロー 4 を Microsoft 365 または Office 365 に使用します。 ただし、メディアは VPN をバイパスし、フロー 6 経由でルーティングされます。

メディアは双方向です。 モバイル ユーザーへのフロー 6 の方向は、一方が通信を開始したことを接続の観点から示します。

ユース ケース: Microsoft 365 または Office 365 の トラ ンクを使用して、Teams から PSTNへ。

Microsoft 365 および Office 365 には、公衆交換電話網 (PSTN) から、通話を発信および受信できる電話システムがあります。 PSTN トランクが電話システムの通話プランで接続されている場合、このユース ケースに関しては特別な接続要件はありません。 (自社のオンプレミスの PSTN トランクを Microsoft 365 または Office 365 に接続する場合は、電話システムのダイレクト ルーティングを使用できます。)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 08。

図 8 - Office 365 トランク経由で Teams から PSTN へ

ユースケース: Teams 会議

音声/ビデオ/画面共有 (VBSS) 会議サーバーは、Microsoft 365 および Office 365 の一部です。 これには顧客ネットワークから到達可能である必要があるパブリック IP アドレスが含まれ、これは、Nomadic Cloud のクライアントから到達可能である必要があります。 各クライアント/エンドポイントは、会議サーバーに接続できる必要があります。

内部クライアントは、一対一の通話で説明したのと同じ方法でローカル、再帰、およびリレー候補を取得します。 クライアントは、招待状にある会議サーバーにこれらの候補を送信します。 会議サーバーは、公開されている IP アドレスを持っているためにリレーを使用しません。そのため、会議サーバーのローカル IP アドレス候補が返されます。 クライアントと会議サーバーは、一対一の通話で説明したのと同じ方法で接続を確認します。

次の点に注意してください。

  • Teams のクライアントは Skype for business 会議に参加できず、Skype for Business のクライアントは Teams 会議に参加できません。

  • PSTN ユーザーは、会議開催者の PSTN 通話および/または会議のプロビジョニングに応じて、「ダイヤル イン」 または「ダイヤル アウト」することもできます。

  • ゲスト ユーザーまたは顧客ユーザーはゲスト プライベートネットワークから参加できます。このネットワークは、厳密なルールを適用して FW/NAT を介して保護されています。

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 09。

図 9 - Teams 会議

ユース ケース: Skype for Business オンプレミス とのフェデレーション

Microsoft 365 または Office 365 で Teams トランスポート リレーによって中継されたメディア

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 10。

図 10 - Office 365 内の Teams トランスポート リレーにより中継されるメディア

次の点に注意してください。

  • フェデレーションは、その性質上、2 つのテナント間の通信です。 この例では、Teams を使用する テナント A は、Skype for Business オンプレミスを使用するテナント B とフェデレーションします。 もしテナント B も Microsoft 365 または Office 365 を使用していた場合は、Skype for Business クライアントは Microsoft 365 または Office 365 との接続にフロー 3 を使用していたはずです。

  • フェデレーションされた Skype for Business クライアントからオンプレミスの Skype for Business サーバーへのシグナリングとメディアについては、この記事では説明しません。 説明をわかりやすくするためにこれを図に示します。

  • Teams と Skype for Business の間のシグナリングは、ゲートウェイによりブリッジされます。

  • メディアはこの場合、Teams トランスポート リレーにより、フロー 4 経由で 顧客ネットワークとリモートの Skype for Business クライアントに中継されます。

フェデレーションされたテナントの Skype for Business メディア リレーによって中継されるメディア

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 11。

図 11 - フェデレーションされたテナントの Skype for Business メディア リレーによって中継されるメディア

次の点に注意してください。

  • フェデレーションされた Skype for Business クライアントからオンプレミスの Skype for Business サーバーへのシグナリングとメディアについては、この記事では説明しませんが、 説明をわかりやすくするためにこれを図に示します。

  • Teams と Skype for Business の間のシグナリングは、ゲートウェイによりブリッジされます。

  • メディアはこの場合、Skype for Business オンプレミス メディア リレーにより、フロー 2 経由で顧客ネットワークに中継されます。 (Teams ユーザーからフェデレーション顧客ネットワーク内のリモート Media Relay へのトラフィックは、逆方向のトラフィックが流れ始めるまで、メディア リレーによって最初にブロックされることに注意してください。ただし、双方向フローは双方向の接続を開きます)。

