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復元要求のプロパティと統計情報の表示

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2015-03-09

切断されたメールボックスを復元するには、メールボックスの復元要求を使用します。切断されたメールボックスとは、Active Directory のユーザー アカウントに関連付けられていない、Exchange ストア内のメールボックス オブジェクトを指します。切断されたメールボックスが Exchange データベース内に保持される期間は、メールボックス データベースの削除済みメールボックス保持設定で指定された期間です。既定では、切断されたメールボックスの保持期間は 30 日です。この保存期間中は、メールボックスを新規または既存の Active Directory ユーザー アカウントに接続することによって、復元することができます。

メールボックスの復元要求のプロパティまたは統計情報を表示できます。プロパティにより、メールボックスの復元要求に関する基本的な情報が得られます。統計情報には、トラブルシューティングの目的で使用できる詳細な情報が含まれます。

Get-MailboxRestoreRequest および Get-MailboxRestoreRequestStatistics コマンドレットの検索条件はブール型の And ステートメントです。複数のパラメーターを使用すると、検索が絞り込まれて、検索結果の数が少なくなります。

切断されたメールボックスに関連する他の管理タスクについては、「切断されたメールボックスの管理」を参照してください。

シェルを使用してメールボックスの復元要求のプロパティを表示する

この手順を実行する際には、あらかじめアクセス許可を割り当てる必要があります。必要なアクセス許可の一覧については、以下を参照してください。「メールボックスのアクセス許可」の「切断されたメールボックス」。

注意

EMC を使用して、メールボックスの復元要求のプロパティを表示することはできません。

この例では、Identity パラメーターを使用して、復元要求 Ayla\MailboxRestore の状態を返します。

Get-MailboxRestoreRequest -Identity "Ayla\MailboxRestore"

この例では、コマンドを Format-List コマンドレットにパイプライン処理することによって、表示名が Kweku の復元先メールボックスに対する 2 番目の復元要求の状態に関する追加情報を返します。

Get-MailboxRestoreRequest -Identity "Kweku\MailboxRestore1" | Format-List

この例では、復元元データベース MBD01 から復元される復元要求の状態を返します。

Get-MailboxRestoreRequest -SourceDatabase MBD01

この例では、中断されている RestoreToMBD01 という名前のすべての復元要求を返します。

Get-MailboxRestoreRequest -Name "RestoreToMBD01" -Suspend $true

構文およびパラメーターの詳細については、「Get-MailboxRestoreRequest」を参照してください。

Get-MailboxRestoreRequest の出力

既定では、Get-MailboxRestoreRequest コマンドレットは、要求の名前、データが復元される対象のメールボックス、および要求の状態を返します。次の表は、コマンドレットを Format-List コマンドレットにパイプライン処理する場合に返される情報を示しています。

説明

SourceDatabase

復元対象の切断されたメールボックスを含むデータベースを指定します。

TargetDatabase

メールボックスの復元先のメールボックスまたはアーカイブを含むデータベースを指定します。

TargetMailbox

データの復元先のメールボックスを指定します。

Name

要求の名前を指定します。

RequestGuid

要求の GUID を指定します。

RequestQueue

Microsoft Exchange メールボックス レプリケーション サービス (MRS) により要求の詳細な状態が格納されるデータベースを指定します。

Flags

要求の作成時にコマンドレットにより自動的に設定されるフラグを指定します。

BatchName

バッチ名を指定します。バッチ名を入力しなかった場合は、このフィールドは空白になります。

Status

要求の状態を指定します。

Suspend

要求が完了前に自動的に中断されるように作成されたかどうかを指定します。

Direction

要求がプッシュかプルかを指定します。メールボックスの復元要求の場合、この値は常に Pull です。

RequestStyle

要求が IntraOrg であるか CrossOrg であるかを指定します。Microsoft Exchange Server 2010 Service Pack 1 (SP1) の場合、この値は常に IntraOrg です。

OrganizationID

要求をマルチテナント組織で実行する場合、この値には、要求を実行する組織の ID を指定します。

Identity

要求の ID を指定します。この ID は、復元先のメールボックス名と要求名を組み合わせたものです。

IsValid

メールボックスの復元要求が有効かどうかを指定します。

シェルを使用してメールボックスの復元要求の統計情報を表示する

この手順を実行する際には、あらかじめアクセス許可を割り当てる必要があります。必要なアクセス許可の一覧については、以下を参照してください。「メールボックスのアクセス許可」の「切断されたメールボックス」。

