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DirectShow 8.0 の新機能

  • [アーティクル]

Windows Media フォーマットのサポート

2 つの新しいフィルタによって、DirectShow アプリケーションで Windows Media™ フォーマットのファイルを読み書きできる。ASF リーダー フィルタは、Windows Media フォーマット ファイルを読み取り、解析する。ASF ライタ フィルタは、Windows Media フォーマット ファイルに書き込む。また、必要な多重化と圧縮も行う。DirectShow と Windows Media Software Development Kit は、Windows Media フォーマット ストリームの作成と再生を行うアプリケーションを作成するための補足ソリューションを提供する。

DirectShow 編集サービス

DirectShow 編集サービス (DES) はビデオ編集とシーケンス化されたビデオ再生をサポートする API である。DES を使ってさまざまなアプリケーションを作成できる。たとえば、2、3 のメソッドを呼び出すだけで、オーディオとビデオ クリップを一緒にシーケンス化したり、エフェクトを追加したり、その結果を再生したりできる。つまり、完全なビデオ編集システムを作成することが可能である。DES は、コア DirectShow アーキテクチャの最上部に構築されている。DES は、ノンリニア ビデオ編集専用に設計されたインターフェイスのセットを提供する。

DES はカットリストに置き換わるもので、カットリストはサポートされなくなった。

新しい DVD サポート

2 つの新しいインターフェイスである IDVDControl2 と IDVDInfo2 は、DVD ナビゲータの機能を大幅に拡張したものである。新しい MSWebDVD ActiveX® コントロールを使うと、スクリプト ベースのアプリケーションでこの機能を使えるようになる。新しい DVD 機能の一部として、次の機能がある。

  • カラオケ マルチチャンネル オーディオ サポート
  • S/PDIF 出力に対する AC-3 サポート
  • IBasicAudio インターフェイスによるオーディオ ボリューム コントロール
  • コマ送り操作とフレーム単位のシーク操作
  • DVD テキスト情報文字列への簡単なアクセス
  • ペアレンタル ロックの改善されたサポート

新しい MPEG-2 トランスポートとプログラム ストリーム サポート

新しいフィルタ、MPEG-2 デマルチプレクサ は MPEG-2 トランスポート ストリームとプログラム ストリームのサポートをプッシュモード (ライブソースからデータを受け取る) で提供する。

Microsoft® TV テクノロジ (Broadcast Driver Architecture)

Microsoft® TV テクノロジには新しい Broadcast Driver Architecture (BDA) と、Microsoft チューニング モデルのサポートが含まれる。Broadcast Driver Architecture はデジタル TV や アナログ TV を受信するさまざまなコンポーネント トポロジをサポートするフレームワークを定義する。このフレームワークには、ネットワークの構成や管理、多重分離、テーブル パース、DVB や ATSC などの主なデジタル TV 規格の IP データ配信用のソフトウェア コンポーネントが含まれる。チューニング モデルは一連のオブジェクトであり、それによってアプリケーションはシンプルで共通の方法で複数のネットワーク タイプに容易にチューンできる。

DirectX ビデオ アクセラレーション

デコーダ開発者向け :DirectX ビデオ アクセラレーションはアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) であり、DVD サブピクチャのようなアルファ ブレンディングのサポートによって、デジタル ビデオ デコーディング処理をハードウェア アクセラレーションするデバイス ドライバ インターフェイス (DDI) に対応している。DirectX ビデオ アクセラレーションは、MPEG-2 "メイン プロファイル" ビデオ (公式には ITU-T H.262 | ISO/IEC 13818-2) のサポートに焦点を当てたインターフェイスの定義を提供するが、他の主要なビデオ CODEC (ITU-T 勧告 H.263 や H.261、および MPEG-1 や MPEG-4など) のサポートも行う。

