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弁護士/依頼人特権通信について

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-04-24

ここでは、弁護士/依頼人特権通信の概念および Microsoft Exchange Server 2007 を使用して、組織の要件を満たすメッセージ分類と電子メール メッセージ処理ルールを構成する方法について説明します。

弁護士/依頼人特権通信とは

弁護士/依頼人特権は、弁護士と依頼人間の通信の秘匿保護を目的とする法原理です。通信の秘匿性を保証し、弁護士と依頼人が重要な法的事項をためらいなく徹底的に話し合えるようにすることが、この原理の根底となっています。この特権を定義する法的なテストに適合する通信は、秘匿が認められています。そのような通信は、依頼人が通信の公開を望まない限り、何者も公開を強いることはできません。

一般に、弁護士/依頼人特権通信と見なされるには、以下のすべての基準を満たす必要があります。

  • 弁護士と依頼人間の通信である。
  • 法律上の助言を求めたり与えることを目的とする通信である。
  • 秘匿を意図した通信であり、秘匿が厳格に維持される。
note注 :
弁護士/依頼人特権の原理に関連するルールは、法域によって異なる場合があります。このトピックに含まれる情報は、特権の定義や保護を保証する方法の定義を目的としていません。このトピックは、弁護士/依頼人特権通信の保護を強化するために役立つ機能を紹介するものにすぎません。メッセージ上での弁護士/依頼人特権の宣言は、メッセージの内容が公開されないことを保証するものではありません。

Exchange 2007 での弁護士/依頼人特権通信の実現方法

電子メールで弁護士と通信する際に弁護士/依頼人特権を使用するには、一般に、メッセージが弁護士と依頼人間の特権通信を目的としていることを宣言し、メッセージの宛先が弁護士だけであることを確認する合理的な手順を実行する必要があります。弁護士/依頼人特権により保護することを望むメッセージに組織が適用できる要件の例を以下に示します。

  • メッセージの宛先行が弁護士になっている。
  • メッセージには組織の外部の受信者が含まれていない。
  • メッセージの件名または本文に、メッセージが弁護士/依頼人特権通信であることを明確に示す "Attorney Client Privileged" というテキストまたは同様な文言が含まれている。
  • 弁護士自身または弁護士の指示による場合以外、メッセージを転送してはならない。

以前のバージョンの Exchange Server では、受信者および送信者は、弁護士/依頼人特権の要件などの組織における要件をメッセージに手動で適用する必要がありました。以下の状況では、受信者および送信者が無意識に手順を省略したり、特権メッセージを外部の受信者に誤って転送する可能性があります。

  • 受信者および送信者が複雑なポリシーや関連する手順を完全に理解していない。
  • 受信者および送信者がこれらのポリシーや手順を認識していない。

したがって、受信者および送信者は知らないうちに弁護士/依頼人特権を放棄してしまう可能性があります。Exchange 2007 では、メッセージ分類によって、そのようなユーザーのエラーの可能性を減らすことができます。

メッセージ分類

メッセージ分類は、メッセージが組織で採用されている弁護士/依頼人特権の要件を満たすことを保証することで送信者および受信者の負担を減らす、Exchange 2007 および Microsoft Office Outlook 2007 の機能です。

送信者がメッセージを分類すると、メッセージにはメッセージの使用目的または対象者を説明する特定のメタデータが付加されます。Outlook 2007 または Microsoft Office Outlook Web Access は、このデータを使用して、メッセージの送信者および受信者に対して分類のわかりやすい説明を表示します。この説明には、弁護士/依頼人特権を維持するためのメッセージの処理方法についての指示を含めることができます。

メッセージの送信者および受信者に指示を表示するだけでなく、メッセージがトランスポート パイプラインに入ったときに、Exchange 2007 は弁護士/依頼人特権の要件を強制することもできます。一般的なシナリオとしては、ハブ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータで、トランスポート ルールを使用して、弁護士/依頼人特権 (A/C 特権) メッセージ分類を適用してメッセージを識別することができます。弁護士/依頼人特権 (A/C 特権) メッセージ分類が適用されると、トランスポート ルールによって、メッセージが組織の弁護士/依頼人特権の要件の一覧を満たすかどうかがチェックされます。メッセージが要件を満たさないと、メッセージは送信者に返される場合があります。

メッセージ分類およびトランスポート ルールの詳細については、以下のトピックを参照してください。

弁護士/依頼人特権メッセージ分類の作成

既定では、Exchange 2007 には弁護士/依頼人特権 (A/C 特権) メッセージ分類が含まれています。Exchange 管理シェルで次のコマンドを実行することにより、メッセージ分類の構成を表示できます。

Get-MessageClassification ExACPrivileged | Format-List

メッセージ分類の受信者および送信者の分類の説明を変更できます。構成可能なさまざまなメッセージ分類オプションの詳細については、「Set-MessageClassification」を参照してください。

使用目的に対して、ExACPrivileged メッセージ分類が適切であることを確認したら、すべての Outlook 2007 クライアントにメッセージ分類を展開する必要があります。Outlook 2007 クライアントにメッセージ分類を展開する方法の詳細については、「Outlook 2007 のメッセージ分類を展開する方法」を参照してください。メッセージ分類の変更は、Outlook Web Access を使用するユーザーに直ちに適用されます。

Outlook 2007 ユーザーにメッセージ分類を構成して展開したら、ポリシーを適用するためのトランスポート ルールを構成する必要があります。弁護士/依頼人特権 (A/C 特権) メッセージ分類をサポートするトランスポート ルールを作成する方法の詳細については、「既定のメッセージ分類をカスタマイズする方法」を参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。