メッセージ分類について
適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3
トピックの最終更新日: 2012-02-06
メッセージ分類とは、Microsoft Exchange Server 2010 および Microsoft Office Outlook 2007 の機能で、組織が電子メール ポリシーを遵守し、規制上の責任を果たすことができるようにすることを目的としています。メッセージが分類される場合、メッセージにはメッセージの使用目的または対象者を説明する特定のメタデータが含まれています。Outlook 2007 または Microsoft Office Outlook Web App は、このメタデータに基づいて、分類されたメッセージの送信者や受信者に対して、分類のわかりやすい説明を表示します。Exchange 2010 では、構成された特定の条件を満たすトランスポート ルールがある場合、Microsoft Exchange Transport サービスはメタデータに対する処理を実行します。
次の一覧は、設定できるメッセージ分類のフィールドに関する簡単な説明です。
表示名 このプロパティにはメッセージ分類インスタンスの表示名を指定します。表示名は、Outlook 2007 および Outlook Web App の [アクセス許可] メニューに表示され、Outlook および Outlook Web App ユーザーがメッセージの送信前に適切なメッセージ分類を選択するために使用します。また、表示名は Outlook メッセージの情報バーにある受信者説明にも表示されます。このプロパティのパラメーター名は DisplayName です。
送信者説明 このプロパティはメッセージ分類の目的を送信者に説明します。このフィールドに入力したテキストは、Outlook および Outlook Web App ユーザーが、メッセージを送信する前に適切なメッセージ分類を選択するために使用します。このプロパティのパラメーター名は SenderDescription です。
受信者説明 このプロパティはメッセージ分類の目的を受信者に説明します。このフィールドに入力したテキストは、Outlook および Outlook Web App ユーザーが、このメッセージ分類を持つメッセージを受信したときに表示されます。このプロパティのパラメーター名は RecipientDescription です。
ロケール このフィールドには、メッセージ分類のロケール固有バージョンを作成するためにカルチャ コードを指定します。ロケール フィールドの詳細については、このトピックの「さまざまな言語やロケールへのメッセージ分類インスタンスのローカライズ」を参照してください。このプロパティのパラメーター名は Locale です。
Outlook 2007 で既定のメッセージ分類を受け付けられるようになった後は、ユーザーは、メッセージ分類を送信するメッセージに適用できます。送信者には、Outlook 2007 の情報バーに送信者説明が表示されます。Exchange 管理シェルを使用することによって、各メッセージ分類とロケールについての送信者説明をカスタマイズできます。
注意
Outlook Web App では、メッセージ分類を表示または使用するための特別な構成は必要ありません。
Exchange 2010 では、既定で次の 3 つのメッセージ分類が有効になります。
添付ファイル削除済み この分類は、添付ファイルがメッセージから削除されたときに受信者に通知します。
発信者が要求した代理受信者メール この分類は、メッセージが元の受信者への配信からリダイレクトされたことを受信者に通知します。
パートナー メール この分類は、メッセージが暗号化され、セキュリティで保護されたコネクタ経由で配信されたことを受信者に通知します。
注意
ユーザーはこれらの分類をメッセージに追加できません。
Exchange 2010 の最初のインストールでは、すべてのメッセージ分類は情報提供のみとなっています。これらの分類は、トランスポート ルールには関連付けられず、メッセージに関する追加情報をメッセージの受信者に提供するだけです。既定では、Exchange 2010 では、Microsoft Exchange Transport サービスはメッセージに対して特別な処理は行いません。
ただし、メッセージ分類に基づいてトランスポート ルールを作成することはできます。たとえば、すべての受信メッセージで特定のメッセージ分類に合ったものを確認し、それらのメッセージを指定された受信者に配信するように指示するトランスポート ルールを構成できます。詳細については、「トランスポート ルールの作成」を参照してください。
メッセージ分類は、特定のメッセージに添付される方法に基づいて、論理的に次の 2 つのクラスに分けることができます。
メッセージ分類は、メッセージの送信前にメッセージの送信者によって手動で追加できます。
メッセージ分類は、ルールの結果として追加することができます。たとえば、添付ファイル フィルター エージェントがメッセージから添付ファイルを削除した場合は、添付ファイル削除済みメッセージ分類がメッセージに添付されます。送信者がメッセージを受信すると、Outlook 2007 の情報バーに、添付ファイルが削除された理由を説明した受信者説明が表示されます。Exchange 管理者は、受信者説明をカスタマイズすることができます。
メッセージ分類に関連する管理タスクについては、「メッセージ分類の管理」を参照してください。
目次
さまざまな言語やロケールへのメッセージ分類インスタンスのローカライズ
メッセージ分類の優先順位と保存
メッセージ分類への読み取りアクセス権の付与
トランスポート ルールのメッセージ分類
メッセージ分類の管理と展開
さまざまな言語やロケールへのメッセージ分類インスタンスのローカライズ
シナリオの中には、ビジネス ニーズによって、事業を行っているユーザー、地域、またはロケールのさまざまなグループに対するメッセージ分類として、さまざまな言語を使用する必要がある場合があります。既定のメッセージ分類インスタンスを作成した後は、異なる言語用に、複数のメッセージ分類インスタンスを作成できます。
メッセージ分類を使用すると、異なる法域における規制要件の違いを反映するために、送信者説明と受信者説明の内容を変更することもできます。受信者のロケールに対応するメッセージ分類が Active Directory に存在する場合、Exchange はローカライズされたメッセージ分類をメッセージに添付します。
