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メールボックス サーバーのベースライン パフォーマンス (MAPI を使用)

 

ここでは、特定の MAPI クライアント負荷を前提とした、Exchange Server 2003 メールボックス サーバー上のベースライン パフォーマンス データを紹介します。メールボックス サーバーの主要なハードウェア条件は、プロセッサの種類と速度、メモリの容量、ネットワークの速度、およびディスクのパフォーマンスと構成になります。

note注 :
比較をする際の基準には、Exchange 2000 Server のスケーラビリティ データを使用します。Load Simulator 2000 および Load Simulator 2003 は、Outlook 2000 および Outlook 2003 MAPI クライアントをそれぞれシミュレートするために使用されます。Load Simulator (LoadSim) の詳細については、「Exchange Server 2003 パフォーマンス ツール」を参照してください。

ハードウェア

次の表は、以下のシナリオで使用するハードウェアの仕様を示しています。

  • シナリオ 1: Exchange 2000 Server およびオンラインの Outlook 2000 と、Exchange Server 2003 およびオンラインの Outlook 2003 との比較
  • シナリオ 2: Exchange 2000 Server および Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003 と、Exchange Server 2003 および Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003 との比較

メールボックスのハードウェア構成

サーバーの種類 プロセッサの種類 RAM 記憶域

バックエンド サーバー

4 つの Intel P4 Xeon プロセッサ、1.4 GHz (ハイパースレッド非対応)

4 GB

  • データベース ボリュームについて、RAID0+1 で構成された SAN
  • 各ストレージ グループのトランザクション ログごとに、RAID1 で構成された 2 個のスピンドル
  • 12 のデータベースに均等に分散された 8,000 ユーザー。このデータベースは、平均 25 MB のユーザー メールボックス サイズを持つ 3 つのストレージ グループに含まれます。

シナリオ 1: Exchange 2000 Server およびオンラインの Outlook 2000 と、Exchange Server 2003 およびオンラインの Outlook 2003 との比較

このシナリオでは、Exchange 2000 Server および Outlook 2000 の負荷特性を Exchange Server 2003 および Outlook 2003 と比較します。負荷の生成には、Load Simulator 2003 を使用します。使用された LoadSim の構成は次のとおりです。

  • LoadSim クライアントの構成

    • Intel P4 600 MHz
    • 512 MB の RAM
    • 1 台の IDE (Integrated Drive Electronics) ハードディスク
    • コンピュータあたり 1,000 の LoadSim クライアント
  • LoadSim の構成   次の表は、使用された値を示しています。

    メールボックスの構成設定

    メールボックスの構成

    受信トレイ内のメッセージ数

    100

    削除済みアイテム内のメッセージ数

    1

    新規フォルダの数

    10

    新規フォルダあたりのメッセージ数

    10

    予定表内の予定数

    25

    連絡先の数

    128

    メッセージの平均サイズ

    75 KB

    ユーザー操作の設定

    1 日 8 時間あたりのユーザーの操作

    メールの送信

    12

    1 日に受信するメッセージの数

    208

    1 日に送信するメッセージの数

    52

    受信トレイの処理

    12

    メールの参照

    20

    空き時間の確認

    1

    会議の出席依頼の送信

    1.4

    予定の作成

    2.8

    予定表の参照

    6

    履歴の適用

    0

    ログオフ

    0

    連絡先の参照

    0

    連絡先の作成

    0

    配布リストの設定

    配布リスト

    サイトあたりの配布リスト数

    100

    配布リストの最小サイズ

    2

    配布リストの平均サイズ

    10

    配布リストの最大サイズ

    20

次の表は、このシナリオでメールボックス サーバーによって実現された結果を示しています。

メールボックス サーバーのパフォーマンス比較

サーバー プラットフォーム Windows 2000 SP3 Windows 2000 SP3 Windows Server 2003 Windows Server 2003

Exchange プラットフォーム

Exchange 2000 Server SP3

Exchange Server 2003

Exchange Server 2003

Exchange Server 2003

クライアント プラットフォーム

Windows XP、オンラインの Outlook 2000

Windows XP、オンラインの Outlook 2003

Windows XP、オンラインの Outlook 2003

Windows XP、オンラインの Outlook 2003

ハイパースレッド

なし

なし

なし

有効

ユーザー

8,000

8,000

8,000

8,000

% Processor Time

75%

76%

75%

57%

Context Switches/sec

8,300

7,833

10,183

13,487

Local Delivery Rate

30

30

30

30

Network Usage (Kbps 単位)

3,154

1,594

1,604

1,613

DB Disk Transfers/sec

2,088

1,980

1,929

1,955

Log Writes/sec

377

314

353

398

Disk Bytes/sec (MB)

19.9

20.4

18.9

17.9

Database Cache Size

864

896

896

896

RPC Operations/sec

950

955

940

925

RPC Requests

7

8

8

7

Client Latency (ms)

