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Access 2003 データベースの配置を準備する - 第 2 部

 

Frank Rice
Microsoft Corporation

September 2005

適用対象:
Microsoft Office Access 2003
Microsoft Office 2003 Edition

要約: 配置を準備する場合は、Access アプリケーションの計画時および作成時に実施するさまざまな決定や検討する追加のオプションがあります。この記事は、2 部構成シリーズの第 2 部であり、データベース アプリケーションのリリースの準備に役立つ情報が記載されています。この記事には英語のページへのリンクも含まれています (21 ページ)。

目次

起動時のオプションを設定する
アプリケーションを保護する
Access ランタイム コンポーネントを使用する
MDE ファイルを使用する
Package Wizard を使用してアプリケーションを配置する
まとめ
その他のリソース

起動時のオプションを設定する

起動時のオプションは、Microsoft Office Access 2003 アプリケーションを最初に起動して開くときのアプリケーションの動作や外観に影響を及ぼします。これらの設定は、データベースに保持されるので、データベースの Properties コレクションに保存され、起動時のオプションが設定されているデータベースにのみ適用されます。起動時のオプションは、さまざまな方法で設定できます。[Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックスによる設定、コマンド ラインからの設定、Access Developer Extensions (Microsoft Visual Studio Tools for the Microsoft Office System の一部として同梱) の Custom Setup Wizard の使用、またはプログラムでの設定が可能です。

注: Access Developer Extensions の詳細については、MSDN Office Developer Center の「Build with Access 2003 Developer Extensions」を参照してください。

カスタム アプリケーションの場合は、Custom Startup Wizard またはプログラムで設定することをお勧めします。

[Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックス (図をクリックすると拡大表示できます)

図 1. [Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックス

新規データベースには、初期の状態では起動時のオプションが存在しません。ユーザー インターフェイスまたはプログラミング コード内の起動時オプションに変更を加えると、データベースに起動時のオプションが保持されます。したがって、コード内の起動時のオプションを使用する場合は、最初にプロパティが存在するかどうかを確認する必要があります。これを確認するには、"プロパティが見つかりません" というエラーをトラップする方法があります。詳細については、この記事で後述します。

起動時のオプションの概要

以下のセクションでは、[Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックスで使用できるさまざまなオプションと、コード内の起動時のオプションを変更するために使用できる値について説明します。名前の値には、コードで使用する正確な名前を入力してください。

起動時のオプション

次のオプションは、[Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックスにある標準の起動時オプションと同等です。

表 1. [Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックスの起動時のオプション

名前 説明
AppTitle 文字列 タイトル バーに表示されるアプリケーションのタイトル。
AppIcon 文字列 アプリケーションのアイコンのファイル名とパス。
StartupMenuBar 文字列 アプリケーションの既定のメニュー バーを設定します。
AllowFullMenus True または False 組み込みの Access メニュー バーを表示するかどうかを決定します。
AllowShortcutMenus True または False 組み込みの Access ショートカット メニューを表示するかどうかを決定します。
StartupForm 文字列 アプリケーションを最初に開いたときに表示されるフォームまたはデータ ページを設定します。
StartupShowDBWindow True または False アプリケーションを最初に開いたときに [Database](データベース) ウィンドウを表示するかどうかを決定します。
StartupShowStatusBar True または False ステータス バーを表示するかどうかを決定します。
StartupShortcutMenuBar 文字列 すべてのフォームおよびレポートで使用するショートカット メニュー バーを設定します。
AllowBuiltInToolbars True または False 組み込みの Access ツール バーを表示するかどうかを決定します。
AllowToolbarChanges True または False ツール バーの変更を許可するかどうかを決定します。

高度なオプション

AllowSpecialKeys オプション (True/False 値) は、特殊キーの使用を許可するかどうかを決定します。 [Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックスにある高度な起動時オプションと同等です。

その他のオプション

次のオプションは、[Startup Options](起動時の設定) ダイアログ ボックスでも、他のすべての Access ユーザー インターフェイス コンポーネントでも使用できません。これらのオプションは、Microsoft Visual Basic for Applications (VBA) コードでのみ使用できます。

