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.NET Framework 配置ガイド (管理者向け)

更新 : 2011 年 3 月

この記事では、システム管理者が System Center Configuration Manager (SCCM) を使用して .NET Framework Version 4 とそのシステムの依存関係をネットワーク経由で配置する方法を手順に沿って説明します。 ここでは、すべての対象のクライアント コンピューターが .NET Framework の最小要件を満たしていることを前提としています。

メモメモ

.NET Framework 4、Microsoft System Center Configuration Manager、Active Directory など、このドキュメントで言及されるソフトウェアには、ライセンス条項が適用されます。このドキュメントの内容は、ライセンス条項がソフトウェアの適切なライセンス取得者によって確認され、同意されていることを前提にしています記載の内容についても、ライセンス条項は効力があるものとします。

.NET Framework のサポートの詳細については、マイクロソフト サポート オンラインの「Microsoft .NET Framework のサポート ライフサイクル ポリシー」を参照してください。

このトピックは、次のセクションで構成されています。

  • 必要条件

  • コマンド ライン オプション

  • 配置プロセス

  • テスト環境での .NET Framework の配置

  • コレクションの作成

  • パッケージ ソース ディレクトリの準備

  • 再頒布可能パッケージ用のパッケージの作成

  • セットアップ パラメーターとインストール パラメーターを含むプログラムの作成

  • 配布ポイントの選択

  • 提供情報の作成

  • リソース

  • トラブルシューティング

前提条件

ネットワーク管理者は、.NET Framework をインストールする前に、必要なシステム コンポーネントがすべてのクライアント コンピューターに含まれていることを確認する必要があります。

.NET Framework 4 をインストールするためのソフトウェア要件の概要を次に示します。 ソフトウェア要件とハードウェア要件の詳細については、「.NET Framework システム要件」を参照してください。

クライアントのオペレーティング システム

最小バージョンおよびその他のソフトウェア

Windows 7

Windows 7 RTM、

Windows Vista

Windows Vista RTM

Windows XP

Windows XP Service Pack 3 (SP3)

Internet Explorer 6.0 SP1

Windows インストーラー 3.1 以降

Windows Server 2008

Windows 2008 RTM

Windows Server 2008 Server Core R2 SP1

Windows Server 2003

Windows Server 2003 SP2

Internet Explorer 6.0 SP1

Windows インストーラー 3.1 以降

Windows Imaging Component

コマンド ライン オプション

オプション

説明

/q

クワイエット モードを設定します。

/norestart

セットアップ プログラムが自動的に再起動しないようにします。 このオプションを使用する場合は、チェーン アプリケーションでリターン コードをキャプチャし、再起動を処理する必要があります (「セットアップ パラメーターとインストール パラメーターを含むプログラムの作成」を参照してください)。

/repair

修復機能をトリガーします。

/chainingpackage PackageName

チェーンを行っているパッケージの名前を指定します。 この情報は、.NET Framework インストール セッションの SQM データと共にログに記録されて格納されます。 パッケージ名にスペースが含まれている場合は、区切り記号として二重引用符を使用します (例: /chainingpackage "Chaining Product")。

配置プロセス

サポートされるインフラストラクチャが整っている場合は、System Center Configuration Manager 2007 を使用して、.NET Framework 再頒布可能パッケージをネットワーク上に配置します。 このプロセスには、コレクション、パッケージ、プログラム、配布ポイント、および提供情報という、5 つの主要領域の作成と定義が含まれます。

  • コレクションは、ユーザー、ユーザー グループ、コンピューターなど、.NET 開発ソフトウェアの配置の対象となる Configuration Manager 2007 のリソースのグループです。 コレクションの詳細については、Microsoft TechNet ライブラリの「コレクションの概要」を参照してください。

  • パッケージは、Configuration Manager 2007 が管理し、ソフトウェア配置用に配布するインストール ソース ファイルのセットです。 パッケージには、配布ポイントとプログラムが含まれます。 パッケージの詳細については、TechNet ライブラリの「パッケージについて」を参照してください。

  • プログラムは、パッケージに関連付けられたコマンドです。 Setup.exe など、指定されたパッケージのソース ファイルから実行するコマンド ライン スイッチと追加のパラメーターが含まれます。 プログラムの詳細については、TechNet ライブラリの「プログラムについて」を参照してください。

  • 配布ポイントは、クライアントに配置するための指定されたパッケージを保存する Configuration Manager 2007 のサイト システムです。 Configuration Manager 2007 クライアントは、関連する提供情報を受け取って処理するときに、配布ポイントに接続してパッケージをダウンロードし、インストール プロセスを開始します。 配布ポイントの詳細については、TechNet ライブラリの「配布ポイントについて」を参照してください。

