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メールボックス GUID について

 

メールボックス グローバル一意識別子 (GUID) は、Microsoft® Exchange Server メールボックスの最も基本的な属性です。この属性の値は、メールボックスを作成する際にデータベースに設定され、そのメールボックスの有効期間全体にわたって同じ値が使用されます。メールボックス GUID は、メールボックスが有効な各 Active Directory® ディレクトリ サービス アカウントの msExchMailboxGUID 属性に指定されます。

リレーショナル データベースの用語では、メールボックス GUID をメールボックスの主キーと考えることができます。これは、それぞれのメールボックスを他のメールボックスと区別するための一意の値です。どの Active Directory ユーザー アカウントがメールボックスを所有していても、メールボックスが存在している限りメールボックス GUID は常に同じです。

より明確に理解するために、同じデータベース内にある 2 つの異なるメールボックスが、2 つの異なる Active Directory アカウントに割り当てられている場合について考えてみます。それぞれのアカウントが、該当するメールボックスに対応する msExchMailboxGUID 属性を持っています。ユーザー アカウント間で msExchMailboxGUID 属性の値を入れ替えると、2 つのユーザー間でメールボックスが切り替わります。次回ユーザーがログオンすると、互いに相手のメールボックスの内容が表示されます。

msExchMailboxGUID 値を編集する場合、これを 1 文字でも変更すると、関係するユーザーが次回ログオンするときに、新しい GUID に基づいてまったく新しいメールボックスが生成されます。Exchange システム マネージャには、このユーザーが 2 つのメールボックスを持っている状態で表示されます。しばらくすると、メールボックス クリーンアップ エージェントが自動的に実行され、ユーザーの元のメールボックスは接続が解除された状態で表示されるようになります。したがって、このメールボックスは削除の対象になります。この msExchMailboxGUID を元の値に戻したとします。次回ユーザーがログオンすると、元のメールボックスを再び使用できるようになり、新しいメールボックスの接続が解除されます。

データベース移動後のメールボックス GUID 値の保持

データベースを別のサーバーまたはストレージ グループに移動し、ユーザー アカウントからそのデータベース内のメールボックスへのリンクを再構成する場合、ユーザーを以前のメールボックスの内容に接続するには、元のメールボックス GUID 値を保持する必要があります。

Exchange 属性の削除タスクを使用してすべてのメールボックス属性を削除し、その後メールボックスの作成タスクを使用するか、またはユーザーの homeMDBhomeMTA、および msExchHomeServer の各属性を設定すると、新しいメールボックス GUID が生成されます。すべてのユーザーが新しいメールボックスに接続され、Exchange システム マネージャには、それぞれのユーザーが、接続されたメールボックスと接続が解除されたメールボックスの両方をデータベース内に持っている状態で表示されます。

ユーザー アカウントからすべての Exchange 属性を削除する場合、次の 2 つの方法のいずれかを使用して、ユーザー アカウントからメールボックスへのリンクを再構成できます。

  • Exchange システム マネージャで、データベース オブジェクトの下にある [メールボックス] テーブルからメールボックスを見つけます。そのメールボックスを右クリックし、[再接続] を選択します。この操作で、まだメールボックスが有効になっていない Active Directory ユーザー アカウントをメールボックスの所有者として選択できます。このアカウントは、以前の所有者にする必要はありません。この方法を使用すると、既存のメールボックスに新しい所有者を割り当てることができます。
  • メールボックス回復センターを使用して、接続が解除されたメールボックスとそのメールボックスを以前所有していたユーザー アカウントを、自動的に対応付けることができます。この機能は、多数のメールボックスを再接続する必要がある場合に非常に役立ちます。

接続が解除されたメールボックスには、そのメールボックスに最後に接続していたユーザー アカウントに関するいくつかの履歴データが保持されています。メールボックス回復センターはこのデータを読み取り、Active Directory 内のそれに一致するユーザー アカウントを検索します。

ユーザー アカウントの homeMDBhomeMTA、および msExchHomeServer 属性だけを変更してメールボックスのホーム サーバーを変更すると、msExchMailboxGUID 属性は元のまま残ります。この場合、次の 2 つの動作のいずれかが発生します。

  • 新しいサーバー上のデータベースに同じ GUID のメールボックスがまだ存在しない場合、Exchange によって、古いメールボックスと同じ GUID を持つメールボックスがユーザー用に生成されます。
    Exchange では、同じ GUID を持つ 2 つのメールボックスを同時に Active Directory アカウントに接続することはできません。一覧で示されるすべてのメールボックス GUID が、ディレクトリ全体で一意である必要があります。異なるデータベース上に同じメールボックス GUID を持つ 2 つのメールボックスを生成すると、常にそれらのメールボックスのいずれか 1 つだけを接続状態にできます。接続状態にないメールボックスを接続するには、接続しているメールボックスの接続を解除する必要があります。
    ただし、"ダイヤル トーン" 回復シナリオの一環として、同じ GUID を持つ 2 つのメールボックスを生成する場合があります。ダイヤル トーン戦略は、元のデータベースが一時的に使用不可能になっても、最終的にはそれが復元されることを前提としています。復元されるまでの間、ユーザーが以前のメールボックスの内容にアクセスできなくてもメールの送受信を行えるように、別の場所に新しいメールボックスが生成されます。元のデータベースが再び使用可能になった後、ダイヤル トーン データベースの内容が元のデータベースに結合されます。ダイヤル トーン回復戦略の詳細については、『Using Exchange Server 2003 Recovery Storage Groups』を参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
  • 新しいサーバー上のデータベースに同じ GUID を持つメールボックスが存在する場合、ユーザーはそのメールボックスに接続されます。

この動作は、あるサーバーから別のサーバーにデータベースを移動し、元のメールボックスの内容にユーザーを再接続できることを意味します。データベースの移動の詳細については、「別のサーバーまたはストレージ グループへの Exchange メールボックス データベースの移動」を参照してください。

詳細情報

メールボックスの有効化や無効化を行ったり、メールボックスのホーム サーバーを変更したりするその他の方法の詳細については、「Active Directory 属性を使用したメールボックスの有効化、無効化、およびホーム サーバーの変更」を参照してください。