表 2. VBA コードでのみ使用可能な起動時のオプション

名前 説明
AllowBypassKey True または False Shift キーを使用してアプリケーションの読み込み処理を省略してよいかどうかを決定します。
AllowBreakIntoCode True または False Ctrl + Break キーの組み合わせを使用してコードの実行を停止できるかどうかを決定します。
HijriCalendar True または False アプリケーションで使用する日付が Hijri かグレゴリオ暦かを決定します (アラブ諸国のみ)。

アプリケーションの起動時オプションを設定する

Access アプリケーションでは、Custom Startup Wizard を使用して起動時オプションを設定する方法をお勧めします。Custom Startup Wizard を使用して起動時オプションを作成するには、Access Developer Extensions (Visual Studio Tools for the Microsoft Office System に同梱) をインストールして、Custom Startup Wizard を開始し、ウィザードの画面に表示される指示に従います。

VBA を使用して MDB アプリケーションの起動時オプションを設定する方法は多少難しくなります。これを行うには、現在のデータベース (CurrentDB ) オブジェクトの Properties コレクションを使用します。これは Application オブジェクトのメソッドです。データ アクセス オブジェクト (DAO) を使用するか、Microsoft ActiveX Data Objects (ADO) を使用するかに関係なく、起動時オプションのアクセスはどちらの場合も同じです。

まだ存在しない起動時プロパティを取得または設定しようとすると、Jet/DAO エラー番号 3270 の "プロパティが見つかりません" というエラーが発生します。コード内で、このエラーをトラップする必要があります。エラーが発生した場合は、プロパティを作成して Properties コレクションに追加する必要があることがわかります。次のコードは、エラーをトラップして、Application Title プロパティを設定する方法を示しています。汎用の Object 変数を使用して、CurrentDB と Property の値を保存している点に注意してください。これは、内部では Access が DAO の Database オブジェクトと Property オブジェクトを使用して起動時プロパティを処理していますが、DAO オブジェクト ライブラリへの参照を設定せずにこれらのオブジェクトを明示的に使用することはできないためです。汎用オブジェクト変数を使用する理由は、DAO または ADO への特定の参照を前提としないためです。このサンプル コードでは、どちらのデータ アクセス方法でも使用できます。

起動時プロパティを削除して既定値に戻すには、Properties コレクションの Delete メソッドを使用します。存在しないプロパティを削除しようとすると、Jet/DAO エラー番号 3265 の "このコレクションには項目がありません" というエラーが発生します。コード内でこのエラーをトラップし、エラーが発生した場合は、プロシージャを終了します。次のコードは、エラーをトラップし、必要に応じてタイトル バーを更新する方法を示しています。

スプラッシュ スクリーンとスタートアップ フォームを追加する

スプラッシュ スクリーンは、起動時にプログラムの重要な情報を表示し、プログラムの初期処理が完了するまでの間、興味を引くような画像をユーザーに見せるために使用します。

一般的なスプラッシュ スクリーンには、次の情報が表示されます。

  • プログラム名とバージョン番号
  • 登録ユーザーの名前と会社
  • 著作権情報
  • 開発元の会社名とロゴ

Northwind サンプル データベースのスプラッシュ スクリーン

図 2. Northwind サンプル データベースのスプラッシュ スクリーン

メニューなどのスタートアップ フォームは、ユーザーがアプリケーションを使用するためのエントリ ポイントとして使用されます。この記事の初めに説明したとおり、何らかのスタートアップ フォームをアプリケーションに含める必要があります。スタートアップ フォームは、タスクを整理して表示するための有効なアプローチにもなります。フォームは、アプリケーションの管理センターとして使用できます。このようなフォームの 1 つの例として、Database Wizard(データベース ウィザード) で作成されるメニューがあります。

Northwind サンプル データベースのメニュー

図 3. Northwind サンプル データベースのメニュー

スタートアップ フォームを設計する場合は、ユーザーの主要タスクを可能な限りアプリケーションの表面の近くに配置します。たとえば、アプリケーションが 1 つのタスクを重点的に処理する場合は、その特定のタスクのフォームをスタートアップ フォームとして使用できます。

アプリケーションでスプラッシュ スクリーンを使用するには、最初にボタンやオプションを持つフォームを作成して、アプリケーション内を顧客が移動できるようにする必要があります。次に、設定を行って、アプリケーションの起動時にフォームが確実に表示されるようにします。手動で設定するか、コードを使用して設定することができます。起動時にフォームを表示するためのオプションを手動で設定する方法については、Access のヘルプ トピック「起動時にフォームまたはデータ アクセス ページを表示する」を検索してください。

