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Outlook Web Access でセグメンテーションを管理する方法

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2010-10-20

ここでは、Microsoft Exchange Server 2007 の Microsoft Office Outlook Web Access でセグメンテーションを管理する方法について説明します。セグメンテーションを利用すると、Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して、Outlook Web Access の多くの機能を有効および無効にすることができます。

既定では、セグメンテーションの変更は、Outlook Web Access にログオンしているユーザーが 60 分間操作を行わなかった場合、またはユーザーが Outlook Web Access にログオンしたときに有効になります。変更をすぐに有効にするには、クライアント アクセス サーバーで iisreset/noforce コマンドを実行して、インターネット インフォメーション サービス (IIS) を再起動します。

開始する前に

この手順を実行するには、使用するアカウントに Exchange サーバー管理者の役割および対象サーバーのローカルの Administrators グループのメンバシップが委任されている必要があります。

Exchange 2007 を管理するために必要なアクセス許可、役割の委任、および権限の詳細については、「アクセス許可に関する考慮事項」を参照してください。

手順

Exchange 管理コンソールを使用して Outlook Web Access のセグメンテーションを構成するには、次の操作を行います。

  1. Exchange 管理コンソールで、[サーバーの構成] をクリックし、[クライアント アクセス] をクリックします。

  2. 作業ウィンドウで、[OWA (既定の Web サイト)] を選択し、操作ウィンドウで [プロパティ] をクリックします。

  3. [OWA (既定の Web サイト)][プロパティ] ページで、[セグメンテーション] タブをクリックします。

  4. [セグメンテーション] ウィンドウには、すべてのユーザーに対して有効または無効にできる Outlook Web Access の機能の一覧が表示されます。

  5. すべてのユーザーに対して Outlook Web Access の機能を有効または無効にするには、機能を選択し、[有効にする] または [無効にする] をクリックします。

  6. すべての機能の状態が [セグメンテーション] ウィンドウの中央部分に表示されます。

Exchange 管理コンソールおよび Exchange 管理シェルでのセグメンテーション

以下の表は、Exchange 管理コンソールおよび Exchange 管理シェル パラメータで使用できるセグメンテーション オプションの一覧です。表で示されているパラメータを指定して Set-OwaVirtualDirectory コマンドレットを使用することで、前の手順 3. で説明した [セグメンテーション] タブの機能を有効または無効にできます。

note注 :
パブリック フォルダ、削除済みアイテムを復元、ルール、および S/MIME のセグメンテーション機能は、Exchange 2007 Service Pack 1 (SP1) 以降のバージョンで使用できます。Exchange 2007 SP1 に追加された Outlook Web Access 機能の概要については、「Exchange Server 2007 SP1 の新機能」を参照してください。

Exchange 管理コンソールおよび Exchange 管理シェル パラメータで設定できるセグメンテーション オプション

Exchange 管理コンソール Exchange 管理シェル パラメータ 説明

すべてのアドレス一覧

AllAddressListsEnabled

このオプションを有効にすると、Exchange 組織内のすべてのアドレスの一覧が表示されます。無効にすると、既定のグローバル アドレス一覧だけが表示されます。

予定表

CalendarEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access を使用して予定表フォルダを見ることができます。無効にすると、予定表は Outlook を使用してまだ利用できますが、Outlook Web Access からは見ることができなくなります。

パスワードの変更

ChangePasswordEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access を使用して Active Directory アカウントのパスワードを変更できます。

note注 :
期限切れになったパスワード、または [ユーザーは次回のログオン時にパスワード変更が必要] が設定されているパスワードをユーザーが変更できるようにするには、「Outlook Web Access のパスワードの変更機能の使用方法」を参照してください。

連絡先

ContactsEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access を使用して連絡先フォルダを見ることができます。無効にすると、連絡先フォルダは Outlook を使用してまだ利用できますが、Outlook Web Access からは見ることができなくなります。