96

100

95

105

Store Virtual Bytes

2,047

2,075

2,080

2,082

このシナリオで使用しているパフォーマンス カウンタの詳細については、「パフォーマンス カウンタの定義」を参照してください。

プロセッサ

Exchange 2000 Server SP3 と Exchange Server 2003 が示すプロセッサのパフォーマンスは同程度になります。8,000 ユーザーによる Exchange 2000 Server SP3 のテストではプロセッサの使用率は 75% に達し、Exchange Server 2003 のテストではプロセッサの使用率は 76% に達します。どちらのテストでも同様の負荷が示されます (RPC Operations/sec は 955 と比較して 950 で、Local Delivery Rate は同じ)。

上の表からは、Exchange Server 2003 を実行した場合、Windows 2000 Advanced Server SP3 と Windows Server 2003 がプロセッサ使用率について同程度のパフォーマンスを示すことがわかります。ただし、Windows Server 2003 には、この表に示されていない、仮想メモリの断片化を大幅に軽減するメモリ マネージャによる主要な最適化機能があります。

Exchange Server 2003 は、Intel のハイパースレッド テクノロジを利用して、サーバーのスケーラビリティを 25% 向上します。この表は、同じテストをハイパースレッドを有効にして実行した場合にプロセッサの使用率が 25% 減少する (76% から 57% に) ことを示しています。ハイパースレッドの利点は、Exchange キャッシュ モードを使用するクライアント シナリオの場合も同じです。

メモリ

Exchange Server 2003 での Exchange ストアのメモリ使用量は、Exchange 2000 Server の場合とほぼ同じです。Exchange Server 2003 では、Database Cache Size (データベース キャッシュ サイズ) の増加 (864 MB から 896 MB へ) と Jet でのパフォーマンスの向上により、ランダムな Exchange ストアのディスク入出力 (I/O) 操作数を最大 10% 削減することができます。

ディスクの使用

Exchange Server 2003 では、Exchange データベースのディスク入出力 (I/O) 操作数は Exchange 2000 Server SP3 より 10% 少なくなります。Exchange Server 2003 では Database Cache Size (データベース キャッシュ サイズ) が増加している (864 MB から 896 MB へ) ため、ランダムな Exchange データベースのディスク入出力 (I/O) 操作数を最大 10% 削減することができます。

ネットワークの使用量

Exchange Server 2003 および Outlook 2003 は、Exchange 2000 Server および Outlook 2000 と比較して、ネットワーク帯域幅を最大 50% 削減することができます。この 8,000 ユーザーのテストでは、Exchange 2000 Server および Outlook 2000 が使用する帯域幅は 3,154 Kbps であるのに対し、Exchange Server 2003 および Outlook 2003 が使用する帯域幅は 1,594 Kbps と、約半分であることが示されています。Exchange Server 2003 および Outlook 2003 に実装されている圧縮テクノロジにより、ある数のユーザーをホストするために必要なネットワーク帯域幅は、Exchange 2000 Server および Outlook 2000 の場合より大幅に減少します。Exchange Server 2003 では多くのパフォーマンス最適化機能が実装されているため、この圧縮によりサーバーのスケーラビリティが損なわれることはありません。実質上、通信されるバイト数を減らすためにサーバーの CPU 使用率が増加することはありません。

シナリオ 2: Exchange 2000 Server および Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003 と、Exchange Server 2003 および Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003 との比較

このテストでは、Exchange キャッシュ モードを使用するクライアント シナリオで Exchange 2000 Server および Outlook 2003 と Exchange Server 2003 および Outlook 2003 を比較します。負荷の生成には、LoadSim 2003 を使用します。

  • LoadSim クライアントの構成

    • Intel P4 600 MHz
    • 512 MB の RAM
    • 1 個の IDE ディスク
    • コンピュータあたり 1,000 の LoadSim クライアント
  • LoadSim の構成   次の表は、使用された値を示しています。

