SharePoint Designer 2010 を使用した SharePoint Online のカスタマイズ
SharePoint Designer 2010 は、SharePoint アプリケーションを迅速に開発するためのツールです。上級ユーザーまたは開発者は、SharePoint Designer 2010 を使用して、ビジネス ニーズに即応する SharePoint ソリューションを作成できます。
最終更新日: 2011年8月30日
適用対象: SharePoint Designer 2010 | SharePoint Foundation 2010 | SharePoint Server 2010
この記事の内容
SharePoint Designer 2010 を使用して SharePoint Online をカスタマイズする
SharePoint Online での SharePoint Designer へのアクセスを制限する
SharePoint Designer 2010 から SharePoint Online カスタム ソリューションを展開する
上級ユーザーは、共同作業用サイトからヒューマン ワークフローに至るまでのさまざまな共通シナリオを網羅した、コードを持たないソリューションを作成でき、SharePoint で利用可能な構成要素を使用の容易な環境で活用できます。また、開発者は、SharePoint Designer 2010 を使用して SharePoint 開発プロジェクトにすばやく着手できます。
SharePoint Designer 2010 を使用して SharePoint Online をカスタマイズする
SharePoint Designer 2010 は強力なサイト作成機能を備えており、1 つの場所で以下の作業のすべてを 1 行のコードも書かずに実行できます。
SharePoint サイトの作成
サイトを構成するコンポーネントのカスタマイズ
ビジネス プロセスに関わるサイトのロジックの設計
パッケージ化されたソリューションとしてのサイトの展開
通常、SharePoint Designer で実行する作業は、開発ではなく、カスタマイズと呼ばれます。これは、SharePoint Designer で実行される作業が SharePoint アイテムの宣言的な作成または編集を必要とし、サーバー側のコードを使用しないからです (SharePoint Designer で実行する作業によっては、クライアント側のスクリプトを使用できます)。
SharePoint Designer によるカスタマイズには、注意すべき重要な点があります。SharePoint Designer を使用する場合は、選択した SharePoint Online サイトに対して編集が直接行われることです。これは、ローカルの SharePoint インストール上でソリューションの作成とデバッグを行ったうえで完成したソリューションを SharePoint Online のソリューション ギャラリーに展開する Visual Studio 2010 での SharePoint ソリューション開発とは異なっています。
SharePoint Designer は、Microsoft から無償でダウンロードできます。システム要件など、詳細については「Microsoft SharePoint Designer 2010 (32 ビット版)」を参照してください。
SharePoint Designer を使用して SharePoint Online ビジネス ソリューションを作成する
SharePoint Designer を使用して SharePoint Online で作成できるビジネス ソリューションは、主に以下の種類のソリューションに分類できます。
データが豊富な対話型のユーザー インターフェイス
SharePoint Designer 2010 を使用すると、SharePoint データ用の高機能で動的なユーザー インターフェイスを作成し、SharePoint サイト、Microsoft Office ビジネス アプリケーション内のカスタム ウィンドウおよびフィールドなど、多くの場所でそうしたインターフェイスを利用できます。
作成できるインターフェイスには、カスタム ビュー、フォーム、Web パーツ、ナビゲーション、カスタムの Office クライアント ウィンドウおよび作業ウィンドウがあります。このような柔軟性により、ビジネス データを処理する完全にカスタマイズされたユーザー向け機能を作成できます。
複数のデータ ソースを統合した単一ビューの形成、関連するアイテム ビューを備えたダッシュボードの作成、個々のロールに応じたカスタム フォームの設計、利用可能なツール バーやデータに関連付けられた Server リボン コマンドのカスタマイズを行うこともできます。
ビジネス プロセスを管理するための宣言型ワークフロー
組織内のすべてのビジネス プロセスは、共通のビジネス ニーズに基づいて関連付けられた一連の活動で構成されています。SharePoint の宣言型ワークフローはこのモデルに基づいて設計され、そのために条件およびアクションの集合で構成されるルールベースのワークフローが用意されています。開発者は、条件およびアクションの系列に基づいた作業プロセスに対応する一連のアクションを整理して実行します。
SharePoint Designer 2010 を使用することで、組織のビジネス プロセスを管理するルールベースの宣言型ワークフローを作成できます。ワークフローは、ビジネス アプリケーション プロセスと人による共同作業プロセスの双方を自動化します。ビジネス アプリケーション プロセスのワークフローでは、あるデータ ソースの変更時に別のデータ ソースを更新できます。人による共同作業プロセスのワークフローでは、承認を得るために管理者にドキュメントを送信できます。