たとえば、米国と欧州を拠点として経営している医療関連企業は、米国では医療保険の携行性と責任に関する法律 (HIPAA) の法規制に従う必要があっても、欧州ではこの法規制に従う必要はありません。したがって、HIPAA 固有のメッセージ分類の表示は、米国で活動している従業員に対してのみ有効にする必要があります。適切なユーザーのみが特定のメッセージ分類を参照できるようにするために、分類に対して読み取りアクセス許可を設定できます。
特定のメッセージ分類のローカライズ バージョンはそれぞれ、新しいメッセージ分類インスタンスです。Locale パラメーターには、特定のメッセージ分類インスタンスのロケールを定義します。Locale パラメーターは、CultureInfo のデータ型を取ります。メッセージ分類のローカライズ バージョンを作成する場合、メッセージ分類の既定のインスタンスを参照し、既存のメッセージ分類のローカライズされたインスタンスを作成します。
ローカライズされたメッセージ分類の例およびメッセージ分類のローカライズ版を作成する方法の詳細については、「メッセージ分類のローカライズ バージョンを作成する」を参照してください。
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メッセージ分類の優先順位と保存
既定では、メッセージ分類は、メッセージが組織を離れるまで、メッセージが有効な間はメッセージと共に移動します。したがって、送信者がメッセージ分類を特定のメッセージに設定した場合、他のルールによって削除されない限り、そのメッセージは設定されたメッセージ分類を保持します。
各メッセージ分類には、他のメッセージ分類に対する相対優先順位を割り当てることができます。これは、指定された分類に対する優先順位および Outlook での受信者に対する優先順位の表示方法を設定します。最も優先順位が高いメッセージ分類が最初に表示され、その後に優先順位の高さに応じてメッセージ分類が適切な順番で表示されます。シェルの Set-MessageClassification コマンドレットに DisplayPrecedence パラメーターを設定して、優先順位を設定します。
メッセージ分類ごとに、受信者がメッセージに返信するかメッセージを転送するときに、メッセージ分類を保持するかどうかを指定することができます。シェルの Set-MessageClassification コマンドレットに RetainClassificationEnabled パラメーターを設定して、分類を保持するかどうかを指定することができます。
詳細については、「Set-MessageClassification」を参照してください。
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メッセージ分類への読み取りアクセス権の付与
メッセージ分類を作成し、Outlook が稼働しているコンピューターを実行できる場合、新しいメッセージ分類は Outlook および Outlook Web App の [アクセス許可] メニューに表示されます。
Classifications.xml ファイルにエクスポートするメッセージ分類を構成する場合、Outlook 2007 の [アクセス許可] メニューに表示されるメッセージ分類の読み取りアクセスを制御できます。Classifications.xml ファイルの作成方法および使用方法の詳細については、「Outlook 2007 用のメッセージ分類を展開する」を参照してください。
メッセージ分類オブジェクトに読み取りアクセス許可を設定すれば、Outlook Web App の [アクセス許可] メニューに表示されるメッセージ分類の読み取りアクセスを制御できます。Active Directory のメッセージ分類オブジェクトに関して、認証されたユーザーに読み取りアクセス許可を付与する場合、既定では、すべてのメッセージ分類は認証されたユーザーの読み取りアクセスを許可した状態で作成されます。
メッセージ分類オブジェクトに設定する読み取りアクセス許可は、送信者がメッセージ分類を使用できるどうかを制御するものではありません。メッセージ分類の読み取りアクセス許可は、Outlook Web App の [アクセス許可] メニューにメッセージ分類を表示するかどうかを制御するだけです。Outlook 2007 ユーザーは、メッセージ分類に対する読み取りアクセス権を持っていなくてもメッセージ分類を送信できます。上級ユーザーは、Outlook 2007 におけるメッセージ分類を可能にするためにコンピューターにインストールされた Classifications.xml ファイルを編集することで、分類されたメッセージを送信することもできます。
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トランスポート ルールのメッセージ分類
メッセージ分類インスタンスを作成したら、そのメッセージ分類にトランスポート ルールを関連付けることができます。シェルを使用して、トランスポート ルールを作成し、条件としてメッセージ分類を追加します。シェルを使用してトランスポート ルールを作成する方法の詳細については、「トランスポート ルールの作成」を参照してください。
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メッセージ分類の管理と展開
Outlook 2007 ユーザーがメッセージ分類を設定したり、表示したりできるようにする前に、メッセージ分類構成ファイルを展開し、エンド ユーザーのコンピューター上に Outlook レジストリ キーを作成する必要があります。Outlook メッセージ分類テンプレートは、メッセージ分類を作成して構成した後で生成する必要のある .xml ファイルです。
シェルのメッセージ分類コマンドレットを使用して、すべてのメッセージ分類を管理します。シェルまたは Exchange 管理コンソール (EMC) を使用して、メッセージ分類をトランスポート ルールにバインドすることができます。
詳細については、「Outlook 2007 用のメッセージ分類を展開する」を参照してください。
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