直接 (ピアツーピア)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 12。

図 12 - 直接 (ピアツーピア)

Teams ハイブリッド トポロジ

このトポロジには、Skype for Business のオンプレミス展開を使用する Teams が含まれます。

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 13。

図 13 - Teams ハイブリッド トポロジ

  • 上の図の矢印の方向は、エンタープライズ境界での接続に影響を与える、通信の開始方向を反映します。 メディアの UDP については、最初のパケットは逆方向に流れる場合がありますが、これらのパケットは、別の方向へのパケットが流れるまでブロックされる場合があります。

  • Teams は、Skype for Business Online と並行して展開されます。そのため、クライアントは "Teams/SFB ユーザー" として表示されています。

その他のフロー (Teams のトポロジへの追加)

  • フロー 5 A – 顧客ネットワーク内の Teams ユーザーと、顧客ネットワークのエッジにある Skype for Business オンプレミス メディア リレーとの間の、ピアツーピアのメディア フローを表します。

ユース ケース: Teams から Skype for Business へ、一対一

顧客ネットワーク内のハイブリッド

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 14。

図 14 - 顧客ネットワーク内のハイブリッド

Teams と Skype for Business の間のシグナリングは、ゲートウェイによりブリッジされます。 ただし、メディアは顧客ネットワーク内で、フロー 5 経由でピアツーピアに直接ルーティングされます。

ハイブリッドの顧客ネットワークから外部の Skype for Business ユーザーへ (Microsoft 365 または Office 365 により中継)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 15。

図 15 - ハイブリッドの顧客ネットワークから外部の Skype for Business ユーザーへ (Office 365 により中継)

次の点に注意してください。

  • Skype for Business クライアントからオンプレミスの Skype for Business サーバーへのシグナリングとメディアについては、この記事では説明しませんが、 説明をわかりやすくするためにこれを図に示します。

  • Teams と Skype for Business の間のシグナリングは、ゲートウェイによりブリッジされます。

  • メディアは、 Teams トランスポート リレーを通して、フロー 4 経由で顧客ネットワークに中継されます。

ハイブリッドの顧客ネットワークから外部の Skype for Business ユーザーへ (オンプレミス エッジ により中継)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 16。

図 16 - ハイブリッドの顧客ネットワークから外部の Skype for Business ユーザーへ (オンプレミス エッジ により中継)

次の点に注意してください。

  • Skype for Business クライアントからオンプレミスの Skype for Business サーバーへのシグナリングとメディアについては、この記事では説明しませんが、 説明をわかりやすくするためにこれを図に示します。

  • シグナリングは、ゲートウェイによってブリッジされます。

  • メディアは、Skype for Business オンプレミス エッジ内の Skype for Business メディア リレーにより、フロー 5A 経由で顧客ネットワーク内の Teams ユーザーに中継されます。

電話システムのダイレクト ルーティングを使用する Teams のトポロジ

このトポロジには、電話システムのダイレクト ルーティングを使用する Teams が含まれます。

ダイレクト ルーティングを使用すると、サポートされているオンプレミスの、顧客が所有するセッション ボーダー コントローラー (SBC) 機器デバイスを Microsoft 365 または Office 365 にペアリングし、次にテレフォニー トランクをそのデバイスに接続することにより、サードパーティ製公衆交換電話網 (PSTN) の サービス プロバイダーを利用できるようになります。

このシナリオをサポートするには、顧客は、Microsoft の認定パートナーのいずれかによりダイレクト ルーティング用に認定された SBC を展開する必要があります。 SBC は製造元の推奨通りに構成する必要があり、Microsoft 365 または Office 365 からのダイレクト UDP トラフィックがルーティング可能である必要があります。 メディアは、Teams および/または Skype for Business クライアントから SBC に直接流れることも (Teams ゲートウェイをバイパスして)、Teams ゲートウェイを通過することもできます。 トランクが Teams ゲートウェイをバイパスするように構成されている場合は、SBC との接続は ICE に基づきます。SBC では ICE-Lite がサポートされ、Teams/Skype for Business のメディア エンドポイントでは ICE フル フォームがサポートされます。

