W3C ARIA 対応の UI オートメーション
更新日: 2009 年 4 月 28 日
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PDC08_UI_Automation_for_W3C_Accessible_Rich_Internet_Applications_Specifications_JPN.docx (Word 形式、50 KB)
目次:
- はじめに
- ARIA の Role 属性を Microsoft Active Accessibility の役割と UI オートメーションの Control Type にマップする
- W3C ARIA の状態やプロパティを Microsoft Active Accessibility や UI オートメーションのプロパティにマップする
- その他の考慮事項
- 詳細情報
Masahiko Kaneko
Microsoft Corporation
2008 年 10 月
対象:
Microsoft Windows® オペレーティング システム
要約:
Accessible Rich Internet Applications (ARIA) は、障害のあるユーザーが簡単にアクセスできる Web コンテンツやアプリケーションを開発するための World Wide Web コンソーシアム (W3C) によって策定された技術仕様書です。
法的通知:
このドキュメントは暫定版であり、このソフトウェアの最終的な製品版の発売時に実質的に変更されることがあります。
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Microsoft、MS-DOS、Windows、Windows NT、Windows Server、Windows Vista、Active Directory、ActiveSync、ActiveX、Direct3D、DirectDraw、DirectInput、DirectMusic、DirectPlay、DirectShow、DirectSound、DirectX、Expression、FrontPage、HighMAT、Internet Explorer、JScript、Microsoft Press、MSN、Outlook、PowerPoint、SideShow、Silverlight、Visual Basic、Visual C++、Visual InterDev、Visual J++、Visual Studio、WebTV、Windows Media、Win32、Win32s、および Zune は米国 Microsoft Corporation の米国またはその他の国における登録商標または商標です。
記載されている会社名、製品名には、各社の商標のものもあります。
1. はじめに
AJAX (Asynchronous JavaScript and XML)、DHTML、JavaScript などのテクノロジでサポートされている動的なコンテンツや高度なユーザー インターフェイス (UI) コントロールによって、Web サイトの利便性が高まっています。しかし、補助テクノロジの方が、このような高度なコントロールとうまく連動しなかったり、動的なコンテンツをユーザーに公開できなかったりすることがあります。Accessible Rich Internet Applications (ARIA) は、障害のあるユーザーが簡単にアクセスできる Web コンテンツやアプリケーションを開発するための World Wide Web コンソーシアム (W3C) によって策定された技術仕様書です。
このホワイト ペーパーは、Web ブラウザーのユーザー エージェントの開発者が Windows アクセシビリティ フレームワークで ARIA 準拠のマークアップを使用した Web コンテンツを適切に公開できるようにするのを支援することを目的としています。
記載されている内容は、すべてのユーザー エージェントの完全なマッピングを保証するものではありませんが、ARIA のマークアップ情報をMicrosoft® Active Accessibility または UI オートメーションで公開したり、ARIA やアクセシビリティ API をサポートする将来のユーザー エージェント プログラムとの対話を計画したりするのにマッピング情報を利用できます。
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2. ARIA の Role 属性を Microsoft Active Accessibility の役割と UI オートメーションの Control Type にマップする
W3C ARIA の Role 属性は、Microsoft Active Accessibility の役割または UI オートメーションの Control Type にマップされます。UI オートメーションの AriaRole プロパティでは W3C ARIA の Role 属性をサポートすることができます。ユーザー エージェントでは、UI オートメーションの LocalizedControlType プロパティを使用して W3C ARIA の Role 属性のローカライズされた情報を用意できます。ただし、これはオプションです。ローカライズされた文字列が指定されなければ、システムによって、任意の UI オートメーションの種類を指定した既定の LocalizedControlType プロパティの文字列が用意されます。
次の表に、W3C ARIA の Role 属性を Microsoft Active Accessibility の役割、UI オートメーションの Control Type、および UI オートメーションの AriaRole プロパティにマップする際の対応関係を示します。
W3C ARIA の Role 属性 |
Microsoft Active Accessibility の役割 |
UI オートメーションの Control Type |
UI オートメーションの AriaRole プロパティ |
alert |
ROLE_SYSTEM_ALERT |
Text |
alert |
alertdialog |
ROLE_SYSTEM_DIALOG |
Window |
alertdialog |
application |
ROLE_SYSTEM_PANE |
Pane |
application |
button |
ROLE_SYSTEM_PUSHBUTTON |
Button |
button |
checkbox |
ROLE_SYSTEM_CHECKBUTTON |
Checkbox |
checkbox |
columnheader |