新しいフィルタ

DirectShow にはいくつかの新しいフィルタがある。

  • ASF ライタ : Windows Media フォーマット ファイルを作成する。
  • ASF リーダー : Windows Media フォーマット ファイルを読み取り、解析する。
  • MJPEG デコンプレッサ : Motion JPEG のビデオ ストリームを未圧縮のビデオにデコードする。
  • MJPEG コンプレッサ : Motion JPEG 圧縮を使って未圧縮のビデオ ストリームを圧縮する。
  • MPEG-2 デマルチプレクサ : ライブ ソースからの MPEG-2 トランスポート ストリームとプログラム ストリームを多重分離する。
  • Null レンダラ : サンプル データを表示またはレンダリングせずにサンプルを破棄する。アプリケーションでは、このフィルタを使ってストリームからデータを破棄できる。
  • サンプル グラバ : フィルタ グラフ内を移動するメディア サンプルを取得する。アプリケーションでは、このフィルタを使って、ポスター フレームまたはその他のメディア データを取得できる。

フィルタ グラフの新機能

フィルタ グラフ マネージャは複数の新しい機能をサポートしている。

  • 動的なグラフの作成。フィルタ グラフの実行中にグラフに変更を加えることができるようになった。今までは、アプリケーションでフィルタを追加または削除するにはグラフを停止しなければならず、データの流れが中断されていた。詳細については、「動的グラフの作成」を参照すること。
  • ライブ ソースの同期。DirectShow でライブ ソースの同期がサポートされるようになった。たとえば、ライブ オーディオ ストリームをライブ ビデオ ストリームと同期できる。詳細については、「DirectShow のタイムとクロック」を参照すること。
  • コマ送り。フィルタ グラフ マネージャは新しい IVideoFrameStep インターフェイスを公開する。これを使うとアプリケーションはビデオファイルを 1 フレームずつコマ送りできる。

ビルド環境の変更点

従来のヘッダー ファイル Streams.h は、DShow.h という新しいヘッダー ファイルに置き換えられた。

フィルタ ベース クラスは SDK ルート ディレクトリの下の \Samples\BaseClasses ディレクトリに格納されている。フィルタ ベース クラスを使うには、基底クラス ライブラリをビルドし、プロジェクトにリンクする必要がある。

GraphEdit の新機能

GraphEdit には、テストおよびデバッグ ツールとしての用途を拡張するいくつかの新しい機能が組み込まれている。

  • "Graph Spy" :GraphEdit は外部プロセスによって作成されたフィルタ グラフをロードできる。この機能を使うと、アプリケーションにわずかなコードを追加するだけで、アプリケーションでビルドするフィルタ グラフを正確に知ることができる。この機能の詳細については、「外部プロセスからのグラフのロード」を参照すること。
  • フィルタ情報 :[Graph] メニューの [Insert Filters] をクリックすると表示されるフィルタの一覧に、メリット、ピンの数、各ピンに対して登録されているメディア タイプなど、各フィルタの登録情報が示されるようになった。この情報は、ツリー表示で各フィルタの横にあるプラス (+) 記号をクリックすると表示される。

DirectX Media Object

DirectX Media Object (DMO) は、データ ストリーミング コンポーネントを作成する新しい方法である。DirectShow フィルタと同様に、DMO は入力データを受け取り、それを使って出力データを生成する。ただし、DMO のアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) は、DirectShow の対応する API よりもはるかに簡単である。そのため、DMO は DirectShow フィルタよりも簡単に作成、テスト、および使用できる。

DMO は DirectShow と完全な互換性がある。DMO は、DirectShow に提供されているグラフ同期、インテリジェント接続、データ フローの自動処理、スレッド管理などのサービスが必要な場合に、フィルタと同じように使える。ただし、DMO はフィルタ グラフを必要としないため、アプリケーションでは DirectShow を使わずに DMO を使える。

メディア パラメータ

メディア パラメータは、オブジェクトのプロパティに対する実行時の変更をサポートする新しい API のセットである。メディア パラメータを使うと、急速に変化し、高いパフォーマンスと反復性の両方が要求されるプロパティを正確に制御できる。メディア パラメータを使うと、プロパティによって正弦波や逆矩形曲線などの厳密な曲線をリアルタイムでフォローできる。

データ変換オブジェクトは、メディア パラメータを使って、実行時の動作を制御する標準インターフェイスをサポートできる。メディア パラメータを DMO と組み合わせて使うと、オーディオ エフェクトの作成で便利である。たとえば、エコー エフェクトでは、ドライ (未処理の) 信号に対するウェット (処理済み) 信号の比率がスムーズな曲線をフォローするようにすることができる。このような動作は、オーディオ エンジニアリングにおいてレコーディングに不自然な効果が導入されるのを防ぐために重要である。