電子メールの署名

SignaturesEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access の [オプション] を使用して送信電子メール メッセージに対する署名を管理できます。

Exchange ActiveSync 統合

ActiveSyncIntegrationEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access の [オプション] 機能を使用して、モバイル デバイスを管理できます。無効にすると、オプションは表示されません。

ジャーナル

JournalEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access を使用してジャーナル フォルダを見ることができます。無効にすると、ジャーナルは Outlook を使用してまだ利用できますが、Outlook Web Access からは見ることができなくなります。

迷惑メールのフィルタ処理

JunkEmailEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access からメールボックスに対する迷惑メールの設定を制御できます。

無効にすると、Outlook Web Access から迷惑メールの設定を制御できなくなりますが、管理者が行った設定または Outlook を使用して行った設定は、まだ適用されます。

メモ

NotesEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access でメモ フォルダが表示されるようになります。Outlook Web Access はメモに対する表示専用のアクセスを提供します。

Premium クライアント

PremiumClientEnabled

このオプションを有効にすると、ユーザーは Outlook Web Access Premium クライアントにアクセスできます。無効にすると、Outlook Web Access Light だけが利用できます。

パブリック フォルダ

PublicFoldersEnabled

このオプションを有効にすると、ユーザーは Outlook Web Access を使用してパブリック フォルダ内のアイテムを閲覧または読み取りできます。

note注 :
この機能は Exchange 2007 SP1 以降のバージョンで使用できます。

削除済みアイテムを復元

RecoverDeletedItemsEnabled

このオプションを有効にすると、ユーザーは Outlook Web Access を使用して、削除済みアイテム フォルダから削除されたアイテムを表示、回復、または完全削除できます。

note注 :
この機能は Exchange 2007 SP1 以降のバージョンで使用できます。

アラームと通知

RemindersAndNotificationsEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access Premium を使用している場合は、予定表のアイテムとタスクに対するアラームおよび新規メッセージの通知を受け取ることができます。無効にすると、アラームや通知を受け取りません。

アラームおよび通知は、Outlook Web Access Light では利用できません。

ルール

RulesEnabled

このオプションを有効にすると、ユーザーは Outlook Web Access を使用して、サーバー側のルールを表示、作成、または変更できます。

note注 :
この機能は Exchange 2007 SP1 以降のバージョンで使用できます。

S/MIME

SMimeEnabled

このオプションを有効にすると、ユーザーは Outlook Web Access の S/MIME Control をダウンロードし、このコントロールを使用して署名入りメッセージや暗号化されたメッセージの読み取りや作成ができます。

note注 :
この機能は Exchange 2007 SP1 以降のバージョンで使用できます。

検索フォルダ

SearchFoldersEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access のナビゲーション ウィンドウに [検索フォルダ] アイコンが表示され、ユーザーはサーバー上に存在する任意の検索フォルダにアクセスできます。

このオプションを無効にしても、[検索フォルダ] アイコンは引き続き Outlook Web Access に表示されます。ただし、フォルダにはアクセスできなくなります。

検索フォルダを作成する方法の詳細については、Outlook のヘルプを参照してください。

スペル チェック

SpellCheckerEnabled

このオプションを有効にすると、ユーザーは Outlook Web Access でスペルを検査できます。この機能は、Outlook Web Access Light では使用できません。

タスク

TasksEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access の [タスク] 機能をユーザーが使用できるようになります。この機能は、Outlook Web Access Light では使用できません。

テーマの選択

ThemeSelectionEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access の [オプション] 機能を使用して、テーマを選択できます。この機能は、Outlook Web Access Light では使用できません。

