簡略化された構成
Windows Communication Foundation (WCF) サービスの構成は複雑な作業になることがあります。さまざまなオプションがあり、どの設定が必要であるかをいつでも簡単に判断できるとは限りません。構成ファイルを使用することで、WCF サービスの柔軟性は高まりますが、構成ファイルは、発見しにくい問題の多くの根源でもあります。.NET Framework Version 4 では、このような問題に対応し、サービス構成の規模と複雑さを軽減する手段を提供しています。
簡略化された構成
WCF の構成ファイルでは、<system.serviceModel> セクションに、ホストされる各サービスの <service> 要素が含まれます。<service> 要素には、各サービスに対して公開されるエンドポイントと、必要に応じて一連のサービス動作を指定する <endpoint> 要素が含まれます。<endpoint> 要素は、エンドポイントが公開するアドレス、バインド、およびコントラクトと、必要に応じてバインド構成およびエンドポイントの動作を指定します。<system.serviceModel> セクションには、サービスまたはエンドポイントの動作を指定できる <behaviors> 要素も含まれます。構成ファイルの <system.serviceModel> セクションの例を次に示します。
system.serviceModel>
<behaviors>
<serviceBehaviors>
<behavior name=”MyServiceBehavior”>
<serviceMetadata httpGetEnabled=”true”>
<serviceDebug includeExceptionDetailInFaults=”false”>
</behavior>
</serviceBehaviors>
</behaviors>
<bindings>
<basicHttpBinding>
<binding name=MyBindingConfig”
maxBufferSize=”100”
maxReceiveBufferSize=”100” />
</basicHttpBinding>
</bindings> <services>
<service behaviorConfiguration=”MyServiceBehavior”
name=”MyService”>
<endpoint address=””
binding=”basicHttpBinding”
contract=”ICalculator”
bindingConfiguration=”MyBindingConfig” />
<endpoint address=”mex”
binding=”mexHttpBinding”
contract=”IMetadataExchange”/>
</service>
</services>
</system.serviceModel>
.NET Framework 4 では、<service> 要素の要件を廃止することで、WCF サービスの構成を簡略化しています。<service> セクション (存在する場合) にエンドポイントを追加せず、かつ、サービスがプログラムを使用してエンドポイントを定義しない場合は、一連のエンドポイントが自動的にサービスに追加されます。この場合、各サービスのベース アドレスに対して 1 つ、サービスによって実装される各コントラクトに対して 1 つのエンドポイントが追加されます。これらの各エンドポイントでは、エンドポイント アドレスがベース アドレスに対応し、バインドがベース アドレス スキームで決定されます。また、コントラクトは、サービスによって実装されるコントラクトになります。エンドポイントまたはサービスの動作を指定する必要も、バインド設定を変更する必要もない場合、構成ファイルを指定する必要はありません。サービスが 2 つのコントラクトを実装し、ホストが HTTP トランスポートと TCP トランスポートの両方を有効にしている場合、サービス ホストは、それぞれのトランスポートを使用する各コントラクトに対して 1 つずつ、合計 4 つの既定のエンドポイントを作成します。既定のエンドポイントを作成するには、使用するバインドをサービス ホストに伝える必要があります。これらの設定は、<system.serviceModel> セクション内の <protocolMappings> セクションに指定します。<protocolMappings> セクションには、バインドの型にマップされたトランスポート プロトコル スキームの一覧が設定されます。サービス ホストは、渡されたベース アドレスを使用して、使用するバインドを決定します。次の例では、<protocolMappings> 要素を使用しています。
注 : |
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インターネット インフォメーション サービス (IIS) または Windows プロセス アクティブ化サービス (WAS) にホストされるサービスは、仮想ディレクトリをベース アドレスとして使用します。 |
<protocolMapping>
<add scheme=”http” binding=”basicHttpBinding” bindingConfiguration=”MyBindingConfiguration”/>
<add scheme=”net.tcp” binding=”netTcpBinding”/>
<add scheme=”net.pipe” binding=”netNamedPipeBinding”/>
<add scheme=”net.msmq” binding=”netMSMQBinding”/>
</protocolMapping>
前の例では、"http" スキームで始まるベース アドレスのエンドポイントは、BasicHttpBinding を使用します。"net.tcp" スキームで始まるベース アドレスのエンドポイントは、NetTcpBinding を使用します。ローカルの App.config または Web.config ファイルの設定はオーバーライドできます。
<protocolMappings> セクション内の各要素は、スキームとバインドを指定する必要があります。必要に応じて、構成ファイルの <bindings> セクション内で、バインド構成を指定する bindingConfiguration 属性を指定できます。bindingConfiguration が指定されていない場合は、適切なバインド型の匿名バインド構成が使用されます。
既定のエンドポイントでは、<serviceBehaviors> セクション内の匿名の <behavior> セクションを使用して、サービスの動作が構成されます。サービスの動作の構成には、<serviceBehaviors> 内の、名前が付けられていない <behavior> 要素が使用されます。たとえば、次の構成ファイルでは、ホスト内のすべてのサービスで、サービス メタデータの公開が有効になります。
<system.serviceModel>
<behaviors>
<serviceBehaviors>
<behavior>
<serviceMetadata httpGetEnabled="True"/>
</behavior>
</serviceBehaviors>
</behaviors> <!-- No <service> tag is necessary. Default endpoints are added to the service -->
<!-- The service behavior with name="" is picked up by the service -->
</system.serviceModel>
エンドポイントの動作は、<serviceBehaviors> セクション内の匿名の <behavior> セクションを使用して構成されます。
以下は、このトピックの最初にある例と同じ内容ですが、簡略化された構成モデルを使用している構成ファイルの例です。
<system.serviceModel>
<behaviors>
<serviceBehaviors>
<behavior>
<serviceMetadata httpGetEnabled="True"/>
<serviceDebug includeExceptionDetailInFaults=”false”/>
</behavior>
</serviceBehaviors>
</behaviors> <bindings>
<basicHttpBinding>
<binding maxBufferSize=”100”
maxReceiveBufferSize=”100” />
</basicHttpBinding>
</bindings> <!-- No <service> tag is necessary. Default endpoints will be added to the service -->
<!-- The service behavior with name="" will be picked up by the service -->
<protocolMapping>
<add scheme=”http” binding=”basicHttpBinding” / </protocolMapping>
</system.serviceModel>
参照
概念
構成ファイルを使用してサービスを構成する方法
Windows Communication Foundation サービスのバインディングの構成
システムが提供するバインディングの構成
その他のリソース
サービスの構成
Configuring Windows Communication Foundation Applications