  • 提供情報は、パッケージとプログラムをコレクションに関連付けます。 管理者は、提供情報を使用して、特定のアプリケーションまたはカスタマイズされたアプリケーションを、コンピューターまたはユーザーのコレクションを対象として配置できます。 提供情報の詳細については、TechNet ライブラリの「提供情報について」を参照してください。

テスト環境での .NET Framework の配置

ここでは、Configuration Manager 2007 インフラストラクチャのテスト ネットワーク環境の図を提示して解説します。 Configuration Manager 2007 を使用して .NET Framework 4 再頒布可能パッケージを配置する手順についても説明します。

この記事のテスト ネットワーク環境を次の図に示します。

テスト ネットワーク環境

テスト ネットワーク環境

すべてのサーバー (A、B、および C) で Windows Server 2008 が実行されています。 クライアント コンピューター (D) では Windows Vista Enterprise が実行されています。 すべてのサーバーとクライアント コンピューターは同じドメイン (CPANDL.COM) のメンバーです。 各サーバーが実行しているアプリケーションとロール、および各クライアント コンピューターの完全修飾ドメイン名 (FQDN: Fully Qualified Domain Name) は次のとおりです。

  1. Active Directory、DNS、DHCP <DC.CPANDL.COM>

  2. Microsoft SQL Server 2008 <SQLSRV.CPANDL.COM>

  3. System Center Configuration Manager 2007 R2 (管理ポイント、配布ポイント) <SCCM.CPANDL.COM>

  4. Windows Vista Enterprise、System Center Configuration Manager 2007 クライアント <WVC01.CPANDL.COM>

この簡単なテスト ネットワーク環境では、サイト サーバーは、管理ポイントと配布ポイントなど、同時に複数のサイト システムのロールを実行します。 ただし、この構成は、多数のリソースを使用する稼動サイトでは推奨されません。

Configuration Manager 2007 を使用し、ユーザーがインストール プロセスと対話しない .NET Framework 4 のサイレント インストールを配置できます。 このテスト環境では、次の手順を実行します。

  • コレクションの作成

  • パッケージ ソース ディレクトリの準備

  • .NET Framework 4 再頒布可能パッケージのパッケージの作成

  • 再頒布可能パッケージのセットアップとインストールのパラメーターを含むプログラムの作成

  • 配布ポイントの選択

  • 再頒布可能パッケージの提供情報の作成

コレクションの作成

この手順では、配置の対象とするコンピューター リソースとユーザー グループを選択します ダイレクト メンバーシップの規則を使用して、Configuration Manager 2007 でコレクションを作成します。 メンバーシップの規則 (クエリおよびダイレクトの両方を含む) の詳細については、TechNet ライブラリの「メンバーシップの規則について」を参照してください。

コレクションを作成するには

  1. Configuration Manager コンソールで、[System Center Configuration Manager][サイト データベース][コンピューターの管理] の順に移動します。

  2. [コレクション] を右クリックし、[新しいコレクション] をクリックします。

  3. コレクションの新規作成ウィザード[全般] ページで、コレクションの名前を入力します。 この例では、コレクションには「Target-Computers」という名前を付けます。

  4. [メンバーシップの規則] ページでコンピューターのアイコンをクリックし、ダイレクト メンバーシップの規則の作成ウィザードを開きます。 [次へ] をクリックします。

  5. [リソースの検索] ページで、[リソース クラス] ボックスの一覧の [システム リソース] をクリックします。 [属性名] ボックスの一覧の [名前] をクリックします。 [値] フィールドに「%」と入力し、[次へ] をクリックします。

  6. [コレクションの限定] ページで [参照] をクリックし、[すべての Windows ワークステーションまたは Professional システム] を選択し、[OK] をクリックし、[次へ] をクリックします。

  7. [リソースの選択] ページで、対象となる各コンピューター リソースのチェック ボックスをオンにします。 この例では、[TestComputer01] と [TestComputer02] が選択されています。 [次へ] をクリックし、[完了] ページで [完了] をクリックします。

  8. コレクションの新規作成ウィザード[メンバーシップの規則] ページで、[次へ] をクリックします。

  9. [提供情報] ページで、[次へ] をクリックします (提供情報はまだ作成されていないので、この時点で提供情報の割り当ては行わないでください)。

  10. [セキュリティ] ページで既定の設定を受け入れ、[次へ] をクリックし、[閉じる] をクリックします。

コレクションの詳細については、TechNet ライブラリの「Configuration Manager のコレクション」を参照してください。

パッケージ ソース ディレクトリの準備

パッケージのソース フォルダーには、パッケージ内のプログラムの実行に必要なすべてのファイルとサブディレクトリが含まれます。 この例では、.NET Framework 4 再頒布可能パッケージをソース ディレクトリ \\SCCM\DotNETFramework4 にコピーします。