ユニファイド メッセージングの統合

UMIntegrationEnabled

このオプションを有効にすると、Outlook Web Access を使用してユニファイド メッセージングの設定を管理できます。

ユーザー単位のセグメンテーション

Exchange 2007 では、Outlook Web Access のユーザー単位のセグメンテーションを簡単に実装できます。以前のバージョンの Exchange でユーザー単位のセグメンテーションを構成するには、ADSI Edit ツールなどのツールを使用して、特定のユーザーの Active Directory オブジェクトに対して msExchMailboxFolderSet 属性を設定する必要があります。Exchange 2007 では、Set-CASMailbox コマンドレットを使用してユーザー単位のセグメンテーションを構成できます。

note注 :
Set-CASMailbox コマンドレットを使用して、Exchange ActiveSync、Outlook Web Access、MAPI、POP、および IMAP のユーザー単位の設定を構成できます。

ユーザー設定を取得または構成するには、次に示す 2 つのコマンドレットを使用できます。

  • Get-CASMailbox
    このコマンドレットは、特定のユーザーの設定を取得します。
  • Set-CASMailbox
    このコマンドレットは、特定のユーザーの設定を構成します。

どちらのコマンドレットにも identity パラメータを指定できます。identity パラメータには、特定のユーザーのドメイン名とユーザー名 (contoso\user1 など) を指定します。また、多数のコンポーネントが Get-CASMailbox および Set-CASMailbox コマンドレットを共有しているので、Exchange では、ある名前付け命名規則を使用して、取得または構成するプロパティを指定します。

各プロパティには、プロパティが属しているコンポーネントの名前を指定する先頭文字が付いています。たとえば、Outlook Web Access のプロパティには OWA という先頭文字が付いています。MAPI のプロパティには MAPI という先頭文字が付いています。ユーザーの Outlook Web Access セグメンテーション設定を表示するには、Exchange 管理シェルで以下のコマンドを実行します。

Get-CASMailbox -identity "contoso\<user1>" | fl OWA*

このコマンドを実行すると、次のような結果が表示されます。

OWAEnabled :True

OWACalendarEnabled :

OWAContactsEnabled :

OWATasksEnabled :

OWAJournalEnabled :

OWANotesEnabled :

OWARemindersAndNotificationsEnabled :

OWAPremiumClientEnabled :

OWASpellCheckerEnabled :

OWASearchFoldersEnabled :

OWASignaturesEnabled :

OWAThemeSelectionEnabled :

OWAJunkEmailEnabled :

OWAUMIntegrationEnabled :

OWAWSSAccessOnPublicComputersEnabled :

OWAWSSAccessOnPrivateComputersEnabled :

OWAUNCAccessOnPublicComputersEnabled :

OWAUNCAccessOnPrivateComputersEnabled :

OWAActiveSyncIntegrationEnabled :

OWAAllAddressListsEnabled :

OWAChangePasswordEnabled :

仮想ディレクトリ セグメンテーションの各プロパティには、対応するユーザー単位セグメンテーションのプロパティがあります。既定では、ユーザー単位セグメンテーションのプロパティは設定されません。この結果に表示されたほとんどのプロパティに値が含まれていないのは、そのためです。

ユーザー単位のセグメンテーションを構成するときに使用するコマンドでは、msExchMailboxFolderSet という名前の整数のビットが設定されます。ユーザー単位のセグメンテーション設定を初めて変更するときは、msExchMailboxFolderSet 整数のすべてのビットを特定の値に設定する必要があります。Exchange では、明示的に値を True に設定しない限り、既定ですべての値が False に設定されます。

そのため、特定の値を構成しようとしたときに予期しない動作が発生することがあります。たとえば、以下のコマンドレットを実行して、Outlook Web Access のパスワード変更機能を無効にしたとします。

