プロセスのカスタマイズ

プロセス テンプレートには、チーム プロジェクトを作成するときに使用可能になるオブジェクトとプロセスを定義します。 プロセス テンプレートをカスタマイズすることで、1 つ以上のオブジェクトまたはプロセスをカスタマイズします。 通常は、次の種類のカスタマイズを行うことができます。

• 既存の作業項目の種類 (WIT) に新しいフィールドを追加する。

• フィールドの選択リストの値を変更する。

• 既存の作業項目の種類のワークフロー (状態、理由、遷移、アクション) を変更する。

• 作業項目フォームのレイアウトを編集する。

• 作業項目の種類を追加または削除する。

• アジャイル ツールに関連付けられているプロセスの構成または既定値を変更する。

ソフトウェア開発用のプロジェクト テンプレートを探している場合は、「Creating Visual Studio templates (Visual Studio テンプレートの作成)」を参照してください。 このトピックでは、TFS チーム プロジェクトを作成するために使用するプロセス テンプレートについて説明します。

既定のプロセス テンプレートでは、既定の構成以外に、チームが作業の計画および追跡、共同作業、情報共有に使用する、次の成果物も定義します。

アジャイル プロセス テンプレートの成果物

これらの成果物の多くは、作業を追跡するために使用される WIT に依存します。 たとえば、WIT の定義に定義されているデータ フィールド ("機能"、"バグ"、"ユーザー ストーリー"、"タスク" など) は、作業項目クエリおよびレポートの定義にも使用されます。 これらの成果物に加えて、初期のプロジェクト区分、マイルストーン、セキュリティ構成を定義したり、バージョン コントロールおよびテスト管理をサポートする他の既定の設定を定義したりすることもできます。

チーム プロジェクトを作成した後、構成を変更し、成果物をカスタマイズできます。 ただし、チーム プロジェクトを作成する前にプロセス テンプレートをカスタマイズすることによって、そのテンプレートから作成するすべてのチーム プロジェクトが、チーム プロセスの標準セットに一致したものになります。 プロセス テンプレートをカスタマイズする主な理由は、次のとおりです。

• 複数のチーム プロジェクトの作成を計画し、作成した各チーム プロジェクトに後で反復的なタスクをできる限り実装しなくても済むようにします。

• ソフトウェア開発チームが使用するツールセット内にテンプレートおよび構造を提供することによって、すべてのチームが特定の規格に準拠するようにします。

• TFS のアップグレード後に機能の構成ウィザードの使用をサポートするように、カスタム プロセス テンプレートを更新する必要があります。

1 つのチーム プロジェクトのみで作業している場合は、単にそのチーム プロジェクトを作成し、後で 1 つまたは複数のオブジェクトをカスタマイズしてみることをお勧めします。

プロセス テンプレートの使用方法

Visual Studio Online では、プロセス テンプレートをインポートすることによって、 Team Foundation Server (TFS) がチーム プロジェクトの作成に使用するプロセスを追加または更新します。 プロセス テンプレートは、主にチーム プロジェクトを作成するために使用します。 チーム プロジェクトは、相互に依存する一連のテンプレート ファイルで定義されているオブジェクト、成果物、および構成のセットを提供します。 チーム プロジェクトを使用して、ソース コードの整理、作業および情報の追跡、ソフトウェアのビルド、およびテスト アクティビティのサポートを行います。

Visual Studio オンライン

• チーム プロジェクトの作成

• プロセスの追加または更新 (制限付きの可用性)

内部設置型 Team Foundation Server (TFS)

• チーム プロジェクトの作成

• 内部設置型 TFS にアップグレードした後に既存のチーム プロジェクトを更新します。

まず、何を行う必要がありますか。

プロセス テンプレートのカスタマイズを開始する前に、構成およびカスタマイズできる対象を理解し、それに応じて変更の計画を立てることをお勧めします。

• 初めて TFS を使用し、テンプレートを処理する場合は、まず、TFS の 3 つの既定のプロセス テンプレートを確認します。

• プロセス テンプレートのファイル構造を理解するには、各ファイルの説明を確認するか、またはプロセス テンプレートをダウンロードします。

• ツールセット、構成、およびカスタマイズについて理解を深めるには、「構成およびカスタマイズできる対象のエンド ツー エンドのビュー」を参照してください。

  チーム プロジェクトのプロセスを作成後に変更できます。 チーム プロジェクトで作業していると、プロセス テンプレートに定義されていた初期設定がニーズに合わなくなることがあります。

• テスト計画、テスト スイート、テスト ケースなど作業の追跡に使用されるオブジェクトのカスタマイズに最も関心がある場合は、「チームのプロセスをサポートするための作業トラッキング オブジェクトのカスタマイズ」を確認します。 チーム プロジェクト用の XML 定義ファイルを変更することで行うカスタマイズは、プロセス テンプレート ファイルで行うカスタマイズと同じ種類のものです。