パッケージ ソース ディレクトリの詳細については、TechNet ライブラリの「パッケージ ソース ディレクトリのセットアップ方法」を参照してください。

再頒布可能パッケージ用のパッケージの作成

次の手順では、.NET Framework 再頒布可能パッケージを手動で作成します。 このパッケージには、.NET Framework をインストールするためのパラメーター、および Configuration Manager 2007 マネージ クライアントへのパッケージの配布元となる場所が含まれます。

パッケージを作成するには

  1. Configuration Manager コンソールで、[System Center Configuration Manager][サイト データベース][コンピューターの管理][ソフトウェアの配布] の順に移動します。

  2. [パッケージ] を右クリックし、[新規] をポイントし、[パッケージ] をクリックします。

  3. パッケージの新規作成ウィザード[全般] ページに次の情報を入力し、[次へ] をクリックします。

    • 名前: .NET Framework

    • バージョン: 4

    • 製造元: Microsoft

    • 言語: English (US)

  4. [データ ソース] ページで、[このパッケージにソース ファイルを含める] をオンにします。 [設定] ボタンをクリックし、[ソース ディレクトリ] フィールドにソース ファイルの場所のパスを入力します。 この例では、再頒布可能パッケージのコピーが含まれるローカル ドライブのソース ディレクトリの場所を選択します (例: C:\DotNETFramework4)。

  5. [OK] をクリックし、[次へ] を繰り返しクリックして [データ アクセス][配布の設定][レポート][セキュリティ] の各ページで既定の設定を受け入れます。

  6. [ウィザードは完了しました] ページで、[閉じる] をクリックします。

これらの手順によって、Microsoft .NET Framework 4 English (US) という名前のパッケージが作成されます。

セットアップ パラメーターとインストール パラメーターを含むプログラムの作成

次の手順では、.NET Framework 4 のサイレント インストールを配置するプログラムを作成します (サイレント インストールでは、ユーザーはインストール プロセスと対話しないので、チェーン アプリケーションがリターン コードをキャプチャし、再起動を処理する必要があります。MSDN ライブラリの Getting Progress Information from an Installation Package (インストール パッケージからの進行状況に関する情報の取得) を参照してください)。

.NET Framework 4 パッケージ用のプログラムを作成するには

  1. Configuration Manager コンソールで、[System Center Configuration Manager][サイト データベース][コンピューターの管理][ソフトウェアの配布][パッケージ]、[パッケージ名] の順に移動します。 この例では、パッケージ名は Microsoft .NET Framework 4 English (US) です。

  2. [プログラム] を右クリックし、[新規] をポイントし、[プログラム] をクリックします。

  3. パッケージの新規作成ウィザード[全般] ページに次の情報を入力し、[次へ] をクリックします。

    • [名前] フィールドにパッケージ名を入力します (この例では、「DotNETFramework4 silent installation」と入力します)。

    • [コマンド ライン] フィールドに、次のように入力します。

      dotNetFx40_Full_x86_x64.exe /q /norestart /ChainingPackage ADMINDEPLOYMENT

      メモメモ

      Windows Server 2008 Server Core R2 SP1 の場合は、パッケージ名として dotNetFx40_Full_x86_x64_SC.exe を指定します。

    • [実行] ボックスの一覧の [非表示] をクリックします。

    • [実行後] フィールドで [操作の必要なし] が選択されていることを確認します。

  4. [要件] ページで、[次へ] をクリックして既定の設定を受け入れます。

  5. [環境] ページの [プログラムの実行条件] のボックスの一覧で、[ユーザーのログオン状態にかかわらず] を選択します。 これにより、[実行モード][管理者権限で実行する] オプションが有効になります。 [ドライブ モード] をそのまま既定の [UNC 名で実行する] に設定し、[次へ] をクリックします。

  6. [詳細設定] ページで [プログラムの通知を抑制する] チェック ボックスをオンにし、[次へ] をクリックします。

  7. [Windows インストーラー] ページで、[次へ] をクリックします。

  8. [MOM] ページで、[次へ] をクリックします。

  9. [概要] ページで、[次へ] をクリックして変更を確認します。

  10. [ウィザードは完了しました] ページで、[閉じる] をクリックします。

配布ポイントの選択

パッケージをサーバーからクライアント コンピューターに配布するには、まずサイト システムを配布ポイントとして指定する必要があります。 この例では、SCCM という名前の単一のサイト サーバーが、最初は管理ポイントと配布ポイントの両方として構成されていました。

新規作成パッケージ Microsoft .NET Framework 4 English (US) の配布ポイントを選択するには

  1. [配布ポイント] を右クリックします。

  2. [新しい配布ポイント] をクリックします。

  3. [次へ] をクリックし、配布ポイント用のチェック ボックスをオンにします (この例では [SCCM])。

  4. [次へ] をクリックします。

  5. 新しい配布ポイント ウィザードを終了するには、[閉じる] をクリックします。

これで、パッケージ Microsoft .NET Framework 4 English (US) には、Configuration Manager 2007 の配布ポイントと .NET Framework 4 のサイレント インストールを配置するためのプログラム情報が含まれます。

