.NET Framework Version 1.1 再配布可能パッケージ テクニカル リファレンス
Microsoft Corporation
May 2003
このドキュメントは、Microsoft Visual Studio .NET 2003、Visual Basic .NET、Visual C++ .NET、Visual C# .NET、Visual J# .NET、および Microsoft .NET Framework SDK version 1.1 (これら "Microsoft 開発ツール" の任意の 1 つ) の一部として、Microsoft .NET Framework 再配布可能ファイル (dotnetfx.exe および Langpack.exe) の配布または内部での配置に際して使用するために提供されています。
Microsoft は、このドキュメントの内容に関して、特許、特許申請、商標、著作権、またはその他の知的財産権を所有している場合があります。Microsoft の使用許諾契約書に特に明記されている場合を除き、このドキュメントは、これらの特許、商標、著作権、またはその他の知的財産の権利を許諾するものではありません。dotnetfx.exe および Langpack.exe の配布または内部での配置に関する情報については、Microsoft 開発ツールの使用許諾契約書をお読みください。
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要約 : .NET Framework version 1.1 用に作成されたアプリケーションやコントロールを実行するコンピュータには、.NET Framework Version 1.1 再配布可能パッケージがインストールされている必要があります。.NET Framework 再配布可能パッケージ Dotnetfx.exe と Langpack.exe はスタンドアロンの実行可能ファイルとして提供されています。この記事では、Dotnetfx.exe と Langpack.exe の入手方法、およびこのファイルを使用した .NET Framework アプリケーションの配置方法について説明します。
メモ Dotnetfx.exe を使用したり、作成したアプリケーションと一緒に再配布したりするには、Microsoft .NET Framework SDK version 1.1 (または Visual Studio .NET 2003) の正当なライセンスが必要です。Dotnetfx.exe の使用または配布の一切は、Microsoft .NET Framework SDK version 1.1 (または Visual Studio .NET 2003) の使用許諾契約の条項による制約の対象となります。Microsoft .NET Framework SDK version 1.1 (または Visual Studio .NET 2003) の正当なライセンスがないと、Dotnetfx.exe および Langpack.exe を使用または配布することはできません。
目次
はじめに
.NET Framework Version 1.1 再配布可能パッケージの入手先
Dotnetfx.exe のオプションおよびエラー
ローカライズ バージョンの Dotnetfx.exe のインストール
構成の最小要件
はじめに
Microsoft® .NET Framework version 1.1 には、再配布可能なインストーラが用意されています。このインストーラには、共通言語ランタイムと、.NET Framework アプリケーションの実行に必要な Microsoft .NET Framework コンポーネントが含まれています。.NET Framework 再配布可能パッケージは、スタンドアロンの実行可能ファイル、Dotnetfx.exe と Langpack.exe として利用できます。.NET Framework では、Dotnetfx.exe の再配布の権利を許諾する使用許諾契約が必要です。これまでに Microsoft Visual Studio .NET 2003 または .NET Framework SDK version 1.1 をインストールしている場合や、Web から Dotnetfx.exe と Langpack.exe をダウンロードしている場合は、既に Dotnetfx.exe と Langpack.exe の使用許諾契約書に同意しています。使用許諾契約書の条項については、「.NET Framework 1.1 使用許諾契約書」を参照してください。
Dotnetfx.exe および Langupack.exe は、コンピュータ上で手動にて起動してインストールすることも、.NET Framework アプリケーションのセットアップ プログラムの一部として起動してインストールすることもできます。Dotnetfx.exe と Langpack.exe をインストールするには、管理者権限が必要です。これまでに .NET Framework SDK version 1.1 または Microsoft Visual Studio .NET 2003 をインストールしている場合は、Dotnetfx.exe と Langpack.exe をインストールする必要はありません。
このホワイト ペーパーでは、Dotnetfx.exe のテクニカル リファレンスのみを提供します。Dotnetfx.exe の配置の詳細については、「.NET Framework 1.1 配布ガイド」を参照してください。この Web サイトでは、.NET Framework SDK version 1.1 ユーザーと Visual Studio .NET 2003 ユーザーのための配置シナリオを扱ったホワイト ペーパーなど、配置に関する詳しい情報を提供しています。
Dotnetfx.exe をインストールするには、最低限満たしていなければならない構成の要件があります。ソフトウェアおよびハードウェアの要件と推奨事項の詳細については、「構成の最小要件」を参照してください。
.NET Framework Version 1.1 再配布可能パッケージの入手先
Dotnetfx.exe は、Microsoft ダウンロード センター または Microsoft Windows Update Web サイトからダウンロードできます。