スタートアップ フォームをプログラムで設定するには、次のような関数を使用します。

  1. モジュールを作成し、次の関数を入力するか、貼り付けます。
  2. 新しいモジュールに Splash という名前を付けて保存します。

ShowSplashScreen() 関数を使用する

ShowSplashScreen() 関数を使用するには、次の手順を実行します。

  1. テーブルやクエリに基づいたフォームではなく、スプラッシュ スクリーン上に表示するテキストやグラフィックスを持つフォームを作成します。詳細については、この記事の後半の「フォームのプロパティを設定する」を参照してください。

  2. [Database](データベース) ウィンドウで、[Macros](マクロ) タブをクリックし、[New](新規作成) をクリックします。

  3. 次のアクションを持つマクロを作成し、AutoExec という名前を付けて保存します。

    表 3. 起動時にスプラッシュ スクリーンを表示するための AutoExec のアクション

    マクロ名 アクション
    AutoExec RunCode
      関数名: ShowSplashScreen ("FormName", 5)

フォームのプロパティを設定する

スプラッシュ フォームのフォーム プロパティは、次のように設定することをお勧めします。

  • フォーム プロパティ シートの [Format](書式) タブで、次のように設定します。
    • [Scroll Bars](スクロール バー) : [Neither](なし)
    • [Record Selectors](レコード セレクタ) : [No](いいえ)
    • [Navigation Buttons](移動ボタン) : [No](いいえ)
    • [Auto Resize](サイズ自動修正) : [Yes](はい)
    • [Auto Center](自動中央寄せ) : [Yes](はい)
  • フォーム プロパティ シートの [Other](その他) タブで、次のように設定します。
    • [PopUp](ポップアップ) : [Yes](はい)
    • [Modal](作業ウィンドウ固定) : [Yes](はい)

アプリケーションを保護する

アプリケーションを作成するために行った投資を保護することは非常に重要です。[Database](データベース) ウィンドウを非表示にする、またはワークグループ (ユーザー レベル) セキュリティを実装するなど、簡単な方法で保護できます。また、アプリケーションの VBA コードを保護する場合もあります。コードにアクセスするためのパスワードを設定するか、MDE 形式のデータベース バージョンを作成すると、コードを保護できます。

詳細については、この連載記事の第 1 部「Preparing Your Access 2003 Database for Deployment, Part 1」を参照してください。または、この記事の最後に示す「その他のリソース」を参照してください。

次は、アプリケーションの Access ランタイム コンポーネントの使用について説明します。

Access ランタイム コンポーネントを使用する

Access の新任開発者が、「会社では Access 製品版を各ユーザーに 1 部ずつ購入してくれないため、Access でアプリケーションを開発することができない」と言っているのを何度か聞いたことがあります。これはよくある誤解です。

スタンドアロン Access アプリケーションというものが存在しないために、このような誤解が生じることがあります。Access アプリケーションを実行するには、Access の製品版またはランタイム版のいずれかをインストールする必要があります。Access ランタイムは、Access Developer Extensions の一部として提供されています。Access Developer Extensions には、興味深い機能が 3 つ含まれています。

  • Access 2003 ランタイム コンポーネントを再配布できる無償ライセンス
  • データベースの配布の準備をするための Custom Startup Wizard
  • アプリケーションのインストール パッケージを構築するための Package Wizard
  • データベースに保存されたオブジェクトのプロパティの値を検索できる Property Scanner アドイン

Access ランタイムと Access 製品版の違い

ランタイム版の Access では、製品版で利用できるいくつかの機能が無効になっています。標準の Access とランタイム版の違いを理解するのは重要なことです。次の相違点は、ランタイム版で実行する予定のアプリケーションの開発方法に確実に影響を与えます。

  • ランタイム環境には、[Database](データベース) ウィンドウ、[Macro](マクロ) ウィンドウ、および [Module](モジュール) ウィンドウがありません。アプリケーションのユーザー インターフェイスを構築する必要があります。
  • デザイン ビューがありません。
  • 組み込みのツール バーがありません。
  • ランタイム環境では、多くのウィンドウ、メニュー、およびコマンドが表示されません。たとえば、[Window](ウィンドウ) | [Hide](非表示) および [Window](ウィンドウ) | [Unhide](再表示) コマンドは、表示されません。これらのコマンドは表示されませんが、コードを使用して機能にアクセスできます。
  • 一般的なエラー処理だけが用意されています。ランタイム アプリケーションの中にエラー処理を構築する必要があります。
  • ランタイム アプリケーションでは、独自のヘルプ ファイルを構築する必要があります。