パッケージの情報を提供する前に、そのパッケージが配布ポイントにインストールされていることを確認します。 パッケージのステータスの確認方法の詳細については、TechNet ライブラリの「パッケージのステータスの表示方法」を参照してください。

提供情報の作成

.NET Framework 4 再頒布可能パッケージの提供情報を作成するには

  1. [提供情報] を右クリックし、[新規] をポイントし、[提供情報] をクリックします。

  2. 新しい提供情報ウィザード[全般] ページに次の情報を入力し、[次へ] をクリックします。

    • [名前] フィールドに、「.NET Framework 4」と入力します。

    • [パッケージ] フィールドの [参照] ボタンをクリックし、情報を提供するパッケージ (この例では Microsoft .NET Framework 4 English (US)) をクリックし、[OK] をクリックします。

    • [コレクション] フィールドの [参照] ボタンをクリックし、コレクション名 (この例では Target-Computers) をクリックし、[OK] をクリックします。

  3. [スケジュール] ページの [提供情報の開始時刻] フィールドに提供情報が使用可能になる日付と時刻を入力し、[必須の割り当て]アスタリスク ボタンをクリックします。

  4. [割り当てスケジュール] ダイアログ ボックスで [スケジュール] ボタンをクリックし、[提供情報の開始時刻] フィールドに入力したのと同じ日付と時刻を入力します。 [スケジュール] ページに戻るには、[OK] をクリックします。

  5. [スケジュール] ダイアログ ボックスで [Wake On LAN を有効にする][プログラムの実行時はメンテナンス ウィンドウを無視する][メンテナンス ウィンドウ以外でのシステムの再起動を許可する] の各チェック ボックスをオンにし、[次へ] をクリックします。

    メモメモ

    稼動環境では、割り当てスケジュールで異なる選択を行う必要があるポリシーが適用される場合があります。これらのオプションの詳細については、TechNet ライブラリの「[提供情報の名前のプロパティ]の[スケジュール]タブ」を参照してください。

  6. [配布ポイント][対話][セキュリティ]、および [概要] の各ページで既定値を受け入れます。 [ウィザードは完了しました] ページで、[閉じる] をクリックします。

これで、対象のコレクションにパッケージの情報が提供され、.NET Framework 4 のサイレント インストールが開始されます。

提供情報のステータスの監視方法の詳細については、TechNet ライブラリの「提供情報のステータスの表示方法」を参照してください。

.NET Framework 4 のインストールのエラー コードについては、このトピックの「リターン コード」セクションを参照してください。

リソース

.NET Framework 4 再頒布可能パッケージの配置をテストするためのインフラストラクチャの詳細については、次のリソースを参照してください。

Active Directory、DNS、DHCP:

SQL Server 2008:

System Center Configuration Manager 2007 R2 (管理ポイント、配布ポイント):

Windows Vista Enterprise、System Center Configuration Manager クライアント:

トラブルシューティング

ログ ファイルの場所

.NET Framework 4 のセットアップ中に次のログ ファイルが作成されます。

%temp%\Microsoft .NET Framework 4*.txt

%temp%\Microsoft .NET Framework 4*.html

ログ収集ツールを使用して .NET Framework 4 のログ ファイルを収集し、それらのファイルのサイズを縮小した圧縮キャビネット (.cab) ファイルを作成できます。

リターン コード

次の表は、.NET Framework 4 の再頒布可能インストール プログラムから返される最も一般的なリターン コードを示しています。 これらのリターン コードは、すべてのバージョンのインストーラーで共通です。

詳細情報へのリンクについては、次の「ダウンロードのエラー コード」セクションを参照してください。

リターン コード

説明

0

インストールは正常に完了しました。

1602

ユーザーがインストールをキャンセルしました。

1603

インストール中に致命的なエラーが発生しました。

1641

インストールを完了するには再起動する必要があります。 このメッセージが表示された場合、操作は成功しました。

3010

インストールを完了するには再起動する必要があります。 このメッセージが表示された場合、操作は成功しました。

5100

ユーザーのコンピューターは、システム要件を満たしていません。

5101

内部エラー。

ダウンロードのエラー コード

その他のエラー コード:

履歴の変更

日付

履歴

理由

2011 年 3 月

Windows Server 2008 Server Core に関する情報を追加。

情報の拡充

2010 年 10 月

リターン コード テーブルのリターン コード 1641 を修正。

カスタマー フィードバック

2010 年 8 月

.NET Framework のサポート ライフサイクル ポリシーについての情報を追加。

情報の拡充