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Duet Enterprise の SAP ワークフロー タスクを計画する

 

適用先: Duet Enterprise for Microsoft SharePoint and SAP

トピックの最終更新日: 2016-11-29

この記事では、Duet Enterprise ワークフロー機能、そのアーキテクチャの定義、および Duet Enterprise ワークフローのカスタマイズ オプションについて説明します。

Duet Enterprise for Microsoft SharePoint and SAP ワークフロー機能を使用すると、SAP ビジネス プロセスのタスクを、Web パーツ、リスト、グループ作業 Web サイトなど、使い慣れた Microsoft SharePoint Server 2010 の機能を使用するインフォメーション ワーカーに委任できます。インフォメーション ワーカーは、SharePoint Server 2010 でタスクを追跡および完了できるほか、Microsoft Outlook 2010 でタスクが通知されるように設定できます。通知されたタスクを Outlook 2013 内から実行することもできます。

この記事の内容

  • Duet Enterprise のワークフローとは

  • OBAWorkFlowService Web サービスについて

  • ワークフロー タスク ワークスペースをカスタマイズする

Duet Enterprise のワークフローとは

Duet Enterprise のワークフロー機能では、SAP ワークフローと SharePoint Server 2010 宣言型ワークフローを組み合わせて使用できます。承認の決断、カスタマー サービスの事例管理、ドキュメントのレビューなどの SAP ワークフローは、SAP システムで計画、設計、および実行されます。ユーザーの判断や対話操作が必要な SAP ワークフローのこれらの手順は、SharePoint Server 2010 で Microsoft SharePoint Server 宣言型ワークフローとして開始できます (SAP ワークフローの詳細については、SAP のマニュアルを参照してください)。

SAP ワークフローの一意の各タスクは、個別の SharePoint Server 2010 宣言型ワークフロー (この記事では "SAP ワークフロー タスク" と呼ばれます) として実装されます。SharePoint Server 2010 の宣言型ワークフローの詳細については、以下のリソースを参照してください。

注意

SAP ワークフロー タスクは、Microsoft SharePoint Designer 2010 ではリスト ワークフローとして実装されます。

次の図は、SAP ワークフローと SharePoint Server の一連の SAP ワークフロー タスクの関係を示しています。SAP ワークフローでは、2 つのユーザーの判断タスクを順番に完了する必要があります。各タスクが SAP システムから開始され、SharePoint Server で SAP ワークフロー タスクとして完了します。

SAP ワークフローとワークフロー タスクの関係

SharePoint Server 2010 では、SAP ワークフロー タスクの種類ごとに一意のタスク ワークスペースが OBAWorkflowService (この記事で後述) によって作成されます。各ワークフロー タスクのワークスペースは、SAP システムが OBAWorkflowService に送信するメタデータに基づいてインスタンス化されます。OBAWorkFlowService Web サービスでは、SharePoint Server 2010 の Web アプリケーションのすべてのタスク ワークスペースが 1 つのサイト コレクションで管理されます。このサイト コレクションには、一意の SAP ワークフロー タスクの種類ごとに 1 つのワークスペースがあります。所定のタスク タイプに対して複数のタスク ワークスペースを構成できますが、タスク ワークスペースは異なるサイト コレクションに作成する必要があります。以下の図で示すように、ワークフロー タスクのワークスペースには次の要素が含まれます。

  1. アイテム

    特定なタスクの種類におけるタスクのリストです。タスクは、タスク ワークスペースのドキュメント ライブラリに格納されている XML ドキュメントです。

  2. メタデータ

    各タスクのプロパティで、タスク ワークスペースのドキュメント ライブラリの列として表示されます。このプロパティは、SAP ワークフロー タスクが実装されている SharePoint Server 2010 宣言型ワークフローで使用できます。

  3. SharePoint Server ワークフロー

    各ワークスペースに、SAP ワークフロー タスクが実装されている宣言型ワークフローが含まれます。

  4. 電子メール

    タスク通知が含まれる電子メール メッセージは、重要なユーザー エクスペリエンス要素です。このメッセージは、SAP ワークフロー タスクを評価および完了するのに必要な情報をユーザーに提供します。メッセージにはタスクの詳細ページへのリンクが含まれています。ユーザーは、このページを開いてワークフローの情報にアクセスできます。

  5. タスクの詳細ページ

    電子メール メッセージと同様、タスクの詳細ページは、SAP ワークフロー タスクを評価および完了するのに必要な情報、タスク フォーム、およびその他の詳細な関連情報 (オンライン リソースへのリンク、関連レポート、ドキュメントなど) をユーザーに提供します。

  6. Web パーツ

    Microsoft SharePoint Server Web パーツは、SAP ワークフロー タスクに関連付けられているコンテキスト情報を提供します。

タスク ワークスペース内の要素

SAP ワークフロー タスクの種類ごとに、一意のワークフロー タスク ワークスペースが必要です。一意のワークフロー タスク ワークスペースを作成するには、次のどちらかの方法で RegisterTask API を使用します。

  • SAP システムで RegisterTask API を呼び出すには、OBAWorkflowService Web サービスを使用します。

    詳細については、「OBAWorkFlowService Web サービスについて」を参照してください。

  • 十分なアクセス許可を持っているユーザーは、SharePoint インターフェイスを使用して、新しい SAP ワークフロー タスク ワークスペースを手動で作成できます。

    詳細については、「Duet Enterprise サイトで SAP ワークフローを作成する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=208683&clcid=0x411) を参照してください。

