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評価時に注意すべき点

Internet Explorer 9 RC 版用テスト ガイド 日本語版

更新日: 2011 年 4 月 25 日

Microsoft Corporation
発行: 2010 年 9 月
Version: 1.01a

このドキュメントに記載されている情報は、発行日におけるマイクロソフトの見解を示すものです。マイクロソフトは市場の変化に対応する必要があるため、このドキュメントの内容に関する責任をマイクロソフトは問われないものとします。また、発行日以降に発表される情報の正確性を保証できません。このドキュメントに記載された内容は情報提供のみを目的としており、明示または黙示にかかわらず、これらの情報についてマイクロソフトはいかなる責任も負わないものとします。また、掲載されているサンプルコードについては、運用環境における正常な動作が保証されたものではありませんので、ご使用の際には十分な検証を行なってください。また、この資料は Internet Explorer 9 の開発中のバージョンにおいて動作及び設定確認を行っているため、正式リリース版では異なる動作及び設定がとなる場合があります。お客様ご自身の責任において、適用されるすべての著作権関連法規に従ったご使用を願います。このドキュメントのいかなる部分も、米国 Microsoft Corporation の書面による許諾を受けることなく、その目的を問わず、どのような形態であっても、複製または譲渡することは禁じられています。ここでいう形態とは、複写や記録など、電子的な、または物理的なすべての手段を含みます。ただしこれは、著作権法上のお客様の権利を制限するものではありません。マイクロソフトは、このドキュメントに記載されている内容に関し、特許、特許申請、商標、著作権、またはその他の無体財産権を有する場合があります。別途マイクロソフトのライセンス契約上に明示の規定のない限り、このドキュメントはこれらの特許、商標、著作権、またはその他の無体財産権に関する権利をお客様に許諾するものではありません。
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記載されている会社名、製品名には、各社の商標のものもあります。

目次

  1. GPU レンダリング
  2. UserAgent 文字列
  3. 互換表示リスト
  4. Web 標準への準拠
  5. フォント・テキスト処理
  1. IME 入力環境
  2. JavaScript 処理
  3. タブ ウィンドウの分離・統合
  4. セキュリティ・認証
  5. セットアップ
  6. 印刷

以下で紹介される注意すべき点の中にはみなさまの評価対象とは直接関係しないものもあります。特に評価を行なって頂きたい対象については各々の項目の「確認事項」の所に示してありますが、関係する項目を素早く確認できるよう、Appendix として、「評価時に注意すべき点と主な対象者の対応表」を用意しました。合わせてご参照下さい。

1. GPU レンダリング

変更

IE9 では従来の GDI (Graphics Device Interface) ベースのレンダリングではなく、DirectX (Direct2D/DirectWrite) ベースのレンダリングを採用し、GPU パワーを活用した高速、高品質のレンダリングを実現しています。これは大きな仕様変更に基づいた改善点ですが、以下の問題事例で挙げたような互換性の問題が起きる可能性があります。

IE9 の互換表示リストの後方にソフトウェア フォールバック リスト (英語) が含められており、このリストに掲載されているドライバを使用している場合は、ソフトウェア レンダリングによって描画されます。

問題事例

  • [GPU レンダリング] 時に起きる表示上の問題
  • 特定のビデオ ハードウェア固有の表示上の問題
  • 古いドライバ利用時に起きる表示上の問題

確認事項

  • 最新のビデオ ドライバを用いているか?
  • [GPU レンダリング] になっているか? ソフトウェア レンダリングになっているか?
    • ビデオ ハードウェアがソフトウェア フォールバック リスト (英語) に含まれている場合、GPU レンダリングが無効になります。インターネット オプション (inetcpl.cpl) の詳細設定にある「アクセラレーターによるグラフィック」をご確認下さい。

レンダリング方式の設定場所 (インターネットオプション)

[Web 開発者、アドオン (ActiveX コントロール) 開発者のみなさま]

  • 評価対象の Web ページ閲覧で表示問題が生じていないか?
  • ActiveX コントロール上の描画にパフォーマンスの問題が生じていないか?
  • 通常、既定になっている GPU レンダリング時に Web サイトの表示問題が確認されている場合、ソフトウェア レンダリング時でも問題が起きるか? インターネット オプションの詳細設定にある「アクセラレーターによるグラフィック」の設定を変えて確認してみてください

[PC メーカー、IHV (Video) パートナーのみなさま]

  • 複数の Web ページにおいて表示問題が生じていないか?
  • ビデオ ハードウェア・ドライバー環境を変更できる場合、それぞれの異なる環境で表示問題が再現するか?