注意

EMC を使用して、メールボックスの復元要求の統計情報を表示することはできません。

この例では、復元要求 Tony\MailboxRestore1 に関する既定の統計情報を返します。既定では、返される情報には、名前、メールボックス、状態、および達成率が含まれます。

Get-MailboxRestoreRequestStatistics -Identity Tony\MailboxRestore1

この例では、Tony Smith のメールボックスに関する情報を返し、レポートを .csv ファイルにエクスポートします。

Get-MailboxRestoreRequestStatistics -Identity Tony\MailboxRestore | Export-CSV \\SERVER01\RestoreRequest_Reports\Tony_Restorestats.csv

この例では、IncludeReport パラメーターを使用し、結果を Format-List コマンドレットにパイプライン処理することによって、Tony Smith のメールボックスに対する復元要求に関する追加情報を返します。

Get-MailboxRestoreRequestStatistics -Identity Tony\MailboxRestore -IncludeReport | Format-List 

この例では、クライアント アクセス サーバー CAS01 上で実行されている MRS のインスタンスによって処理されている復元要求に関する既定の統計情報を返します。このコマンドでは、MRS のインスタンスによって現在処理されている復元要求に関する情報のみを返します。クライアント アクセス サーバーですべての復元要求の処理が完了している場合、返される情報はありません。このコマンドは、デバッグのために使用します。サポート担当者から要請された場合にのみ実行してください。

Get-MailboxRestoreRequestStatistics -MRSInstance CAS01.contoso.com 

この例では、IncludeReport パラメーターを使用し、Failed の状態のすべての復元要求に関する追加情報を返し、コマンドを実行した場所にあるファイル AllRestoreReports.txt 内に情報を保存します。

Get-MailboxRestoreRequest -Status Failed | Get-MailboxRestoreRequestStatistics -IncludeReport | Format-List > AllRestoreReports.txt

構文およびパラメーターの詳細については、「Get-MailboxRestoreRequestStatistics」および「Get-MailboxRestoreRequest」を参照してください。

Get-MailboxRestoreRequestStatistics の出力

既定では、Get-MailboxRestoreRequestStatistics コマンドレットは、要求の名前、要求の状態、ターゲット メールボックスのエイリアス、完了率を返します。次の表は、コマンドレットを Format-List コマンドレットにパイプライン処理する場合に返される情報を示しています。

説明

Name

要求の名前を指定します。

Status

要求の状態を指定します。

StatusDetail

要求の状態に関する詳細情報を指定します。たとえば、Status 値が InProgress を返す場合、StatusDetail 値は、CreatingFolderHierarchyCopyingMessages など、InProgress 状態の特定の段階を返します。

SyncStage

復元プロセスにおける要求の進捗状況を指定します。

Flags

メールボックス復元要求の作成時にコマンドレットにより自動的に設定されるフラグを指定します。

RequestStyle

要求が IntraOrg であるか CrossOrg であるかを指定します。Exchange 2010 SP1 の場合、この値は常に IntraOrg です。

Direction

要求がプッシュかプルかを指定します。メールボックスの復元要求の場合、この値は常に Pull です。

Protect

Microsoft の内部使用専用として予約済み。

Suspend

復元要求が中断されているかどうかを指定します。この値は、次のようなシナリオでは true です。

  • MRS は、エラーが発生したため、要求を停止したか、停止中である。

  • 管理者が要求を中断した。

SourceExchangeGuid

データの復元元のメールボックスの GUID を指定します。

SourceRootFolder

データの復元元のメールボックスの階層のルート フォルダーを指定します。この値が空白の場合、データがフォルダー Top of Information Store から復元されます。

SourceVersion

ソース メールボックスが置かれているデータベースで実行されている Exchange のバージョンを指定します。

SourceDatabase

ソース メールボックスが置かれているデータベースの名前を指定します。

MailboxRestoreFlags

復元対象のメールボックスが Disabled または Soft-Deleted であるかを指定します。

TargetAlias

ターゲット メールボックスのエイリアスを指定します。

TargetIsArchive

メールボックスをアーカイブに復元しているかどうかを指定します。

TargetExchangeGuid

ターゲット メールボックスまたはアーカイブの GUID を指定します。

TargetRootFolder

データの復元先のメールボックスまたはアーカイブの階層にあるルート フォルダーの名前を指定します。この値が空白の場合、データがフォルダー Top of Information Store に復元されます。

