チュートリアル: RIA Services ソリューションの作成

[アーティクル]
03/11/2011

このチュートリアルでは、AdventureWorksLT データベースからデータを取得し、表示先となる Silverlight クライアントで利用できるようにする WCF RIA サービスアプリケーションを作成します。データソースからデータにアクセスするには、中間層のサーバー上のさまざまなデータベーステーブルを表すエンティティクラスを作成し、Silverlight クライアントがこの中間層エンティティにアクセスできるようにするドメインサービスを作成して、データを表示します。このチュートリアルは、RIA サービスドキュメントに含まれる他の多くのチュートリアルの出発点となります。

前提条件

このチュートリアル、および RIA サービスのドキュメントで紹介されている他のチュートリアルでは、WCF RIA サービスおよび WCF RIA サービス Toolkit に加え、Visual Studio 2010 や Silverlight の開発者向けランタイムと SDK など、前提条件となっているいくつかのプログラムが適切にインストールおよび構成されている必要があります。また、SQL Server 2008 R2 Express with Advanced Services をインストールして構成し、AdventureWorks OLTP と LT データベースをインストールすることも必要です。

これらの各前提条件を満たしているかどうかを確認するための詳細な手順については、「WCF RIA Services の前提条件」ノード内のトピックを参照してください。このチュートリアルを進める前に、トピックに記載されている手順に従って、この RIA サービスチュートリアルを実行するときに発生する問題をできるだけ最小限に抑えるようにします。

プロジェクト間に RIA Services リンクを使用したソリューションの作成

RIA Services ソリューションを設定するには

Visual Studio 2010 で、[ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[プロジェクト] をクリックして、新しい RIA サービスプロジェクトを作成します。

[新しいプロジェクト] ダイアログボックスが表示されます。
[インストールされたテンプレート] の [Silverlight] で [Silverlight アプリケーション] テンプレートをクリックし、新しいプロジェクトに RIAServicesExample という名前を付けます。
[OK] をクリックします。

[新しい Silverlight アプリケーション] ダイアログボックスが表示されます。
ダイアログボックスの下部にある [WCF RIA サービスを有効にする] チェックボックスをオンにします。このチェックボックスをオンにすると、クライアントプロジェクトとサーバープロジェクトの間に RIA サービスリンクが作成されます。
[OK] をクリックして、ソリューションを作成します。

このソリューションには、クライアントプロジェクトとサーバープロジェクトの 2 つのプロジェクトが含まれています。クライアントプロジェクトには RIAServicesExample という名前が付けられ、プレゼンテーション層の作成に使用する Silverlight コードが含まれます。サーバープロジェクトには RIAServicesExample.Web という名前が付けられ、中間層のコードが含まれます。

データモデルの作成

ここでは、AdventureWorksLT データベースのデータを表す ADO.NET エンティティクラスを作成します。RIA サービスでは、さまざまなデータモデリングクラスおよびデータソースが使用されます。RIA サービスを使用してデータにアクセスするためのオプションの詳細については、「データ」を参照してください。

注意 :
Visual Studio 2010 で Entity Data Model (EMD) を使用する場合は、[モデルに外部キー列を含める] を選択する必要があります。既定では、Entity Data Model ウィザードを使用するときにこのオプションが選択されています。また、アセンブリに EMD マッピング情報を埋め込む際の既定の動作を使用する必要もあります。

Visual Studio 2010 で Entity Data Model (EMD) を使用する場合は、[モデルに外部キー列を含める] を選択する必要があります。既定では、Entity Data Model ウィザードを使用するときにこのオプションが選択されています。また、アセンブリに EMD マッピング情報を埋め込む際の既定の動作を使用する必要もあります。

データを中間層で使用できるようにするには

ソリューションエクスプローラーで、サーバープロジェクト RIAServicesExample.Web を右クリックし、[追加] をポイントして、[新しい項目] をクリックします。

[新しい項目の追加] ダイアログボックスが表示されます。
カテゴリの一覧で、[データ] をクリックし、[ADO.NET Entity Data Model] テンプレートをクリックします。
新しいファイルに AdventureWorksModel.edmx という名前を付け、[追加] をクリックします。

Entity Data Model ウィザードが表示されます。
[モデルのコンテンツの選択] 画面で、[データベースから生成] をクリックし、[次へ] をクリックします。
[データ接続の選択] 画面で、データベースへのデータ接続を作成し、[次へ] をクリックします。
[データベースオブジェクトの選択] 画面で、Address、Customer、および CustomerAddress の各テーブルを選択します。
[モデルに外部キー列を含める] チェックボックスが既定でオンになっていることを確認し、[完了] をクリックします。