この他、製品の CD または DVD から再配布可能パッケージを入手することもできます。Dotnetfx.exe は、.NET Framework SDK version 1.1 CD に含まれています (ルート ディレクトリ内の dotNETRedist ディレクトリ)。また、Microsoft® Visual Studio® .NET Prerequisites CD (dotNetFramework ディレクトリ) および Microsoft Visual Studio® .NET 2003 DVD (\wcu\dotNetFramework ディレクトリ) にも含まれています。
これらの製品の注文方法については、MSDN の「.NET Framework SDK」のページを参照してください。
ユーザーがインターネットから .NET Framework 1.1 をインストールできるようにする場合は、.NET Framework Version 1.1 再配布可能パッケージ をポストするのではなく、ユーザーを Microsoft Windows Update Web サイトにアクセスするように指示してください。
Dotnefx.exe のオプションおよびエラー
.NET Framework Version 1.1 再配布可能パッケージ は、Windows インストーラ パッケージを使用して、Dotnetfx.exe という 1 つの自己展開型の実行可能ファイルにまとめられています。Dotnetfx.exe 実行可能ファイルが起動する Install.exe は、プラットフォーム チェックを実行し、必要に応じて Windows インストーラ 2.0 をインストールしてから、Windows インストーラ パッケージ (.msi ファイル) を起動します。
表 1 は、Dotnetfx.exe のインストール時に指定できるコマンド ライン オプションを示しています。Dotnetfx.exe のインストール時にオプションを指定するには、/c: オプションを使用してオプションを Install.exe ラッパーに渡す必要があります。
構文
dotnetfx [/q:a] [/c:"Install [/l][/q]"]
表 1. Dotnetfx.exe のインストール時に使用できるコマンドライン オプション
オプション | 説明 |
---|---|
/l | セットアップ ログ、netfx.log を %temp% ディレクトリに作成します。Dotnetfx.exe から返されるエラー コードは、このログに書き込まれます。/l の後ろに絶対パスを指定できます。 |
/q | サイレント インストール モードを指定します。セットアップ ユーザー インターフェイスが非表示になります。サイレント インストールを行うには、Dotnetfx.exe の /q:a オプションを指定して展開ユーザー インターフェイスも非表示にする必要があります。 |
Dotnetfx.exe をホストしている .NET Framework アプリケーションをアンインストールするには、Windows のプログラムの追加と削除オプションを使用する必要があります。このオプションを使用すると、Dotnetfx.exe に依存して実行されるアプリケーションがある場合に、そのアプリケーションから独立して Dotnetfx.exe がアンインストールされることがなくなります。
使用例
次のコマンドを実行すると、Dotnetfx.exe 再配布可能パッケージがインストールされます。
dotnetfx /c:"install"
Dotnetfx.exe と Language Pack のサイレント インストールの開始
次のコマンドを実行すると、Dotnetfx.exe サイレント インストールが開始されます。
dotnetfx.exe /q:a /c:"install /l /q"
次のコマンドを実行すると、langpack.exe (任意の Language Pack) のサイレント インストールが開始されます。
LangPack.exe /q:a /c:"inst /q"
サイレント インストールでは、すべてのユーザー インターフェイス、および Dotnetfx.exe と Dotnetfx.exe 内に含まれている Install.exe から返されるエラー メッセージが表示されません。/q:a
オプションと /q
オプションを指定してサイレント インストールを行うことにより、ユーザーのインストール作業を標準化できます。/l
オプションを指定すると、%temp% ディレクトリにセットアップ ログ ファイル netfx.log が作成され、そこにすべてのエラー ログが記録されます。
エラー コード
Dotnetfx.exe から返されるエラーを 表 2 に示します。
表 2. Dotnetfx.exe のエラー
エラー | 説明 |
---|---|
3010 | Reboot is required.
.NET Framework のインストール後に、コンピュータを再起動する必要があります。 |
4096 | Improper usage/invalid parameters.
Dotnetfx.exe にパラメータを指定するために使用した構文が間違っているか、パラメータが無効です。 |
4097 | On Windows NT, Windows 2000, Windows XP or Windows Server 2003, need Administrator rights to (un)install.
このアプリケーションのインストールまたはアンインストールの実行に必要な権限がありません。管理者に問い合わせてください。 |
4098 | Installation of Windows Installer components failed.
Windows インストーラのインストールに失敗しました。このため、Dotnetfx.exe のインストールを続行できません。 |
4099 | Windows Installer is not installed properly on computer.
Windows インストーラのインストールが正しく行われなかったため、Dotnetfx.exe のインストールを続行できません。 |
4100 | CreateMutex failed.
重大なエラーが発生したため、Dotnetfx.exe のインストールを続行できません。 |
4101 | Another instance of setup is already running.
