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COM アプリケーションとの統合の概要

Windows Communication Foundation (WCF) では、マネージ コード開発者は、接続されたアプリケーションを作成するための多彩な環境を使用できます。ただし、COM ベースのアンマネージ コードにかなりの投資を行っており移行を望まない場合でも、WCF サービス モニカを使用することで、WCF Web サービスを既存のコードに直接統合できます。サービス モニカは Office VBA、Visual Basic 6.0、または Visual C++ 6.0 などの幅広い COM ベースの開発環境で使用可能です。

ms729739.note(ja-jp,VS.90).gifメモ :
サービス モニカは、すべての通信に WCF の通信チャネルを使用します。このチャネルのセキュリティ メカニズムと識別メカニズムは、標準の COM および DCOM プロキシで使用されるものとは異なります。また、サービス モニカでは WCF の通信チャネルを使用するため、すべての呼び出しの既定のタイムアウト時間が 1 分になります。

サービス モニカを GetObject 関数と共に使用することで、アンマネージ開発者は、厳密に型指定された COM 固有の方法を使用して WCF Web サービスを呼び出すことができます。そのためには、WCF Web サービス コントラクトの定義と、使用されるバインディングが、ローカル COM から参照できる必要があります。他の WCF クライアントの場合と同様に、サービス モニカではサービスへの型指定されたチャネルを構築する必要がありますが、このチャネルは、最初のメソッド呼び出し時に COM プログラマには透過的に構築されます。

他の WCF クライアントと同じように、アプリケーションはモニカを使用する際に、サービスとの通信に使用するアドレス、バインディング、およびコントラクトを指定します。コントラクトは、次のいずれかの方法で指定できます。

  • 型指定のあるコントラクト - クライアント コンピュータで COM から参照できる型として登録されます。
  • WSDL コントラクト - WSDL ドキュメントという形で供給されます。
  • MEX コントラクト - 実行時に Metadata Exchange (MEX) エンドポイントから取得されます。

サービス モニカでサポートされるパラメータ

サービス モニカでサポートされるパラメータを次の表に示します。

パラメータ 説明

address

サービスの URL 位置。

binding

アプリケーション構成のバインディング セクションの名前。

bindingConfiguration

名前付きバインディング セクション内の名前付きバインディング インスタンス。

contract

サービス コントラクトまたは (MEX の) コントラクト名を表すインターフェイス識別子 (IID)。

wsdl

代替形式のコントラクト定義を提供する WSDL ドキュメント。

spnIdentity

サービスとの通信に使用するサーバー プリンシパル名 (SPN) ID。

upnIdentity

サービスとの通信に使用するユーザー プリンシパル名 (UPN) ID。

dnsIdentity

サービスとの通信に使用する DNS ID。

mexAddress

サービスの Metadata Exchange (MEX) エンドポイントの URL 位置。

mexBinding

MEX エンドポイントと接続するための、アプリケーション構成のバインディング セクションの名前。

mexBindingConfiguration

MEX エンドポイントと接続する名前付きバインディング セクション内の名前付きバインディング インスタンス。

bindingNamespace

取得する MEX のバインディング セクション名の名前空間。

contractNamespace

取得する MEX のコントラクトの名前空間。

mexSpnIdentity

MEX エンドポイントとの通信に使用するサーバー プリンシパル名 (SPN) ID。

mexUpnIdentity

MEX エンドポイントとの通信に使用するユーザー プリンシパル名 (UPN) ID。

mexDnsIdentity

MEX エンドポイントとの通信に使用する DNS ID。

serializer

"XML" シリアライザと "datacontract" シリアライザのいずれを使用するかを指定します。

ms729739.note(ja-jp,VS.90).gifメモ :
完全に COM ベースのクライアントと共にサービス モニカを使用する場合でも、クライアント コンピュータには WCF とこれをサポートする .NET Framework 2.0 がインストールされている必要があります。また、サービス モニカを使用するクライアント アプリケーションには、適切なバージョンの .NET Framework ランタイムが読み込まれていることが重要です。Office アプリケーション内でモニカを使用する場合、構成ファイルに、正しいフレームワーク バージョンが読み込まれていることを確認する必要があります。たとえば Excel の場合、Excel.exe ファイルと同じディレクトリにある Excel.exe.config というファイルに、次のテキストが記述されている必要があります。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>

<configuration xmlns=https://schemas.microsoft.com/.NetConfiguration/v2.0>

<startup>

<requiredRuntime version="v2.0.50727" />

</startup>

</configuration>

関連項目

タスク

方法 : サービス モニカを登録および構成する