SAP ワークフロー タスクの種類に対してタスク ワークスペース サイトが作成されると、ユーザーに割り当てられているその種類の各タスクがワークスペース サイトに表示されます。SAP ワークフロー タスクは、特定のユーザーまたはロールがそのタスクを完了するように構成したり、ユーザー グループの任意のメンバーがタスクを担当できるように構成したりできます。また、ユーザー間で SAP ワークフロー タスクを委任することもできます。割り当てられたタスクにはタスク ワークスペースからアクセスできるほか、個人用サイト、Office Outlook 2007 の電子メール メッセージなど、他の場所からもアクセスできます。

OBAWorkflowService Web サービスでは便利なワークフロー タスク ワークスペースが自動的に作成されますが、Microsoft SharePoint Designer 2010 または Visual Studio 2010 を使用すると、サイトをカスタマイズできます。フォーム、ページ、ワークフロー タスク ロジックなど、サイト内のすべての要素をカスタマイズできます。詳細については、「ワークフロー タスク ワークスペースをカスタマイズする」を参照してください。

OBAWorkFlowService Web サービスについて

Duet Enterprise には OBAWorkflowService Web サービスが含まれています。このサービスの機能を次に示します。

  • 新しいワークフロー タスク ワークスペースを準備する。

  • ワークフロー タスク ワークスペースのコピーを作成する。

    この機能は、たとえば、カスタマイズしたタスク ワークスペースを開発環境から運用環境にコピーするときに便利です。

  • タスクをワークフロー タスク ワークスペースに配信する。

  • タスクを終了する。

Duet Enterprise ワークフロー機能を Web アプリケーションで利用できるようにするには、OBAWorkflowService Web サービスがサーバー ファームで実行されている必要があります。また、Web アプリケーションは、そのサービスを Web アプリケーションから使用できるように構成されていなければなりません。OBAWorkflowService Web サービスを利用できるようにするには、サービスを安全に実行できる追加のゾーンを作成して、サービスを使用する Web アプリケーションを拡張します。このゾーンは以下の特徴を備えている必要があります。

  • Secure Sockets Layer (SSL) を使用していること。

  • クレーム ベース認証を使用していること。

  • Windows 認証と基本認証を使用すること。

  • SAP システムから信頼されている証明書にバインドしていること。

Web サービスを実行する新しいゾーンを作成して構成した後に、サイト コレクションを作成し、DuetConfig ユーティリティを使用して、OBAWorkflowService Web サービスに接続するように Web アプリケーションを構成します。Web アプリケーションで SAP ワークフロー タスクを構成するとき、SAP システムが OBAWorkflowService Web サービスとの通信に使用するアカウント名も指定します。

以下の図は、OBAWorkflowService Web サービスによって有効になったエンドツーエンド プロセスを示しています。このプロセスは、SAP ワークフロー タスクと同じタイミングで開始され、そのタスクの完了と同時に終了します。

  1. SAP ワークフローを管理する SAP ワークフロー バックエンドが、SAP ワークフローの一環としてユーザーの判断タスクを開始します。SAP タスク情報は XML ドキュメントに示されます。

  2. Duet Enterprise SAP アドオン に含まれる SAP Document Publisher サービスが、SAP タスク要求と関連情報を OBAWorkflowService Web サービスに送信します。

  3. OBAWorkflowService Web サービス ユーザーが参照リストを使用して、関連するワークフロー タスク ワークスペースにタスクおよび関連デザイン要素を作成します。

  4. ユーザーがタスク ワークスペースを使用して、SAP ワークフロー タスクを完了します。

  5. ユーザーがタスクを完了すると、Business Data Connectivity Service がタスク完了通知を SAP システムに送信します。これが可能なのは、SAP ワークフロー タスクが外部コンテンツ タイプとして実装されているからです。

  6. Business Data Connectivity Service がタスクの結果を Duet Enterprise SAP アドオン 内の SAP Web サービスに送信します。

  7. SAP Web サービスがタスク完了通知を SAP ワークフロー バックエンドに送信します。

Duet Enterprise のタスク ワークフロー プロセス

ワークフロー タスク ワークスペースをカスタマイズする

ワークフロー タスク ワークスペースは、そのワークスペースを使用するインフォメーション ワーカーに合わせてより使いやすいようにカスタマイズできます。Microsoft SharePoint Server インターフェイスでは基本的なカスタマイズを行うことができます。より高度なカスタマイズを行うには、SharePoint Designer 2010 および Visual Studio 2010 を使用します。たとえば、各ワークフロー タスク ワークスペースには、ワークスペースで使用されるフォームや Web パーツが含まれる ASP.NET サイト ページがあります。このサイト ページを使用すると、これらのサイト要素すべてをカスタマイズできます。すべてのカスタマイズが完了した後に、タスク ワークスペースをテンプレートとして保存し、他の Duet Enterprise 環境に展開できます。詳細については、「Duet 環境間で SAP ワークフローを移行する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=208684&clcid=0x411) を参照してください。

SAP ワークフロー タスクは SharePoint Server 2010 宣言型ワークフローとして実装されているので、カスタム コードを必要としないワークフロー タスク スペースをカスタマイズする場合は、SharePoint Designer 2010 ツールを使用することをお勧めします。通常のワークフロー タスク ワークスペースは、次のようにカスタマイズできます。

  • タスクに関連するサポート Web ページおよびドキュメントへのリンクを追加する。

  • 現在の動的なタスク固有の情報に変数を追加して、タスク通知の電子メールの本文をカスタマイズする。

  • Microsoft InfoPath を使用してタスク関連のフォームを変更する。

  • Web パーツをタスクの詳細ページに追加して、その他の情報またはコンテキストを提供する。

SharePoint Designer 2010 やその他のツールを使用してワークフローおよび関連するデザイン要素をカスタマイズする方法は、多くのリソースで説明されています。たとえば、以下を参照してください。