SharePoint Designer で作成できる宣言型ワークフローでは、コードを書かなくてもアプリケーション ロジックがビジネス プロセスに導入されます。これを可能にしているのが、ロジック、サブステップなどを入れ子の構造にできる SharePoint Designer 2010 のワークフロー デザイナーです。また、SharePoint Designer 2010 にエクスポート可能なフローチャート テンプレートを Microsoft Visio 2010 で使用しても、ワークフローの設計および共有ができます。
SharePoint の内外にあるデータへの接続
SharePoint Designer 2010 では、多数のデータ ソースに接続し、そうしたデータをサイトおよび Office クライアント アプリケーションに統合できます。その結果、ユーザーは、それらのデータ ソースに個別に接続することなく、サイト上や開発者が選択したプログラム内からビジネス データを確認したり操作したりできます。
外部データベース、SOAP サービス、REST (Representational State Transfer) サービスなどには、リボンから直接接続できます。データ ソースへの接続は SharePoint Designer 2010 の強力な機能の 1 つであり、データをユーザーが利用できるようにするためのオプションが数多くサポートされています。データ接続によって、リストやライブラリを統合したり、外部のデータベースやデータ ソースを OLE DB または ODBC プロトコル経由で、また XML Web サービスを SOAP 経由で 1 つにまとめたりできます。
デザインおよびブランド設定されたサイト
SharePoint Designer 2010 によって提供されるカスタマイズの最後の領域は、デザインとブランド設定 (一貫性のある外観の設定とそうした外観の SharePoint サイトへの適用) です。会社のロゴ、配色、ヘッダーおよびフッター、関連グラフィックス、カスタム ナビゲーションなどを組み込むことができます。その結果、サイト上のどのページを見てもより大きな企業サイトの一部であることがすぐにわかるようになります。SharePoint Designer 2010 では、マスター ページ、ページ レイアウト、およびカスケード スタイル シートを使用して SharePoint サイトのデザインとブランド設定を行います。
サイトのデザインとブランド設定は、カスタム ビジネス ソリューションの作成に注目した他のカスタマイズ領域とは異なります。ブランド設定は、通常、それほど頻繁に実行されることはなく、サイト コレクションの最上位で行われます。こうしたカスタム ブランドは、さらにサイト コレクションのサブサイトに継承されます。また、ブランド設定の作業は、多くの場合、ソリューション作成者ではなく Web デザイナーによって実行されます。
こうした理由から、マスター ページ、ページ レイアウト、およびカスケード スタイル シートは SharePoint Online 管理者を除くすべてのユーザーに対して既定では無効になっています。これは、サイトのブランド設定の担当者のみがこれらの影響力が大きく注意を要するファイルにアクセスできるようにするためです。これらのファイルは、特定のユーザーに対して有効にできます。
SharePoint Online での SharePoint Designer へのアクセスを制限する
SharePoint Online 管理者は、他のユーザーが SharePoint Designer を使用できる作業を制限できます。以下の操作を SharePoint Online 管理者は実行できます。
サイト定義から接続を解除できるユーザーの制限
マスター ページとページ レイアウトを編集できるユーザーの制限
URL サイト階層でファイルを編集できるユーザーの制限
SharePoint Designer 2010 を使用したサイト編集の抑制
SharePoint Designer 2010 から SharePoint Online カスタム ソリューションを展開する
SharePoint Designer には、作成および編集した SharePoint アイテムを別のサーバーや企業のあらゆる場所に展開したり、追加の開発のために Visual Studio 2010 で開いたりできるようにそれらをパッケージ化する機能が含まれています。[テンプレートとして保存] 機能により、ソリューションを SharePoint ソリューション パッケージ (.wsp) ファイルとして保存できます。.wsp ファイルに保存される内容は、開発者が決定します。このファイルには、データ ソースと構造、ビューおよびフォーム、ワークフロー、Web パーツなど、サイトのコンテンツ全体を含めることも、リスト、ビュー、ワークフローなど、個別のコンポーネントを保存することもできます。
Visual Studio 2010 で開くことができる .wsp ファイルに SharePoint アイテムを保存するこの機能により、デザイナーは、自分がよく知っている使い慣れた SharePoint Designer インターフェイスで SharePoint アイテムを作成し、開発者にとって使い慣れたツールである Visual Studio 2010 でのさらなる開発のためにそのアイテムを開発者に渡すことができます。また、開発者は、Visual Studio 2010 への移植が容易なので作業のやり直しは不要という認識の下で、SharePoint Designer を使用して迅速なアプリケーション開発を進めることができます。
SharePoint Designer のインターフェイスと機能の概要については、「SharePoint Designer 2010 について」を参照してください。使い始める際に役立つリソースの詳細な一覧については、「SharePoint Designer の概要」を参照してください。すべての SharePoint Designer エンドユーザー向けヘルプを使用するには、「SharePoint Designer のヘルプと How-to」を参照してください。
関連項目
概念
SharePoint Online で使用できる開発者向け機能の一覧