テーブルのエンティティモデルが作成されます。
ソリューションをビルドします (Ctrl キーと Shift キーを押しながら B キーを押します)。

ドメインサービスの作成

ここでは、中間層プロジェクトにドメインサービスを追加します。ドメインサービスは、サーバープロジェクト内のデータエンティティと操作をクライアントプロジェクトに公開します。ドメインサービスにビジネスロジックを追加すると、クライアントとデータの対話方法を管理できます。

ドメインサービスを作成するには

サーバープロジェクトを右クリックし、[追加] をポイントして、[新しい項目] をクリックします。
カテゴリの一覧で、[Web] をクリックし、[DomainService クラス] テンプレートをクリックします。
クラスに CustomerDomainService.cs (または CustomerDomainService.vb) という名前を付けます。
[追加] をクリックします。

[新しいドメインサービスクラスの追加] ダイアログボックスが表示されます。
[クライアントアクセスを有効にする] チェックボックスがオンになっていることを確認します。
[Customer] エンティティを選択し、[編集を有効にする] チェックボックスをオンにします。
[OK] をクリックします。

新しい CustomerDomainService.cs ファイル (または CustomerDomainService.vb ファイル) に CustomerDomainService クラスが生成されます。
このファイルを開きます。ファイルには次の特性があります。
- CustomerDomainService クラスは LinqToEntitiesDomainService クラスから派生します。このクラスは、RIA サービスフレームワークの抽象基本クラスです。ドメインサービスは ADO.NET エンティティデータクラスを公開するため、この基本クラスは自動的に使用されました。
- ジェネリックな基本クラスは、ジェネリックパラメーターの ObjectContext 型の AdventureWorksLTEntities によって、前の手順で作成されたエンティティクラスにバインドされます。
- CustomerDomainService クラスは、EnableClientAccessAttribute 属性でマークされ、クライアント層に表示されることを示します。
- GetCustomers という名前のクエリメソッドが生成されます。このメソッドは、フィルター処理と並べ替えを実行せずにすべての項目を返します。
- レコードの顧客を挿入、更新、および削除するメソッドが生成されました。

Silverlight クライアントの作成

他のチュートリアルでは、ドメインサービスにビジネスロジックを追加する方法について説明します。このチュートリアルでは、既定で生成された GetCustomers メソッドを使用するだけです。

ソリューションをビルドすると、クライアントプロキシクラスが生成されます。クライアントプロジェクトとサーバープロジェクトの間に確立された RIA サービスリンクにより、このコードを生成できます。このようなクライアントプロキシクラスにより、クライアントからデータにアクセスできます。

生成されたクライアントプロキシクラスを表示するには

ソリューションをビルドします。

ソリューションをビルドすると、クライアントプロジェクトでコードが生成されます。
ソリューションエクスプローラーで、RIAServicesExample クライアントプロジェクトを選択し、ウィンドウの上部にある [すべてのファイルを表示] をクリックします。

Generated_Code フォルダーに RIAServicesExample.Web.g.cs (または RIAServicesExample.Web.g.vb) ファイルがあることを確認します。
Generated_Code フォルダーのコードファイルを開きます。

ファイルには次の特性があります。
- WebContextBase クラスから派生する WebContext クラスが生成されます。
- DomainContext クラスから派生する CustomerDomainContext クラスが生成されます。このクラスには、ドメインサービスで作成されたクエリメソッドに対応する、GetCustomersQuery という名前のメソッドがあります。
- ドメインサービスによって公開されるエンティティに対して、Entity クラスから派生する Customer クラスが生成されます。クライアントプロジェクトの Customer エンティティクラスは、サーバーの Customer エンティティと一致します。

Silverlight クライアントのデータを表示するには

MainPage.xaml を開きます。

左側のツールボックスから XAML ビューの Grid 要素内に DataGrid コントロールをドラッグします。

ツールボックスから DataGrid コントロールをドラッグすると、名前空間の using System.Windows.Controls ステートメントと System.Windows.Controls.Data アセンブリへの参照が自動的に追加されます。

注意 :
DataGrid をツールボックスからドラッグせずに追加する場合は、System.Windows.Controls.Data アセンブリへの参照をクライアントプロジェクトに追加し、分離コードファイル内に using ステートメントを手動で追加する必要があります。

次の XAML に示すように、AutoGeneratedColums の値を True に変更し、DataGrid 要素に CustomerGrid という名前を付け、高さと幅の属性を調整します。

<UserControl 
    xmlns:data="clr-namespace:System.Windows.Controls;assembly=System.Windows.Controls.Data"  
    x:Class="RIAServicesExample.MainPage"
    xmlns="https://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
    xmlns:x="https://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"
    xmlns:d="https://schemas.microsoft.com/expression/blend/2008"
    xmlns:mc="https://schemas.openxmlformats.org/markup-compatibility/2006"
    mc:Ignorable="d"
    d:DesignHeight="300" d:DesignWidth="400">