    メールボックスの構成設定

    メールボックスの構成

    受信トレイ内のメッセージ数

    100

    削除済みアイテム内のメッセージ数

    1

    新規フォルダの数

    10

    新規フォルダあたりのメッセージ数

    10

    予定表内の予定数

    25

    連絡先の数

    128

    メッセージの平均サイズ

    75 KB

    ユーザー操作の設定

    1 日 8 時間あたりのユーザーの操作

    メールの送信

    7

    1 日に受信するメッセージの数

    161.90

    1 日に送信するメッセージの数

    44.12

    受信トレイの処理

    20

    メールの参照

    0

    空き時間の確認

    4

    会議の出席依頼の送信

    2

    予定の作成

    4

    予定表の参照

    1

    履歴の適用

    0

    ログオフ

    3

    連絡先の参照

    0

    連絡先の作成

    0

    ユーザー操作の設定

    配布リスト

    サイトあたりの配布リスト数

    100

    配布リストの最小サイズ

    2

    配布リストの平均サイズ

    10

    配布リストの最大サイズ

    20

次の表は、このシナリオでメールボックス サーバーによって実現された結果を示しています。

Exchange 2000 Server と Exchange Server 2003 のキャッシュ モードの比較

サーバー プラットフォーム Windows 2000 SP3 Windows 2000 SP3

Exchange プラットフォーム

Exchange 2000 Server SP3

Exchange Server 2003

クライアント プラットフォーム

Windows XP、Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003

Windows XP、Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003

ハイパースレッド

なし

なし

ユーザー

8,000

8,000

% Processor Time

64%

57%

Context Switches/sec

7,981

6,488

Local Delivery Rate

23

23

Network Usage (Kbps 単位)

3,613

1,765

DB Disk Transfers/sec

1,496

1,355

Log Writes/sec

304

315

Disk Bytes/sec (MB)

17.7

16.2

Database Cache Size

896

864

RPC Operations/sec

1,205

1,193

RPC Requests

8

7

Store Virtual Bytes

2,016

2,076

このシナリオで使用しているパフォーマンス カウンタの詳細については、「パフォーマンス カウンタの定義」を参照してください。

note注 :
オンラインの Outlook 2003 テストと Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003 テストの結果を比較することはできません。ユーザー プロファイルおよびユーザーの操作が大きく異なっています。Outlook 2003 に関する特定のパフォーマンス データについては、Exchange Server 2003 でのクライアント ネットワーク トラフィックについてのドキュメントを参照してください (このドキュメントは英語の場合があります)。

プロセッサ

このテストで、Exchange Server 2003 上の Exchange キャッシュ モードの MAPI クライアントのプロセッサ パフォーマンスは、Exchange 2000 Server SP3 を約 10% 上回っています。8,000 ユーザーによる Exchange 2000 Server SP3 のテストではプロセッサの使用率は 64% に達し、Exchange Server 2003 のテストではプロセッサの使用率は 57% に達します。どちらのテストでも同様の負荷が示されます (RPC Operations/sec は 1,193 と比較して 1,205 で、Local Delivery Rate は同じ)。Exchange 2003 Server は、Exchange キャッシュ モードの Outlook 2003 クライアントに対して最適化されています。

メモリ

Exchange Server 2003 での Exchange ストアのメモリ使用量は、Exchange 2000 Server の場合とほぼ同じです。Exchange Server 2003 では、Database Cache Size (データベース キャッシュ サイズ) の増加 (864 MB から 896 MB へ) と Jet でのパフォーマンスの向上により、ランダムな Exchange データベースのディスク入出力 (I/O) 操作数を最大 10% 削減することができます。

ディスクの使用

Exchange 2003 では、Exchange データベースのディスク入出力 (I/O) 操作数は Exchange 2000 Server SP3 より 10% 少なくなります。Exchange Server 2003 でのデータベース キャッシュのサイズが増加している (864 MB から 896 MB へ) ため、ランダムな Exchange データベースのディスク入出力 (I/O) 操作数を最大 10% 削減することができます。

ネットワークの使用量

Exchange Server 2003 および Outlook 2003 は、Exchange 2000 Server および Outlook 2003 と比較して、ネットワーク帯域幅を最大 50% 削減することができます。この 8,000 ユーザーのテストでは、Exchange 2000 Server および Outlook 2003 が使用する帯域幅は 3,613 Kbps であるのに対し、Exchange Server 2003 および Outlook 2003 がテストで使用する帯域幅は 1,765 Kbps と、約半分であることが示されています。Exchange Server 2003 および Outlook 2003 に実装されている圧縮テクノロジにより、ある数のユーザーをホストするために必要なネットワーク帯域幅は、Exchange 2000 Server および Outlook 2003 の場合より大幅に減少します。Exchange Server 2003 では多くのパフォーマンス最適化機能が実装されているため、この圧縮によりサーバーのスケーラビリティが損なわれることはありません。実質上、通信されるバイト数を減らすためにサーバーの CPU 使用率が増加することはありません。

メールボックスのスケーラビリティに関するガイドライン

メールボックス サーバーを設計する際は、以下の推奨事項を考慮する必要があります。

  • 多数の MAPI 接続をホストするバックエンド メールボックス サーバーは、4 つのプロセッサを搭載したサーバー上で適切に拡張されます。
  • 一般に、最もヘビーなメール ユーザーを除くと、1,000 ユーザーごとに 1 プロセッサという割合が適切です。プロセッサの必要条件の詳細については、「サーバーのサイズの計算」を参照してください。
  • Exchange Server は最大 3 GB のメモリを使用します。パフォーマンスを向上するには、メモリを 4 GB まで増やして、ディスクへのページングを削減します。