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 17。

*図 17 - 電話システムのダイレクト ルーティングを使用する Teams のトポロジ

次の点に注意してください。

  • 上の図の矢印の方向は、エンタープライズ境界での接続に影響を与える、通信の開始方向を反映します。 メディアの UDP については、最初のパケットは逆方向に流れる場合がありますが、これらのパケットは、別の方向へのパケットが流れるまでブロックされる場合があります。

  • Teams は、Skype for Business Online と並行して展開されます。そのため、クライアントは "Teams/SFB ユーザー" として表示されています。

その他のフロー (Teams のトポロジへの追加):

  • フロー 4' - クラウド内の Teams メディア サーバーとオンプレミスの SBC との間の接続を確立するために使用される、Microsoft 365 または Office 365 から顧客ネットワークへのフローを表します。
  • フロー 5B - バイパス モードでの、顧客ネットワーク内の Teams ユーザーとバイパス モードのダイレクト ルーティング SBC のメディア フローを表します。
  • フロー 5C – PSTN ヘアピン コール バイパス モードでの、ダイレクト ルーティング SBC と別のダイレクト ルーティング SBC と間のメディア フローを表します。

ダイレクト ルーティングによる内部ユーザー (メディアはTeams トランスポート リレーが中継)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 18。

図 18 - ダイレクト ルーティングによる内部ユーザー (メディアは Teams トランスポート リレーが中継)

次の点に注意してください。

  • SBC には、Microsoft 365 または Office 365 からルーティング可能なパブリック IP アドレスが必要です。

  • SBC から Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびメディアは、フロー4 および/またはフロー 4' を使用します。

  • 顧客ネットワーク内のクライアントから Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびメディアは、フロー 4 を使用します。

ダイレクト ルーティングを使用するリモート ユーザー (メディアは メディア サーバー (MP) 経由でルーティング)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 19。

図 19 - ダイレクト ルーティングを使用するリモート ユーザー (メディアはメディア サーバー (MP) 経由でルーティング)

次の点に注意してください。

  • SBC には、Microsoft 365 または Office 365 からルーティング可能なパブリック IP アドレスが必要です。

  • SBC から Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびメディアは、フロー4 および/またはフロー 4' を使用します。

  • インターネット上のクライアントから Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびメディアは、フロー 3 を使用します。

内部ユーザーのダイレクト ルーティング (メディアはバイパス)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 20。

図 20 - 内部ユーザーのダイレクト ルーティング (メディアはバイパス)

次の点に注意してください。

  • SBC には、Microsoft 365 または Office 365 からルーティング可能なパブリック IP アドレスが必要です。

  • SBC から Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびその逆のシグナリングは、フロー4 および/またはフロー 4' を使用します。

  • 顧客ネットワーク内のクライアントから Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングは、フロー 4 を使用します。

  • 顧客ネットワーク内のクライアントから顧客ネットワーク内の SBC へのメディアは、フロー 5B を使用します。

ダイレクト ルーティングによるリモート ユーザー (メディアのパイパスは Teams トランスポート リレーが中継)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 21。

図 21 - ダイレクト ルーティングによるリモート ユーザー (メディアのパイパスは Teams トランスポート リレーが中継)

次の点に注意してください。

  • SBC には、Microsoft 365 または Office 365 およびインターネットからルーティング可能なパブリック IP アドレスが必要です。

  • SBC から Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびその逆のシグナリングは、フロー4 および/またはフロー 4' を使用します。

  • インターネット上のクライアントから Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングは、フロー 3 を使用します。

  • インターネット上のクライアントから顧客ネットワーク内の SBC へのメディアでは フロー 3 および 4 が使用されTeams トランスポート リレーにより中継されます。

ダイレクト ルーティングによるリモート ユーザー (メディアのバイパスはダイレクト)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 22。

図 22 - リモート ユーザーのダイレクト ルーティング (メディアのバイパスはダイレクト)

次の点に注意してください。

  • SBC には、Microsoft 365 または Office 365 およびインターネットからルーティング可能なパブリック IP アドレスが必要です。

  • SBC から Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびその逆のシグナリングは、フロー4 および/またはフロー 4' を使用します。

  • インターネット上のクライアントから Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングは、フロー 3 を使用します。

  • インターネット上のクライアントから顧客ネットワーク内の SBC へのメディアは、 フロー 2 を使用します。

ダイレクト ルーティング (メディア バイパス) – PSTN ヘアピン コール (通話の転送を原因とする)