セットアップの別のインスタンスを実行中の場合、そのインスタンスは続行できますが、現在のインストールは続行できません。 |
4102 | Cannot open MSI Database |
4103 | Cannot read from MSI Database |
4111 | Cannot get Temporary directory. |
4113 | Beta NDP components detected.
コンピュータ上でベータ版の .NET Framework が検出されました。Dotnetfx.exe のインストールを行う前に、ベータ版をアンインストールする必要があります。 |
4115 | Temporary directory too long |
4116 | Source directory too long |
4118 | Cannot write to log |
4119 | The Darwin service is hung and requires a reboot in order to continue |
4120 | An internal error occurred while trying to initialize the Darwin Service |
8191 | Setup Failure—unknown reason.
重大なエラーが発生しました。Dotnetfx.exe のインストールを続行できません。 |
表 3. Langpack.exe のエラー
エラー | 説明 |
---|---|
4096 | Improper usage/invalid parameters |
4097 | Windows Installer is not installed properly on machine |
4098 | Cannot open MSI Database |
4099 | Cannot read from MSI Database |
4100 | Source directory too long |
4352 | Initialization error—cannot be logged |
4355 | Temporary directory too long |
4356 | Cannot get temporary directory |
4357 | Cannot write to log |
8191 | Setup Failure—unknown reason |
Dotnetfx.exe のインストール中に、Microsoft Windows インストーラ および Windows オペレーティング システムからもエラーが返されることがあります。一般的な Windows インストーラのエラーを表 4 に示します。Windows インストーラのすべてのエラーの一覧については、Windows インストーラのドキュメントを参照してください。
表 4. Windows インストーラのエラー
エラー | 説明 |
---|---|
1601 | The Windows Installer service could not be accessed.Contact your support personnel to verify that the Windows Installer service is properly registered. |
1602 | User cancelled installation.
ユーザーがユーザー インターフェイスの [キャンセル] ボタンをクリックしました。インストールを続行できません。 |
1603 | Fatal error during installation.
Windows インストーラのインストール中に重大なエラーが発生しました。Dotnetfx.exe のインストールを続行できません。 |
1622 | Error opening installation log file.Verify that the specified log file location exists and is writable.
このエラーは、アンインストールの際に、ディスク領域がない場合、または Windows インストーラのログが有効になっている場合に発生する可能性があります。また、インストールの際に、Windows インストーラのログに書き込むための領域が十分にない場合、またはログが読み取り専用である場合に発生する可能性があります。 |
1633 | This installation package is not supported on this platform.Contact your application vendor. |
ローカライズ バージョンの Dotnetfx.exe のインストール
.NET Framework 再配布可能パッケージ (Dotnetfx.exe) には 22 の言語バージョンがあります。すべてのバージョンの dotnetfx.exe はプログラム的には同一であり、22 のバージョン間で異なるのは、インストール時に表示されるユーザー インターフェイスだけです。たとえば、日本語バージョンの dotnefx.exe を英語バージョンのコンピュータにインストールすると、すべてのインストール ダイアログと使用許諾契約書 (EULA) が日本語で表示されますが、コード自体はローカライズされていないため、.NET Framework によって表示されるダイアログはすべて英語になります。したがって、インストール ダイアログが特定の言語で表示されるようにするには、該当する言語バージョンの dotnetfx.exe をインストールします。
.NET Framework version 1.1 によって日本語のダイアログが表示されるようにするには、日本語の Language Pack もインストールする必要があります。.NET Framework version 1.1 の Language Pack に含まれているのはローカライズされたリソース (エラー メッセージなど) だけであり、.NET Framework version 1.1 をプログラム的に変更することはありません。
.NET Framework version 1.1 には Language Pack が 21 用意されており、21 すべての Language Pack を同じコンピュータにインストールすることもできます。ただし、英語の Language Pack はありません。これは、dotnetfx.exe のエラー コードとメッセージは既定ですべて英語になっているためです。
あらゆる場合について、ローカライズされているコンピュータに対しては、ローカライズ バージョンの dotnetfx.exe とそれに対応する Language Pack をインストールしてください。つまり、日本語のコンピュータにインストールする場合は、日本語にローカライズされた dotentfx.exe と日本語の Language Pack をインストールする必要があります。