ROLE_SYSTEM_COLUMNHEADER |
DataItem |
columnheader |
combobox |
ROLE_SYSTEM_COMBOBOX |
Combobox |
combobox |
description |
ROLE_SYSTEM_TEXT |
Text |
description |
dialog |
ROLE_SYSTEM_DIALOG |
Window |
dialog |
directory |
ROLE_SYSTEM_LIST |
List |
directory |
document |
ROLE_SYSTEM_CLIENT |
Document |
document |
grid |
ROLE_SYSTEM_TABLE |
DataGrid |
grid |
gridcell |
ROLE_SYSTEM_CELL |
DataItem |
gridcell |
group |
ROLE_SYSTEM_GROUPING |
Grouping |
group |
heading |
ROLE_SYSTEM_TEXT |
Text |
heading |
img |
ROLE_SYSTEM_GRAPHIC |
Image |
img |
link |
ROLE_SYSTEM_LINK |
HyperLink |
link |
list |
ROLE_SYSTEM_LIST |
List |
list |
listbox |
ROLE_SYSTEM_LIST |
List |
listbox |
listitem |
ROLE_SYSTEM_LISTITEM |
ListItem |
listitem |
log |
ROLE_SYSTEM_PANE |
Pane |
log |
marquee |
ROLE_SYSTEM_ANIMATION |
Text |
marquee |
menu |
ROLE_SYSTEM_MENUPOPUP |
Menu |
menu |
menubar |
ROLE_SYSTEM_MENUBAR |
MenuBar |
menubar |
menuitem |
ROLE_SYSTEM_MENUITEM |
MenuItem |
menuitem |
menuitemcheckbox |
ROLE_SYSTEM_CHECKBUTTON |
CheckBox |
menuitemcheckbox |
menuitemradio |
ROLE_SYSTEM_RADIOBUTTON |
RadioButton |
menuitemradio |
option |
ROLE_SYSTEM_LISTITEM |
ListItem |
option |
presentation |
ROLE_SYSTEM_PANE |
Pane |
presentation |
progressbar |
ROLE_SYSTEM_PROGRESSBAR |
ProgressBar |
progressbar |
radio |
ROLE_SYSTEM_RADIOBUTTON |
RadioButton |
radio |
radiogroup |
ROLE_SYSTEM_GROUPING |
Group |
radiogroup |
region |
ROLE_SYSTEM_PANE |
Pane |
region |
row |
ROLE_SYSTEM_ROW |
DataItem |
row |
rowheader |
ROLE_SYSTEM_ROWHEADER |
DataItem |
rowheader |
separator |
ROLE_SYSTEM_SEPARATOR |
Separator |
separator |
slider |
ROLE_SYSTEM_SLIDER |
Slider |
slider |
spinbutton |
ROLE_SYSTEM_SPINBUTTON |
Spinner |
spinbutton |
status |
ROLE_SYSTEM_STATUSBAR |
Status Bar |
status |
tab |
ROLE_SYSTEM_PAGETAB |
TabItem |
tab |
tablist |
ROLE_SYSTEM_PAGETABLIST |
Tab |
tablist |
tabpanel |
ROLE_SYSTEM_PANE |
Pane |
tabpanel |
textbox |
ROLE_SYSTEM_TEXT |
Document |
textbox |
timer |
ROLE_SYSTEM_CLOCK |
Pane |
timer |
toolbar |
ROLE_SYSTEM_TOOLBAR |
Toolbar |
toolbar |
tooltip |
ROLE_SYSTEM_TOOLTIP |
Tooltip |
tooltip |
tree |
ROLE_SYSTEM_OUTLINE |
Tree |
tree |
treegrid |
ROLE_SYSTEM_TABLE |
DataGrid |
treegrid |
treeitem |
ROLE_SYSTEM_OUTLINEITEM |
TreeItem |
treeitem |
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3. W3C ARIA の状態やプロパティを Microsoft Active Accessibility や UI オートメーションのプロパティにマップする
W3C ARIA の状態やプロパティは、Microsoft Active Accessibility や UI オートメーションのプロパティや関数にマップします。ARIA の状態やプロパティは UI オートメーションの AriaProperties プロパティでサポートされていますが、以下の例外があります。
- オブジェクトを参照する ARIA のプロパティ (例、describedby)。
- アクセシビリティのオブジェクト モデルでサポートされている ARIA プロパティ。たとえば、アクセシビリティのオブジェクト モデルでは、activedescendent プロパティは、常にフォーカスが設定された要素なので、アクセシビリティ API へのマッピングは特に必要ありません。ARIA の owns プロパティが指定されている場合は、そのことがアクセシビリティのオブジェクト ツリーに反映される必要があります。
AriaProperties は、"checked=true;disabled=false" のように、等号 (=) とセミコロン (;) を区切り文字に使用する一連の名前と値のペアで構成された文字列プロパティです。区切り文字や円記号 (\) が値の中で使用されている場合は、円記号をエスケープ文字として使用します。ドキュメントのオブジェクト モデルの ARIA プロパティを検証するため、プロバイダー コードに検証機能を追加することができますが、これは必須要件ではありません。
