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Access アップサイジング事例 株式会社浜松町リザベーションセンター

最終更新日: 2009 年 4 月 14 日

このページの内容は公開・更新された当時のものです。

SQL Server へのアップサイジングで、業務を劇的にスピードアップさせると同時に安定稼働を実現

旅行代理店は、お客様からの予約をいかに迅速に手配できるかがポイントです。株式会社浜松町リザベーションセンターは、Access を使って予約の受付業務を行っていましたが、業務の拡大に伴い処理速度が遅くなり、データの競合などが問題になっていました。そこで、こうした問題を解決するために、Access から SQL Server へアップサイジングを行いました。移行は短期間に、低コストで行われ、業務の生産性が大幅に向上すると共に、安定して稼動するシステムを実現することができました。

Access によるデータベース システムの導入

野沢 瑞己氏

株式会社浜松町リザベーションセンター
システム部
野沢 瑞己氏

株式会社浜松町リザベーションセンターは、国内旅行やパッケージ ツアー予約を主体とした旅行代理店で、Web サイトでの販売、手配が中心です。店舗販売ではないので、お客様からの電話や電子メールによる問い合わせに対する迅速な回答は生命線ともいえるものです。
お客様から予約や問い合わせが入ると、オペレーターが受付票に記入して空席確認や手配、購入、発送などを行い、記録に残すというのが主な業務フローです。2000 年の設立当初は受付件数も多くなかったため、紙による処理で十分でした。しかし、業務拡大と共に、より効率的な処理を行うため、2002 年には Microsoft Office Access でのデータベース システムを導入し、受付票への入力から一連の処理までをデータベース化しました。
この最初に導入した Access によるデータベース システムでは、急速な受注規模の拡大に伴い、オペレーターの数が増加すると共にレスポンスが遅くなってきました。また、複数のオペレーターによってデータの記録が同時に行われるため、データの競合も多く、定期的にデータベースの最適化を行わないと一部のデータが欠損してしまうこともありました。

データ量の増加に対応してシステムを改良しても追いつかない

旅行業界では、受注の量がそのまま売上げに直結しますので、オペレーターの数を増やすことによって売上げを増加させる必要があります。ちょうど、全国の関連会社にも同じシステムを展開する必要もあり、2004 年には Access による受付票システムを大幅に改善することにしました。クライアントとして接続する台数も 10 台になり、帳票類を増やし、競合によるデータの欠損をなくすべく作り直しました。
4 か月ほどかけて開発した Access による新しいシステムは、仕様としてはほぼ完成したものになりましたが、その後、受注量が増加し、数万件のデータを扱うようになると、レスポンスの問題が致命的になってきました。
急激なデータベース利用に、Access の処理が追いつかなくなり、お客様からの問い合わせに対して、ピーク時には応答画面が 1 分近くも表示されないような状況になってしまったのです。これでは、ビジネス チャンスをどんどん逃してしまいます。そこで、SQL Server 2005 が発表されたこともあり、Access から Microsoft SQL Server 2005 Standard Edition への移行を検討することにしました。

短期間の SQL Server へのアップサイジングで根本的な解決実現

システム初期画面

システム初期画面
[拡大図を見る]

事業規模が急速に拡大し続けているので、移行とはいっても、時間的な余裕はありません。そのため、現状の Access のデータベースを活かして、より安定性とパフォーマンスを上げることが急務でした。そこで、Access から SQL Server へのデータベースやフォームの移行を前提に開発会社を検討した結果、Access のアップサイジングでは実績のある株式会社インフォースに依頼することになりました。
依頼をしたのは 2005 年で、開発会社からは低コストな移行プランがすぐに提案されました。それは、Access アップサイジング ウィザードによる ADP ファイルでの SQL Server への移行というもので、短期間での移行が可能で、予算的にも満足のいくものでした。そこで、2006 年 1 月には、開発を決断し、移行作業を開始しました。今までの Access によるデータベース システムの仕様はほとんど変えず、変更点は、より使いやすい操作性を実現するためのユーザー インターフェイスだけにしました。これは、その他の追加機能はすべて見送り、とにかく短期間で処理速度の速いシステムを開発することが急務だったからです。
移行作業自体は、1 か月ほどで終了しました。Access を限界まで使いこなしたシステムであったため、ステップ数の多いデータベースでしたが、大きな問題もなく移行作業を終えることができました。
実際の業務移行では、段階的に行うことなしに、一気に新システムに入れ替える方法で行いました。それだけに、問題の発生が懸念されましたが、若干の調整程度で大きな問題もなく移行できたことに、同社では驚いています。Access アップサイジング ウィザードによる移行は、まさに、短期間で確実に SQL Server へ移行するための最適な方法だったのです。

レスポンスが驚くほど向上すると共に、安定稼動を実現

株式会社浜松町リザベーションセンター オペレーションセンター

株式会社浜松町リザベーションセンター
オペレーションセンター

導入後、顕著に効果があったのが、レスポンスです。 「業務全体のスピードが 1.5 倍に向上し、体感的には数百倍のようでした。何しろ、今までは応答に必要な画面が表示されるのに時間がかかり、お客様を待たせてしまうことも多かったのですが、これがなくなっただけでも効率は非常に上がりました」(株式会社浜松町リザベーションセンター システム部 野沢 瑞己氏)。
業務効率が上がったことだけではなく、システム自体が安定したことも大きな効果の 1 つです。 「従来は、データベースの最適化を定期的に行う必要があり、担当者を決めて行っていたのですが、忘れるとデータ競合からくるデータ欠損などが発生し、そのメンテナンスだけでもかなりの時間がとられていました」(同氏)。
システムの安定稼動にはバックアップが欠かせませんが、これも自動化したことによって管理の手間が大幅に削減されています。さらに、個人情報保護の観点からも、SQL Server ならデータを簡単に持ち出すことができない点も重要な改善ポイントでした。
同社では、今後の課題解決として、クラスタ化による無停止稼動を目指しています。同じシステムを全国の支店に展開する段階では、SQL Server でのクラスタ化によりデータを守ることが必要だと考えているからです。「なにしろ、コスト パフォーマンスがいいですからね。Access のデータベースの限界を感じたら、SQL Server をお勧めします」(同氏)。
これは、Access を限界まで使いこなし、SQL Server へのアップサイジングを低コストで容易に実現した、同社だからこその真実味あふれる言葉だといえるでしょう。スピードが要求される業務では、規模の拡大に従い Access から SQL Server へアップサイジングすることによって、企業の生産性を大幅に向上させることができるのです。

 

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