伝達
このトピックでは、Windows Communication Foundation (WCF) トレース モデルのアクティビティ伝達について説明します。
伝達を使用したエンドポイント間でのアクティビティの関連付け
伝達を使用することで、複数のアプリケーション エンドポイントについて、同じ処理単位 (要求など) のエラー トレースを直接関連付けることができます。さまざまなエンドポイントで発生した同じ処理単位のエラーは、アプリケーション ドメインが異なる場合でも同じアクティビティとしてグループ化されます。これは、メッセージ ヘッダーで特定のアクティビティ ID を伝達することによって実現されます。したがって、サーバーの内部エラーによってクライアントがタイムアウトした場合、これらのエラーは直接関係しているので、どちらも同じアクティビティに表示されます。
これを行うには、前述の例に示すように ActivityTracing 設定を使用します。さらに、すべてのエンドポイントで System.ServiceModel トレース ソースの propagateActivity 属性を設定します。
<source name="System.ServiceModel" switchValue="Verbose,ActivityTracing" propagateActivity=”true” >
アクティビティの伝達は構成可能な機能です。この機能を構成すると、WCF は TLS のアクティビティ ID が含まれたヘッダーを送信メッセージに追加します。サーバー側の以降のトレースでこの ID を含めることにより、クライアントとサーバーのアクティビティを相互に関連付けることができます。
伝達の定義
次のすべての条件に該当する場合に、アクティビティ M の gAId がアクティビティ N に伝達されます。
M に起因して N が作成された。
M の gAId を N が認識している。
N の gAId と M の gAId が同じである。
次の XML スキーマに示すように、gAId は ActivityId メッセージ ヘッダーによって伝達されます。
<xsd:element name=”ActivityId” type=”integer” minOccurs=”0”>
<xsd:attribute name=”CorrelationId” type=”integer” minOccurs=”0”/>
</xsd:element>
メッセージ ヘッダーの例を次に示します。
<MessageLogTraceRecord>
<s:Envelope xmlns:s="http://www.w3.org/2003/05/soap-envelope"
xmlns:a="http://www.w3.org/2005/08/addressing">
<s:Header>
<a:Action s:mustUnderstand="1">http://Microsoft.ServiceModel.Samples/ICalculator/Subtract
</a:Action>
<a:MessageID>urn:uuid:f0091eae-d339-4c7e-9408-ece34602f1ce
</a:MessageID>
<ActivityId CorrelationId="f94c6af1-7d5d-4295-b693-4670a8a0ce34"
xmlns="https://schemas.microsoft.com/2004/09/ServiceModel/Diagnostics">
17f59a29-b435-4a15-bf7b-642ffc40eac8
</ActivityId>
<a:ReplyTo>
<a:Address>http://www.w3.org/2005/08/addressing/anonymous
</a:Address>
</a:ReplyTo>
<a:To s:mustUnderstand="1">net.tcp://localhost/servicemodelsamples/service</a:To>
</s:Header>
<s:Body>
<Subtract xmlns="http://Microsoft.ServiceModel.Samples">
<n1>145</n1>
<n2>76.54</n2>
</Subtract>
</s:Body>
</s:Envelope>
</MessageLogTraceRecord>
伝達とアクティビティ境界
エンドポイント間でアクティビティ ID が伝達されると、メッセージの受信側は、その (伝達された) アクティビティ ID を使用して Start トレースと Stop トレースを出力します。したがって、各トレース ソースごとに、該当の gAId を持つ Start/Stop トレースが存在することになります。複数のエンドポイントが同じプロセス内に存在し、同じトレース ソース名を使用している場合、同じ lAId (同じ gAId、同じトレース ソース、同じプロセス) を持つ複数の Start と Stop が作成されます。
同期
異なるコンピューター上で実行されるエンドポイント間でイベントを同期するには (たとえば、送信されたメッセージや受信されたメッセージ)、メッセージ内で伝達される ActivityId ヘッダーに CorrelationId を追加します。ツールはこの ID を使用することにより、クロックにずれのあるコンピューター間でもイベントを同期できます。具体的に言うと、サービス トレース ビューアー ツールは、エンドポイント間のメッセージ フローを示す際に、この ID を使用します。
参照
概念
トレースの構成
サービス トレース ビューアーを使用した相関トレースの表示とトラブルシューティング
エンドツーエンドのトレースのシナリオ
サービス トレース ビューアー ツール (SvcTraceViewer.exe)