次の表に、W3C ARIA の状態とプロパティを Microsoft Active Accessibility のプロパティ、UI オートメーションのプロパティ、および UI オートメーションの AriaProperties プロパティにマップする際の対応関係を示します。
W3C ARIA の状態とプロパティ |
Microsoft Active Accessibility のプロパティ |
UI オートメーションのプロパティ |
UI オートメーションの AriaProperties のプロパティ |
activedescendent |
STATE_SYSTEM_FOCUSED (accState) |
HasKeyboardFocus (フォーカスが設定された子要素のプロパティ) |
該当なし |
atomic |
該当なし |
該当なし |
atomic |
busy |
STATE_SYSTEM_BUSY (accState) |
該当なし |
busy |
channel |
該当なし |
該当なし |
channel |
checked |
STATE_SYSTEM_CHECKED (accState) |
ToggleState (Toggle Pattern) |
checked |
controls |
該当なし |
ControllerFor |
該当なし |
describedby |
該当なし |
DescribedBy |
該当なし |
disabled |
STATE_SYSTEM_UNAVAILABLE (accState) |
IsEnabled |
disabled |
dropeffect |
該当なし |
該当なし |
dropeffect |
expanded |
STATE_SYSTEM_COLLAPSED |
|
|
または STATE_SYSTEM_EXPANDED (accState) |
ExpandCollapseState (ExpandCollapse Pattern) |
expanded |
|
flowto |
該当なし |
FlowsTo |
該当なし |
grab |
該当なし |
該当なし |
grab |
haspopup |
STATE_HASPOPUP (accState) |
該当なし |
haspopup |
hidden |
STATE_SYSTEM_INVISIBLE (accState) |
IsOffscreen |
hidden |
invalid |
該当なし |
IsDataInvalidForForm |
invalid |
labelledby |
該当なし |
LabeledBy |
該当なし |
Level |
accValue |
該当なし (オートメーション要素のツリー構造により表現) |
level |
live |
該当なし |
該当なし |
live |
multiline |
該当なし |
Document Control Type |
multiline |
multiselectable |
STATE_SYSTEM_CHECKED (accState) |
CanSelectMultiple (Selection Pattern) |
multiselectable |
owns |
該当なし (アクセシビリティのオブジェクト ツリーに要反映) |
該当なし (オートメーションのオブジェクト ツリーに要反映) |
該当なし |
Posinset |
該当なし (アクセシビリティのオブジェクト ツリー構造または childId で表現) |
該当なし (オートメーション要素のツリー構造で表現) |
posinset |
pressed |
STATE_SYSTEM_PRESSED |
ToggleState (Toggle Pattern) |
pressed |
readonly |
STATE_SYSTEM_READONLY |
IsReadOnly |
readonly |
relevant |
該当なし |
該当なし |
relevant |
required |
該当なし |
IsRequiredForForm |
required |
secret |
STATE_SYSTEM_PROTECTED |
IsPassword |
secret |
selected |
STATE_SYSTEM_SELECTED |
IsSelected (SelectionItem Pattern) |
selected |
setsize |
該当なし |
該当なし (オートメーション要素のツリー構造の子の数) |
setsize |
sort |
該当なし |
該当なし |
sort |
tabindex |
STATE_SYSTEM_FOCUSABLE |
IsKeyboardFocusable |
tabindex |
valuemax |
該当なし |
Maximum (RangeValue Pattern) |
valuemax |
valuemin |
該当なし |
Minimum (RangeValue Pattern) |
valuemin |
valuenow |
IAccessible::get_accValue |
Value (RangeValue Pattern) |
valuenow |
valuetext |
IAccessible::get_accValue
注: ARIA プロパティの valuenow と valuetext の両方に値が設定されていると、accValue プロパティには valuetext プロパティの値が設定されます。 |
Value (Value Pattern)
注: valuetext プロパティと valuenow プロパティの両方に値が設定されている場合、RangeValue Pattern プロパティと Value Pattern プロパティは共存可能です。 |
valuetext |
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4. その他の考慮事項
UI オートメーションでは、ドキュメント オブジェクト内の埋め込みオブジェクトをサポートする TextPattern のシンプルなテキスト オブジェクトが用意されています。このオブジェクトにより、ユーザー エージェントやクライアント アプリケーションでは、エンド ユーザー シナリオに基づいて Web コンテンツをドキュメントまたは従来のデスクトップ UI 要素として扱うことが可能になります。
5. 詳細情報
Web アドレスは変更される可能性があるため、ここに記載されている Web サイトに接続できない場合があります。