一部の機能を使用不可にすると、アプリケーションを保護できます。たとえば、[Database](データベース) ウィンドウと [Design](デザイン) ウィンドウを使用不可にすると、Access ランタイム バージョンで実行中のアプリケーションが他のユーザーによって変更されるのを防ぐうえで有効です。

Access ランタイム コンポーネントのインストール

Package Wizard を使用してアプリケーションのパッケージを作成し、ランタイム コンポーネントを含めると、アプリケーションのインストール時にランタイム コンポーネントが自動的にインストールされます。

別のアプリケーションによってランタイム コンポーネントがインストールされ、ユーザーがそのアプリケーションを削除したらどうなるのでしょうか。削除しても問題はありません。Access 2003 では、インストール パッケージがプログラムのインストールを試みた回数を追跡して、ランタイム コンポーネントのインストールを管理します。これは RefCounting と呼ばれています。したがって、インストールを何回試みても、Access はコンピュータに 1 度だけインストールされます。Access を "インストール" するたびに RefCount の値が増加します。Access を "削除" するたびに、RefCount の値が減少します。RefCount の値が 1 より小さくなると、Microsoft Windows インストーラが Access 2003 をコンピュータから削除します。

RefCount を使用すると、Access 2003 ランタイム コンポーネントを含む 2 つの異なるアプリケーションをインストールし、そのうちの 1 つを削除した場合でも、残りのアプリケーションは引き続き確実に Access 2003 を使用できます。この機構は、Access 2003 の製品版とランタイム版の両方に等しく適用されます。したがって、別の Access 2003 がインストール パッケージの一部としてインストールされているかどうかを確認するための余分な作業は不要になります。

Microsoft Access ランタイム環境をシミュレートする

ランタイム環境では、標準の Microsoft Access 機能の一部が非表示または無効になっているため、アプリケーションを配布する前に、ランタイム環境で正しく動作するかどうかを確認するのは重要なことです。

Access の /runtime スタートアップ コマンド ライン オプションを使用すると、すべての Access の機能をオフにし、ランタイム環境をシミュレートして、アプリケーションのテストおよびデバッグを実行できます。アプリケーションは、Windows レジストリにランタイムのライセンス キーが含まれている場合と同様に表示され、機能します。

/runtime コマンド ライン オプションを指定するには、[スタート] メニューの [ファイル名を指定して実行] をクリックするか、ショートカットを作成します。

/runtime オプションを使用してアプリケーションを起動するためのショートカットを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Microsoft Access を起動するショートカットを作成します。

    1. Windows エクスプローラを開きます。
    2. [ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[ショートカット] をクリックします。[ショートカットの作成] ダイアログ ボックスが表示されます。
    3. [項目の場所を入力してください] ボックスに、次の内容を入力します。

    Access EXE ファイルの完全なパス Access データベースの完全なパス /runtime

    1. [次へ] をクリックし、ショートカットの名前を入力して、[完了] をクリックします。
  2. ショートカットを右クリックし、[プロパティ] をクリックして、[ショートカット] タブをクリックします。

  3. [リンク先] ボックスで、MSAccess.exe のパスに続けて、目的のデータベースのパスを入力し、「/runtime」 と入力します。パスにスペースが含まれる場合は、パスを引用符で囲みます。

    たとえば、次のコマンド ラインは、Access を起動し、サンプル データベース アプリケーションをランタイム モードで開きます。

MDE ファイルを使用する

データベースに VBA コードが含まれる場合は、アプリケーションを .mde ファイルとして保存すると、すべてのモジュールがコンパイルされ、すべての編集可能なソース コードが削除され、データベースが最適化されます。コードは引き続き実行されますが、このコードを表示したり、編集したりすることはできません。また、データベースを .mde ファイルとして保存することにより、ソース コードに含まれる知的所有権も保護されます。データベースはこれまでどおりに機能するので、データを更新し、レポートを実行できます。