対応方法

  • GPU レンダリングで不具合が生じる場合、ソフトウェア レンダリングを利用することで問題が解消する場合があります。問題を回避した上で評価を継続したい場合は、上記「確認事項」の箇所で触れたようにインターネット オプションの詳細設定から設定を変更して下さい。
  • 最新のビデオ ハードウェア・ドライバで問題が解決されないか確認してみてください。
  • ハードウェア アクセラレーションの詳細に関しては、以下にブログ記事がありますのでご参照下さい。

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2. UserAgent 文字列

変更

訪問者がアクセスの際に用いるブラウザー毎に異なった処理を行なうため、Web サイト側で UserAgent 文字列を参照している場合があります。IE9 ではレンダリング エンジンやスクリプト エンジンが大きく改善されたため、以下のようにバージョン番号が変更されました。

この変更により、サイトによっては IE9 をご利用の訪問者のブラウザー判別に失敗し、意図しないソースやスクリプトパスによる出力結果が生じることがあります。

問題事例

  • IE9 からのアクセスに対し、対応しないブラウザーまたはバージョンからのアクセスと誤認識し、IE9 向けでないソース、スクリプトを利用してしまい、予期しない様々な結果を生じる
    • 例: 表示の崩れ、表示の抜け、間違った表示、スクリプトエラー

確認事項

[Web 開発者、サイト管理者のみなさま]

  • 評価対象の Web サイトで意図したとおりにブラウザー判別処理が行われ、Web ページが期待どおり表示されているか?
    • ソース内でのバージョン判別コードで等号または不等号を用いたり、バージョン ベクターで比較を行い、CSS など利用ファイルを変えている場合、IE9 からのアクセスで意図しない処理結果を示していないか確認が必要です。
    • Web サイトの記述調査・デバッグには IE8 から実装された「F12 開発者ツール」が便利です。Web ページの表示中に [F12] キーを押すと起動しますので検証やデバックにご活用ください。

対応方法

  • ブラウザ判別処理で問題が確認された場合は、ソース内のバージョン判別コードや値の見直しと修正、または、IE のドキュメント モードを明示的に指定する META タグ設定、またはサーバー側の HTTP ヘッダー設定をご確認ください。
  • IE9 における META タグによるドキュメント モード指定方法、条件付きコメント (Conditional Commnets) にて利用されるバージョン ベクター (Version Vector) やドキュメント モード判別フローチャートなど、総合的な情報は以下に公開されています。管理している Web サイトにおいて IE9 対応を行う際にご参照下さい。
  • なお、IE9 では「Web 標準に沿った単一のコーディングで複数ブラウザーへの対応を可能に」という Same Markup コンセプトのもと、ブラウザーの種類・バージョン情報を参照した判別ではなく、機能・振る舞いによる判別を推奨しています。詳細は以下をご参照下さい。
  • IE9 でのブラウザー モードおよびドキュメント モードに関しては以下をご参照ください。

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3. 互換表示リスト

変更

現在 IE8 に対しては、互換表示 (Compatibility View) を適用するサイトを列挙した互換表示リストを Windows Update を通じて 2 か月毎に更新しており、互換表示設定オプション上では既定で有効になっています。この互換表示機能及び互換表示リストの利用は IE9 でも継承されています。

評価を行なうサイトで互換表示が既定で有効になっているか? どのブラウザー モード・ドキュメント モードで Web サイトが表示されているか確認した上で評価を進める必要があります。

問題事例

  • 互換表示が適用されることで通常は既知の問題を回避することができますが、適用状態と誤って認識したまま評価を行なった場合、結果的に互換表示を適用していないときに見つかるであろうバージョン チェック、レンダリング、スクリプト実行時の問題を見逃す恐れがあります。

確認事項

[Web 開発者、サイト管理者のみなさま]