  作業項目の種類を追加または変更する場合は、プロセス テンプレート全体を変更せずにこの操作を実現できます。 既存のチーム プロジェクトを使用して変更を追加およびテストできます。 witadmin exportwit と importwitd のコマンドライン ツールを使用すると、作業項目の種類の XML 定義ファイルをダウンロードおよびアップロードできます。

• TFS のアップグレード後に、機能の構成ウィザードを使用して、サポートするカスタム プロセス テンプレートを更新する必要がある場合は、「カスタマイズされたプロセス テンプレートの更新による新機能の利用」を参照してください。

  TFS を新しいバージョンにアップグレードすると、既定の TFS プロセス テンプレートの最新バージョンがアップロードされます。 更新後のテンプレートで使用できる機能を利用すると同時に以前に行ったカスタマイズも利用するには、それらのカスタマイズを新しいテンプレートに追加することが必要になる場合があります。

• 詳細にカスタマイズすることを検討している場合は、その変更がチーム プロジェクトのメンテナンスとアップグレードにどのように影響するかを確認します。

カスタマイズできるプロセス テンプレート ファイルおよび機能領域

プロセス テンプレートは、9 個のプラグインで構成されます。 各プラグインでは、新しいチーム プロジェクト ウィザードを起動するときに実行する一連のタスクおよび表示される画面を定義します。 タスクでは、アクセス許可、フォルダーの作成、ファイルのアップロード、サイトのアクティブ化、またはその他の構成可能な変数を設定します。 プラグインでは、他のタスクの正常な完了に基づくタスクの依存関係も指定します。

プロセス テンプレートをカスタマイズするには、機能領域に関連付けられている 1 つまたは複数のファイルをカスタマイズします。 1 つのオブジェクトをカスタマイズするのは非常に簡単ですが、カスタマイズするときに依存関係を破損しないようにしてください。

	チームおよび既定の分類: 初期領域およびイテレーション パスを定義する 初期のグループ、チーム、メンバー、アクセス許可を構成する Microsoft Project フィールドの Team Foundation フィールドへのマッピング 作業項目の追跡: WIT 定義を追加または変更する カテゴリを追加または変更する プロセス構成を変更する リンクの種類を追加する 作業項目または作業項目クエリを追加する
	バージョン コントロール、ビルド、ラボ、およびテスト管理: 機能領域に対する既定のグループ権限を構成する 既定のチェックイン ポリシーを定義する 既定のテスト環境、テスト構成、解決状態、およびテスト設定を定義する
	レポートおよびプロジェクト ポータル: レポートをアップロードする ドキュメントをプロジェクト ポータルにアップロードする

プロセス テンプレートはチームのプロセスのさまざまな構成要素に関連するので、加える変更を計画、調整、および追跡することをお勧めします。 具体的には、1 つの領域の既定の構成を変更する前に、プロジェクト リーダー、テスト リーダー、開発リーダー、およびリリース マネージャーに問い合わせることをお勧めします。

プロセス テンプレートをカスタマイズするステップ

プロセス テンプレートのカスタマイズは、反復的作業です。 プロセス テンプレートが正しくカスタマイズされているかどうかを確認するには、そのプロセス テンプレートをテストできる Team Foundation Server を実行しているサーバーで定義されたチーム プロジェクト コレクションが必要です。

プロセス テンプレートをカスタマイズするには、まず、既存プロセス テンプレートをダウンロードし、ファイルを変更または追加して、プロセス テンプレート ファイルをアップロードします。次に、変更を検証します。