最初に .mdb ファイルを保存し、その後で .mde ファイルを作成してください。.mde ファイルにはソース コードが含まれておらず、Access で次の操作を使用できなくなります。

  • デザイン ビューでのフォーム、レポート、またはモジュールの表示、変更、または作成。
  • オブジェクト ライブラリまたは他のデータベースへの参照の追加、削除、または変更。
  • コードの変更 (.mde ファイルにはソース コードが含まれないため)。
  • フォーム、レポート、またはモジュールのインポートとエクスポート。ただし、テーブル、クエリ、データ アクセス ページ、およびマクロについて、非 MDE データベースからのインポートまたは非 MDE データベースへのエクスポートは可能です。

データベースを MDE ファイルとして保存する前に検討する事項

いくつかの制限によって、Access データベースを .mde ファイルとして保存できない場合があります。

  • データベースがレプリケートされている場合は、最初にレプリケーションを削除する必要があります。
  • データベースが別の Access データベースまたはアドインを参照する場合は、参照の連鎖に含まれるすべての Access データベースまたはアドインを .mde ファイルとして保存する必要があります。
  • また、Access データベースを .mde ファイルとして保存する前に、データベースにパスワードまたはユーザー レベルのセキュリティが定義されていた場合、このデータベースから作成される .mde ファイルにもそれらの機能が適用されます。Access データベースのデータベース パスワードまたはユーザー レベルのセキュリティが定義されており、それらの機能を削除する場合は、.mde ファイルとして保存する前に削除する必要があります。

ユーザー レベルのセキュリティが適用された Access データベースを .mde ファイルとして保存するには、次の要件を満たす必要があります。

  • データベースの "開く/実行" 権限と "排他で開く" 権限を持つユーザー アカウントが必要です。
  • データベースのすべてのテーブルの "構造の変更" 権限または "管理者" 権限を持つユーザー アカウントを使用するか、データベースのすべてのテーブルの所有者である必要があります。
  • データベースのすべてのオブジェクトの "構造の読み取り" 権限を持つユーザー アカウントが必要です。

参照および MDE ファイルについて

別の Access データベースまたはアドインを参照する Access データベース (.mdb ファイル) またはアドイン (.mda ファイル) から .mde ファイルを作成しようとすると、エラー メッセージが表示され、操作を完了できません。別のデータベースを参照するデータベースを .mde ファイルとして保存するには、参照の連鎖の最初の参照先データベースから開始して、すべてのデータベースを .mde ファイルとして保存する必要があります。最初のデータベースを .mde ファイルとして保存したら、この .mde ファイルを参照するように次のデータベースの参照先を更新してから、次のデータベースを .mde ファイルとして保存する必要があります。以降のデータベースにも同様の操作を行います。

たとえば、Database1 .mdb が、Database3. mda への参照を含む Database2 .mdb を参照している場合は、次の手順を実行します。

  1. Database2 .mdb を開き、新しい Database3 .mde を参照するようにデータベースの参照先を変更します。
  2. Database2 .mdb を Database2 .mde として保存します。
  3. Database1 .mdb を開き、新しい Database2 .mde を参照するようにデータベースの参照先を変更します。
  4. Database1 .mdb を Database1 .mde として保存します。

MDE ファイルを作成する

.mde ファイルを作成する前に、次の注意事項を確認してください。

  • 元の Microsoft Access データベースのコピーを安全な場所に保存します。データベース内のオブジェクトの構造を変更する必要がある場合は、元の Access データベースで変更し、その後で Access データベースを .mde ファイルとして再度保存します。
  • 最新のファイル形式を使用して .mde ファイルを作成する必要があります。Access 2002 または Access 2003 では、Access 2002 ~ 2003 のファイル形式を使用する必要があります。Access 2000 では、Access 2000 ファイル形式を使用する必要があります。
  • より新しいバージョンの Access で .mde ファイルとして保存された Access データベースを変換することはできません。ただし、.mde ファイルをより新しいバージョンの Access で実行することは可能です。

データベースのユーザー レベルのセキュリティが有効な場合は、データベースを .mde ファイルとして保存する前に、次の要件を満たす必要があります。

  • データベースへのアクセスに使用するユーザー アカウントが定義されているか、データベースの作成時に使用されたワークグループ情報ファイルに参加する必要があります。
  • データベースの "開く/実行" 権限と "排他で開く" 権限を持つユーザー アカウントが必要です。
  • データベースのすべてのテーブルの "構造の変更" 権限または "管理者" 権限を持つユーザー アカウントを使用するか、データベースのすべてのテーブルの所有者である必要があります。
  • データベースのすべてのオブジェクトの "構造の読み取り" 権限を持つユーザー アカウントが必要です。