  • まず、評価対象のサイト (ドメイン名) が互換表示リストにあるかどうかをご確認下さい
    • ローカル フォルダーの "%localappdata%\Microsoft\Internet Explorer\IECompatData" にある iecompatdata.xml 内を検索することで確認できます。
    • もしくは、F12 キーで起動する F12 開発者ツールを起動すると、互換表示リストに登録されたサイトを表示している場合、コンソール タブに「xxx は Internet Explorer 9 互換表示一覧 yyy にあります」と表示されます。(xxx はサイト名、yyy は互換表示リストが格納されているローカル フォルダー名)
  • 既定でどのブラウザー モード・ドキュメント モードでレンダリングされているか?
    • IE9 上から F12 キーで起動する「F12 開発者ツール」を起動することにより、現在のブラウザー モードやドキュメント モードが確認できます。


      F12 開発者ツール

    • さらに、上記のモード表示部分をクリックすることにより、どのモードが既定かを確認でき、一時的な評価のために他のモードを選択することができます。


      F12 開発者ツール - ドキュメント モードの選択メニュー

    • IE9 におけるブラウザー モード・ドキュメント モードについての説明は IE Blog 内の記事をご参照下さい。

IE9 では互換表示リストの記述によって、ドキュメント モード指定を IE7 標準だけでなく IE8 標準とすることができるなど改善が図られています。互換表示リストについては次の情報を参照してください。

対応方法

  • 互換表示リストを無効にして評価を進めたい場合、IE9 のコマンド バー (非表示の場合は Alt キーを押すと表示されます) の「ツール」 - 「互換表示設定」 を選択し、設定画面で「マイクロソフトからの更新された Web サイト一覧を含める」のオプションからチェックを外して下さい。


    互換表示設定オプション

    • 上記のチェックを外さず、互換表示リストが有効な状態であっても、 meta タグや HTTP 応答ヘッダーを指定することにより互換表示リストの効果を無効にできます。ご都合のよい設定で評価を進めて下さい。
  • 特定のブラウザー モード・ドキュメント モードで一時的に評価を行ないたい場合は、F12 開発者ツールの各モード表示部をクリックした後、ご希望のモードを選択して適用して下さい。

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4. Web 標準への準拠

変更

IE9 は HTML5、CSS3、DOM などの Web 標準 (英語) に準拠しています。また、IE9 標準モードでは過去の独自拡張・実装を一部無効化しています。そのため CSS の評価結果や DOM の処理結果が以前とは異なってしまい、結果的に一部 Web ページでレイアウトの崩れやスクリプト エラーを引き起こす可能性があります。この場合、サイト側での変更が必要となります。

問題事例

  • レイアウトの崩れ
  • テキストの表示欠け、隠れ、または非表示
  • グラフィック・イメージの隠れ、または非表示
  • スクリプトによる DOM 操作の失敗

確認事項

[Web 開発者のみなさま]

  • テキスト、イメージ、レイアウトブロックが期待どおりの位置に表示されているか?
    • 前述の「F12 開発者ツール」を用いて、レイアウトのサイズや有効なフォントの確認など行い、標準に準拠した処理、または現段階での実装に沿った結果かを確認
    • DPI、またはズームレベルの変更後 (例: 96 DPI/100% -> 120 DPI/125%) も問題ないか確認


      ズームレベルを変更する場合 - 「ツール」ボタンから選択

  • Web サイトアクセス後、スクリプト エラーのメッセージが出ていないか?
    • 「F12 開発者ツール」のスクリプト デバッグ機能などを活用し、どこで問題が発生しているかを確認

対応方法

  • スクリプト エラーが発生している場合は、まず UA String を正しく判定しているかを確認してください。
  • UA String は正しく判定している場合は、IE8 までの IE の独自実装を行っている部分に問題があ場合が多くあります。次のドキュメントをエラーが起きた関数名などで検索し、同様の問題の解決方法が記載されていないか確認してください。
  • 新しく実装された Web 標準の機能は IE9 標準 (Standards) モード時に有効です。Web 標準に沿った記述を用いる場合はドキュメント モードが IE9 標準になるよう、doctype や meta タグを適宜設定して下さい。

備考

  • iframe を使用したサイトのドキュメント モードの扱いの変更について

    IE9 では、iframe 内のドキュメント モードはトップ レベルの Web ページのドキュメント モードで決まります。トップ レベルの Web ページが IE9 の標準モードでない場合、サブドキュメントは IE9 の標準モードではレンダリングできません。また、IE9 の標準モードは、フレーム内の DOCTYPE が無い場合には標準モードで表示します。IE8 の時には Quirks モードで表示していました。iframe を使用している場合、トップ レベルのページを含め、DOCTYPE の設定や動作をご確認ください。

