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ディスクのボトルネックが検出された

[このトピックの目的は、Exchange Server アナライザ ツールが提起した特定の問題に取り組むことです。解決策を適用する対象は、Exchange Server アナライザ ツールを実行し、その特定の問題が発生しているシステムに限定する必要があります。無料でダウンロードして入手できる Exchange Server アナライザ ツールは、トポロジ内の各サーバーから構成データをリモートで収集し、データを自動的に分析します。生成されるレポートには、構成上の重要な問題点、潜在的な問題点、および製品の各種設定で既定値以外のものが、詳細に記載されます。これらの推奨事項に従うことにより、パフォーマンス、スケーラビリティ、信頼性、およびアップタイムの向上を達成できます。このツールの詳細、または最新バージョンのダウンロードについては、「Exchange Server ベスト プラクティス アナライザ ツール バージョン 2 のダウンロード」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=34707) を参照してください。]  

トピックの最終更新日: 2006-11-14

Microsoft® Exchange Server アナライザ ツールによって、現在、ディスク システムが予期される最大可能スループットの 20% 以内で実行されていることが検出されました。この判断は、以下のいずれかの計算によって行われます。

  • ディスクの待ち時間の測定。待ち時間を示すパフォーマンス カウンタは、LogicalDisk\Avg. Disk sec/Read および LogicalDisk\Avg. Disk sec/Write です。
  • 現在のディスク構成およびスピンドル数から最大可能な 1 秒あたりのディスク入出力 (IOPS) とパフォーマンス モニタ (Perfmon) によって記録された現在の IOPS 値との比較。

許容可能な待ち時間

アクセスされているデータの種類に応じて、遅延に対する Exchange サーバーの許容範囲は異なります。このため、最大の許容可能な平均待ち時間しきい値は、ディスク上にあるリソースの種類に基づいて与えられます。次の一覧に示されている場合を除くすべてのケースにおいて、読み取りまたは書き込みの待ち時間に対する最大許容値は 50 ミリ秒です。

  • **トランザクション ログ ドライブ   **トランザクション ログをホストするドライブの平均書き込み待ち時間は 10 ミリ秒未満にする必要があります。書き込み待ち時間のスパイクは 50 ミリ秒未満にする必要があります。トランザクション ログへの書き込みは同期です。つまり、Store.exe プロセスでスレッドが別のタスクを実行できるようになるには、スレッドは書き込みが完了するのを待つ必要があります。トランザクション ログの書き込み待ち時間を短くすることは、サーバーのパフォーマンスにとって重要です。トランザクション ログ ドライブに対する平均読み取り待ち時間は 20 ミリ秒未満にする必要があります。読み取り待ち時間のスパイクは 50 ミリ秒未満にする必要があります。1 秒あたりの Database Log Record Stalls は 10 未満にする必要があります。Database Log Threads Waiting は 10 未満にする必要があります。
    通常、Exchange サーバーはトランザクション ログから読み取りません。したがって、そのドライブに対する読み取り待ち時間は問題にはなりません。ただし、トランザクション ログの書き込み待ち時間は Exchange のパフォーマンスにとって非常に重要であるため、大規模なサーバーでは、その他の目的のためのトランザクション ログをホストするドライブを使用しないようにすることをお勧めします。この場合、LogicalDisk\Disk Reads/sec で測定される読み取り速度は、LogicalDisk\Disk Writes/sec の書き込み速度と比較すると最小である必要があります。Exchange Server アナライザは、トランザクション ログ ドライブで書き込みに対する読み取りの比率が 0.10 より大きい (10 の書き込みに対して読み込みが 1 を超える) かどうかを検出します。
    すべての書き込みに対して 0.10 を超える読み取りが存在する場合は、トランザクション ログ ドライブから読み取りを行っているアプリケーションを識別し、この動作が発生しないようにする必要があります。
  • **データベース ドライブ   **Exchange データベース ファイル (*edb ファイルおよび *stm ファイル) を含むドライブの許容可能な待ち時間は次のとおりです。以下の値より高い値はディスクのボトルネックを示します。
    • データベース ドライブでの Logical Disk\Avg. Disk sec/Read の最大値は、50 ms. (0.050 秒) 未満にする必要があります。
    • データベース ドライブでの Logical Disk\Avg. Disk sec/Read の平均値は、20 ミリ秒 (0.020 秒) 未満にする必要があります。
  • **TEMP ドライブおよび TMP ドライブ   **TEMP ディレクトリおよび TMP ディレクトリを含むドライブの待ち時間は、読み取りおよび書き込み共に 10 ミリ秒未満にする必要があります。読み取りまたは書き込み待ち時間の最大値は 50 ミリ秒未満にする必要があります。
  • **ページおよびシステム ドライブ   **ページ ファイルおよび Windows システム ファイルを含むドライブの待ち時間は、読み取りおよび書き込み共に 10 ミリ秒未満にする必要があります。
  • **SMTP ドライブ   **SMTP サーバー ファイルを含むドライブの待ち時間は、読み取りおよび書き込みの待ち時間を 10 ミリ秒未満にする必要があります。