TargetVersion

ターゲット データベースがマウントされているメールボックス サーバーで実行されている Exchange のバージョンを指定します。

TargetDatabase

ターゲット メールボックスが置かれているデータベースの名前を指定します。

TargetMailboxIdentity

ターゲット メールボックスの ID を指定します。

IncludeFolders

復元処理中に含めるフォルダーの一覧を指定します。この値が空白の場合は、要求の作成時にフォルダーが指定されていません。すべてのフォルダーがメールボックスまたはアーカイブに復元されます (ExcludeFolders パラメーターを使用して特定のフォルダーを除外した場合は除きます)。

ExcludeFolders

復元処理中に除外するフォルダーの一覧を指定します。この値が空白の場合、要求の作成時にフォルダーが指定されていません。すべてのフォルダーがメールボックスまたはアーカイブに復元されます (IncludeFolders パラメーターを使用して特定のフォルダーを含めた場合は除きます)。

ExcludeDumpster

要求を作成したときに回復可能なアイテム フォルダーが除外されたかどうかを指定します。

ConflictResolutionOption

ターゲット フォルダーとソース フォルダーに一致するメッセージが存在する場合に MRS が実行する操作を指定します。

AssociatedMessagesCopyOption

要求を処理するときに関連付けられているメッセージをコピーするかどうかを指定します。関連付けられたメッセージは、ルール、ビュー、およびフォームに関する情報を持つ、隠されたデータが含まれた特別なメッセージです。

BatchName

バッチ名を指定します。バッチ名を入力しない場合は、このフィールドは空白になります。

BadItemLimit

要求が破損したメッセージを検出した場合に MRS がスキップする無効なアイテムの数を指定します。

BadItemsEncountered

コマンドで検出された破損メッセージの数を指定します。BadItemsEncountered 値が BadItemLimit 値より大きいと、要求が失敗します。

QueuedTimeStamp

要求が MRS に対して開始された日時を指定します。

StartTimeStamp

MRS により復元要求が開始された日時を指定します。

LastUpdateTimeStamp

要求に対して最後の変更が行われた日時を指定します。変更は、管理者または MRS によって行われた可能性があります。

SuspendTimeStamp

要求が中断された日時を指定します。

OverallDuration

要求を完了するためにかかった時間を指定します。要求が Failed 状態の場合、この値は、要求が開始されてから要求が失敗するまでの時間を指定します。要求が完了していない場合、この値は、要求が開始されてから Get-MailboxRestoreRequestStatistics コマンドレットが実行されるまでの時間を指定します。

TotalSuspendedDuration

要求が Suspended 状態であった時間を指定します。

TotalFailedDuration

要求が Failed 状態であった時間を指定します。

TotalQueuedDuration

要求が Queued 状態であった時間を指定します。

TotalInProgressDuration

要求が In Progress 状態であった時間を指定します。

TotalStalledDueToHADuration

高可用性により要求が停止した時間を指定します。

MRSServerName

要求を処理したクライアント アクセス サーバーの名前を指定します。

EstimatedTransferSize

復元されたファイル サイズ、または要求が In Progress 状態である場合は MRS が復元すると予測されるファイル サイズを指定します。

EstimatedTransferItemCount

復元されたアイテム数、または要求が In Progress 状態である場合は MRS が復元すると予測されるアイテム数を指定します。

BytesTransferred

転送された合計バイト数を指定します。

BytesTransferredPerMinute

1 分あたりの転送されたバイト数の平均を指定します。

ItemsTransferred

転送されたアイテムの数を指定します。

PercentComplete

完了した要求の割合を指定します。

PositionInQueue

要求が開始されていない場合、この値は、要求のキュー内の位置を指定します。

FailureCode

エラーが発生した場合、この値は、エラー コードを指定します。

FailureType

エラーが発生した場合、この値は、エラーの種類を指定します。

FailureSide

エラーが発生した場合、この値は、エラーがターゲット メールボックスまたはソース メールボックスで発生したかを指定します。

Message

エラーが発生した場合、この値は、エラー メッセージを指定します。この値は、中断に関するコメントも指定します。

FailureTimestamp

要求が失敗した場合、この値は、要求が失敗した日時を指定します。

FailureContext

要求が失敗した場合、この値は、エラー発生時に実行されていた操作に関する情報を指定します。

IsValid

要求が有効であったかどうかを指定します。

ValidationMessage

要求が有効でなかった場合、この値は理由を指定します。

OrganizationID

要求をマルチテナント組織で実行する場合、この値は、要求を実行する組織の ID を指定します。

RequestGuid

要求の GUID を指定します。

RequestQueue

MRS により要求の詳細な状態が格納されるデータベースを指定します。

Identity

要求の ID を指定します。

Report

IncludeReport パラメーターを使用していた場合、この値は、要求のトラブルシューティングに使用できる情報を指定します。

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