    詳しくは、以下のドキュメントをご覧ください。

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5. フォント・テキスト処理

変更

IE9 でのレンダリング エンジンの仕様変更によりテキスト処理も GDI から DirectWrite ベースに変わりました。また、Web Open Font Format (WOFF) のサポートも加わり、CSS Fonts の実装、SVG 上でのテキスト処理などにより新しい機能や利用シナリオが加わりました。フォントやテキストとの互換性問題はとくに MBCS を利用した Web 環境では注意が必要です。

問題事例

  • フォント選択ロジックの問題による不適切なグリフ (字形) 表示
  • 特定の Font-family、Encoding/Charset、キャラクター タイプ/範囲でのテキストの文字化け、または非表示
  • 特定のレンダリング方式 (GPU (DirectX) または ソフトウェア (GDI)) での文字修飾や文字間隔の不具合
  • テキスト ブロック内での表示位置ずれ、不適切な行間・ルビ間、不適切な下線表示位置

確認事項

[Web 開発者のみなさま]

  • 評価対象の Web サイトにおいて、以下の観点から期待通りの表示になっているか?
    • Quirks、標準 (Standards) など 、Web ページによって異なるドキュメント モードを採用している場合、特定のモードにのみで起きる互換性問題がないか。
    • Unicode 系 (例: utf-8)、非 Unicode 系 (例: Shift_JIS、euc-jp) いずれか一方で起きる互換性問題はないか。
    • 記号・特殊文字および文字間隔が指定どおり、または期待どおり表示されているか。
    • 行間・ルビ間または下線の表示位置が適切か。(接したり重なったりして可読性に悪影響を及ぼしていないか)

対応方法

  • フォント指定記述において、日本語フォント名を明記せず、英語フォント名や汎用フォント ファミリー名を用いている場合、意図しないフォントが表示に使われる場合があります。日本語フォント名を明記して下さい。また、Font-family の中でフォントを複数指定する場合は、表示したいフォント名順に列挙して下さい。
  • DirectWrite の採用に伴い、テキスト レイアウトが "Natural Metrics" を使用することにより文字と文字の間の間隔が IE8 と比べて若干変わっており、これに伴い IE9 標準モードで表示上の問題が起きているサイトがいくつか報告されています。例えば、文字が意図しないところで折り返す、ボタンの位置がずれる、などの現象が見られています。これは IE9 の仕様なので、サイト側の修正が必要です。詳細については以下のページを参照ください。

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6. IME 入力環境

日本語環境では Input Method Editor (IME) を用いる機会が様々なところにあり、IE 上ではレンダリング エリアに現れるテキスト入力フィールドの他、アドレスバー/サーチ ボックス、お気に入りセンター、開発者ツール、更にはアドオン上にも入力フィールドが存在する場合もあります。

IME は入力対象システムまたはアプリケーションとインタラクティブに動作し、また、各 IME の基本的な仕様やユーザーが選択している入力・変換モードは様々であるため、特定の IME や入力フィールド タイプ、利用条件でのみ起きる問題は以前の開発中 IE でも多数見つかっています。

過去の例を挙げると、IE8 では Loosely-coupled IE (LCIE) というプロセス分離モデルを採用しましたが、保護モードが有効な Windows Vista 以上の環境で保護モードが有効なタブと無効なタブが同一の IE ウィンドウ 内で共存できるようになったことにより新たな利用シナリオが発生し、IME やアドオンの動作に互換性問題が生じました。同様に、IE9 での変更点によって起こりうる問題に注意することは重要です。

変更

IE9 ではレンダリング エンジンが DirectX ベースに変わっているので、レンダリング エリアでの IME を用いた入力評価の確認は重要です。また、サーチ ボックスと統合されたアドレス バーなど新しいユーザー インターフェースもあり、レンダリング エリア以外での入力フィールドにおいても IME の挙動に注意することは重要です。

問題事例

  • IME が有効化できない
  • IME の入力・変換モードの変更が効かない
  • IME で入力中、変換中の文字が正しく表示されない
  • IME で入力中、変換候補ウィンドウが現れない
  • 保護モード有効時に特定の機能が効かない
  • IME の UI ウィンドウの重なり順 (z-order) がおかしくなる
  • IME の UI ウィンドウが不適切な位置に現れる

確認事項

[IME 開発者、Web 開発者のみなさま]

  • 再現条件として IME の種類や、保護モードの状態が関係していないか?
    • 問題が起きる可能性の高い、保護モード有効の環境で通常は評価を行ってください。
  • 再現条件として入力フィールドのタイプ・属性が関係していないか?