メモ Windows 98 または Windows Me を実行しているコンピュータで .NET Framework Language Pack をインストールする場合は、インストールする Language Pack がシステム コード ページとフォントによってサポートされている必要があります。そのためには、以下のような選択肢があります。
- 使用している Windows と同じ言語の Language Pack をインストールします。たとえば、日本語バージョンの Windows 98 を使用している場合は、日本語の Language Pack をインストールします。
- システム コード ページが同じ言語どうしの間で、ローカライズ バージョンの Windows にローカライズ バージョンの Language Pack をインストールします。たとえば、ドイツ語バージョンの Windows 98 に フランス語の Language Pack をインストールします。
- 任意のローカライズ バージョンの Windows に .NET Framework version 1.1 をインストールします。インストールする .NET Framework Language Pack の言語がシステム コード ページやフォントによってサポートされていない場合は、ダイアログが正しく表示されません。たとえば、英語バージョンの Windows 98 に日本語の Language Pack をインストールすると、セットアップ ダイアログのテキストが正しく表示されません。
上記の制限が当てはまるのは Windows 98 と Windows Me のみです。Windows 2000、Windows NT 4.0、Windows XP、Windows Server 2003 ファミリでは、あらゆる言語バージョンの Windows であらゆる .NET Framework Language Pack をインストールできます。
次の表に、利用可能なすべての Language Pack を示します。
言語 | LCID |
---|---|
簡体字中国語 | 2052 |
繁体字中国語 | 1028 |
チェコ語 | 1029 |
デンマーク語 | 1030 |
オランダ語 | 1043 |
フィンランド語 | 1035 |
フランス語 | 1036 |
ドイツ語 | 1031 |
ギリシャ語 | 1032 |
ハンガリー語 | 1038 |
イタリア語 | 1040 |
日本語 | 1041 |
韓国語 | 1042 |
ノルウェー語 | 1044 |
ポーランド語 | 1045 |
ポルトガル語 (ブラジル) | 1046 |
ポルトガル語 (ポルトガル) | 2070 |
ロシア語 | 1049 |
スペイン語 | 3082 |
スウェーデン語 | 1053 |
トルコ語 | 1055 |
構成の最小要件
ここでは、.NET Framework 再配布可能パッケージをインストールするコンピュータの構成の最小要件について説明します。最小要件が満たされていない場合、Dotnetfx.exe セットアップは、再配布可能パッケージのインストールを中断します。特に、Microsoft Windows 95 を実行しているコンピュータに .NET Framework 再配布可能パッケージをインストールすることはできないので注意してください。
プラットフォームとソフトウェアの要件
最小要件
Dotnetfx.exe をインストールするには、以下のいずれかのオペレーティング システムと Microsoft Internet Explorer 5.01 以降がコンピュータにインストールされている必要があります。
- Microsoft® Windows® 98
- Microsoft Windows 98 Second Edition
- Microsoft Windows Millennium Edition (Windows Me)
- Microsoft Windows NT® 4 (Workstation または Server)と Service Pack 6a
- Microsoft Windows 2000 (Professional、Server、または Advanced Server) と最新の Windows Service Pack および重要な更新 (Microsoft Security Web サイトからダウンロード可能)
- Microsoft Windows XP (Home または Professional)
- Microsoft Windows Server 2003 ファミリ
推奨されるソフトウェア
アプリケーションの要件によっては、以下のソフトウェアのインストールが必要になる場合があります。
- データ アクセスのための MDAC 2.6 以降 (MDAC 2.7 SP1 を推奨) (MSDN の Data Access Downloads からダウンロード可能)
- Windows 実装のためのコア WMI (Download Center からダウンロード可能)
メモ 推奨されるソフトウェアの要件が満たされていなくても、インストールが中断されたり警告が表示されたりすることはありません。
推奨されるサーバー ソフトウェア
アプリケーションの要件によっては、以下のサーバー ソフトウェアが必要になる場合もあります。
- サーバー上のデータのための MDAC 2.7 (MSDN の Data Access Downloads からダウンロード可能)
- Windows 2000、Windows XP (Professional)、および Windows Server 2003 のサーバー上のインターネット インフォメーション サービス (IIS)。ASP.NET アプリケーションを使用する場合に必要です。
ハードウェアの要件
表 5. ハードウェアの最小要件
シナリオ | 必要な CPU | 必要な RAM |
クライアント | Pentium 90 MHz* | 32 MB** |
サーバー | Pentium 133 MHz* | 128 MB** |
* オペレーティング システムを実行するために必要な最低限の CPU がこれより上の場合は、そちらが最小要件になります。
** オペレーティング システムを実行するために必要な最低限の RAM がこれより上の場合は、そちらが最小要件になります。
表 6. 推奨されるハードウェア
シナリオ | 推奨される CPU | 推奨される RAM |
---|---|---|
クライアント | Pentium 90 MHz 以上 | 96 MB 以上 |
サーバー | Pentium 133 MHz 以上 | 256 MB 以上 |