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 23。

図 23 - ダイレクト ルーティング (メディア バイパス) – PSTN ヘアピン コール (通話の転送を原因とする)

次の点に注意してください。

  • SBC には、Microsoft 365 または Office 365 からルーティング可能なパブリック IP アドレスが必要です。

  • SBC から Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびその逆のシグナリングは、フロー4 および/またはフロー 4' を使用します。

  • PSTN から PSTN への通話のヘアピンが発生すると、クライアントはシグナリングおよびメディア ループに含まれなくなります。

  • 顧客ネットワーク内の SBC インスタンス A から顧客ネットワーク内の SBC インスタンス B までのメディア (A と B は同じインスタンスの可能性もあります) は、フロー 5C を使用します。

ダイレクト ルーティング (メディアは Microsoft 365 または Office 365 を経由) – 2 つのテナントの間での PSTN ヘアピン コール

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 24。

図 24 - ダイレクト ルーティング (メディアは Microsoft 365 または Office 365 を経由) – 2 つのテナントの間での PSTN ヘアピン コール

次の点に注意してください。

  • SBC には、Microsoft 365 または Office 365 からルーティング可能なパブリック IP アドレスが必要です。

  • SBC から Microsoft 365 または Office 365 へのシグナリングおよびその逆のシグナリングは、フロー4 および/またはフロー 4' を使用します。

  • PSTN から PSTN への通話のヘアピンが発生すると、クライアントはシグナリングおよびメディア ループに含まれなくなります。

  • 顧客ネットワーク X 内の SBC インスタンス A から SBC インスタンス B へのメディアは、Microsoft 365 またはOffice 365 のメディア サーバー経由で中継される必要があり、バイパス モードは使用できません。

Express Route による Teams の最適化

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 25。

図 25 - Express Route による Teams の最適化

Express Route が正当化されて展開されているケースでは、Teams のフローはフロー 4 からフロー 1 に、またフロー 4' からフロー 1' に再ルーティングできます。 ただし、Teams アプリケーションは、フロー 4 および 4' 経由のインターネット上の Microsoft 365 または Office 365 のフローに強く依存するため、これらのフローはブロックされないことが必要があります。

Skype for Business のハイブリッド エッジ トラフィックは、外部ユーザーとの通信および他のテナントとのフェデレーションを行うために、Express Route ではなくインターネットにルーティングされることに注意してください。

非対称のフローを防ぐには、再ルーティングは双方向に行う必要があります。 つまり、顧客ネットワーク内のアドレスは、(最適化のために) インターネットまたは Express Route のいずれを経由してもルーティング可能ですが、両方を経由することはできません。

顧客ネットワークから外部ユーザーへ (メディアは Teams トランスポート リレーが中継):

Microsoft Teams オンライン通話フローの図 26。

図 26 - 顧客ネットワークから外部ユーザーへ (メディアは Teams トランスポート リレーが中継)

大まかな手順:

  1. 顧客ネットワーク内の Teams ユーザーが、フロー 2 経由で URL ドメイン名 (DNS) を解決します。
  2. 顧客ネットワーク内の Teams ユーザーが、フロー 1 経由で Teams トランスポート リレーでメディア リレー ポートを割り当てます。
  3. 顧客ネットワーク内の Teams ユーザーが、フロー 1 経由で 「招待状」 を ICE 候補と共に Microsoft 365 または Office 365 に送信します。
  4. Microsoft 365 または Office 365 は、フロー3 を使用して外部の Teams ユーザーに通知を送信します。
  5. Teams の外部ユーザーが、フロー 3 経由で Teams トランスポート リレーでメディア リレー ポートを割り当てます。
  6. Teams の外部ユーザーが、フロー 3 経由で「回答」 を ICE 候補と共に送信し、これはフロー 1 経由で Teams ユーザー A に再び転送されます。
  7. Teams ユーザー A および Teams ユーザー B が ICE 接続テストを実行してフロー 1 および フロー 3 を選択し、これらは Teams トランスポート リレーにより中継されます。
  8. Teams ユーザーは、フロー 1 とフロー 3 を使用して、Microsoft 365 または Office 365 にテレメトリを送信します。

注意

フロー 4 を要求する他のマイクロ サービスへの Teams の依存をサポートするために、フロー 4 を有効にする必要があります。