待ち時間の原因

ディスク サブシステムがサポート可能な速度よりも高速でアクセスされるディスクは、ディスクの待ち時間の最も一般的な原因の 1 つです。この場合、ディスクはボトルネックであると見なされます。また、ディスク サブシステムがスループット処理能力の上限に達している、または上限を超えていることを意味します。

ディスク IOPS の速度 (LogicalDisk\Disk Transfers/sec) が予測される処理能力に近い、またはそれを超えている場合、ディスクは "スループット処理能力を超えた" または "処理能力を超えた" ものと見なされます。これらの場合、サーバー パフォーマンスを向上させるには、(ユーザーを別のサーバーに移動して) ディスク サブシステムの負荷を減らす、または (より多くの、またはより速いスピンドルを追加して) ドライブの容量を増やす必要があります。

ハードウェアが予期されるとおりに実行されていない場合、入出力速度が予測される処理能力を大幅に下回っている場合でも待ち時間が発生することがあります。

ディスクの待ち時間の削減

ディスク サブシステム上の負荷を減らすには、サーバーによって実行される一部のタスクを減らすことができます。具体的には、ディスク負荷の原因となるオプションのアプリケーションを削除する必要があります。Store.exe プロセスは、データベースおよびトランザクション ログ ドライブにアクセスする必要がある唯一のアプリケーションです。

現在のディスク システム構成に応じて、複数の動作を実行し、この問題の影響を減らすことができます。

ディスクの待ち時間を減らすには

  • データベースまたはトランザクション ログ ドライブでボトルネックが発生した場合は、最大容量に近づいていないドライブにホストされているデータベースまたはストレージ グループにユーザーを移動し、そのドライブの負荷を小さくすることができます。すべてのデータベースまたはトランザクション ログ ドライブが容量に近づいているときは、ユーザーを別のサーバーに移動する必要がある場合があります。詳細については、「ユーザーのメールボックスを別のサーバーに移動する」を参照してください。

  • 過剰な MAPI 操作が原因のため、入出力速度が高い期間が短いことがあります。その場合、高い入出力速度の原因となっているユーザーまたは動作を判断するには、Exchange Server User Monitor (ExMon) ツールを論理ディスク パフォーマンス カウンタと組み合わせて使用できます。ユーザーを分離できる場合は、より大きい負荷を生成しているクライアント アプリケーションを識別できる可能性があります。ExMon は Microsoft ダウンロード センター (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=54983) からダウンロードできます (このサイトは英語の場合があります)。

  • RAID-5 ディスク アレイを実行している場合は、RAID-10 ディスク アレイに変更して、ディスク サブシステムに対してサポートされる IOPS を向上させることができます。

  • サポートされる IOPS を向上させるには、ディスク サブシステムにディスクを追加することを検討します。

詳細情報

  • Exchange Server のパフォーマンスの詳細については、Exchange Server 2003 パフォーマンスとスケーラビリティ ガイドについてのページ (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=47576) を参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
  • Exchange Server のパフォーマンスに関する問題のトラブルシューティングの詳細については、Microsoft Exchange Server 2003 パフォーマンスのトラブルシューティングについてのページ (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=47588) を参照してください (このサイトは英語の場合があります)。
  • ストレージ アーキテクチャ設計に関するベスト プラクティスの詳細については、複数のアーキテクチャに共通するベスト プラクティスについてのページ (英語ページの可能性があります) (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=72988) を参照してください。
  • ユーザーのメールボックスを移動してサーバーの負荷を減らす方法の詳細については、「ユーザーのメールボックスを別のサーバーに移動する」を参照してください。
  • ディスクのサイズの変更、待ち時間、および入出力速度の詳細については、Microsoft Exchange Team Blog の Web サイトにある以下のページを参照してください。