ステップ	タスク
	プロセス テンプレートをダウンロードする。 プロセス テンプレートをカスタマイズするには、まずプロセス テンプレートをローカル コンピューターにダウンロードする必要があります。 必要な変更を最小限にするには、チーム プロセスに最も近いテンプレートを選択します。 通常は、作業項目とワークフローの種類に基づいてプロセス テンプレートを選択します。
	ファイルを変更または追加します。 プロセス テンプレートをカスタマイズするには、プロセス テンプレートに対して定義されるファイルを変更、削除、または追加します。 プラグインまたは定義ファイルのカスタマイズは、その XML コンテンツを変更することで行います。 各プラグイン ファイルと型定義ファイルは、それぞれの XML スキーマ定義に従っている必要があります。 初めてプロセス テンプレートをカスタマイズするときは、わずかな変更のみを行います。 変更がテンプレートに及ぼす影響を十分に理解しないまま大量の変更を行うと、複数の誤りが発生する可能性があり、デバッグが困難になります。 プロセス テンプレートの名前は固有のものにします。 プロセス テンプレートをダウンロードし、変更を加えてからアップロードする場合、その名前を変更する必要があります。そうしないと、プロジェクト コレクションからの既存のプロセス テンプレートが上書きされます。
	プロセス テンプレートをアップロードする。 テンプレートをカスタマイズした後は、チーム プロジェクトを作成するチーム プロジェクト コレクションにテンプレートをアップロードします。 他のチーム プロジェクトで使用されていないチーム プロジェクト コレクションを使用することが理想的です。 テスト ベッドのプロジェクト コレクションで作業すると、開発中の既存のチーム プロセスと衝突する可能性がある変更を行わずに済みます。 また、プロジェクト ポータルやレポート サイトなど、チーム メンバーにアクセスさせるリソースと同じリソースをチーム プロジェクト コレクションでサポートできます。 プロセス テンプレートの名前は固有のものにします。 チーム プロジェクト コレクションからダウンロードして変更を行ったプロセス テンプレートをアップロードする場合は、名前を変更するか、既存のプロセス テンプレートをチーム プロジェクト コレクションから削除する必要があります。 アップロード プロセスでは、検証チェックを実行して XML が有効であることを確認します。 プロセス テンプレートをアップロードしようとしてエラーが発生する場合は、加えた変更がエラーの原因となっています。 変更を確認し、XML 構文エラーがある場合は修正します。
	チーム プロジェクトを作成する。 新しいプロセス テンプレートをテストするには、チーム プロジェクトを作成する必要があります。 チーム エクスプローラーから新しいチーム プロジェクト ウィザードにアクセスして、チーム プロジェクトを作成します。 エラーが発生した場合は、チーム プロジェクト作成ログを確認します。 ここには、実行しようとしたタスクのリストが含まれており、どのタスクが失敗したかが示されます。 失敗したタスクを XML に対応させて、エラーの原因を調べます。 必要がなくなったチーム プロジェクトは、TFSDeleteProject コマンド ライン ツールを使用して削除できます。
	プロセス テンプレートへの変更を確認する。 プロセス テンプレートを運用モードで配置して複数のチーム プロジェクトのベースとして使用する前に、テンプレートが正しく定義されていることを確認する必要があります。 このタスクは、各オブジェクトと成果物が問題なく動作することを体系的に検証することで実行します。 レポートを追加した場合は、チーム エクスプローラーにそのレポートが表示されることを確認します。 フィールドを追加した場合は、スキーマの競合が発生していないことを確認します。

Q & A

Q: TFS に用意されている既定以外のプロセス テンプレートを使用できますか。

A: できます。 サード パーティが自身で作成したプロセス テンプレートを提供する場合があります。 ここで説明するように、サード パーティが提供するプロセス テンプレートを使用するときは、TFS のアップグレード後に追加の作業を実行する必要があります。

CodePlex.com で検索を実行すると、プロセス テンプレートがアップロードされたかどうかを確認できます。

Q: プロセス テンプレートをカスタマイズするには、どのようなアクセス許可が必要ですか。

A: プロセス テンプレートをダウンロードまたはアップロードするには、プロジェクト コレクション管理者グループのメンバーであるか、[プロセス テンプレートの管理] アクセス許可を [許可] に設定する必要があります。 「プロジェクト コレクションを管理するアカウントを追加する」を参照してください。

Q: ビジネス テンプレートをカスタマイズするには、どのツールを使用できますか。

A: 任意のテキスト エディターまたは XML エディターを使用して XML ファイルを変更できます。 または、プロセス エディターを使用することができます。これは、Visual Studio でプロセス テンプレート ファイルをカスタマイズするためのパワー ツールです。 ダウンロードするには、Team Foundation Server パワー ツールに移動します。

プロセス エディターには、次の領域をカスタマイズするために使用できるユーザー インターフェイスが用意されています。

• 作業項目の追跡:

  • フィールドの追加や、ワークフローと作業項目フォームの変更など、作業項目の種類の定義を作成および編集する

  • 作業項目の種類をグループ化するためのカテゴリを追加および編集する

  • アジャイル計画ツールのプロセス構成を編集する

  • 作業項目クエリを作成および編集し、クエリをクエリ フォルダーに整理する

  • リンクの種類を作成および編集する

• プロジェクトの分類と階層:

  • 製品区分パスを作成および編集する

  • マイルストーン リリースまたはイテレーション パスを作成および編集する

  • Microsoft Project のマッピング ファイルを変更する

• セキュリティ グループ: TFS グループとそのアクセス許可を作成および編集する

• バージョン コントロール:

  • チェックアウト設定を編集する

  • チェックイン メモを作成および編集する

  • TFS グループとそのアクセス許可を作成および編集する

• ポータルとレポート:

  • アップロードするファイルとそのフォルダー構造を確認する

  • アップロードするファイルを追加します。

Q: 特定のプラグインをサポートするには、どのようなリソースが必要ですか。

A: ビルド、ポータル、レポートの各プラグインには、次のリソースが必要です。

プラグイン	Team Foundation ビルド	SharePoint 製品	SQL Server Analysis Services	SQL Server Reporting Services
ビルド
ポータル			推奨	基本のダッシュボードをサポートする場合にのみ必要です。
レポート

Q: プロセス テンプレートにはカスタマイズできない成果物がありますか。

A: できます。 プロセス テンプレート ファイルによって Microsoft Excel のレポートおよびダッシュボードをカスタマイズすることはできません。 これらの成果物は、新しいチーム プロジェクト ウィザードでの選択内容に基づいて、チーム プロジェクト用に作成されます。 詳細については、「Team Foundation Server プロジェクト ポータルのカスタマイズ」を参照してください。

Q: ProcessTemplate.xml プラグイン ファイルはどのように使用しますか。

A: テンプレートに含めるプラグインを定義するには、ProcessTemplate.xml プラグイン ファイルを使用します。 このファイルには、チーム プロジェクトを作成するために実行するすべてのタスク グループが含まれます。 各タスク グループは、そのプラグインの特定のタスクが定義されている従属 XML プラグイン ファイルを参照します。 詳細については、こちらを参照してください。

Q: 依存関係について知っておく必要があることを教えてください。

A: 多くのオブジェクトが、プロセス テンプレート内の他のオブジェクトの定義に依存しています。

たとえば、アジャイル プロセス テンプレートに定義されている作業項目クエリは、Classification.xml ファイルに定義されているイテレーション ノードを使用します。 イテレーション ノードの定義を変更する場合は、その定義が依存している作業項目クエリも変更する必要があります。 このようなクエリを見つけるには、.wiq ファイルで次のマクロを検索します。

• イテレーション 1 = @@Iteration%201@@

• イテレーション 2 = @@Iteration%202@@

• イテレーション 3 = @@Iteration%203@@

必要なプラグインとプラグインの依存関係の概要については、「プラグイン ファイルのタスク グループとタスクの依存関係の定義」を参照してください。

Q: 認識しておくべき制限はありますか。

A: できます。 プロセス テンプレートにオブジェクトを追加するときは、ラベルを正しく付けることで XML 検証エラーを回避できます。

次の注意事項とヒントを確認してください。

• ほとんどの Team Foundation オブジェクトの名前またはラベルに制限事項が適用されます。 プロセス テンプレート、セキュリティ グループ、区分ノードとイテレーション ノード、作業項目の種類、および作業項目フィールドに適用される名前付けの制限事項の概要については、「Team Foundation の名前付けの制限事項」を参照してください。

• カスタマイズするほとんどのプロセス テンプレート コンポーネントは、プロセス テンプレートを使用して作成したチーム プロジェクトにのみ影響します。 この規則の例外は、作業項目の種類に対して定義されているグローバル リスト、リンクの種類、および作業項目フィールドです。 これらのオブジェクトは、チーム プロジェクト コレクションに対して定義されます。

• 各作業項目フィールドには、各フィールドを一意に識別するフィールド参照名が関連付けられています。 割り当てた後に参照名を変更することはできません。

  また、作業項目フィールドには、レポート名を割り当てることができます。 レポート名は、チーム プロジェクト コレクションで定義されたすべての作業項目の種類で一致する必要があります。 一致しない場合は、プロセス テンプレートのアップロード時に検証エラーが発生するか、データ ウェアハウス データベースで競合が発生する可能性があります。

  作業項目フィールド名、リンクの種類の名前、およびグローバル リストのスコープは、チーム プロジェクト コレクションとなります。 これらのオブジェクトのいずれかをカスタマイズすると、変更は、コレクションで定義されているすべてのチーム プロジェクトと、その作業項目フィールドを含む作業項目の種類に反映されます。

  詳細については、「作業項目トラッキング オブジェクトの名前付け規則」を参照してください。

• プロセス テンプレートの最大サイズは 2 GB です。 プロセス テンプレートをカスタマイズするときには、変更によってサイズがこの値を超えないよう注意してください。

Q: XML 要素の構文はどこで確認できますか。

A: A: プロセス テンプレート ファイルは、2 つの主要なスキーマ定義を参照します。

• プラグイン ファイルの構文については、プロセス テンプレート プラグイン: XML 要素定義に対するインデックスを使用してください。

• WIT 定義の構文については、作業項目の追跡: XML 要素定義に対するインデックスを使用してください。

Q: 機能の構成ウィザードの詳細は、どこで確認できますか。

A: 「TFS アップグレード後の機能の構成」を参照してください。

Q: 他に質問がある場合は、どこに問い合わせればよいですか。

A: Microsoft フォーラム「Team Foundation Server – Process Templates (Team Foundation Server - プロセス テンプレート)」を参照してください。