対応方法

調査の結果によっては IE 側ではなく IME 側での修正が必要となることがあります。

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7. JavaScript 処理

変更

IE9 では CPU パワーとマルチ コア アーキテクチャーを活かし、JavaScript の処理を大幅に向上しています。また、IE9 標準 (Standards) モードにおいては HTML5 ベースの Web アプリケーション作成に適した EcmaScript5 の採用や、高速化にもつながるブラウザー及び JavaScript からの DOM の共用を行なっています。

問題事例

  • スクリプト エラーとそれに伴う表示・出力上の問題
  • スクリプトで処理されるサイト上でのユーザーによるアクションに対する挙動の不具合

確認事項

[Web 開発者のみなさま]

  • スクリプト エラーで表示や出力が途中で止まっていたり、以前のバージョンの IE とは異なる出力を示していないか?
    • 問題の切り分けのため、F12 開発者ツールでドキュメント モードを変え、結果に差異がないか確認
  • Date.getYear() を使用している場合には動作を確認。EcmaScript5 の仕様準拠により、IE9 標準モードでは、Date.getYear() は 2010 ではなく 110 (1900 を引いた値) を返すようになった。

対応方法

  • F12 開発者ツールにあるスクリプト デバッグ機能を活用し、スクリプト エラーから対応方法を判断してください。
  • jQuery や prototype.js といったライブラリを利用している場合、IE9 に対応した新しいバージョンに移行してください。

参考情報 (英語)

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8. タブ ウィンドウの分離・統合

変更

IE9 ではタブ ウィンドウの分離・統合を実装しました。これにより IE9 ウィンドウ内のタブをドラッグし、ウィンドウ外への分離(移動)や他の IE9 ウィンドウにドロップして統合することが可能になっています。このような挙動は IE と協調して動作するツール バー アプリケーションや IME などの開発者の想定しないシナリオであり、結果として互換性問題が発生する可能性があります。

図 7

IE ウィンドウ外へのタブの移動が可能に (ティアオフ タブ)

問題事例

  • タブ操作による IE ウィンドウやプロセスの増減により、アドオンや IME が意図しない状態・モードに変わる。

確認事項

[アドオン開発者、IME 開発者のみなさま]

  • 以下のウィンドウ操作で個々のタブ ウィンドウ上のアドオンや IME の状態・モードが維持されているか?
    • 異なる状態・モードのアドオンや IME を持つ複数の IE9 ウィンドウ (のタブ) を統合させる。
    • 保護モードの異なる IE9 ウィンドウ (のタブ) を統合させる。
    • IE9 ウィンドウ (のタブ) 統合後にタブのスイッチ (選択操作) を行なう。

対応方法

  • IE9 で互換性評価を行なってください。

備考

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9. セキュリティ・認証

変更

IE8 においては DEP/NX が既定で有効になり、クロス サイト スクリプティング (XSS) フィルターが実装されるなど幾つかの大きなセキュリティ機能が導入されました。また、信頼性とパフォーマンスの向上のための新しいプロセス モデルである Loosely-coupled IE (LCIE) は保護モードと協調して動作するなど、セキュリティ機能と関係する変更は多く、その実装過程においてプラグインの動作やサイトでの認証やセッション管理に影響を及ぼす互換性の問題が生じました。IE9 でもこれらの機能をそのまま踏襲するので、IE8 評価時において有効だったセキュリティ・認証に関するテスト ケースの再実行をおすすめします。

問題事例

  • DEP/NX 有効時に古い ATL ライブラリを使用したアドオンがクラッシュする。
  • 保護モード有効時にアドオン (ActiveX コントロールを含む) や IME の一部機能が効かない。
  • ログオン ステータスが以前の IE とは異なるタイミングやアクションで変わる。

確認事項

  • IE8 でも起きる問題か?
  • 保護モード有効・無効で結果が異なるか?