Set-CASMailbox -identity "contoso\<user1>" -OWAChangePasswordEnabled:$false 

このコマンドを実行した後、この特定のユーザーのプロパティを確認すると、次のような結果が表示されます。

OWAEnabled :True

OWACalendarEnabled :False

OWAContactsEnabled :False

OWATasksEnabled :False

OWAJournalEnabled :False

OWANotesEnabled :False

OWARemindersAndNotificationsEnabled :False

OWAPremiumClientEnabled :False

OWASpellCheckerEnabled :False

OWASearchFoldersEnabled :False

OWASignaturesEnabled :False

OWAThemeSelectionEnabled :False

OWAJunkEmailEnabled :False

OWAUMIntegrationEnabled :False

OWAWSSAccessOnPublicComputersEnabled :False

OWAWSSAccessOnPrivateComputersEnabled :False

OWAUNCAccessOnPublicComputersEnabled :False

OWAUNCAccessOnPrivateComputersEnabled :False

OWAActiveSyncIntegrationEnabled :False

OWAAllAddressListsEnabled :False

OWAChangePasswordEnabled :False

この例では、パスワード変更機能だけを無効にしようとしたにもかかわらず、未設定のすべての機能が Exchange によって False に設定されています。そのため、設定されていない msExchMailboxFolderSet 属性については、すべての機能を明示的に構成する必要があります。

前の例では、未設定の msExchMailboxFolderSet 属性でパスワード変更機能だけを無効にし、その他すべての機能を有効のままにするには、各機能を明示的に構成する必要があります。そのためには、次のコマンドを実行する必要があります。

set-CASMailbox -identity "contoso\<user1>" -OWAChangePasswordEnabled:$false `
 -OWAPremiumClientEnabled:$true `
 -OWACalendarEnabled:$true `
 -OWAContactsEnabled:$true `
 -OWATasksEnabled:$true `
 -OWAJournalEnabled:$true `
 -OWANotesEnabled:$true `
 -OWARemindersAndNotificationsEnabled:$true `
 -OWASpellCheckerEnabled:$true `
 -OWASearchFoldersEnabled:$true `
 -OWASignaturesEnabled:$true `
 -OWAThemeSelectionEnabled:$true `
 -OWAJunkEmailEnabled:$true `
 -OWAUMIntegrationEnabled:$true `
 -OWAWSSAccessOnPublicComputersEnabled:$true `
 -OWAWSSAccessOnPrivateComputersEnabled:$true `
 -OWAUNCAccessOnPublicComputersEnabled:$true `
 -OWAUNCAccessOnPrivateComputersEnabled:$true `
 -OWAActiveSyncIntegrationEnabled:$true `
 -OWAAllAddressListsEnabled:$true

msExchangeMailboxFolderSet 属性のすべてのビットを設定した後、個々のビットをそれぞれ構成できます。このときは他のビットの値を指定する必要はありません。

重要な考慮事項

Outlook Web Access でユーザー単位のセグメンテーションを使用するときは、以下の点を考慮してください。

  • ユーザー単位のセグメンテーションは、仮想ディレクトリ セグメンテーションよりも優先されます。たとえば、Set-CASMailbox コマンドレットを使用してユーザーの OWAChangePasswordEnabled を True に設定すると、そのユーザーは、仮想ディレクトリに対してどのオプションが設定されているかに関係なく、常にパスワード変更機能にアクセスできます。
  • Set-CASMailbox コマンドレットを使用してユーザー単位のセグメンテーションの設定を消去することはできません。代わりに、ADSI Edit または同様のツールを使用して、ユーザーの Active Directory オブジェクトの msExchMailboxFolderSet 属性を変更する必要があります。

OWAEnabled プロパティは Outlook Web Access セグメンテーションの一部ではありません。OWAEnabled は、ユーザーの Active Directory オブジェクトの ProtocolSettings 属性で行う設定です。OWAEnabled プロパティは、Outlook Web Access へのアクセス全体を許可または禁止するときに使用します。

詳細情報

Outlook Web Access を管理する方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。

Exchange 管理シェルを使用して Outlook Express のセグメンテーションを管理する場合の構文と方法の詳細については、「Set-OwaVirtualDirectory」を参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。