    <Grid x:Name="LayoutRoot" Background="White">
      <data:DataGrid Name="CustomerGrid"></data:DataGrid>
    </Grid>
</UserControl>

MainPage.xaml の分離コードを開きます。
using (C#) または Imports (Visual Basic) の 2 つのステートメント (using RIAServicesExample.Web; および using System.ServiceModel.DomainServices.Client;) を追加します。

RIAServicesExample.Web 名前空間は、RIAServicesExample.Web.g.cs (または RIAServicesExample.Web.g.vb) でクライアントプロジェクトに対して生成されたコードを含む名前空間です。

CustomerDomainContext をインスタンス化するには、コード行 private CustomerDomainContext _customerContext = new CustomerDomainContext(); を MainPage クラスに追加します。

Imports System.ServiceModel.DomainServices.Client
Imports RIAServicesExample.Web

Partial Public Class MainPage
    Inherits UserControl

    Private _customerContext As New CustomerDomainContext

    Public Sub New()
        InitializeComponent()

        Dim loadOp = Me._customerContext.Load(Me._customerContext.GetCustomersQuery())
        CustomerGrid.ItemsSource = loadOp.Entities
    End Sub

End Class

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Net;
using System.Windows;
using System.Windows.Controls;
using System.Windows.Documents;
using System.Windows.Input;
using System.Windows.Media;
using System.Windows.Media.Animation;
using System.Windows.Shapes;
using RIAServicesExample.Web;
using System.ServiceModel.DomainServices.Client;

namespace RIAServicesExample
{
    public partial class MainPage : UserControl
    {
        private CustomerDomainContext _customerContext = new CustomerDomainContext();

        public MainPage()
        {
            InitializeComponent();

            LoadOperation<Customer> loadOp = this._customerContext.Load(this._customerContext.GetCustomersQuery());
            CustomerGrid.ItemsSource = loadOp.Entities;
        }
    }
}

顧客エンティティを取得するには、LoadOperation<Customer> loadOp = this._customerContext.Load(this._customerContext.GetCustomersQuery()); のように、LoadOperation を使用して GetCustomersQuery メソッドを呼び出します。

DataGrid に読み込まれたエンティティを CustomerGrid.ItemsSource = loadOp.Entities; にバインドします。

まとめると、MainPage.xaml.cs ファイルには次のコードが含まれます。

//Namespaces added
using RIAServicesExample.Web;
using System.ServiceModel.DomainServices.Client;


namespace RIAServicesExample
{
    public partial class MainPage : UserControl
    {
        private CustomerDomainContext _customerContext = new CustomerDomainContext();
        public MainPage()
        {
            InitializeComponent();

            LoadOperation<Customer> loadOp = this._customerContext.Load(this._customerContext.GetCustomersQuery());
            CustomerGrid.ItemsSource = loadOp.Entities;
        }
    }
}

アプリケーションを実行します (F5 キーを押します)。

次のようなデータグリッドが表示されます。

次の手順

このチュートリアルでは、プロジェクトを作成し、ドメインサービスからフィルター処理されていないデータを取得するための基本手順についてのみ説明しました。他の機能について習得するためのいくつかの提案を次に示します。

パラメーターを受け取るクエリなど、カスタマイズされたクエリメソッドを作成します。このクエリメソッドは通常、データのフィルター処理に使用されます。詳細については、「チュートリアル: クエリメソッドの追加」を参照してください。
Update、Insert、および Delete の各メソッドを含み、データを変更するためのプロセスを管理するビジネスロジックをドメインサービスに追加します。詳細については、「方法: ドメインサービスにビジネスロジックを追加する」を参照してください。

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チュートリアル: RIA Services ソリューションの作成

前提条件

プロジェクト間に RIA Services リンクを使用したソリューションの作成

RIA Services ソリューションを設定するには

データモデルの作成

データを中間層で使用できるようにするには

ドメインサービスの作成

ドメインサービスを作成するには

Silverlight クライアントの作成

生成されたクライアントプロキシクラスを表示するには

Silverlight クライアントのデータを表示するには

次の手順

その他のリソース

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チュートリアル: RIA Services ソリューションの作成

前提条件

プロジェクト間に RIA Services リンクを使用したソリューションの作成

RIA Services ソリューションを設定するには

データ モデルの作成

データを中間層で使用できるようにするには

ドメイン サービスの作成

ドメイン サービスを作成するには

Silverlight クライアントの作成

生成されたクライアント プロキシ クラスを表示するには

Silverlight クライアントのデータを表示するには

次の手順

その他のリソース

データモデルの作成

ドメインサービスの作成

ドメインサービスを作成するには

生成されたクライアントプロキシクラスを表示するには