対応方法

参考情報

IE9 で次の設定になっている場合、Web サーバーと通信せずキャッシュされたコンテンツを表示する場合があります。そのため、Web サーバーとの通信が必要な処理を行うことなくコンテンツが表示されることがあります。例えば、クライアント証明書を使った認証が必要なコンテンツ表示などがあります。

[インターネット一時ファイルと履歴の設定] で [自動的に確認する] が設定されている (既定値)

詳しくはこちらをご覧ください。

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10. セットアップ

変更

IE9 ではインストール完了までの手順を少なくすることにより簡単なインストールを実現しています。IE9 インストール後は、インストール前に有効になっていた各種アドオンや導入済みの検索プロバイダー・Web スライス・アクセラレーターが IE9 インストール後でも以前と同じに動作するか確認することは重要です。また、IE9 インストール直後に未対応のアドオンによって引き起こされる問題を回避するため、IE9 ではアドオンを無効化し、ユーザーに有効にするか無効にするかを問い合わせます。アドオンのインストール後はすぐに有効になっているという仮定の元に動作しないようにしてください。

問題事例

  • アドオン側で IE のバージョン チェックを行っている場合、IE9 インストール時、または起動後にその機能が期待通りに働かない。
  • IE9 インストールまたはアンインストール直後に既に導入済みのアドオンまたは IE が正しく動作しない、または不安定な挙動を示す。
  • IE9 インストール直後に既に導入済みの検索プロバイダー・Web スライス・アクセラレーターが期待通りに動作しない。
  • IE9 インストール直後に既に導入済みのサイトへのリンク・RSS フィードがお気に入りセンターからアクセスできない。

確認事項

[アドオン開発者のみなさま]

  • アドオンまたはそのセットアップ プログラムで IE のバージョン チェックを行っている場合、下記の各セットアップ シナリオで期待通りにチェックが働くか?
  • アドオン インストールの場合、i) IE7/8 環境へのアドオン インストール後の IE9 インストール、ii) IE9 インストール後のアドオン インストールの 2 つのシナリオを試し、それぞれ問題が生じないか?
  • アドオン アンインストールの場合、i) IE9 アンインストール後のアドオン アンインストール、ii) IE9 からのアドオン アンインストールの 2 つのシナリオを試し、それぞれ問題が生じないか?
  • 一連のアドオンインストール・アンインストール後、そのアドオンの再インストールで問題が生じないか? (アンインストール時に確認できないようなクリーンアップが不十分な場合に起こるインストール問題がないかの確認)

[Web 開発者、ISP/ICP パートナーのみなさま]

  • 検索プロバイダー・Web スライス・アクセラレーター・サイトへのリンク・RSS フィードに対して、i) IE7/8 環境へのインストール後の IE9 インストール、ii) IE9 インストール後のインストールの 2 つのシナリオを試し、それぞれ問題ないか?

対応方法

  • IE9 で評価を行なってください。

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11. 印刷

変更

IE9 では XPS ネイティブ サポートを実現しました。印刷処理時は IE9 内部で Direct2D ベースの表示出力を XPS に変換して印刷サブシステムに渡すため、純粋な XPS 印刷パスの利用が可能です。出力先が XPS ドライバー (XPSDrv) で動作する XPS 対応プリンターである場合、色調・透明度の高度な反映を含めた WYSIWYG 印刷 が可能です。非 XPS プリンターに対しても出力は可能ですが、印刷サブシステム内部での処理フローは IE8 までと異なるため、印刷結果において問題が発生する可能性があります。

問題事例

  • 特定のプリンター、ドライバー タイプ、印刷設定で起きる問題
  • 以前の IE による印刷結果には生じない新たな不具合

確認事項

[IHV (Printer) パートナー、Web 開発者のみなさま]

  • 印刷プレビュー及び実際の印刷での出力確認
    • フォント・テキスト・レイアウト・イメージのサイズ・色・重なり・透過など
  • 何らかの問題が確認された場合、可能であれば異なった種類のプリンター及びその対応ドライバーでの再現確認、再現条件の切り分け
    • 但し、IE9 で生成される XPS 出力に不具合がある可能性もあるので、まず XPS ドキュメントとして出力と XPS ビューアー上での確認をお願いします。

対応方法

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