.mde ファイルの作成には、2 とおりの方法があります。データベースが開いているときに作成することも、データベースが 1 つも開いていないときに作成することもできます。どちらの場合でも、データベースに排他モードでアクセスする必要があります。他のユーザーまたは Access のインスタンスがデータベースを開いていないことを確認してください。

現在開いているデータベースから .mde ファイルを作成するには、次の手順を実行します。

  1. [Tools](ツール) メニューの [Database Utilities](データベース ユーティリティ) をクリックし、[Make MDE File](MDE ファイルの作成) をクリックします。
  2. [Save MDE As](MDE ファイルの作成) ダイアログ ボックスで、データベースの名前、ドライブ、およびフォルダを指定します。

データベースが 1 つも開いていないときに .mde ファイルを作成するには、次の手順を実行します。

  1. [Tools](ツール) メニューの [Database Utilities](データベース ユーティリティ) をクリックし、[Make MDE File](MDE ファイルの作成) をクリックします。
  2. [Database To Save As MDE](MDE ファイルの作成元データベース) ダイアログ ボックスで、.mde ファイルとして保存するデータベースを指定し、[Make MDE](MDE の作成) をクリックします。
  3. [Save MDE As](MDE ファイルの作成) ダイアログ ボックスで、データベースの名前、ドライブ、およびフォルダを指定します。

Package Wizard を使用してアプリケーションを配置する

ADE に含まれている Package Wizard を使用すると、アプリケーションを簡単にバンドルおよび配置できます。このウィザードでは、スタンドアロンの Access アプリケーションをセットアップ パッケージにバンドルするために必要な手順を実行します。また、Package Wizard を使用して、Access ランタイムをパッケージに組み込んだり、該当する Access ファイルを起動するためのショートカットを作成したりできます。Package Wizard からの出力は、Access アプリケーションのインストールを行う Microsoft Windows インストーラ (.msi) セットアップ ファイルです。

Package Wizard を使用して Access アプリケーションを配置する

Package Wizard の使用例を示すため、Access に付属の Northwind サンプル データベースを使用してパッケージを作成します。

  1. Package Wizard を起動するには、[スタート] ボタンをクリックし、[プログラム] (または [すべてのプログラム] )、[Microsoft Office] 、[Microsoft Office Access 2003 Developer Extensions] の順にポイントし、[Package Wizard] をクリックします。

  2. [Welcome] ページで [Next] をクリックします。

  3. [Package Wizard for the Microsoft Office Access 2003 Developer Extensions] ページで、既存のテンプレートを選択するか、ウィザードを使用してカスタマイズしたテンプレートを作成します。

    Package Wizard の [Package Wizard for the Microsoft Office Access 2003 Developer Extensions] ページ

    図 4. Package Wizard の [Package Wizard for the Microsoft Office Access 2003 Developer Extensions] ページ

    テンプレートは、ウィザードで以前使用した構成の設定が保存されている .xml ファイルです。ウィザードの終了前に、現在のウィザードの設定を保存するよう要求されます。このため、次回ウィザードを起動して、保存されているテンプレートの使用を選択すると、テンプレートに指定されている値が各ページに事前に設定されます。既定のオプションを [Create a new template] に設定したままにします。[Next] をクリックします。

  4. [Database to Package] ページで、パッケージ化するデータベースと、ソリューションの配布先となるエンドユーザーのコンピュータ上のフォルダおよびサブフォルダの既定の場所を指定します。

    Package Wizard の [Database to Package] ページ

    図 5. Package Wizard の [Database to Package] ページ

  5. ソリューションに Access ランタイムを組み込むことを指定します。

  6. [Output Options] に、ウィザードで作成したファイルの保存先となるコンピュータ上の場所を指定します。

  7. Northwind データベースのパスおよび名前を入力するか、データベースの場所を参照し、[OK] をクリックします。通常のインストールでは、Nortwind.mdb データベースの場所は C:\Program Files\Microsoft Office\Office11\Samples です。

  8. [Include Access 2003 Runtime] チェック ボックスをオンにします。残りのフィールドは既定のオプションを設定したままにし、[Next] をクリックします。

  9. [Shortcut Properties] ページで、エンドユーザーのコンピュータに表示するショートカットに関する情報を指定します。ショートカットの場所、表示名、および使用するアイコンを指定します。このページでは、データベースの起動時に使用する追加のパラメータも選択できます。[Next] をクリックします。

    Package Wizard の [Shortcut Properties] ページ

    図 6. Package Wizard の [Shortcut Properties] ページ

  10. [Other Files or Registry Keys to Install] ページで、ソリューションに必要な追加のファイルやレジストリ キーを指定します。アプリケーションを最初に開いたときに表示される事前に作成済みのヘルプ ファイルやスプラッシュ ページも指定できます。[Next] をクリックします。

    Package Wizard の [Other Files or Registry Keys to Install] ページ

    図 7. Package Wizard の [Other Files or Registry Keys to Install] ページ

  11. [Installer Experience] ページで、名前やインストール言語など、ソリューションの全般プロパティを指定します。

    Package Wizard の [Installer Experience] ページ

    図 8. Package Wizard の [Installer Experience] ページ

    注: [Installation Language] の一覧のセットアップ ファイルは、ソリューションで使用する前にキャッシュする必要があります。[Installation Language] の一覧のオプションは、次のファイルがあるかどうかに基づいてキャッシュされます。Base.msiAccessRT.msiAccessRT.cabSetup.exe

    これらのファイルがすべて揃っていないと、言語ファイルはキャッシュされません。これらのファイルを利用できる場合は、次のディレクトリにあります。 local_drive:\Documents and Settings\user_name\Desktop\ADE11\Templates

    ユーザーがカスタム インストール オプションを選択したときに表示される情報も指定できます。アプリケーションに組み込む使用許諾契約書 (EULA) の場所を指定できます。EULA はリッチ テキスト形式 (.rtf) である必要があります。

  12. 最後に、アプリケーションのインストール時に表示するイメージがある場合は、そのイメージを指定します。[Next] をクリックします。

  13. [Installer Package Properties] ページで、コントロール パネル の [プログラムの追加と削除] ページに表示する情報を指定します。たとえば、サポート サイトやその他のサポート問い合わせ情報の URL を設定できます。次に、ユーザーがセットアップ (.msi) ファイルを右クリックして [プロパティ] をクリックしたときに表示される情報を指定します。[Next] をクリックします。

    Package Wizard の [Installer Package Properties] ページ

    図 9. Package Wizard の [Installer Package Properties] ページ

  14. [Completing Your Installer Package] ページで、後で使用するために、指定した設定をテンプレートとして保存します。セットアップ ファイルの実行やその他のファイルのインストールを行うバッチ ファイルを作成することもできます。[Finish] をクリックします。

    Package Wizard の [Completing Your Installer Package] ページ

    図 10. Package Wizard の [Completing Your Installer Package] ページ

以上で、Access ランタイム ファイルと共にソリューションをパッケージ化するために必要な作業を完了しました。

注: Access の製品版とランタイム版のどちらも一度もインストールしたことがないコンピュータ上にアプリケーションをインストールして、テストすることをお勧めします。

これで、パッケージ化されたアプリケーションと、存在する場合は印刷されたドキュメントが用意され、配布サイトに配布する準備が整いました。

まとめ

配置するアプリケーションを作成する場合は、起動時のオプションを設定すると、アプリケーションの起動時にユーザーに表示される外観をカスタマイズできます。配置する前にセキュリティを設定すると、権限のないユーザーからアプリケーションを保護できます。Access ランタイム コンポーネントを製品と共にパッケージ化すると、ユーザーのコンピュータ上で Access を無償で実行できるようになります。また、ファイルを .mde ファイルとして保存すると、コードおよびその他のオブジェクトを好ましくないアクセスから保護できます。さらに、セットアップ パッケージの作成に Package Wizard を使用すると、多くの詳細が自動的に処理されます。これらと、この記事で説明したその他の考慮事項を思い出しながらアプリケーションを計画および開発すると、アプリケーションの開発プロセスが楽しいものになり、専門的で使いやすい製品を顧客に提供できます。

その他のリソース

Access および Access アプリケーションの配置についてのその他の情報は、次のリソースで取り扱っています。